じじぃの「歴史・思想_532_老人支配国家・日本の危機・ピケティ『21世紀の資本』」

映画『21世紀の資本』公式サイト

●STORY
ピケティは、時はフランス革命に遡り、植民地主義、世界大戦、数々のバブル、大恐慌オイルショックリーマンショックなど、300年に渡る歴史の中で社会を混沌とさせた出来事と経済の結びつきを紐解いていく。
──今まさに、歴史は繰り返されようとしている。
如何にして我々は経済の負のスパイラルから抜け出せるのか?ピケティを始め、ノーベル経済学受賞のジョセフ・E・スティグリッツ、ジリアン・ラット、イアン・ブレマー、フランシス・フクヤマ他世界をリードする経済学者が集結。世界中の経済・政治の専門家たちが、膨らみ続ける資本主義社会に警鐘を鳴らし、知られざる真実を暴いていく!
https://21shihonn.com/

文春新書 老人支配国家 日本の危機 エマニュエル・トッド

本当の脅威は、「コロナ」でも「経済」でも「中国」でもない。「日本型家族」だ!
【目次】
日本の読者へ――同盟は不可欠でも「米国の危うさ」に注意せよ

Ⅰ 老人支配と日本の危機

1 コロナで犠牲になったのは誰か
2 日本は核を持つべきだ
3 「日本人になりたい外国人」は受け入れよ

Ⅱ アングロサクソンダイナミクス

4 トランプ以後の世界史を語ろう
5 それでも米国が世界史をリードする
6 それでも私はトランプ再選を望んでいた
7 それでもトランプは歴史的大統領だった

Ⅲ 「ドイツ帝国」と化したEU

8 ユーロが欧州のデモクラシーを破壊する
9 トッドが読む、ピケティ『21世紀の資本

ⅳ 「家族」という日本の病

10 「直系家族病」としての少子化磯田道史氏との対談)
11 トッドが語る、日本の天皇・女性・歴史(本郷和人氏との対談)

                    • -

『老人支配国家 日本の危機』

エマニュエル・トッド/著 文春新書 2021年発行

9 トッドが読む、ピケティ『21世紀の資本』 より

「格差拡大の現状」を理解するための200年史

政治家は無能だが、我らがフランスには研究者がいる。政府が経済にはたらきかけるのを諦め、気休めに治安問題に取り組んでいるとき、世界の経済と社会の変化を解き明かす根本的な書物が、フランスに現れた。オランド大統領は私たちをマスコミ報道の喧騒の最中に置き去りにし、さまよわせるだけだが、トマ・ピケティは『21世紀の資本』(みすず書房)によって、私たちが今、どんな時代を生きているのかを教えてくれる。
経済の停滞、格差の拡大、一部の階層による支配の拡張……。私たちは世界の崩壊を感じている。今、起きていることを理解するためには、現状を戦後の幸福な一時代、つまり1945年から1975年の「栄光の30年」と比較するだけでは不十分であり、少なくとも18世紀まで遡って考えなければならない。そのことをピケティは明らかにした。1945年から1980年は、人類の、特にヨーロッパの歴史において小休止にすぎなかったからである。私たちが生きているのは、そして闘わなければならない相手は、未知の新しい時代ではない。富の偏在という歴史のいつもの姿の再来である。
ピケティは純然たる経済学者であり、所得格差の専門家がった。フラン氏の高等師範学校(エコール・ノルマル)を卒業し、米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)で教え、パリ経済学院の創設者の一人となり、最初の研究主任となった。
その後、フランス及び世界上位の1%の富裕層の変わりゆく、しかし中心的な役割を明らかにした論文を発表した。ジョセフ・スティグリッツが最新の著作の中でピケティに(そして全世界を対象とする比較研究の共同参画者であるエマニュエル・サエズとアンソニ・アトキンソンに)敬意を表しているのは、その業績に対してである。
そして、ピケティは1000ページ近い『21世紀の資本』によって、資本の集中化、労働に地位、それらから生じる所得格差についての歴史と理論を提示した。

EU主義者ピケティへの疑問

本書は現状の打開策で締めくくられている。この部分も非常に興味深い。金融市場と福祉国家の併存、インフラの矛盾に満ちた影響、国の借金によって公的資本がゼロになってしまうことについての独自の見解が詰まっている。
しかし、それらに十分な説得力があるとは思えなかぅた。所得に対する課税を改革し、全世界での資本に対する税、それが無理なら、せめてヨーロッパでの資本税を導入せよ、とピケティは提案している。確かに必要だろう。
しかし、ピケティは、それらを市民としての義務感から提言しているにすぎず、その実現可能性を信じていないように思える。今日起きているのは、ピケティの提案とはまったく逆の事態だ。税率の引き下げ、ヨーロッパ各国間の税負担軽減競争である。
メディア、大学、政党に資金援助をすることで、資本の政治的な力は強まっている。そのことが顕著に進んでいるのは米国だが、それが始まったのはヨーロッパである。
どのような突然の驚くべき危機が起これば、計器の針がゼロに戻り、我々年老いた先進国は民主的な再出発を果たせるのだろうか。この本を読んだ後に去来するのは、そんな思いである。あるいは逆に、豊かだが再び格差が非常に拡大した世界に、かつてなかったゆな、一見ソフトだが世界を包摂する支配形態が出現するのかもしれない。

