じじぃの「いかに生きるか・となりのトトロ・喜びを生み出す魔法のたまご!倫風」

エッグクラフト | Un journal de la clematite

2011-06-12 Ameba
毎月1回 工作教室のボランティアに行っています。
11日は宮城県から エッグクラフトで有名なエッグおじさんこと菊池克三(きくち かつぞう)さんが来られました。
https://ameblo.jp/tea-clematis/entry-10921510601.html

『倫風』 2020年7月号

実践倫理宏正会

わたしの体験 喜びを生み出す”魔法のたまご” 【執筆者】菊池克三 より

11年前に、58歳で35年間勤務した会社を早期退職しました。家内には強く反対されましたが、私はそれまで長年趣味にしていた卵の殻を使った工作・”えっぐクラフト”を活かして、起業したいと考えていたのです。
今思うと、趣味を生業(なりわい)にして収入を得るということは並大抵のことではなく、家内が反対したのも当然だったと思います。
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そんな私が中学2年の時、卵の殻にこけしを描き、学校の作品展で金賞をもらいました。母はそれまで何1つ褒めるところのない息子のことを、この時ばかりは褒めてくれ、隣近所にまで触れ回っていました。
実家は小売店を営んでいました。母は店に来るお客さんにも、「息子が金賞もらった、金賞もらった」と、オリンピックで金メダルでも獲ったかのように吹聴(ふいちょう)します。その姿を見て、<自分にも人に褒められるものがあったんだ>と気付き、それ以来、ずっと続けてきたのが卵の殻に絵を描くことだったのです。
母は79歳の時に食道がんにかかり、お医者さんから余命半年と宣告されました。飲むことも食べることもできなくなった母の病室に、卵の殻で作って竹の中に入れた”かぐや姫”を持っていきました。母は自分のベッドには飾らず、同じ病室に入院していたおばあちゃんに「これ、息子が作ったのですが、よかったら飾ってください」と渡しました。
おばあちゃんは”かぐや姫”を手に取ってこう言いました。
「何だか、このお人形さんを見ていると病気のこと忘れてしまいそうだなあ」と。その言葉を聞いた母はうれしそうにニッコリと笑いました。それから数ヵ月後、母はこの世から旅立っていきました。

”えっぐおじさん”のワークショップ

それから私は「人生のテーマ」を決めました。「人を喜ばせる生き方をしよう!」と。そして、<いつか卵を通して人の心を励ますことができれば……>という思いが膨らんで、思い切って早期退職し、起業に踏み出したのです。

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どうでもいい、じじぃの日記。
「ピンポーン!」
「また、雑誌持ってきました」
小太りのおばちゃんが、今年になって毎月やってくるようになった。
先月は、ナスの漬物、今度は瓶詰めのウメボシを一緒に持ってきてくれた。
パラパラと『倫風』 7月号を読んでみた。

<自分にも人に褒められるものがあったんだ>と気付き、それ以来、ずっと続けてきたのが卵の殻に絵を描くことだったのです。

私の場合、何も気付かずにきてしまいました。 (^^;;
そういえば、このタマゴ型「となりのトトロ」もこんな感じだったなあ。

じじぃの「歴史・思想_239_中国古代史・横山光輝の『三国志』」

三人の皇帝が現れた「異様」な時代

2020年4月4日  Yahoo!ニュース
あえて本当に、ひとことで言い表すとすれば、今から1800年ぐらい前の紀元200年代、中国大陸が三つの国に分かれて争っていたというものだ。
それが魏(ぎ)・蜀(しょく)・呉(ご)という三国のことで、それらの国々について、まとめた歴史書のことが『三国志』である。
その三国を創業したトップの人間が、魏の曹操(そうそう)、蜀の劉備(りゅうび)、呉の孫権(そんけん)である。
彼らがそれぞれに「皇帝」を名乗って「三国」が並び立った状態が、だいたい40年(西暦220年~263年)続いた。
また「正史」でも呂布(りょふ)という名将が、遠くに突き立てた矛の先に矢を射当てるエピソードがあるなど、驚かされる描写は少なくない。このように多くの人物がそれぞれに個性を発揮し、物語を形づくるのである。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3f1fe9ad00968fe7d6f879b8981fe8eeb2625e5b

