4.5 Billion Years in 1 Hour
地球誕生から9000万年が経過した頃には水が存在したとされています
45億年にもなる地球の歴史をひとまとめにして振り返る科学ビデオ
2023年11月18日 GIGAZINE
45億年前、地球は生まれたばかりで溶岩だらけでした。地球はその後、テイアと呼ばれる火星サイズの天体と衝突し、現在の月を形成したとされています。
地球誕生から9000万年が経過した頃には水が存在したとされています。この時期に形成されたと思われる「ジルコン」と呼ばれる鉱物の酸素同位体比を測定すると、当時地表付近に水があった可能性が浮上するそうです。
https://gigazine.net/news/20231118-4-5-billion-years-in-1-hour/
たった1日でわかる46億年の地球史
【目次】
プロローグ――地球学への招待状
1. 化学と地球――地球はどのように生まれたのか
2. 物質と地球――地球はどのように形成されたのか
3. 生命と地球――地球に広がる生命
4. 酸素と地球――呼吸できる空気はどこから来たのか
5. 動物と地球――大型化する生命
6. 植物と地球――植物と動物の世界
7. 災害と地球――絶滅が生命の形を変える
8. 人間と地球――地球を変える人類
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『たった1日でわかる46億年の地球史』
アンドルー・H・ノール/著 鈴木和博/訳 文響社 2023年発行
私たちの身の回りにある山や海、動植物、資源、空気や水はいったいいつ、どのように誕生したのか?
ハーバード大学の名誉教授(自然史学)で、NASAの火星探索ミッションにも参加している著者が、地球という奇跡の星の誕生から現在に至るまでを、地質学、自然史学的な視点でエキサイティングに読み解く一冊。
1. 化学と地球――地球はどのように生まれたのか より
太陽と地球の誕生
はじまりは点にすぎなかった。それは想像を絶するほど小さいが、とてつもなく密度が高かった。広大で何もない宇宙の中で、そこにだけ物質が集まっていたわけではない。それ自体が宇宙だった。なぜそれが生まれたのかは、誰にもわからない。
その前に何があったのかもわからない。とにかく、約138億年前に、この原始宇宙の核は急激に膨脹しはじめた。「ビッグバン」だ。これが膨大なエネルギーと物質を放出した。
ただしそれは、私たちが日々目にする岩石や鉱物ではなかった。岩石や空気や水を作る原子でもない。初期宇宙の物質は、クォーク、レプトン、グルーオンという素粒子でできていた。やがてこういった不思議な素粒子が集まって、原子が生まれた。
私たちが宇宙とその歴史を理解できたのは、もっともはかないもの、すなわち光のおかげだ。夜空を形作る無数の星々は、さながら宇宙の歴史の教科書とでもいうべきものだ。私たちが宇宙の進化を理解できたのは、光に2つの特徴があるおかげだ。まず、届く光には」さまざまな波長があり、そこから物質の組成がわかる。私たちの目は、波長のごく狭い部分しか検知できない。しかし、恒星や天体は、電波やマイクロ波からX線からガンマ線まで、広範囲の光を発したり吸収したりする。そこから色々なことがわかるのだ。もう1つ重要なのは、光には真空中で1秒間に2億9979万2458メートルという厳格な最大速度があることだ。私たちが目にする太陽光は、8分20秒前に太陽を出発した。それよりも遠くにある天体なら、さらに昔の姿を見ていることになる。遠くにある天体ほど、昔の姿が見える。夜空が歴史の教科書にあるのは、そのためだ。
水と大気はどこからきたのか
ここまでで、地球の全体の組成は説明できた。しかし、生命にとってもっとも重要なもの、つまり海の水と大気はどのように生まれたのだろうか。
地球の空気と水は主に彗星からやってきたもので、それによって形成された薄い層が地球誕生の最終段階となった、という長年の仮説がある。彗星はよく「汚い雪の塊」と形容される。その彗星は、太陽系初期の外縁部からやってきた。主に氷でできており、わずかに岩石質が含まれる。しかし最近になって彗星の化学的性質がわかってきたことで、それまでの彗星起源説に疑問が投げかけられている。その謎を解く手がかりは、水素の同位体から得られた。地球上にある水などの水素を含む物質では、水素と重水素(すでに述べたように、1つの陽子と1つの電子に加えて1つの中性子がある水素の同位体)の比率をかなり細かく測定できる。つまり、地球の水の起源となったものは、水素と重水素の比率が同じであるはずだ。