歴史家への挑戦状

ピケティは、20世紀の危機が資本を制御したことを解き明かしたが、なぜナショナリズムが昂揚したのか、なぜ戦争が起きたのか、なぜ年金生活者は自殺に追い込まれたのか、といった問題は提起しなかった。心性(マンタリテ)の力学はブラックボックスのままだ。それによって偶然にしか見えない出来事や、ピケティが提案した改革の非現実的な性格がおそらく持っている道理が解き明かされるだろう。
とはいえ、ピケティが比較に基づく厳密な社会経済的な枠組みを通じて、現代史を描き出したことは確かである。そして、歴史家たちにこの枠組みをわがものとし、残された疑問を解明してみろと挑発している。
この傑作を読み終えると、まだ解かれていない問いや謎で頭が一杯になり、マルク・ブロックが『歴史のための弁明』(岩波書店)に記した一節を想起せずにはいられない。
<それぞれの学問分野は分割されてしまっているが、往々にして隣の分野からの脱走者が、学問に成功をもたらす最高の立役者となる。生物学を刷新したパストゥールは生物学者ではなかった。デュルケームとヴィダル・ド・ラ・ブラーシュは20世紀初頭の歴史研究にどんな専門家も及ばない比類のない足跡を残したが、デュルケーム社会学に移行した哲学者であり、ド・ラ・ブラーシュは地理学者であった。2人とも、いわゆる歴史学者とはみなされていなかった>

じじぃの「中国の分水嶺・北京冬季五輪・コロナ再拡大・外交的ボイコット!プライムニュース」

“ゼロコロナ”抗議活動は全土に 中国政府はデモ抑え込みに躍起|TBS NEWS DIG

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=VyoKjr0-EqM

プライムニュース 宮本雄二&宮家邦彦&朱建榮 コロナ対策強化で北京五輪は?


【解説】北京五輪“外交的ボイコット”相次ぐ 日本の方針は?“ある人物”を派遣する案も

2021/12/9 Yahoo!ニュース
●4ヵ国が北京五輪“外交的ボイコット”
外交的ボイコットを表明したのは、アメリカ、オーストラリアと続き、新たにイギリス、カナダもボイコットを表明しました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6176f97f8dd654ebd435427b86840d3820f60ef5

プライムニュース 「北京五輪へ3週間 コロナ再拡大で中国は」

2022年1月12日 BSフジ
【キャスター】新美有加、反町理 【ゲスト】宮本雄二(元駐中国大使)、宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 内閣官房参与)、朱建榮(東洋学園大学教授)
北京冬季五輪の開幕まで3週間となった。
中国国内で新型コロナの感染拡大に対する緊張が高まる中、習近平政権は大会の成功を至上命題とするが、米国などは「外交的ボイコット」を表明し、日本も閣僚を派遣しないことを決めた。
そんな「内憂外患」の中国と日本は、9月に国交正常化50年を迎える。米中対立が収まる気配のない中、日本は中国とどう向き合うべきなのか。

北京冬季五輪まで3週間 コロナ拡大懸念で中国は?

今年で国交正常化50年を迎える日中関係など中国の行方について。
新型コロナの急速な感染拡大が懸念される中、北京冬季五輪の開幕まであと3週間となった。
●コロナ対策強化で北京冬季五輪は?
中国政府は2月の北京冬季五輪で、選手や関係者を外部と接触させない「バブル方式」を徹底する方針だ。
北京冬季五輪でも東京大会と同様にバブル方式によるコロナ対策が1月4日から運用されている。
関係者、ボランティア、清掃スタッフなどはバブル内に滞在。
マスクを常時着用し、毎日のPCR検査を義務化。
関係者の移動は専用車両のみ。
バブル内以外への立ち寄りは一切禁止。
交通事故を起こしても、五輪関係車両からは下車させないよう市民に注意喚起するなどコロナ対策を徹底。
朱建榮、「コロナの数十人の感染者で1000万人のPCR検査、2週間の自宅隔離、不満はいっぱいある。表には言いにくいもう1つの理由は中国は医療施設などは日本よりはるかに遅れている。感染者が増えると医療崩壊になる。中国の人は政府の報道宣伝はあまり信じない。あっという間に社会がパニックになるのを防ぐためにも、代価を払ってでも1000万人の調査をして問題なければ安心しパニックにつながる行動を抑える」

宮家邦彦、「中国にとって北京五輪は最初から成功しかない。もし失敗しても国内で報じなければいい。中国の今のSNSを含むネットの情報のコントロールは素晴らしい。最初の20~30分は出るかもしれないし録画されるかもしれない。その後は完全に検閲することが可能。その技術を彼らは持っている」

朱建榮、「中国国内はSNSがあって、政府が報道しようが関係ない。欧米、日本を含めた外国のメディアは成功のところより、何かアクシデントがあれば煽って報道する。オリンピックは世界向けのもの。バブル方式の措置は東京オリンピックを真剣に勉強した結果だ」
●人権の表現はどこまで 選手たちがひざまずく
五輪期間中のアスリート表現の緩和。
人、国、組織の尊厳を標的にしなければ、一定の場所で人種差別への抗議などが認められる。
東京五輪、日本vs英国の女子サッカーで人権差別への抗議で選手たちがひざまずいた。
また、東京五輪、体操女子予選で人権差別への抗議でひざまずいた。

中国が北京冬季五輪で恐れていることに、ウイグルや香港で起きている人権侵害に、選手が無言の抗議としてひざまずくなどポーズがあるのではないか。

宮本雄二、「NHKがやられているのは言葉だと思う。言葉をピックアップして止める。選手たちがひざまずくなどポーズの場合は言葉ではないので非常に難しい。中国の立場に立てば、オリンピックに政治を持ち込んではいけないとなっている。本当の勝負は選手たちがスポーツの場に入る前、待っている時に政治的なポーズをした時に、中国としては取り締まる根拠を失う」
朱建榮、「言い換えれば、そういう可能性があるから表彰式の生中継はしないという手は逆にない」
宮家邦彦、「NHKやCNNと同じように3秒ルールを国内でやればいい」