三国志 - 研究家の知られざる狂熱』

渡邉義浩/著 ワニブックスPLUS新書 2020年発行

はじめに

本論に入る前に、予備知識として、「三国志」には大きく分けると、次の2種類があることを知っておいてください。
1つは、西晋(せいしん)の史官であり陳寿(ちんじゅ)が、3世紀後半に著し、のちに正史と位置づけられた『三国志』です。もう1つは、元末から明初の小説家とされる羅貫中(らかんちゅう)が、14世紀後半にまとめた『三国志演義』という歴史小説です。
この2つの「三国志」のうち、日本のみならず中国においても、一般的な知識の源になっているのは『三国志演義』、およびその影響下に成立した物語りとしての「三国志」です。わたしが最初に触れたのも、もちろん後者でした。
物語りとしての「三国志」には多くの種類があります。
李卓吾(りたくご)先生批評三国志」(以下、李卓吾本『三国志演義』)を種本として改変を行い、中国での完成版となる『毛宗崗批評三国志演義』(以下、毛宗崗本『三国志演義』)。李卓吾本『三国志演義』を湖南文山(こなんぶんざん)が超訳した『通俗三国志』。『通俗三国志』を標本とした吉川英治の『三国志』。

日本でもっとも読まれている横山光輝の『三国志』は吉川英治の『三国志』を種本とします。

けっこう複雑ですよね。
それでは、まずは第1章で、わたしが出会った順にさまざまな「三国志」を取り上げ、それぞれの特徴を確認することから始めましょう。

1.横山光輝三国志

わたしと「三国志」の最初の出会いは、横山光輝による漫画『三国志』でした。中学入学前後、児童向け雑誌『希望の友』の連載が単行本になり、初版で読みました。次の巻が出るのが待ちどおしかったことを覚えています。
長い時間がかかりましたが、59巻まで読み終えたとき、諸葛亮の悲運に涙しました。五丈原諸葛亮が星を見ている場面は、今でも脳裏に焼きついています。
横山『三国志』は洛陽船(らくようせん)の到着を待ちつつ黄河を見る劉備の描写から始まります。
後漢(25~220年)の都であった洛陽は、日本で京都のことを「洛」と呼ぶように、「古典中国」の王城の地でした。劉備は、当時貴重品であったお茶を母に買い求めるために、黄河を眺めながら洛陽船を待っていたのです。
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横山光輝は、学校の図書館で吉川英治の『三国志』を読んだことが「三国志」への関心のルーツであったと述べています。「武将たちの戦争絵巻」を目指したという横山『三国志』は、吉川『三国志』と同じく、諸葛亮の死後、急速に物語を終わらせます。横山『三国志』は、諸葛亮曹操を中心に描く吉川『三国志』の影響を色濃く受けて構築されているので、劉備の母も登場しています。
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三国志」のなかで、個人として最強の男は呂布(りょふ)です。史書や『三国志演義』系の物語でも同じです。
  当時の人々は(軍中)語をつくり、「人中に呂布あり、馬中に赤兎(せきと)あり」と称した。
               『三国志』巻七 呂布伝注引く『曹瞞伝』
軍中語とは、軍隊のなかで行われた人物評価です。この言葉は、呂布袁紹(えんしょう)を助けて、黒山(こくざん)の張燕(ちょうえん)と対戦したときの勇姿を愛馬の赤兎馬と共に称えたものです。
一方、『三国志演義』では、張飛関羽劉備の3人を敵に回して戦う虎牢関(ころうかん)の戦いから、呂布の強さを窺いしることができます。
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そして、ついには三国一の武勇を誇ったはずの猛者は、曹操の捕虜となります。ここには、未練がましい男は滅ぶという戦時中の日本の男性観が反映されています。女々しい呂布の末路は、愛欲に溺れた人間がたどう破滅への道だったのです。
「武将たちの戦争絵巻」としての『三国志』を目指した横山光輝は、吉川『三国志』の偽の貂蝉に溺れる呂布像を継承していません。三国一の武勇を誇る呂布が女々しければ、「武将たちの戦争絵巻」は精彩を欠くからです。
横山『三国志』は、自刃する貂蝉の凛々しさと、呂布の武勇とを完全に描きました。日本で、三国一の美女貂蝉、三国一の猛者呂布の人気が高い理由はここにあります。

じじぃの「スパコン世界4冠の富岳・A64FX・AIによるCOVID-19治療薬候補探し!日本が世界一のランキング事典」

Fugaku supercomputer already used in COVID-19 research

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ZeSlJrOwUac

A64fx and Fugaku - A Game Changing, HPC / AI Optimized Arm CPU to enable Exascale Performance

Oct 19, 2019
https://www.slideshare.net/insideHPC/a64fx-and-fugaku-a-game-changing-hpc-ai-optimized-arm-cpu-to-enable-exascale-performance

