じじぃの3月23日の日記

生命誌ジャーナル 2007年夏号 年間テーマ「生る」理論と観測が明かす宇宙生成:佐藤勝彦×中村桂子 (一部抜粋しています)
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5. 真理には階層性がある
中村 今年は「生まれる」、つまり「始まり」を考えて行くのですが、私からさかのぼって辿り着く人類の誕生。そして生命の起源。さらに宇宙の始まり。それはインフレーションで始まるのだけれど、それには、真空のエネルギーが必要だというように次々考えて行きますと、問題は、究極、世界をどう考えるかということだと思うのです。物理学の中でもこれは次々と変わってきたわけでしょう。
佐藤 私は、理論物理学の人間として、物理学の歴史を踏まえ、物理学の中で、とことん考えていくという立場ですね。最初のアインシュタイン方程式には、宇宙定数というものは入っていませんでした。ロシアのフリードマンという研究者が、この方程式を素直に解くと、宇宙は変化しているという解が得られると発表したのが1922年でした。
中村 アインシュタインは、宇宙を変わらないものとイメージしていたのでそれはあまり嬉しい話ではなかったと言われていますよね。
佐藤  そのとおりです。神話や宗教では、宇宙に始まりがあると考えるかもしれないが、科学者アインシュタインは、宇宙は永遠不変であると考えるということです。この点はニュートンと同じなのです。ニュートン体系では、この宇宙では、いろいろな天体がバランスよく引き合って、永遠の時間が無限の空間に広がっていた。アインシュタイン方程式は、それまでのパラダイムを変える力を包含していたにもかかわらず、アインシュタイン自身は、旧来の信念を変えることができませんでした。フリードマンが、方程式から宇宙は変化するという解を導き出した論文をドイツの雑誌に投稿した時、実は、アインシュタインが審査に当たっており、「あなたの計算は間違っている。私が正しく計算すると、宇宙は永遠に不変だとの解が出た」と冷たい返事を送りました。後日、フリードマンの友人がアインシュタインを訪ね、あなたの審査報告は誤りだと直談判すると、ようやく自らの誤りに気づき、無事に論文は掲載されましたけれど。
中村 でもアインシュタインは、それをまだ信じてはいない。
佐藤 はい。ニュートン万有引力の法則によると、例えば、地上から大砲の弾を発射しますね。力が尽きると地上に落下するし、引力圏を脱すると遥か彼方まで。結末がどちらかは初期条件で決まります。実は、宇宙が変化していると言ったフリードマンの計算が示しているのはこのことなのです。大砲を打ち上げるようにして宇宙は膨張を始め、そのまま膨張を続けるか、逆につぶれるかは、初期条件によるということを示したのですね。
中村 アインシュタインはそれが気に入らなかったのですね。
佐藤 アインシュタイン一般相対性理論の方程式は、ニュートン万有引力の法則をより広く適応するよう拡張したものですから、そこに出てくる力は、「引力」だけで、「斥力」はありませんでした。そこで彼は、宇宙が永遠不変になるように、方程式に宇宙定数を加え、空間に斥力を持たせて吊り合いをとったわけです。
中村 なるほど。
佐藤 ところが1929年、アメリカの天文学者エドウィン・ハッブルが、宇宙は本当に膨張していると実証したんです。そこで、アインシュタインは、宇宙定数の導入を後悔した。
中村 「人生最大の失敗だった」と言ったとか。
佐藤 ええ。そう言ったということになっている。ところがですよ。面白いことにまたひっくり返る。アインシュタインが「失敗だった」、「要らなかった」と言った宇宙定数が、本当にあるということになった。歴史の面白いところです。私がインフレーション理論を考えていたコペンハーゲン時代なんですが。大統一理論により真空のエネルギーの存在が予言される宇宙が、指数関数的に大きくなるモデルを考え、その理論とアインシュタインの理論を連立した微分方程式を解いたんです。そうしたら、アインシュタインが要らないと言った宇宙定数と、真空のエネルギーとが、数学的に同じになるんですよ。面白いでしょう。ピタリ同じなんですから。だから私は、宇宙定数は、宇宙の始まりにおいて復活したと言っているのです。
中村 学問の面白さがヒシヒシと伝わってきますね。偉大なアインシュタインも人間であり、その時々で誤ることがある。そこに、哲学や神学とは違う、科学が持つ特徴があるわけでしょう。哲学や神学が求めている永遠不変の真理と違って、科学で大事なことは、それまでの知識を踏まえて論理的に考えることであり、きちんと考えられた発言が、真剣に議論された結果、正しいとされた真理であれば、後で、あれは間違っていたということがあっても決して悪くないわけですし、それが次の課題、次の答えとつながる。