習近平政権にとっての北京冬季五輪

対中人権決議について。

自民党高市早苗政調会長は1月11日、中国の人権問題について「日中国交正常化50周年だから人権問題に何の対応もしないというのはあり得ない」と強調し、1月17日召集の通常国会での対中非難決議案採択に意欲を示した。
朱建榮、「一部の日中関係改善を望まない方々がわざと中国の顔に泥を塗って日中関係改善を出来ないように狙う方はいると思う」
宮家邦彦、「一般論として、各国の議会が人権の問題についていろいろな決議を出すというのは何の驚きでもない」
宮本雄二、「国会がそういう決議をして政府がそれに対してどういう対応をするか、どういう行動を取るのかが一番の鍵。人権決議が出るということで中国の国民感情を大きく逆なでするというのは間違いないと思う。日本は中国にとって特別、日本と韓国の関係と似ていて特別な関心があり、特別な反応をしてしまうところがある。米国がやると受け流すところを日本がやるとこだわってしまう。対中外交と言う観点から言うとこれは無いほうが良い」
朱建榮、「これがもっぱら反中の動きと受け止められるには違いない」
●「したたかな外交」の意味
宮家邦彦、「スーザン・ソーントン(トランプ政権のアジア外交政策の最高責任者)は昔から親中、そういう形で動いているという話ではない。昔は日中間にもいろいろなことをやる人たちがいたと、たしかにその通り。先ほど朱教授が言ったような人たちが日本でどんどんいなくなっていて、中国も新しい人たちを作ろうとしない。過去の10年間の中国の行動そのものが伝統的な対中融和を重んじる日本の人たちをどんどん信用失墜させている。そんなことをやっていれば人脈は続かない」
朱建榮、「中国のGDPが日本を追い超したときから、日本は中国がどんどん大国化していくところは見たくない」

【提言】 「2022年の対中外交かくあるべし」

朱建榮 「意思疎通欠かさず」
 中国と日本では建前と本音が異なる。しかし閣僚レベルで意思の疎通を積み上げる。
宮家邦彦 「したたかな外交」
 正と妥協。正だけではなかなか先に進まない。
宮本雄二 「一歩先を読む」
 日露戦争は止めることを考えて始めた。中国も止めることを考えて始める。首脳会談も同様。
https://www.fnn.jp/subcategory/BS%E3%83%95%E3%82%B8LIVE%20%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9

じじぃの「歴史・思想_531_老人支配国家・日本の危機・英国のEU離脱」

Brexit explained: what happens when the UK leaves the EU?

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=7eoDwvl0QGk

Europe indeed appears to be in bad shape.

Who is really ‘wrecking’ Europe?

1 Feb 2019
Europe indeed appears to be in bad shape.
An Italian-Austrian-Hungarian-Polish axis of xenophobic populism is coalescing in the heart of the continent, Swedish Democrats are threatening to derail what’s left of the quintessential European liberal welfare state in the north, and a powerful far right is tearing apart the centrist German political establishment. To the west, Brexit UK and Trumpian US are a cause of much anxiety, to the east, scheming Russia and an increasingly authoritarian Turkey are a constant source of tension. And from the south, millions of forced migrants are on the move seeking safe haven on European shores.
https://www.aljazeera.com/opinions/2019/2/1/who-is-really-wrecking-europe

文春新書 老人支配国家 日本の危機 エマニュエル・トッド

本当の脅威は、「コロナ」でも「経済」でも「中国」でもない。「日本型家族」だ!
【目次】
日本の読者へ――同盟は不可欠でも「米国の危うさ」に注意せよ

Ⅰ 老人支配と日本の危機

1 コロナで犠牲になったのは誰か
2 日本は核を持つべきだ
3 「日本人になりたい外国人」は受け入れよ

Ⅱ アングロサクソンダイナミクス

4 トランプ以後の世界史を語ろう
5 それでも米国が世界史をリードする
6 それでも私はトランプ再選を望んでいた
7 それでもトランプは歴史的大統領だった

Ⅲ 「ドイツ帝国」と化したEU

8 ユーロが欧州のデモクラシーを破壊する
9 トッドが読む、ピケティ『21世紀の資本

ⅳ 「家族」という日本の病

10 「直系家族病」としての少子化磯田道史氏との対談)
11 トッドが語る、日本の天皇・女性・歴史(本郷和人氏との対談)