スパコン世界一の「富岳」が新型コロナ研究で早くも威力 治療薬開発などでの成果に期待

2020年6月26日 SciencePortal
理化学研究所理研)と富士通が共同で開発・整備を続けているスーパーコンピュータースパコン)「富岳」が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬開発や感染予防などの研究で早くも威力を発揮している。
いずれも理研神戸大学京都大学などと連携する共同研究で、研究者らの意識やモチベ―ションは高い。富岳は今月22日には計算速度の世界ランキングで1位になった。新型コロナを克服するためにも、世界に誇る日本のスパコンの成果、活躍が期待されている。
新型コロナウイルスはせきやくしゃみ、発声による飛沫(ひまつ)のほか、微小な飛沫によるエアロゾルによっても感染が広がるとされている。
感染のリスク評価をするためには飛沫やエアロゾルの飛散経路を正しく推定する必要があるが、飛散経路は空気の流れや湿度、温度などに複合的に影響を受ける。このため飛散経路の推定のために膨大な計算が求められる。そこで期待されているのが富岳に実装した超大規模熱流体解析ソフト「CUBE」という。
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/review/2020/06/20200626_01.html

『日本が世界一のランキング事典』

伊藤賀一/著 宝島社新書 2020年発行

新型スパコン「富岳」は省エネ性能世界一 より

速さより使い勝手とコスパ重視で世界一へ スパコン「京」の100倍の性能で社会貢献を目指す

2019年11月、富士通株式会社と理化学研究所が共同開発中のスパコン「富岳(ふがく)」のプロトタイプが、スパコン消費電力性能ランキングのGreen500において、世界一を獲得しました。
富岳は、15万個以上の高性能CPU「A64FX」を高速ネットワーク技術で接続します。スーパーコンピュータの本来の目的は、研究開発や製造、社会インフラに活用することです。計算スピードや、使いやすくコストパフォーマンスが高い富岳は、今後多くの分野で活躍することでしょう。

じじぃの「歴史・思想_238_中国の行動原理・習近平下の中国社会」

中国「一帯一路」の国際会議に登壇する習近平


中国・「一帯一路」と台湾

2019年7月5日 中国問題グローバル研究所
今年1月29日、ダン・コーツ米国家情報長官(DNI)は参議院情報委員会で、「一帯一路」はインフラ整備に過ぎないのではなく、「一帯一路」で指定される地域は地政学的・軍事的含意を持つものだ、と「一帯一路」の戦略性へ注意を喚起している。
https://grici.or.jp/205

『中国の行動原理-国内潮流が決める国際関係』

益尾知佐子/著 中公新書 2019年発行

習近平とその後の中国 より

中華人民共和国の建国から70年。それを率いた中国共産党は、さまざまな失敗を繰り返しながらも、中国の人民をひとつの国家の枠組みに取り込むことにほぼ成功してきた。70年前、統一的なアイデンティティなど持たず、バラバラだった人々は、中国共産党が基盤とする漢族的な社会秩序に従い、一体的な国民=「中華民族」として統合された。特に経済近代化の効果は絶大で、いまでは高山に暮らすチベット人まで、生活のために積極的に中国の経済社会への参入を図っている。中国共産党の問題処理能力は、好き嫌いを別に相当高い。
本書ではこれまで、中国の対外行動がそのときどきで国内状況に応じ、どの程度、どのように変化してきたかを論じてきた。

中国の対外行動を捉えるときに理解しやすいのは、中国が外婚制共同体家族に根付いた社会秩序を持ち、家父長、つまり最高指導者の国内凝集力をバロメータとして、一定のサイクルで変化する社会だ、と考えていく方法である。

家父長のもとで生きる中国の息子たち、そしてそれに従う家人たちは、潜在的にはそれぞれが家父長になる可能性を秘めた、自由で活発で、創造性に富んだ人々である。
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実例を挙げよう。米中貿易が激化するなか、香港では2019年6月に反中デモが発生し、その後も100日を超えて継続している。大陸中国では武力鎮圧の声が高まり、デモ参加者も運動の国際化を狙って大陸への挑発行動をとったが、習近平は踏みとどまっている。いま香港で再び「天安門事件」が起きれば、西側の自由主義国との全面対立を招き、それが世界の東西分断に拡大して新たな冷戦が始まる可能性がある。世論に流されて武力鎮圧に走れば、中国にとってきわめて不利な結果を招くと判断しているのだろう。

