じじぃの「カオス・地球_300_白人がマイノリティになる日・第2章・WASPエリート集団」

The Origin of Race in the USA

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=CVxAlmAPHec

The US will become ‘minority white’ in 2045, Census projects


US whites keep losing ground in historic demographic shift, Census figures showJune 13, 2013 MPR News

The government also projects that in five years, minorities will make up more than half of children under 18. Not long after, the total U.S. white population will begin an inexorable decline in absolute numbers, due to aging baby boomers.
https://www.mprnews.org/story/2013/06/13/us-whites-keep-losing-ground-in-historic-demographic-shift-census-figures-show

WASP

ウィキペディアWikipedia) より
WASP(ワスプ、WASPs)とは、ホワイト・アングロ・サクソンプロテスタントの略称(アクロニム)で、白人のアメリカ人プロテスタント、かつイギリス系の上流階級を指す。
WASPエリート集団は、アメリカ合衆国の歴史の大部分において米国の社会・文化および政治を支配し、婚姻・相続及び縁故主義を通じて諸分野を寡占した。富裕層としてのWASPの社会的影響力は1940年代以降減少したが、この集団は以後も一部の金融および慈善分野と政治を支配している。

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WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日

【目次】
第1章………白人がマイノリティになる世界―ホワイトシフト
■第1部・闘争

第2章………ホワイトシフト前章アメリカ史におけるWASPから白人への転換

第3章………トランプの台頭―移民時代の民族伝統主義的ナショナリズム
第4章………英国― 英国保護区の崩壊
第5章………欧州における右派ポピュリズムの台頭
第6章………カナダ特殊論― アングロスフィアにおける右派ポピュリズム
■第2部・抑圧
第7章………左派モダニズム―一九世紀のボヘミアンから大学闘争まで
第8章………左派モダニズムと右派ポピュリストの戦い
■第3部・逃亡
第9章………避難― 白人マジョリティの地理的・社会的退却
■第4部・参加
第10章………サラダボウルか坩堝か? ―欧米における異人種間結婚
第11章……白人マジョリティの未来
第12章……「非混血の」白人は絶滅するのか?
第13章……ホワイトシフトのナビゲーション―包摂的な国の包摂的なマジョリティへ

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『WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日』

エリック・カウフマン/著、臼井美子/訳 亜紀書房 2023年発行

白人マジョリティが徐々に、白人の伝統的文化を身につけた混血人種のマジョリティへと変容していくモデル。
英国では2100年代に混血の人々がマジョリティになると著者カウフマンは予見する。

第2章………ホワイトシフト前章アメリカ史におけるWASPから白人への転換 より

人種差別、反人種差別と移民

1910年代と1920年代の移民に関する議論の新たな特徴は、人種差別である。アメリカの知識人は、カトリックに対する敵対心を反動的な感情だと考えていた。だが一方では、優生学を現代的で科学的なものとして高く評価していた。優生学は個人の遺伝的特徴を目指す科学であり、エスニック集団に優劣をつける科学的差別と結びついていた。カトリックアイルランド人とドイツ人は、当時、一部の人種主義科学者からアングロ・プロテスタントと同等の「北欧人(ノルディック)」とされており、旧移民の多くの議員がこの解釈を支持していた。だが、人種主義科学者のなかには、これに異議を唱え、アイルランド人を下位にランク付けする者もいた。

優生学は科学的な風格こそあったが、実際にはずさんな方法論に基づいたもので、既存の民俗的ステレオタイプを裏づけただけのものだった。たとえば、受刑者のなかにアフリカ系アメリカ人が少ないことが判明した時には、優生学者はその理由として、黒人はプランテーションで働いていたためにトラブルに巻き込まれなかっただけだというその場しのぎの話をでっちあげた。人類学者のフランツ・ボアズが科学的方法で頭の大きさを測定し、移民グループの脳の火うが小さいという優生学者の主張を否定すると、その研究結果は無視された。
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白人(ホワイトネス)であることが力ではなくアイデンティティが問題である理由