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『老人支配国家 日本の危機』

エマニュエル・トッド/著 文春新書 2021年発行

8 ユーロが欧州のデモクラシーを破壊する より

欧州はユーロとともに死滅しつつある

諸悪(反EUカタルーニャの分離独立運動など)の根源は、通貨ユーロです。現在のヨーロッパの問題が、すべてユーロに起因していると言っても過言ではない。ヨーロッパは、今、ユーロとともに死滅しつつあります。
ユーロは、1999年に決済用仮想通貨として、2002年に現金通貨として導入されましたが、もともと1991年のマーストリヒト条約でお「単一通貨を遅くとも1999年までに導入する」という合意に基づくものでした。
この条約は、1992年にフランスでも国民投票で僅差(賛成51%)で批准されましたが、私は反対票を投じました。私自身の人類学的・歴史学的知見から、単一通貨構想は、あまりにも経済至上主義的で、あまりに現実無視の企てに見えたからです。ユーロは、ヨーロッパの歴史や現実の生活を知らない”傲慢な無知の産物””机上の空論”です。政治的選択という以前に、ヨーロッパの歴史と現実の厚みを知る学者として、反対せざるを得ませんでした。
1996年に拙著『新ヨーロッパ大全』(藤原書店)がフランスで文庫化された際、私は序文に「もし今後、通貨ユーロが万が一にも実現してしまうようなことがあれば、この本は、20年後に、集団意識が存在しないなかで強引に進められた国家統合が、なにゆえに『社会』ではなく『無法地帯』しか生み出さなかったかを人々に理解させるだろう」と記しました。「ユーロは必ず失敗する」と、歴史家として、導入以前から断言していたのです。
遠い日本から見れば、ヨーロッパは一枚岩に見えるかもしれませんが、家族形態、言語、宗教、文化などは地域ごとに相当異なります。これほど多様な社会に単一通貨を導入しても、絶対に機能しません。マーストリヒト条約の間違いの元は、その「貨幣信仰」にあります。
EUのエリートたちは、単一通貨によってEU諸国の統合を加速しようとしたのです。これは、1000年にもわたるヨーロッパ史のなかで培われてきたそれぞれの共同体を単一通貨によって数年のうちに融合してしまおう、という急進的なユートピア的夢想です。貨幣そのものに「世界を変える力」まで与えるという無謀な試みなのです。ところが、1980年代半ば以降、EUのエリートに拡がった「アンチ国家」の安易な風潮が「単一通貨ユートピア」を生み出してしまいました。
    ・
しかし、それぞれの国民経済は、通貨管理に関して独自の必要を抱えています。各国は、独自の金融政策、通貨政策をもち、インフレ率をコントロールして失業率を改善するなど自国経済を善導しなければなりません。また「独自の通貨政策」に「独自の財政政策」が伴わねばならない。
ユーロの根本的な欠陥は、各国が、経済上、人口動態上、多様化しているまさにその時に、通貨による強引な統合を強制したことにあります。

英語圏VS.「ドイツ帝国」としてのEU

英国のEU離脱に関しては、「EU離脱に投票して後悔している人がいる」とか「EUとの交渉がうまくいっていない」として、これを否定的に論じる報道が世界中に一般的です。しかし、この見方は浅薄です。
英国との交渉において、EUは強硬姿勢を取っていて、EU離脱の代償としてかなり厳しい条件を英国に課そうとしています。
私の目には、これは、現在的な形態をとった権力闘争、もっと直截(ちょくせつ)に言えば、一種の戦争に見えます。
英国のEU離脱をめぐる対立は、一般に思われている以上に重大な意味を持っています。英国の背後には、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどの英語圏が控えています。つまり、「ドイツを中心とするEU」と「英語圏」との対決が生じようとしているのです。

EU側は、「英国には力はない」と英国を過小評価していますが、英国を侮ってはいけません。

議会制民主主義の発祥の地で、国内に対立があり、議論がある。そのため、決断に時間がかかります。戦争を始めるのも簡単ではない。しかし、いったん決断をして、戦争を始めれば、負けたことがない。占領されたことも一度もありません。英国は、世界でも稀な「不敗の国」なのです。さらに英国の背後には、米国を始めとする英語圏の諸国が存在します。この英語圏の諸国の人口は、すでにEU諸国の人口を上回っています。
戦争とは、一方が自分の力を過信する時に起こるものです。今はEUの側が実力以上に自分を強いと思い込んでいる。もし本当に戦いになれば、英国人は本気で戦い、かつてナポレオンを打ち破ったように、ヨーロッパを打ち破るでしょう。
    ・
現在は、EU離脱やユーロ離脱を唱える勢力は強くありませんが、そう主張し始めている人も皆無ではない。マクロンも急激に支持率を下げていますし、1年後にどうなっているかは分かりません。かつてのソビエト崩壊のように、「ユーロ信仰」も、一挙に崩壊する可能性があります。

じじぃの「ソニー・電気自動車(EV)参入の衝撃・トヨタ全方位戦略の深謀とは!報道1930」

日本にとって“最後のチャンス” 中韓に勝てるか “100兆円産業”の攻防【7月26日(火)#報道1930】

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=7VoSmfV5kpY

「CES 2022」に展示されたソニーのEV 「VISION-S 02」

ソニーがEV事業会社「ソニーモビリティ」を設立へ…CES 2022

2022年1月5日 レスポンス(Response.jp)
ソニーは米太平洋時間4日、モビリティ体験の進化や提案を加速させるため、2022年春に事業会社「ソニーモビリティ株式会社」を設立し、EVの市場投入を検討していくと発表した。同時にEVプロトタイプ『VISION-S』も公開した。
https://response.jp/article/2022/01/05/352830.html