習近平下の中国社会

では、このような国内的変化のなかで、中国社会の対外行動は今後、どのように変化していくのだろうか。
第1に言えるのは、当面の間、個々の中国人の対外行動は全体的に、党中央の意向を受けたかなりお行儀のよいものになるということだ。
習近平は大局に従えというお触れを出し、中国人はこうあるべきという理想を説きながら、社会全体に対する締め付けを強化している。習近平が総書記になった頃から、中国は世界最先端の情報技術を駆使し、個々人の行動を緩やかに、しかし抜本的に規制するようになった(『幸福な監視国家・中国』)。ネット統制に加え、監視カメラや電子マネーが普及し、当局は各人の生活に関わるさまざまな面を監視できるようになった。これを受け、当局が定めたルールに従って生活を謳歌することが社会潮流になっている。そもそも経済発展にともない、乱暴なやりかたで自己利益拡大に走る中国人もあまり見かけなくなった。
習近平政権は、中国人の海外での活動についても指針を出している。彼が進める「一帯一路」には、スリランカのハンバントタ港の体中租借問題を契機に、2017年頃から国際的な批判が高まった。2018年1月の中央全面深化改革領導小組第2回会議は「『一帯一路』の国際商業紛争を解決するメカニズム・組織の構築についての意見」を審議している。これにより、「一帯一路」をねぐkつて国際紛争が生じたときには、相手国の法律および当事者に意思を浸透し、また国際的な条約や慣例も積極的に活用しながら解決を図る原則が確立された。
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中国の指導者は、経済発展に民間のイノベーションが重要ということを十分に理解している。彼らの目から見れば、中国の製造業は「からだはでかいが強くない」。中国が国際的な競争力を獲得し、さらにそれを高めていくには、民営企業にイノベーションを促していくことが課題である。民間資本が弱いなかで実現するには、国家が企業の研究開発費などを支援し、そこに大量の投資を行うことで、戦略的に重要な核心的技術の向上を図ればよい。これはかつてのソ連と共通する全体主義的な発想である。2015年5月に発表され、のちに米国から問題視された『中国製造2025』は、そうした考えで執筆されている。
米国からの圧力の高まりを受け、中国政府は最近、この文書にはほとんど言及していない。しかし、中国ではいまも多くの人が、自国の科学技術力は西側諸国に比べてまだまだ脆弱で、だからこそ自国は西側の圧力の圧力にさらされていると考えている。彼らによって、戦略性の高い分野でイノベーションを起こす可能性のある企業を国家が支援することは、まったく不公正ではなく、むしろ指導者が行うべき当然の行為である。
習近平政権のやり方は、中国の人々に指示されている。当局と民営企業の力の差が圧倒的なため、実際問題として民営企業も、当局に寄り添った生存戦略をたてざるを得ない。
強力な指導者、習近平は、大家族としての一体性を中国社会全体に求めている。おそらく当面の間、中国社会の側もその要求をはねのけられない。中国共産党が国家形成と経済近代化で成し遂げた実績は、多くの人々に実利が提供しており、党中央に対する「父殺し」が起きる気配もない。家父長が健在な間、人々は習近平のムードにあわせ、その共同体のなかで日々の生活を営んでいくしかないのだ。

じじぃの「アルスノー・はじめてこころを開くまで!絵本『ジェーンとキツネとわたし』」

Jane, the Fox, and Me by Fanny Britt & Isabelle Arsenault

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Vk9wzlSUQmA

Just Because by Mac Barnett & Isabelle Arsenault, Book Trailer

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=MVwHkwZBEFw

ジェーンとキツネとわたし - 2015 ファニー ブリット (著), イザベル アルスノー (イラスト) amazon

エレーヌは今日もひとりぼっちだ。居場所がどこにもない。
そんなふうに感じるときは、いつも本を開いて、大好きな『ジェーン・エア』の世界にとじこもる。あるとき、学校のみんなと合宿に行くことになった。いろんな子のグループができている。そこで起こった出来事をきっかけに、エレーヌに小さな変化が起こりはじめる。カナダ総督文学賞受賞、気鋭のイラストレーターが描く繊細なグラフィック・ノベル。