残念ながら、彗星はこの基準に一致しなかった。彗星固有の水素の化学的特性から判断すれば、彗星に由来する地球の水は全体の10パーセント未満しまない。
それ以外の水や大気、そして私たちの体を作る炭素は、地球全体を作りだした隕石に含まれていた。主に、地球が形成される過程の終盤近くにやってきたと思われるある種のコンドライト隕石だ。特に注目すべきは、炭素質コンドライトと呼ばれるコンドライトの一種だ。質量比で3パーセントから11パーセントの水を含むが、そのほとんどは粘土などの鉱物と化学的に結合している。また、約2パーセントが、タンパク質などに含まれるアミノ酸などの有機物(炭素と水素が結合した分子)だ。水と炭素の幻聴となったのは、このコンドライト隕石だった。彗星と違い、水素同位体の比率も一致した。私たちが故郷と呼ぶ、岩石、水、空気のほとんどは、さまざまな種類のコンドライト隕石からできたようだ。
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地球が冷えると、そこに特徴が現れはじめ、大型隕石の影響は徐々に減っていった。隕石は今も地球に衝突しつづけている。1992年には、ニューヨーク州ピークスキルという町の自動車に小さな隕石が衝突した。アリゾナ州のフラッグスタッフという町の近くにあるメテオ・クレーターでは、5万年ほどマニに隕石が衝突してできた直径1.2キロ近い穴を見ることができる。しかし、衝突の頻度と隕石の最大サイズは、時間とともに減少している。地球がまだ若いころには、初期の海を蒸発させるほどの衝突が続いた時期があった。その証拠は、地球ではなく隣の惑星である火星に残されている。火星の南半球の高地には古いクレーターが残っている。中には非常に巨大なクレーターもある。ヘラス平原と呼ばれる衝突跡は、直径約2300キロもある。じつにボストンからニューオーリンズまで(訳注:日本で言えば、青森から鹿児島くらい)の距離に等しい。これほどの衝突エネルギーに比べれば、原子爆弾でさえクラッカーのようなものだ。
厳密にいつごろ衝突が少なくなったのかについては、今も活発な議論が続いている。内太陽系で特に隕石の衝突が多かった39億年前ごろを「後期重爆撃期」と呼ぶが、人類による月探査が始まったばかりのころから、この時期が注目されている。その主な経験的証拠となるのが、宇宙飛行士が月の表面のさまざまな場所から収集したサンプルだ。驚くべきことに、広い場所から収集したサンプルに39億年前ごろの天体衝突の証拠が含まれていた。当初は、隕石の衝突回数が一時的に急上昇したものと考えられていた。土星と木星の軌道がぶつかったことで、外太陽系の物質が大量に押しだされるという説明だった。違う説もある。月に広く残された39年前の衝突の痕跡は、大量の隕石ではなく、1つの出来事によってできたのではないかという考え方だ。また、長期的に見れば、時間とともに衝突の強さは弱まっているので、単に39億年前にピークがあるように見えるだけだとする説もある。太陽系力学の新しいモデルは、1回の出来事説を支持しているが、もっと早い時期に起きていた可能性があるとしている。現時点では、42億年前から43億年前ごろには、地球の海を干上がらせるほどの衝突は起こらなくなっていたという説が多勢になぅている。
地球の誕生には、このような壮大なドラマがある。はるか昔に星の材料が集まり、すべてが溶けた世界から地球の核が分化して形成され、海と大気が生まれた。こういった出来事は、1億年程度の時間の中で起きたものだ。44億年前には、水と薄い大気に覆われた岩石惑星としての地球ができあがっていた。小さな大陸もできはじめていたが、まだほとんどは海の底だったろう。若い地球は、今のインドネシア全体のような場所だったのではないだろうか。連なる火山が海から顔を出しているが、大陸のような広い陸地は限られている。このころの地球は濃い大気に覆われていたが、そこに酸素はなかった。この原始地球にタイムトラベルしたとしても、人間は長くは生きられない。見たことがあるような地形もあるだろうが、まだ私たちの地球ではない。広い大陸、呼吸できる空気、そして生命に」あふれたおなじみの地球になるのは、まだこれからだ。