トヨタの新戦略発表に思う「日本は教条的なEVシフトへの疑問を世界に問え」

長内厚:早稲田大学大学院教授
2021.12.23 ダイヤモンド・オンライン
トヨタ自動車は周回遅れ? EVにまつわる「幻想」とは
12月14日、トヨタ自動車がバッテリーEV戦略の説明会を行った。「日本は欧州のEV化に比べて周回遅れなのではないか」「トヨタはEVに消極的と思われないように今のタイミングでEVの発表会を開いたのではないか」といった憶測もある。
手前味噌な話だが、2000年頃、筆者はソニープラズマテレビ液晶テレビの商品企画業務を行っていた。当時、プラズマや液晶の薄型テレビは「壁掛けテレビ」と呼ばれ、それまでの分厚いブラウン管が薄くなったら、「お客さんはみんな壁に絵画のように取り付けるに決まっている。だから、壁掛けテレビだ」という考え方が、当たり前のように言われていた。
EVももしかすると、2000年の頃の「夢の壁掛けテレビ」と同じなのかもしれない。今でも液晶テレビを壁に掛けて使う人がいるように、EVが全くなくなるとは思わない。しかし、世界中の自動車がEVに置き換わるという未来は、あまりにも非現実的ではないだろうか。
そうした中で、ハイブリッドに変わる環境対応技術がクリーンディーゼルであると欧州勢は主張したのである。しかし、そのクリーンディーゼルの性能が嘘であったということが発覚したので、欧州各社は選択肢がない中でむしろ追い詰められてEVを選択した、というのが筆者の見立てである。
今からでも遅くない。燃料電池車や水素エンジンなどの可能性もしっかり検討することを世界に問いかけていき、地域や用途に合ったカーボンニュートラルの多様な解を実現していくのが日本の役割だろう。
https://diamond.jp/articles/-/291528

報道1930

2022年1月11日 BS-TBS
【キャスター】若林有子、松原耕二 【ゲスト】西村康稔(前経済再生相)、長内厚(早稲田大学大学院教授)、井上久男(経済ジャーナリスト)

クルマ新世紀の実相 世界4極が覇権争いへ ソニーEV参入の衝撃 トヨタ全方位戦略の深謀とは

ソニーが電気自動車(EV)を自ら手掛ける準備を始めた。
米国アップルや中国の百度バイドゥ)の参戦もささやかれる中、自社ブランド車の販売に向けて先手を打った。
IT(情報技術)やエンターテインメントの知見を注ぎ込む「SONYカー」の登場は、自動車産業の変革を促し、EVを巡る大競争の幕開けとなる。

●EVに“前向き” トヨタの新戦略とは
トヨタも12月14日、今後の戦略を発表。
2030年のEV世界販売目標を200万台~350万台に引き上げた。
このひと月程前、環境保護団体「グリーンピース」が作成した自動車メーカーの「脱炭素化ランキング」でトヨタは最下位となった。
トヨタ自動車は2030年までにEVの開発に4兆円投資するとしていて、同時にハイブリッド車や水素自動車の開発にも4兆円を投資。
トヨタの戦略はハイブリッド車燃料電池車にも注力。
EVの将来を大きく左右するのが新しい電池開発だ。
技術的なイノベーションが起き、EVの普及が進む可能性は高い。今期待されているのが全固体電池である。
全固体電池の特許出願件数の約37%を日本企業が占めており、中でもトヨタの特許出願件数はトップクラスだという。

トヨタ「全方位戦略」

ハイブリッド車燃料電池自動車、電気自動車。
トヨタ自動車豊田章男社長は、「(お客さまの選択に関しては)われわれではどうしようもないですから、全方位でやらしていただいているということです」と語った。
長内厚、「夢の壁かけテレビはプラズマだと思っていたらそういう未来は来なかった。そういうところを考えると、夢の脱炭素自動車はEVだとは限らないんじゃないかというのが今の段階だと思う」
●「全方位戦略」 トヨタが描く未来図は
車載用基盤ソフト「アリーン」:自動運転、ナビゲーション、車載機器の制御など。
2025年めどに実用化→他メーカーへの販売も視野。
ウーブン・プラネット・ホールディングス
ウーブン・シティなど手がける、シニアバイスプレジデント・豊田大輔(豊田章男氏の長男)。
ウーブン・プラネット・ホールディングス・・・2018年に設立されたトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメントを前身として、2021年に設立された。研究や先行開発領域においてトヨタグループ内の連携を強化し、開発の加速化を行う。
井上久男、「この会社が“トヨタ本体”になるか」

EVの課題

猛暑は苦手か、寒冷地も苦手か、充電設備どれだけ必要か、電池廃棄は環境廃棄か。
長内厚、「豪雪地域で雪に閉ざされたらEVだけでいいのか、EV充電スタンドが整備されていない砂漠を走る場合など、EVはまだ問題がある」
●クルマ新世紀 日本車が勝ち残るには
西村康稔、「政府としては電池と半導体。この開発、生産、ここを最大限支援していこうということで補正予算を組んでいる」
長内厚、「日本にいろんな自動車メーカーがある。そこが異業種のソニーとかアップルとかと組んでいく。こういうことを進めていく方がいいんじゃないかと思う」
https://www.bs-tbs.co.jp/houdou1930/

じじぃの「歴史・思想_530_老人支配国家・日本の危機・トランプの再選を望む」

Why Are Trump Supporters So Mad?

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=RV2mSyvbxoo

Trump Supporter

Trump, who never admits defeat, mulls how to keep up fight

November 8, 2020 WHYY
Allies suggested that if Trump wants to launch a media empire in coming years, he has an incentive to prolong the drama. So, too, if he intends to keep the door open to a possible 2024 comeback - he would be only a year older then than Biden is now.
https://whyy.org/articles/trump-who-never-admits-defeat-mulls-how-to-keep-up-fight/

