じじぃの「人の死にざま_1432_五味川・純平」

五味川純平 画像 - あのひと検索 SPYSEE
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人間の條件』映画公開50周年トレーラー 動画 Youtube
http://www.youtube.com/watch?v=uYYHlKZlNkk
五味川純平 「人間の條件

五味川純平 ウィキペディアWikipedia)より
五味川 純平(ごみかわ じゅんぺい、1916年(大正5年)3月15日 - 1995年(平成7年)3月8日)は、日本の小説家。
満州生まれ。東京商科大学(現一橋大学)に入学するも1年で中退、東京外国語学校(現東京外国語大学)英文科卒業後、満州鞍山の昭和製鋼所に入社。ここで隅谷三喜男と知り合う。1943年召集を受け、満州東部国境各地を転々とした。1945年8月のソ連軍の満州侵攻時には、所属部隊はソ連軍部隊の攻撃を受けて全滅に近く、生存者は五味川以下数名だったという。
1948年の引き揚げ後、自らの従軍体験を基にして1955年に発表した『人間の條件』が1,300万部を超える大ベストセラーとなり、一躍人気作家となる。その後も『戦争と人間』『御前会議』『ノモンハン』『ガダルカナル』など、数々の戦争文学を世に問うた。『人間の條件』や『戦争と人間』はのちに映画化された。
1978年、菊池寛賞を受賞。

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『ぶらり日本史散策』 半藤一利/著 文春文庫 2010年発行
ノモンハン事件の戦車 (一部抜粋しています)
時代遅れこそが静かで、最高の生き方なりと、勝手に決めている人間ゆえに、パソコンもネットも、いやさ、ケイタイとやらも、持っていない。そんなわたくしに、「オヌシはネットの上で、すごく攻撃されとるぞ」と親切に教えてくれた友がいる。
ノモンハン事件で負けたと書き散らしている非国民は、司馬遼太郎五味川純平半藤一利。司馬と五味川は死んじまったからカンベンするとして、まだ生きとる半藤は断固として膺懲(ようちょう)すべきである。いまから2、3年前の話だがな」
とくに日本陸軍の戦車がコテンパンにやられたと書いたことがお気に召さず、許し難いと思っている愛国オタクが多いという。彼らはみずから研究とか精進とかはなしに、ただただ罵詈讒謗(ばりざんぼう)・罵倒痛撃・悪態雑言さらに威嚇恫喝を至高の喜びとしているそうな。だから気にするな、と友はいう。いわれるまで知らなかったし、ましてや2、3年前の話ときては、下腹部が震え上がって縮むというわけにもいかぬ。
さて、”非国民”司馬さんのエッセイ「戦車・この憂鬱な乗物」の一節にこうある。
「これを製造するために三菱重工が大井に戦車専門の工場を作った。鋼板が難点で、当時の日本の技術では軟鋼板しかできなかった。青森まで走った試製車は小銃弾がやっとふせげる軟鋼板で、いわばチーズの戦車だった。ただ量産の段階で日本製鋼がちょうどニセコ鋼板というのを開発したからオモチャであることからまぬかれて実質上の戦車になった。(略)当時の日本の財政と工業技術からいえば実に背伸びしきった贅沢品であった。しかも日本はこれだけの贅沢品をつくって、ノモンハンで大恥をかいたのである」
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なぜ、これほど弱かったのか。司馬さんの書くとおり、日本の財政と工業技術の貧弱さのしからしむところ、ということになる。実はそれ以上に、日本陸軍の戦術思想が根本的に誤っていたから、という理由がある。日本陸軍戦術の根幹は、日露戦争勝利の教訓たる歩兵の白兵突撃である。この精神力を奮い立たせての歩兵の突撃にとって、最大の脅威は敵機機関銃陣地である。ゆえに戦術的に考え、初の国産戦車の主目標は、その敵機機関銃陣地の撃破と制圧にある、ということになる。そこで八九式中戦車の主砲は57ミリ短加農砲榴弾砲)。有効射程700〜800メートル、初速毎秒350メートルで十分ということになった。
ところが、ノモンハンで日本の戦車と戦ったソ連の戦車はT26軽戦車とBT7戦車。こやつらは、T26もBT7も、長砲身の45ミリ戦車砲で、熱い鋼板を貫くべく徹甲弾を初速毎秒800メートルで発射した。有効射程は1500〜2000メートル。
つまり、昭和のはじめごろから、欧米の陸軍は戦車をぶっとぶすため最高に有力な戦車、という戦術論が主流になっていたのである。そこで防禦装甲と砲力の熾烈な競争が激化していた。どこの国も対戦車戦闘用の戦車を開発することに狂奔していたのである。BT7戦車はその試作第1号というべきゴッツイやつであった。
これじゃ、残念ながら勝てませんね。掩蓋(えんがい)機関銃座の破壊を目標にした日本の戦車と、戦車撃破を眼目につくられた戦車が激突すればどうなるか。書くまでもない。有効射程外でポカポカやられるので、日本の歩兵は「トウフのような戦車」と酷評した。