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『人生の1冊の絵本』

柳田邦男/著 岩波新書 2020年発行

疎外された少女に雪解けが より

カナダの絵本『ジェーンとキツネとわたし』を手に取って表紙絵を見たとき、すぐに《この絵のタッチ、もしかしたらあの人じゃないか》と感じた。この前に紹介した絵本『きょうは、おおかみ』の絵を描いたイザベル・アルスノーのことだ。少女期の不安定な精神状態とそこに一筋の光をもたらすものについて、彼女の絵は物語の言葉以上に複雑で奥深いものを表現していたので、イラスト的な絵であってもその表現手法によってはこんな可能性があるのかと、私は驚嘆したのだ。
『ジェーンとキツネとわたし』は、95頁という分厚い絵本だ。一見すると、劇画的な作りになっているが、劇画とは肌触りが違う。絵を小さくコマ割りをして、時折会話の吹き出しをつけて入れるといったところは、コミック風にもなっているが、よくあるコミックではない。要所要所で、コマ割りでないしっかりと描いた絵が一頁大や見開きいっぱいに広がる。そのメリハリが巧みだ。
絵を描いたイザベル・アルスノーという名前のほうが、物語の文を書いた作家ファニー・ブリットの名より上に記されているのは、私の推測では、ブリットさんの原作小説があって、それを絵本化するために物語のエッセンスを汲み取った言葉に凝縮し、そのコンテをもとにアルスノーさんが個性的な絵の才能をふんだんに生かした絵を描き、原作とは一味も二味も違う、インパクトの大きな作品の仕上げにつなげたからではないかと思える。
読み終えると長編小説を読破したような充実感がある。物語は、こうだ。主人公は、小学校5年の少女エレーヌ。クラスメートたちから聞こえいよがしに悪口を言われ、トイレなどに<体重100キロ>とか<臭い!>といった中傷する言葉を落書きされている。集団いじめだ。教室でも、校庭でも、通学バスのなかでも、エレーヌは居場所がない。自分でも、ソーセージのように太っているという思い込みのコンプレックスを抱いている。
唯一の逃げ場であり、こころの支えになったのは、イギリスのシャーロット・ブロンテ作の小説『ジェーン・エア』だ。バスのなかで、クラスメートたちが悪口を言っていても聞こえないふりをして、物語に集中する。でも、聞こえてくる言葉に、<またひとつ、胸のなかに 穴かあく>のだ。
エレーヌは『ジェーン・エア』の主人公ジェーンの人生に自らの状況を重ね合わせている。エレーヌの状況に応じて絵本の途中に『ジェーン・エア』の物語の展開が挿入されるという仕掛けになっている。『きょうは、おおかみ』の場合は、こころの病をもっていた女性小説家ヴァージニア・ウルフの少女期に重ね合わせて、絵本の物語が展開するのだが、今度の絵本では、古典的なイギリス文学を、幾何学の問題を解く補助線のようにして援用したかたちになっているのだ。
小説の主人公ジェーンは、日本で言えば江戸時代後期のころのイギリスで生きた女性。孤児で育て役のおばさんから虐待され、寄宿学校に入れられる。それでも賢明な女性に成長し、大きな館に住む金持ちの家の子の住みこみ家庭教師になる。その家の主人ロチェスターはジェーンに愛を告白するが、こころを病む妻を館の塔に閉じこめていて、結婚はできない身だった。ジェーンも彼を愛していたが、胸が引き裂かれる思いで去っていく。やがてロチェスターの妻は館に火を放ち、屋根から身を投げて自殺し、ロチェスターも火傷で視力と左腕を失う。訪ねてきたジェーンはそれでもロチェスターへの変らぬ愛を貫き、結婚する。
長編小説だが、エレーヌは根気よく読み続ける。夏が来て、クラス40人全員が英語特訓合宿キャンプに出かける。そのバスのなかでも、エレーヌは『ジェーン・エア』を読み耽る。本に集中するふりをすることで、みんなとかかわらないように防波堤を築く。自分で考えた”戦術”なのだ。
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アルスノーさんの絵は、冒頭から、いじめる側の少女たちや少年たちの、いじめを残酷なまでに面白がる様子を、目つき、手足の仕草、からだのスタイルなどのスケッチ画風の簡潔な鉛筆(あるいはその類い)の線で描いている。孤独なエレーヌの、おどおどしたり、絶え難い疎外感を抱いたり、逃げ出したい心境になったりする表情を、その内面の葛藤や苦しさがびんびんと伝わってくるほどみごとに表現している。

じじぃの「歴史・思想_237_中国の行動原理・国家海洋局の盛衰」

Revealed - Here's Why the US Navy Deploys 3 Aircraft Carriers to Indo-Pacific

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=GbIxVJpLblw

DF-41 Hypersonic Intercontinental Range Ballistic Missiles

China Finally Unveils DF-41 Hypersonic Ballistic Missile: Nuclear Strikes From Beijing to Washington in 30 Minutes