文春新書 老人支配国家 日本の危機 エマニュエル・トッド

本当の脅威は、「コロナ」でも「経済」でも「中国」でもない。「日本型家族」だ!
【目次】
日本の読者へ――同盟は不可欠でも「米国の危うさ」に注意せよ

Ⅰ 老人支配と日本の危機

1 コロナで犠牲になったのは誰か
2 日本は核を持つべきだ
3 「日本人になりたい外国人」は受け入れよ

Ⅱ アングロサクソンダイナミクス

4 トランプ以後の世界史を語ろう
5 それでも米国が世界史をリードする
6 それでも私はトランプ再選を望んでいた
7 それでもトランプは歴史的大統領だった

Ⅲ 「ドイツ帝国」と化したEU

8 ユーロが欧州のデモクラシーを破壊する
9 トッドが読む、ピケティ『21世紀の資本

ⅳ 「家族」という日本の病

10 「直系家族病」としての少子化磯田道史氏との対談)
11 トッドが語る、日本の天皇・女性・歴史(本郷和人氏との対談)

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『老人支配国家 日本の危機』

エマニュエル・トッド/著 文春新書 2021年発行

7 それでもトランプは歴史的大統領だった より

「トランプ敗戦=米国の民主主義が復活」ではない

私は選挙前に「それでも私はトランプ再選を望む」という見解を述べていましたが(本書第6章)、米国大統領選はバイデンの勝利に終わりました。この選挙結果は「米国の民主主義が復活したことの証だ!」「自国ファーストから米国が世界に戻ってきた!」と、米国内だけでなく世界中で、概ね評価されています。「過去4年間のトランプ政権への不満や批判」がそう言わせているわけですが、私はむしろ「トランプこそ米国大統領として”歴史に足跡を残す”ことになるだろう」と見ています。
トランプは下品で馬鹿げた人物であり、私自身も人として、とても許容できません。しかし、今回再選を果たせなかったとはいえ、過去4年間にすでになされたトランプ政権による”政策転換”が、おそらく”今後30年の米国のあり方”を方向づけることになる。「保護主義」「孤立主義」「中国との対峙」「欧州からの離脱」というトランプが敷いた路線は、今後の米国にとって無視し得ないもの。その意味で”トランプは歴史的大統領”である、と見ているわけです。
今回の大統領選挙を見ていて抱かざるを得なかった最大の疑問は、「勝利したとは言っても、結局のところ、バイデンとは何か? 民主党とは何か?」です。
バイデン陣営が最も前面に打ち出したのあ「反(アンチ)トランプ」。しかし「反(アンチ)」のみで自らを定義するのは、あまりに”空虚”です。あるいはそもそも”空虚”だから「反(アンチ)」でしか自己を表現できないのです。

「中国封じ込め」戦略

ですから(全体主義体制の方が自由主義体制よりも効率がよいと言われていること)”コロナ後”の今日において”新しいタイプの全体主義国”として世界に”脅威”を与える中国に対して、世界が連携して、これに対抗する必要があります。冷戦期の「ソ連封じ込め」のような「中国封じ込め」です。特に米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドという「英語圏」と「中国」の対抗関係が中心となり、このライバル関係が”今後の世界の新たな形”をつくっていくことになるでしょう。
と言っても、繰り返しますが、これは人類学者として”事実”を指摘しているだけです。中国の家族構造は「外婚制共同体家族」(親子関係は権威主義的で兄弟関係は平等主義的)で、中国社会は初めから潜在的に「全体主義的な傾向」を秘めており、良し悪しの問題以前に、この点は、「英語圏」を中心とする「自由主義社会」とは相容れないのです。
その上で、世界の”平和”や”安定”をどう維持するか。ですから、中国に対して譲歩ばかりの弱腰で良いわけではありません。かと言って、攻撃一辺倒である必要もない。ただし、相容れない点がある以上、大国化していく中国には、忍耐強く対峙するしかないわけです。
私はかつて、「中国は世界の覇権を握るような大国にはならない。非常に不安定で問題の多い国だ。『幻想の中国』と『現実の中国』を分けなければならない」(「幻想の大国を恐れるな」『文藝春秋』2015年10月号)と述べました。基本的には、この見解を変えるつもりはありません。
そもそも「全体主義体制」の国が最終的に世界の覇権を握ることはあり得ない。一時的に効率よく機能したとしても、必ずある時点で立ち行かなくなる。やはり、人類の歴史は”人間の自由”を重んじる社会や国の方が最終的には優位に立つ、と私は考えます。
また中国は、とくに人口動態上、深刻な脆弱性を抱えています。国連の推計にももとづいて2050年、2100年の中国の人口推移を見ると、「全人口」が減少に転じるのは、2050年より後ですが、「25~39歳の人口」は2020~2050年の間に減少に転じます。この間に少子高齢化が急速に進む、ということです。

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じじぃの「あなたが選ばれた理由はなんだったと思いますか?宇宙飛行士に聞いてみた」

【宇宙進出】宇宙飛行士が受ける試験を体験してみた!!

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=KHlfnLiwF-w

JAXA被験者を募集中。宇宙飛行士選抜試験にも使われる「閉鎖環境適応訓練設備」って何をするの

2016年1月7日 エキサイトニュース
●課題でつくったロボットが完全否定!
閉鎖環境施設内で出される課題としては、「ホワイトパズル」を使った課題はマンガ『宇宙兄弟』などでとりあげられたこともあり、知っている人も結構多いのではないか。
これは、144ピースの何も描かれていない真っ白なジグソーパズルを3時間以内に完成させるというもので、個人の集中力と忍耐力を見る課題だった(パズル自体は市販もされている)。ただし、1998年の選抜試験で出されたものの、完成させた候補者はひとりもいなかったとか。
https://www.excite.co.jp/news/article/E1452104698561/?p=3

宇宙飛行士に聞いてみた! 世界一リアルな宇宙の暮らし Q&A - 日本文芸社

ティム・ピーク(著)
●ティム・ピークってどんな人?
イギリス陸軍航空隊を経て、欧州宇宙機関ESA)所属の宇宙飛行士へ。
2015年、国際宇宙ステーションISS)第46/47次長期滞在クルーとしてミッションを遂行し、船外活動でも活躍。
国際宇宙ステーションからロンドンマラソンに参加したり、SNSISSや宇宙の様子をリアルタイム配信したりと、
宇宙を身近に伝えて大人気となっている宇宙飛行士です。

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『宇宙飛行士に聞いてみた!』

ティム・ピーク/著、柳川孝二/訳 日本文芸社 2018年発行

第2章 宇宙飛行士の訓練を紹介しよう より

Q いつ、なぜ、宇宙飛行士になろうと決めたのですか? そう思ったきっかけは?