アメリカのナショナル・アイデンティティは、アングロ・プロテスタントの伝統を守ろうとするものから、白人を包摂するものへと変化した。批判的人種理論家は、これを権力の見地から考える。つまり、アフリカ系アメリカ人やその他の非白人に身の程をわきまえさせておくことに共通の政治的、経済的、地位的利益があるというのである。一方、極右の人々は異なる説明をするふだろう。それは白人には共通の遺伝子があり、その遺伝子が原初的な力で彼らを互いに協力させているというものだ。共通の物質的利益はもちろん重要だ。だが、アメリカの白人が、包摂的なリベラルと排他主義的な保守派に分離しているという事実は、民族境界の位置を決める際には、利益はせいぜい不完全な指針でしかないことを示唆している。遺伝的類似性も同様に人間の行動を促す遠因にすぎない。主に黒人のアメリカ人から成る「ドリームチーム」と、白人のセルビアのバスケットボールチームとの試合で、アメリカの白人がセルビアチームを応援することがどれほど不自然か考えてみてほしい。それよりも、文化的観点から説明したい。白色人種の外見は、プロテスタントの信仰や英語のように、アメリア独立以来、アメリカのエスニック・マジョリティである「我々」のシンボルでありつづけてきた。さらに、アメリカはいつの時代にも人種的多用性に富み、有名なマイノリティもいるが、ヒーローの敵と人口で勝ってきたのは白人である。白人であることとアメリカ人であることのミーム[生物学者ドーキンスが提唱した概念。習慣や物語など文化的・社会的な情報で脳から脳へとコピーされていくとした]は、現在は分離しはじめてはいるが、長らく密接に結びついてきたのである。

多くのWASPにとって、民族意識エス二シティ)とナショナル・アイデンティティは、完全に重なっていると言えるほど近い関係にある。
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さらに、人種の融合が進行しているにもかかわらず、白人のアメリカ人の間でも、WASPアメリカ人の原型でありつづけている。1982年にアメリカ人にエスニック集団の貢献度の評価を求めた調査では、最も貢献度が高いのは英国人で、次にアイルランド人、ユダヤ人、ドイツ人と続く、非欧州系グループが下位を占める結果になった。私は2017年3月19日から4月1日もかけて、MTurkで便宜的標本抽出法を用いて3つの調査を実施した。そのなかで、467人のアメリカ人に「どの姓もみな等しくアメリカ的なものだが、特徴的なアメリカ人の姓は何かと外国人から尋ねられたら、ブラウニング、グラツィアーノ、ヘルナンデス、シュルツ、ウォンのうちどれを選ぶか」と尋ねた。回答者の81%は英国人の姓であるブラウニングを選んだが、そう答えたのはクリントン支持者で86%、トランプ支持者では78%、アフリカ系アメリカ人では86%、ヒスパニックでは85%、白人では80%である。
宗教に関する同様の質問では、525人の回答者のうちの72%、また、カトリックの回答者では70%が、アメリカの特徴的な宗教としてカトリックユダヤ教ではなくプロテスタントを選んだ。英語とプロテスタント会衆派教会の宗教組織をとるか、もしくはプロテスタントに切り替えるかにかかわらず、アメリカ社会の文化的傾向は依然として英国文化順応主義なのである。

白人であるという自己意識の強い人は、当然ながら、アメリカの白人とキリスト教のシンボルと伝統に価値を置く民族伝統主義的なナショナリストの傾向をもつ。たとえば、デューク大学政治学者アンシュリー・ジャーディナの研究によると、白人であるという自己意識が強い人のうち、57%は「(真の)アメリカ人である」ためには白人であることが少なくともいくらか重要であると言い、23%はこれを非常に重要だと言うという。また、全体の80%が「真のアメリカ人である」であるためには「アメリカ人の祖先」をもつことが少なくともいくらか重要であると言い、62%がキリスト教徒であることがいくらか重要であると言うとのことだ。このあとで見ていくが、保守的なヒスパニックのアメリカ人とアジア系アメリカ人も、同様に白人キリスト教徒の伝統を重視する。実際のところ、イデオロギーは人種よりも民族伝統主義的ナショナリズムと密接に関連しているのである。

本章では、現代でも意味のあるアメリカ民族史のいくつかの側面を浮き彫りにしてきた。
第一に、ほとんどの欧州諸国と同様に、アメリカにも独立以来、エスニック・マジョリティが存在してきたということである。第二に、アングロ・プロテスタント・マジョリティは、2-世紀半ばに、かつてよそ者とみなしたカトリックユダヤ人を吸収するという1つの「ホワイトシフト」を経験してきたことである。そして最後に、特定のエスニック集団(特にアングロ・プロテスタントアフリカ系アメリカ人)が、アメリカという国と象徴的に絡み合っているということである。アメリカ人の3分の2はこれらのグループの構成員ではないが、それでも多くの人々は彼らを民族伝統的なもの、つまりアメリカをアメリカたらしめているものの一部として認識している。右派においては、現在、アングロサクソン系白人の伝統の保護に焦点を当てた民族伝統主義的ナショナリズムアメリカの政治における重要な力として浮上している。