佐藤 まったくそのとおりですね。科学は、人間が作るものだということがよくわかりますね。
中村 ところが「真理」という言葉を使うと、世の中では、絶対に間違ってはならないことだと思ってしまう人が多い。科学は、一生懸命考えて、間違えることによって、生まれるものではないかと、ちょっと極端に言えばそんな気もします。
佐藤 真理には階層性があるんですよ。ニュートン力学は一つの完成した体系です。アインシュタインの相対論の立場から言うと、ニュートン力学はある意味では間違っていますが、実際上それで困ることは何もない。確かに、人工衛星の軌道を計算するには、相対論の効果も入れますが、現代であっても、地上での大砲の軌道を計算するにはニュートン力学で十分です。
中村 本当ですよね。普段は全然、それで困らない。
佐藤 つまりアインシュタインの相対論は、より深い真理なのであり、前段の真理は、間違っていると同時に依然として正しいのです。世の常として、正しいか間違いかだけで済まないところは、物理学も同じというわけですよ。
中村 なるほど。階層性と考えれば、とてもすっきり整理されますね。探れば探るほど、何か新しい謎が出て、真理がより深まる。それが科学ですね。
http://www.brh.co.jp/seimeishi/journal/53/talk_index.html
欧州物理学チーム、特殊相対性理論の「E=mc²」をついに証明 2008年11月23日 国際ニュース : AFPBB News
【11月23日 AFP】理論物理学アルバート・アインシュタイン(Albert Einstein)が1905年に発表した特殊相対性理論の有名な関係式「E=mc²」が、1世紀余りの後、フランス、ドイツ、ハンガリーの物理学者のチームが行ったコンピューターによる演算の結果、ついに証明された。
理論物理学センター(Centre for Theoretical Physics)のLaurent Lellouch氏率いる物理学の合同チームは、世界最高性能のスーパーコンピューター数台を使って、原子核を構成する陽子と中性子の質量を算出した。
素粒子物理学では一般的に、陽子と中性子は、クォークと呼ばれるより小さな粒子で構成されていると考えられている。さらに、クォークグルーオンと呼ばれる粒子で結びつけられている。
不思議なのは、グルーオンの質量はゼロ、クオークの質量は全体の5%しかなく、残りの95%はどこにあるのかということだ。
21日の米科学誌「サイエンス(Science)」で発表された研究結果によると、その答えは、クォークグルーオンの動きや相互作用によって発生するエネルギーにあるという。つまり、特殊相対性理論アインシュタインが提唱したとおり、エネルギーと質量は等しいということになる。
関係式「E=mc²」は、質量がエネルギーに、エネルギーが質量に変わることを示すもので、一定の質量がエネルギーに変わる際に放出されるエネルギー量を割り出すために、これまでに何度も利用されてきた。最も有名なのは、核兵開発のヒントとなる基本的な考え方となったことだ。
しかし、量子色力学の理論を用いて素粒子レベルで「E=mc²」を解くのは、非常に難しいとされてきた。
フランス国立科学研究センター(National Centre for Scientific Research、CNRS)はプレスリリースで、「この関係式はこれまでは仮説だったが、今回、世界で初めて実証された」と自信を持って発表した。
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2541360/3546071
どうでもいい、じじぃの日記。
あなたは神を信じますか。
特殊相対性理論 e=mc」をキーにして検索してみたら、アインシュタイン特殊相対性理論の「E=mc²」の理論がスーパーコンピューターを使って証明されたという記事が載っていた。
天地創造の神、もし、あなたが難病をもっていて、自分の不幸を羨んでいるかもしれない。
それでも、神は存在するような気がする。
7年ぐらい前に、広瀬立成著 『真空とはなんだろう』(ブルーバックス)を読んだ。
宇宙における真空は実は真空でなかった。宇宙は「真空のエネルギー」に満ちている。
アインシュタイン特殊相対性理論で質量とエネルギーの関係をわずか「E=mc²」の式で表現した。
量子の世界がプランク定数を導入したことで表現されるように、宇宙はアインシュタインの犯した過ち、宇宙定数(真空のエネルギー)を導入することで表現されるのかもしれないのだ。
我々の人間界も、もしかしたら、神によって単純な言葉で表現されるものなのかもしれない。
「右の頬をぶたれたら、左の頬も差し出しなさい」