私が宇宙飛行士になる過程はちょっとした歴史だ。長くなりそうだが話そう。
宇宙飛行士選抜試験をパスするために求められるものや、ミッションを遂行するために必要な訓練や準備についても、ここで伝えよう。宇宙飛行士になる道はひとつではないが、チャンスを最大に生かすために精通しておくべき分野もある。幸運を!
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Q 陸軍のパイロットと科学者とでは、どちらが宇宙飛行士になれる可能性が高いですか?

これはおもしろい質問だ。その答えは時代につれて変化したと言える。まずは黎明期の宇宙飛行士の選抜について振り返ると、ロシアの初期の宇宙飛行士やマーキュリー計画ジェミニ計画アポロ計画というアメリカの有人宇宙飛行プロジェクトの宇宙飛行士は、ほとんどが戦闘機パイロットとしての専門性を買われて選出された。唯一の例外はワレンチナ・テレシコワで、宇宙飛行士になる前は織物工場で働いていた。
宇宙でのミッションや目的が時代とともに変化するにしたがい、宇宙飛行士選抜の基準も変化する。調整能力や空間認識能力、緊急時の決断力は今も必須だが、現代の宇宙飛行士は宇宙での多くの時間や労力を、科学調査やISSシステムの維持、仲間のクルーとのコミュニケーションに割くことになる。つまり、より多様なスキルが求められる。

今日、宇宙飛行士になれる可能性は、科学者もパイロットも同じくらいだ。2009年にアメリカ航空宇宙局NASA)、カナダ宇宙局(CSA)、日本宇宙航空研究開発機構JAXA),
欧州宇宙機関ESA)が選出した候補者20名の半数はパイロット経験者ではない。
実際、教師やエンジニア、医師など、あらゆる職業から宇宙飛行士になることが可能だ。NASAが最近、採用した宇宙飛行士は氷の掘削技師や漁師という経歴をもつ。
1番大事なのは、なにを学んだにしても、その分野のエキスパートであることだ。

Q 宇宙飛行士試験で、あなたが選ばれた理由はなんだったと思いますか?

これはいい質問なので、自問自答してみた。宇宙飛行士はさまざまなスキルを求められる。調整能力や空間認識能力、記憶力、集中力といった持ち前の資質も含まれるが、宇宙でミッションを行う時間が長くなるにつれて、コミュニケーション能力、協調性、決断力、リーダーシップ、フォローアップ、そしてストレスがかかる状況で問題を解決するために働く能力なども重要だ。幸い私は、陸軍時代にこうしたスキルの多くを身につけていた。

各国の宇宙飛行士の選抜基準と選抜試験

各国の宇宙機関は宇宙飛行士に求められる幅広い資質を見わけるために、それぞれ若干異なる選抜プロセスを開発してきた。
ただ私が2008年に宇宙飛行士に志願した時には、めずらしくESANASA、CSA、JAXAが同時に募集を行ったため、各機関の選抜基準は明確に違っていた。
たとえばCSAは、プールの底に沈めたレンガを炎と闘いながら拾ってこさせたり、ストレスの高いテストを実施していた。なかでも1番厳しいテストとしては、大西洋の冷たい水が流れ込む部屋でチーム一丸となって流入口をふさがせるというものがあった。
対照的にESAでは身体的負荷は軽かったが、数ヵ月も宇宙で過ごす資質があるかを確かめる高度な認識力テストと心理的分析が行われた。
各国ともに厳しい身体機能検査(医学検査)や複数回の面接に加え、選考過程では数学、科学、工学、英語といった分野での基礎知識も問う。試験はストレスがかかるように、各テスト間の休憩は短く、合格するには高度なスピードと正確さが求められる。
ただ宇宙飛行士選抜試験では、ひとつの分野で突出しや結果を出さなくても、各試験をパスする能力があればいい。人柄と個性が飛び抜けていればいいのだ。幅広い多様な経験があること、たとえば国際的な環境で働いた経験は外国語の才能と同様に力強い資産だ。
宇宙飛行士に選ばれたあと、私は担当面接官だった宇宙飛行士に合格者の基準を質問してみた。答えは驚くほど単純だった! 「この人と宇宙に行きたいか考えてみたんだ」。

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どうでもいい、じじぃの日記。

「これは、144ピースの何も描かれていない真っ白なジグソーパズルを3時間以内に完成させるというもので、個人の集中力と忍耐力を見る課題だった(パズル自体は市販もされている)。ただし、1998年の選抜試験で出されたものの、完成させた候補者はひとりもいなかったとか」

宇宙飛行士も人間なんですねえ。

じじぃの「歴史・思想_529_老人支配国家・日本の危機・トランプの登場」

COVID-19 | ‘China said our soldiers brought the virus…’: Donald Trump on virus’ origin

