じじぃの「人の死にざま_1393_GH・ダーウィン」

Birth of the Moon 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=WGTBJHFNywI
The Birth Of The Moon - AWESOME HQ VIDEO! 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=hahpE8b6fDI
地球進化 46億年の物語 感想 ロバート・ヘイゼン - 読書メーター
鉱物学の視点からたどる46億年の地球全史。鉱物学というと、科学のなかでも地味で博物学的なものだと、勝手に思い込んでいが、それはまったく偏見だった。
様々な鉱物から壮大な地球の歴史を緻密に調べることができ、月の誕生や大陸形成、生命誕生など、ダイナミックな地球の歴史が事実として描き出される。なんとも壮大で知的な研究分野だ。
http://book.akahoshitakuya.com/b/4062578654
 ウィキペディアWikipedia)より
月がどの様につくられ、地球を巡る様になったかについて古くから3つの説が唱えられてきた。だが、いずれの説も現在の月の力学的・物質的な特徴を矛盾なく説明することができなかった。
●巨大衝突説(ジャイアント・インパクト説)
月は地球と他の天体との衝突によって飛散した物質が地球周回軌道上で集積してできたとする説。地球がほぼ現在の大きさになった頃、火星程の大きさの天体 (テイア) が斜めに地球へ衝突し、その衝撃で蒸発・飛散した両天体のマントル物質の一部が地球周回軌道上で集積して月が形成されたとする。最近の研究では、衝突から1ヵ月程度で現在の月が形成されたと考えられている。
ジョージ・ハワードダーウィン ウィキペディアWikipedia)より
ジョージ・ハワードダーウィン(Sir George Howard Darwin, F.R.S.、1845年7月9日 - 1912年12月7日)はイギリスの天文学者、数学者である。チャールズ・ダーウィンの2番目の息子である。

                          • -

『地球進化 46億年の物語』 ロバート・ヘイゼン/著、円城寺守/監訳、渡会圭子/訳 ブルーバックス 2014年発行
大激突 月の形成 (一部抜粋しています)
ようやくX線と光学的な分析が終わると、電子マイクロプローブという高性能の分析器を使って、資料に含まれる元素の正確な比率を調べた。私は何度となく、それまで見つかっていたものを確かめた。月の表面にあった鉱物は、主な元素は地球のものと同じだが、細かい部分で違っている。月のものはチタンが多く含まれ、クロムも違っている。
これらとアポロが持ち帰った他の石の手がかりによって、月の形成についての理論に、大きな制約がかかった。たとえば月と地球は決定的に違っていることがわかった。第1に、月の密度ははるかに低い。大きな高密度の鉄の核はない。地球の核は質量のほぼ3分の1を占めるが、月の小さな核は、その質量の3パーセントに満たない。第2に、月の石には揮発性の元素(温度があがると蒸発してしまう)の痕跡がほとんど見られない。地球の表面ではありふれた窒素、炭素、硫黄、水素が、月からの塵にはふくまれない。それはつまり、水におおわれ、粘土や雲母など水分が多い鉱物を土壌にたっぷり含む地球と違って、水を含むどんな種類の鉱物も、アポロは持ち帰っていないということだ。何かが月を吹き飛ばすか焼き尽くすかして、揮発性の元素がなくなったに違いない。現在、月の表面は非情なほど乾燥した場所だ。
アポロによる第3の重要な発見は、酸素という元素、もっと詳しく言うならその同位体の分布に基づいている。
     ・
これらの発見によって、月の形成にういての3つの仮説はどうなっただろうか? 共成長説はすぐに綻びが生じた。月が地球の残り物でつくられたのだとしたら、平均的な組成はよく似たものになるはずだ。たしかに酸素同位体の比率については一致しているが、共成長説では鉄と揮発性物質の量が大きく違うことを説明できない。月の全体的な組成は地球と違いすぎて、同じものからできたとは考えられない。
組成が違うという点は、捕獲説にも大きな問題となる。惑星運動の標準モデルでは、捕獲された微惑星は原始太陽系星雲の中で、太陽からの距離が地球とほぼ同じくらいの位置でできたとされる。そのため平均的な組成もほぼ同じになるはずだ。しかし月は違っている。もちろん月と同じサイズの物体が原始太陽系星雲の他の場所で形成されて、のちの地球を横切る軌道に乗ったとも考えられるが、軌道力学のコンピューターモデルによると、そのようにして月ができたのなら、地球に比べて高速で動いていなければならない。そうなると捕獲説のシナリオはほとんど不可能になる。
そうなると残るのが、ジョージ・ハワードダーウィンが提唱した分裂説だ。この説は酸素同位体の組成が似ているのも(地球と月は1つの組織だった)、鉄の量の違いも(地球の核は先に形成されていて、月となった塊はすでに分化していた、鉄の少ないマントル部分だった)うまく説明できる。月の同じ面が常に地球のほうを向いている事実にも、ぴったり合致する。地球の自転と月の軌道は、地球の軸を中心とした同じ回転運動に従っている。同じ方向に回転しているのだ。しかしここでも大きな問題が残る。月には見られない揮発性物質はどこにいってしまったのだろう?
物理法則も分裂説には障害となる。アポロ打ち上げが行われていたのと同じころ、惑星形成のコンピューターモデルも進歩して、理論家が高速で回転する地球と同じくらいのマグマの球に働く力やウド気について、自信を持って研究できるようになっていた。答えを言ってしまうと、分裂説では説明できなかった。地球の重力は大きすぎて、溶岩の塊が軌道に飛び出すことはありえない。実際、どろどろの状態だった地球から月の大きさの塊が飛び出すためには、1時間に1回転という信じられないほどの速さで回転していなければならなかった。地球ー月系にはじゅうぶんな角運動量がないので、このようなことは起こらない。
結論として、月の形成に関する3つの有力な説は、どれもアポロによってもたらされたデータとは相いれない。それならまた別の説明があるはずだ。