Military Watch
The DF-41 makes use of a solid fuel composite much like the American Minuteman III, meaning it can be stored fully fuelled and has a considerably shorter launch time than liquid fuelled missiles such as the Russian RS-28 Sarmat or North Korean Hwasong-15.
The missile has the longest range of any ICBM in service outside Russia, and can reportedly carry up to a dozen thermonuclear warheads in its multiple reentry vehicle making strikes extremely difficult to intercept. The missiles are highly manoeuvrable in flight and are capable of impacting their targets at high hypersonic speeds, with a maximum speed of Mach 25. The platform’s ability to deliver nuclear strikes from China to the United States mainland in just thirty minutes has been strongly highlighted in Western media reports on the DF-41’s unveiling.
https://militarywatchmagazine.com/article/china-finally-unveils-df-41-hypersonic-ballistic-missile-nuclear-strikes-from-beijing-to-washington-in-30-minutes

『中国の行動原理-国内潮流が決める国際関係』

益尾知佐子/著 中公新書 2019年発行

海洋問題はなぜ噴出したか――国家海洋局の盛衰 より

尖閣諸島領有の主張と上部からの制約

改革開放初期に国家海洋局の局長だった羅鈺如が第1編者を務め、1985年に出版された『当代中国的海洋事業』は、当時の中国の海洋認識を示す貴重な書籍である。特に興味深いのは、同署が南シナ海の島々と尖閣諸島の領有権について、対照的な記述を行っていることだろう。
南シナ海の島々について、同書は強く領有権を主張したが、尖閣諸島についてまるでタブーのように言及を避けている。1978年8月の日中平和友好条約の最終交渉では、同年4月の中国漁船の尖閣諸島領海侵犯事件を指し、園田直外相が鄧小平副総理に対して、「尖閣問題についての日本の立場は閣下のご承知のとおりであり、先般のような事件を二度と起こさないで欲しい」と述べた。これに対して鄧小平は、「中国政府としてはこの問題で日中間に問題を起すことはない」と発言した(「尖閣問題『中国側は話し合いを控えたいとし、日本側は聞きおくに留めた』」『外交』第18号)。同書の記述は、このときの鄧の約束と符号する。
それでも同署は、尖閣諸島問題と密接に関連する東シナ海の大陸棚の権益については、多くのページを割いて確保を強く主張していた。つまり中国の海洋専門家たちは、尖閣諸島の領有権主張について上部から言うなと制約された後も、大陸棚権益の確保という観点から、大陸棚の上に乗る尖閣諸島に関心を寄せ続けたようなのである。
海洋権益への強い関心は、国家海洋局だけでなく、中国国内の海洋関係者に共通していたようだ。1988年3月、中国はソ連の庇護を失ったベトナムと交戦し、スプラトリー6島礁を奪った。中国では前年夏から周到に攻撃準備が進められたが、海軍の制海・制空能力が低すぎたため全海域の占拠を断念し、攻撃目標を限定した。中国は1992年2月に「領海法」を制定し、国内法で初めて、南シナ海の島々と同様に尖閣諸島を中国領と明記した。「領海法」の起草工作には、国家海洋局も参加している。
中国は1993年に石油の純輸入国に転じた後、積極的に海底油田の探査を行っている。東シナ海について、日本は沿岸基線の等距離中間線で排他的経済水域EEZ)を分けるべきを考えていたが、1994年頃から国家海洋局の科学調査船がその東側にも姿を現し、さらに尖閣諸島の周辺を徘徊するようになる。また、1992年11月にフィリピンから米軍が撤退すると、中国海軍は95年初めまでに、フィリピンが実行支配していてミスチーフ礁を占拠した。

「潮流」を決める習近平

国家海洋局の積極的な行動は、結果として、海をめぐる中国の外部環境を極度に悪化させた。海洋問題と外交問題のアンバランスを意識した指導部は、海洋権益擁護の重要性を認め、南シナ海で7島礁の埋め立てを実施しながらも、国際社会で中国の建設的イメージを取り戻そうとする。その代表例が「一帯一路」である。
国家海洋局にとって、国内政治を利用して存在感を急上昇させた代償は高かった。再び国際強調に舵(かじ)を切った指導部は、中国の信用を傷つけた国家海洋局の「罪状」をあらめて認識することになった。
高之国など国家海洋局に所属する国際法学者たちは、政権が主張する南シナ海の「九段線」を弁護するため、「歴史的水域」などの新概念を打ち出し尽力してきた。しかし、2016年7月に発表された仲裁裁判判決でこれが根本的に否定され、中国の国際的なメンツが汚されたことも、指導部の国家海洋局への評価を下げた可能性がある。

