じじぃの「人の生きざま_480_古田貴之(ロボット)」

Message from Scientists (39)古田 貴之 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=x-LuXOa87yM
廃炉作業担うロボット 千葉工業大が開発 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=vsFev8O2YLY
ワールドビジネスサテライト 2013年9月25日 テレビ東京
【司会】進藤隆富、森本智子小谷真生子
除染 技術進歩も現場はより
環境放射能除染・廃棄物処理国際展が25日から始まりました。
今日から始まったのは国内唯一という「除染」をテーマにした展示会です。国内外から143社が出展しています。
今年で2回目となる展示会のテーマは「世界の知見を結集」すること。
・ペンテックス社製 機械的ダストレス除染システム
説明員、「こちらはアメリカ製の除染装置。一番の特徴はダストレスに積み込んだコンクリートを削りながら、全部、そばにあるドラム缶に収納します」
削りかすを吸い取るため、放射性物質が飛び散る心配がありません。34年前のアメリカ・スリーマイル島原発処理に活躍した技術です。
・腕時計に組み込まれた放射能測定装置
チェルノブイリ原発があった旧ソ連ベラルーシ共和国も初めて参加。
説明員、「とても小さな放射能測定ができる時計です」
時計の時刻の下には「現在の放射線量を表示」。ヨーロッパやアメリカを中心に広がっている商品です。
大林組 バイク型放射線測定機
車を発進しながら放射線を測ることが可能で、これまでの人による計測に比べて10分の1の時間で測定可能。
汚染関連の技術
今回の展示会で目玉となっているのは、やはり汚染水に関する技術です。
・ネオナイトという薬品
除染は各地で進んでいるが、除染した後の汚染水を処理するのにどういう方法があるのか?
説明員、「ネオナイトという薬品を使い、処理している」
ポリ容器に入った粉末を取り出して、
説明員、「この薬品を汚れた水に入れて混ぜると、上の方が透明になって、下に溜まる沈殿物の中に放射性セシウムをすべて吸着させる」
千葉工業大学 ロボット「櫻弐号」
公開された原発建屋の作業を想定したロボットの最新機です。瓦礫の山を登って、かつ物を掴むこともできます。
説明員(古田貴之氏)、「建屋を縦横無尽に動けて、水中でも動けて作業もできます。地下の汚染水の問題があって、水中や水辺の問題がある。そこの調査にも乗り出すことを念頭においています」

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古田貴之 ウィキペディアWikipedia)より
古田 貴之(ふるた たかゆき、1968年 - )は千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長。ロボットクリエーター、工学博士。
「ロボットにはもっと多様な可能性がある・不自由なものを不自由でなくする」を持論に「人と環境にやさしいロボット」の開発を昼夜めざし、根っからの仕事好き。

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『一流たちの修業時代』 野地秩嘉/著 光文社新書 2010年発行
古田貴之 千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長 (一部抜粋しています)
中学2年の時、古田は難病にかかった。脊髄をウイルスに侵され、下半身不随となったのである。車椅子の生活を送りながら、彼は「車椅子ロボットを作ろう」と決意する。幼い頃から鉄腕アトムの世界に憧れていた彼はロボット研究者を目指したのだが、その決意を新たにしたのが難病体験だった。幸い1年ほどして病気は奇跡的に治った。その後、彼はまっしぐらにロボット研究者を目指す。
青山学院大学に入ったのは、テキサス大学ペンシルベニア大学で教えていた富山健先生がいたからです。私は大学1年の時から修士課程に担当する研究に取り組みました。少しでも早く一人前になりたかったし、基礎的な勉強は高校までに独学で済ませていたからです。
熱中するあまり、学校に2ヵ月も泊まり込み、徹夜を続けていたら、ある日身体中に発疹が出ました。医者へいったら、極度の疲労による発疹で、目のなかにできたら失明するという。富山先生から『健康になるまで、研究室には来るな』と叱られましたが、それでも発疹が引いたら、こっそり夜中に研究室へ行って勉強を続けました。
あの頃は捨て身でした。何かひとつでいいから、ロボットに関する技術を開発して、それで世の中の人が喜んでくれれば、僕はいつ死んでもいいと思っていた。中学の時に難病にかかったでしょう。奇蹟的に治癒したから、それから後の人生はボーナスタイムみたいなものだと思っていたのです。だから、何かひとつだけ、飛び切りの技術を開発できたら、研究室で死んでもいいとマジメに考えていました。しかし、そうした気持ちも娘が生まれたことで変わったのですけど……」
古田が所長をやっている未来ロボット技術研究センターはその名の通り、ロボット技術の研究開発をしているのだが、芸術品のような一体のロボットを開発しようとしているわけではない。彼らが目指しているのは、ロボット開発で得た技術を汎用化して、世の中で役立たせることだ。
「私は自分でロボットの定義も作りました。ロボットとは、『感じて考えて動く』賢い機械のこと。つまり、人間が操縦するものはマシンで、センサーで感じて何かを考えるものはロボットです。運転する人がハンドルを回さなくとも、勝手に縦列駐車をする車があるでしょう。ああいうのはロボットの範疇に入るし、自動操縦装置がついている飛行機も、洗い方を自動調節する洗濯機もロボットといえます。
そして、そういったロボットを開発していく過程でさまざまな技術が生まれるのです、各種のセンサーが生まれ、通信モジュールが生まれ、そして、超小型のコンピュータが生まれる。例えば5センチ角の立方体コンピュータで『Tキューブ』というのがあるのですが、それは私が作ったモルフ3という二足歩行ロボットに組み込むために開発したもの。その後、NECが商品化して、実際に販売しています。
つまり、広範囲のさまざまな技術がないとロボットは作れません。今、私たちが開発しているのは、二足歩行ロボットやお掃除ロボットといった目的に定まったものではなく、どんな目的にでも進化できるようなロボットの本質部分です。つまり、感じて考えて動くという能力のある母体を作っておけば、あとは役割を与えてやればいいい。ちょうどコンピュータに似てますね。コンピュータは本質的な能力が備わっているので、使う人が目的に合わせて、計算機能を使ったり、画像処理能力などを使う。ロボットの本質部分ができれば技術者でなくとも使うことができます。そして、技術者じゃない人が考えるからこそ技術は発展してゆく。おサイフケイタイなんてのは理科系の技術者の発想ではありません。こんなものがあったら便利だな、というユーザーとしての視点があればこそです。僕はさまざまな分野の人にロボット開発に参加してもらいたい。だから、本質部分を研究開発しているんです」