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=T54qSVOc0Ao

文春新書 老人支配国家 日本の危機 エマニュエル・トッド

本当の脅威は、「コロナ」でも「経済」でも「中国」でもない。「日本型家族」だ!
【目次】
日本の読者へ――同盟は不可欠でも「米国の危うさ」に注意せよ

Ⅰ 老人支配と日本の危機

1 コロナで犠牲になったのは誰か
2 日本は核を持つべきだ
3 「日本人になりたい外国人」は受け入れよ

Ⅱ アングロサクソンダイナミクス

4 トランプ以後の世界史を語ろう
5 それでも米国が世界史をリードする
6 それでも私はトランプ再選を望んでいた
7 それでもトランプは歴史的大統領だった

Ⅲ 「ドイツ帝国」と化したEU

8 ユーロが欧州のデモクラシーを破壊する
9 トッドが読む、ピケティ『21世紀の資本

ⅳ 「家族」という日本の病

10 「直系家族病」としての少子化磯田道史氏との対談)
11 トッドが語る、日本の天皇・女性・歴史(本郷和人氏との対談)

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『老人支配国家 日本の危機』

エマニュエル・トッド/著 文春新書 2021年発行

6 それでも私はトランプ再選を望んでいた より

米国社会の現実

「トランプ再選となれば、米国の民主主義も終わりだ!」といった言辞が繰り返されています。米国に限らず、エリート層が好む高級メディアほど、この論調です。トランプが、下品で馬鹿」げた人物であることは言うまでもありません。私自身も、人として、とても許容できない。ただ、トランプをそう避難するだけで事足れりとすれば、米国社会の現実を見誤ることになるでしょう。
2016年の米大統領の際、私は「トランプが必ず勝つ」とまでは言わずとも、「トランプの勝利などあり得ない」という論調が大勢を占めるなかで、トランプ勝利の可能性を大いに強調しました。前回ほどオリンピックな見解とは言えませんが――というのも一度は起きたことなので――、今回もトランプ勝利の可能性が大いにあり、またトランプの再選の方が、米国にとっても、世界にとっても、どちらかと言えば望ましい――馬鹿げた対イラン政策などを理由に前回ほど積極的な支持ではないのですが――と私は考えています。なぜそう思うのか、その理由を述べたいと思います。

「米中対立」は悪くない

内部で激しい葛藤が生じている米国ですが、社会を一体化に向かわせる要素も生まれていあす。「米中対立」です。
トランプが、米国のリーダーとしての自己確立に成功したのは、「対中強硬姿勢」によってです。
まず地政学や安全保障分野のエリートを、この方向に巻き込むことに成功、今では、「中国は、パートナーではなく、ライバルであり敵である」といった超党派のコンセンサスが出来上がっています。
倫理的な観点で肯定するわけではありませんが、ここでもまた「民主制」が元来「排外的」な性格を有するように、「彼ら(中国)」という存在が「我々(米国)」という集団を結束させ、一体感を生むメカニズムが働いているわけです。仮にトランプが負けることがあっても、この方向性に変りはないでしょう。
中国に関しては、しばしば「強大な覇権国になるのでは」と恐れられていますが、教育水準や人口動態から見ても、中国が世界のリーダーになる可能性はゼロでしょう。
となると、これは、米国にとって極めて好都合です。なぜなら、中国はそう簡単にやっつけられない難敵ではある。しかし、長いスパンで見た場合、中国には全く勝ち目がない。米国にとって、いわば長い戦いになるわけですが、辛抱強くやれば絶対に負けない。そして、この緊張が、国内の結束を高める方向にも作用するからです。
また「米中対立」は、長期的に見れば、中国にとっても、悪いものではありません。これまでの中国の経済政策は、中国の指導層が立案したというより、「中国を”世界の工場”にして利益を上げる」という欧米主導の「自由貿易」「グローバルズム」の政策に従属したものにすぎなかったからです。その意味で、中国も”グローバルズムの囚人”なのです。「米中対立」が激しさを増せば、中国も「外需依存」から「内需重視」に転換せざるを得ません。これによって、中国の経済と社会も、健全な方向に向かうでしょう。
また「米中対立」が激しくなれば、両者の狭間で、日本は、時に難しい選択を迫られるかもしれません。しかし、両者の対立のなかで、むしろ日本の重要性は増すでしょう。

「エリート主義VSポピュリズム」の克服

米国に限らないことですが、”高学歴エリートのおかしなあり方”が、”おかしなポピュリズム”を生み出しています。トランプの人格や発言が耐えがたいのは明白です。しかし、同じように米国のエスタブリッシュメントの発言や振る舞いも耐えがたい。言ってみれば「トランプ」と「ハーバード大学」は同じコインの表裏。重要なのは、このエリート主義とポピュリズムの不毛な対立関係から脱却することです。
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米国にとって重要なのは、「歴史を前に進めること」。これは、米国だけでなく世界にとっても重要です。
そのための最良の方法は、バイデンを当選させることではない。”自己変革”なき民主党の勝利は、「エリート主義VS.ポピュリズム」の克服に何ら貢献しないからです。
無理に私が米国人だったらと仮定すれば――実際はフランス人で、投票を迫られずほっとしているのですが――、おそらく「民主党左派」の立場から、民主党に”自己変革”を促すために、抵抗を覚えながらトランプへの投票を考えざるを得ない。民主党は、「黒人を擁護する」と言いながら、肝心の経済政策において「黒人マジョリティの利益」を代弁せず、実質的に「アンチ黒人」と化しているからです。
米国の歴史を前に進めるには、まず民主党の側に”意識変革”が必要です。そのためには、バイデン当選よりトランプ再選の方が望ましいと私は考えます。