中華民族の偉大な復興」という歴史的使命を意識する習近平は、中国の伝統的な社会秩序に基づき、中国全体を再び機能させるために、各方面の権力をあえて自分に集中させた。

彼は海洋問題の重要性を認めるがゆえに、自分の目がより届きやすい中央軍事委員会に中国海警局の指揮権を置き、国家海洋局を解体して、一組織の決断で中国全体が流されるもとのないよう予防策をとった。
2018年には、中国海警局の初代局長だった孟拡偉がリヨンのインターポールから中国に呼び戻され、取材不明のまま辞表が提出された。孟拡偉は翌年、収賄罪容疑で中国共産党を除名され、公職追放処分を受ける。国家海洋局の局内局としての国家海警局も、トップの処分とともに、歴史から徹底的に抹殺されることになった。
中国の最高指導者によるこの引き締め措置で、近隣国にとって中国の海上行動の予測不能性は低下した。しかし、それにはよい面も難しい面もある。最高指導者が自分の国内的な凝集力を高めようとしているときには、中国の実務部隊は自分の判断で意味ある決定をしにくくなる。そのため中国とのビジネスライクな実務交渉はむしろ難しくなり、すべての重要な問題の解決に、中国の最高指導者との良好な政治的雰囲気が求められる。必然的に近隣国の人々も、中国の指導者の顔色をうかがい続けることになろう。

じじぃの「専守防衛の日本・敵基地攻撃能力は必要か?ワイドスクランブル」

陸上イージス撤回で・・・“敵基地攻撃能力”も議論か(20/06/24)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=WQVSLlkEO6o

大下容子ワイド!スクランブル

2020年6月26日 テレビ朝日
【司会】小松靖大下容子 【コメンテーター】柳澤秀夫(ジャーナリスト)、中野信子脳科学者)、デープ・スペクター(タレント) 【解説】藤崎一郎(元駐米国大使)

敵基地攻撃能力は必要か?

日本の軍事力は世界で見るとアメリカ・中国・ロシア・インドに続き5位だという。
これはF-35を100機以上配備する予定であること。イージス艦を7隻保有していることなどがある。専門家も軍備は世界一線級とする一方で、ミサイルへの防衛力は十分ではないという。
極超音速時代・空の脅威
ロシア・ショイグ国防相は去年12月「アバンガルド」の実戦配備を始めたと発表(AP通信)。
プーチン大統領は2018年3月「アバンガルドはミサイル攻撃を突破できる」と語った(英国・BBC)。
アバンガルドとは極超音速兵器で核を搭載することが可能。
速度マッハ27(時速約3万3000km)。旅客機の約40倍の速さ。
射程は約1万km(米国まで届く)。
迎撃用のレーダーなどを避けるために垂直方向や水平方向など縦横無尽に飛行が可能。
通常のミサイルは放物線を描いて標的に向かう。
迎撃ミサイルはその放物線を計算し迎撃。不規則に動かれると迎撃が困難。
中国は散弾ミサイルを保有(米国・シンクタンクCSIS)。
新型大陸間弾道ミサイル「東風41」(DF-41)の速度はマッハ25(時速3万626km)。
北京からロサンゼルスまで20分で着弾。
射程は1万2000~1万5000km(米国まで届く)。
最大10個の核弾頭を搭載可能(着弾前にわかれる)。
去年10月の軍事パレードでは東風41が16基登場した。
●“専守防衛”の日本・次なる構想
イージスアショア配備計画が撤回となり、敵基地攻撃能力が焦点となっている。
きのう河野太郎防衛大臣自民党・国防部会に出席し、その後の講演会で「議論の前に言葉の定義を明確にすべきだ」と語った。
中谷元防衛大臣は「敵基地反撃を検討するよう提言している。5年、6年ぐらい前から本当にミサイルの状況が変わってきている」と語った。
佐藤茂樹公明党外交安全保障調査会長は「歴代政権は専守防衛の観点から選択してこなかった」と語り、敵基地攻撃能力の保有に関しては、公明党として慎重な姿勢を示している。
福島瑞穂社民党党首は「日本国憲法9条があり、専守防衛が基本。敵基地攻撃能力はやはり先制攻撃になる。専守防衛とは矛盾する」と語った。
藤崎一郎、「敵基地攻撃能力は敵の首都も攻撃できる。そういう能力を持つという意味になるので、よっぽど考えなければいけない」
https://www.tv-asahi.co.jp/scramble/

