じじぃの「人の死にざま_1511_ドナルド・ヘッブ(神経心理学)」

ヘブ則 (脳科学辞典HPより)

ヘブ則 脳科学辞典
要約すれば「ニューロンAの発火がニューロンBを発火させると2つのニューロンの結合が強まる」となる。これは脳の中で起こっている記憶の基礎現象であると考えられる。つまり、記憶とは適切なニューロン同士の結合力の変化であると定式化できる。
http://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%83%98%E3%83%96%E5%89%87
ドナルド・ヘッブ ウィキペディアWikipedia)より
ドナルド・ヘッブ(Donald Olding Hebb、1904年7月22日 - 1985年8月20日)は、カナダの心理学者。神経心理学の開拓者の一人であり、ニューラルネットワーク研究の先駆者でもある。ヘッブの法則でその名を知られる。 神経生理学をもとに人間の学習を説明しようとした。
936年、ハーバード大学にて博士号取得。フロリダのヤーキーズ霊長類研究所にて知覚や学習についての神経学的研究を行なう。1937年、再婚してモントリオールに戻り、モントリオール神経学研究所のワイルダーペンフィールドのもとで頭部損傷やロボトミーによる心理的影響の研究を行なう。1947年、マギル大学心理学教授。
ヘッブの法則 ウィキペディアWikipedia)より
ヘッブの法則は、脳のシナプス可塑性についての法則である。ヘッブ則、ヘブ則とも呼ばれる。心理学者のドナルド・ヘッブによって提唱された。ニューロン間の接合部であるシナプスにおいて、シナプスニューロンの繰り返し発火によってシナプスニューロンに発火が起こると、そのシナプスの伝達効率が増強される。また逆に、発火が長期間起こらないと、そのシナプスの伝達効率は減退するというものである。

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『ぼくは物覚えが悪い:健忘症患者H・Mの生涯』 スザンヌ・コーキン/著、鍛原多惠子/訳 早川書房 2014年発行
符号化、貯蔵、検索 (一部抜粋しています)
記憶の固定化は脳回路間の対話と、細胞ネットワーク、とりわけ、海馬内の細胞ネットワークにおける細胞変化とに依存する。それには海馬と、記憶を貯蔵する側頭葉、頭頂葉後頭葉内の領域とのあいだにおける緊密な対話が必要だ。ニューロン間におけるこうした連絡によって、記憶処理領域内間のつながりが再組織化、強化されることにより、情報が大脳皮質に保持される。
メッセージは、あるニューロンから次のニューロンへ軸索という長い尻尾のようなものをとおして伝えられる。軸索の先端まで来ると、電気化学的信号に符号化されたメッセージは、ニューロン間にあるシナプスという隙間を飛び越える。シナプスにはシナプス間隙という経路があり、ここを通って分子が1つのニューロンシナプス前細胞)から次のニューロンシナプス後細胞)へと移動する。シナプス後細胞では、樹状突起がメッセージを受け取り、自分の細胞体部に遺漏なく送って処理をうながす。各ニューロンはそれぞれに出力部、軸索、多数の入力部、樹状突起を有する。
20世紀なかば、科学者はニューロン間のつながりにかんする仮説を立てはじめた。1949年、カナダの心理学者ドナルド・O・ヘッブは、脳内の構造上の記憶痕跡が長期記憶形成の基盤であるという仮説を唱えた。すなわち、学習によって脳構造が成長することで記憶痕跡が形成されるというのであった。彼の説に影響を与えたのはスペインの解剖学者サンティアゴ・ラモン・イ カハルであり、カハルは1894年に「精神活動」によって軸索や樹状突起が成長すると考えられると述べている。ヘッブはこの考えを受け継ぎ、さらに発展させた。あるニューロンが別のニューロンと連結するときにシナプスでなにか起きるかについて、ヘッブはある細胞が別の細胞を繰り返し興奮させると、シナプスの両端にある微小な構造がふくらむと唱えた。(今日では、軸索上の構造は軸索瘤、樹状突起上のそれは樹状突起棘と呼ばれる)。これらの構造がふくらむと、これ以降、最初の細胞が次の細胞をふたたび活性化させる可能性が高くなる。動物やヒトが新しい情報を学ぶと、近隣の細胞が同時に繰り返して活性化し、学習が進むにつれ増強される閉回路を形成する。ヘッブの法則と呼ばれるこの仮説によってシナプスが、学習と記憶の生理学的基盤を知るうえでの重要な場所とされたのだ。当時、ヘッブは閉経路、すなわちループ回路が行動や学習にかかわっているという直接的な生理学的証拠はもち合わせていなかった。ところが結果的に言えば、脳の可逆性にかかわる彼の先駆的な仮説は正しかった。ヘッブが唱えた可逆性が実際に存在すると確認され、この可逆性が実際に学習と記憶に寄与しているか否かについて神経学者が研究中である今日、ヘッブの影響はいまだに健在である。