プライムニュース 「3人の元統幕長に聞く イージス・アショア停止 敵基地攻撃の是非とは」

2020年6月25日 BSフジ
【キャスター】海老原優香、反町理 【ゲスト】折木良一(元統合幕僚長陸上幕僚長)、岩﨑茂(元統合幕僚長航空幕僚長)、河野克俊(前統合幕僚長海上幕僚長
15日、河野防衛相が地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備を停止すると突然表明し、防衛関係者の間に衝撃が走った。北朝鮮弾道ミサイル対処のため、海上イージス艦に加えて陸上からの迎撃能力を強化することで、防衛力を大幅に強化する狙いがあったが、今回の配備停止判断で日本のミサイル防衛体制を根本から見直す必要が生じることになる。
一方、中国は尖閣諸島周辺において海警の船舶が日本漁船を追尾したり、空母艦隊の日本周辺海域航行や軍用機の度重なる飛来など、“不穏な動き”を続けており、日本には大きな「圧」となっている。
そんな折、アメリカの安全保障シンクタンクが、中国が尖閣諸島に上陸する「強行シナリオ」を含むリポートを発表。中には「尖閣をめぐって日中が衝突してもアメリカは日本を助けない」とするケーススタディも記され、その現実味を巡る議論が湧き起こっている。
●「敵基地攻撃能力」の現実論
岩﨑茂、「相手の敵基地を攻撃するのに必ずしも攻撃用の武器が必要かというとそうでもない。F-35でも空中給油機があれば遠くまで行けるし、島嶼防衛の巡視船でも方向を変えれば敵攻撃用にもなる。攻撃する対象を米軍と話し合って分担するとか新しい戦略を作る必要がある」
河野克俊、「今まで日本は防御オンリーで相手に脅威を与えませんと。しかし日米共同なので矛である米国にこちらは手を汚さず頼む。しかしこういう偽善的防衛論議はやめたほうが良い。米国にも米国の都合がある。ならば自分で攻撃能力持ったほうが良いという極めて常識的な流れだ」
●中国の尖閣上陸「強行シナリオ」を検証
米国のシンクタンク・CSBA(戦略予算評価センター)が発表したレポートの中には、中国の軍事専門家らが雑誌「現代艦船」に連載した中国の尖閣諸島上陸シナリオが引用されている。

中国の尖閣上陸「強行シナリオ」(中国軍事専門家らによる)

①海保の船が尖閣諸島海域にいる中国海警の艦船を銃撃。これに対し、中国海軍の護衛艦が急行し日本側を攻撃
②日中が尖閣を中心に戦闘態勢に入る。中国海軍空母「遼寧」ら機動部隊が宮古海峡を通過し、日本側が追跡
③日本のE-2C早期警戒機とF-15東シナ海上空を戦闘パトロールに入るが中国のJ-20が撃墜
④中国軍が那覇空港巡航ミサイルで攻撃
⑤米国が日米安保の発動を拒否
⑥日本と中国が宮古海峡の西側で短期間だが致命的な戦争となる
⑦米国軍の偵察機が嘉手納基地へ(中国軍が不干渉と引き換えに嘉手納を救う)
⑧衝突が始まってから4日以内で中国軍が尖閣諸島に上陸
河野克俊、「絶対に米国が巻き込まれるようなことについては中国は出てこない。米国が出てこないと確信を持ったら中国は出てくる。中国が尖閣諸島をコントロールという状況になれば米国は第5条の発動はない。尖閣で中国海警の艦船が日本の漁船を追いかけたがこれからはずっとこのような行動が続くだろう。中国が実効支配しているのだという既成事実化を作るためだ」
反町理、「日本は尖閣を血を流して守るという姿勢を米国に見せないといけないということか」
岩崎茂、「平時の時に理論上は米国は安保5条の適用としているが、実際何かが起きた時には米国がその時に判断する。米国が自分の国益にならないなら出てこない。全てにおんぶに抱っこになっているといざという時にアレっということになるので、我々もちゃんと持っていなければいけないということ。現在は我が国の施政下にあると言える」
折木良一、「“米国が日米安保発動を拒否”とあるがこれがなければこのシナリオは全て狂う。米国が入るかどうかということ。中国は米国に来てほしくないので米国と日本をどう分断しようかということがある。尖閣については南シナ海と同じで既成事実化するのが向こうの狙い。何か日本が海底資源調査とか実効支配していると目に見える形で表さないとまずい時代になってきている。反発があるから何もやらないとなると日本側にとって不利になっていくと思う」

提言 「今、日本が見据えるべき防衛策」

折木良一 「総合防衛力」
 自衛隊だけでは対応できなくなっていることが多くなっている。サイバーとか宇宙とか敵からのミサイルとか。総合的に国全体で議論してほしい。
岩崎茂 「新戦略の策定で安全安心元気な日本の再生へ」
 国家安全保障条約は経済、食料、エネルギー、さらに元気な国は新しい新戦略でできる。
河野克俊 「平時に考える」
 アーミテージは言った。日本が米軍の前にいたとき戦う。日本が米軍の横にいたときも戦う。しかし日本が米軍の後ろにいたときは戦わない。
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