カーナビの進化にオドロキ!JB64ジムニー専用ナビは未来の技術満載だった!?【ALPINE BIG X 車種専用ナビ】
GPS satellites
GPS satellites in their orbits
https://www.researchgate.net/figure/GPS-satellites-in-their-orbits_fig1_228936470
『世界を支えるすごい数学――CGから気候変動まで』
イアン・スチュアート/著、水谷淳/訳 河出書房新社 2022年発行
11章 まだ近くじゃないの? より
現在地を知るには
衛星ナビゲーションに欠かせないきわめて精確な同期信号は、高精度の原子時計によって生成されて何機もの特別な軌道周回衛星から送信される。セシウム時計自体の精度は1014分の5、1日あたり4ナノ秒である。位置の誤差に換算すると1日約1メートル。この変動(ドリフト)を補正するために地上局から定期的にリセットを掛けている。誤差の原因はほかにもあって、それについてはのちほど再び取り上げる。
現在ではいくつもの衛星ナビゲーションシステムが稼働しているが、ここでは最初に完成してもっとも広く使われているグローバル・ポジショニング・システム(GPS)に話を絞ることにしよう。
計画が始まったのは1973年、アメリカ国防省の指揮のもと進められた。このシステムの中核をなすのが軌道周回衛星で、当初は24機、現在は31機ある。プロトタイプの1号機が1978年に打ち上げられ、1993年に全機の運用が開始された。当初は軍事利用に限定されていたが、1983年にロナルド・レーガン大統領の命令によって低解像度なら民間人も利用できるようになった。GPSは改良が進められているし、現在ではいくつもの国が独自の衛星測位システムを稼働させている。
その皮切りがロシアのグローバル・ポジショニング・衛星システム(GLONASS)で、誤差は2メートル未満。2018年には中国が北斗衛星導航系統というナビゲーションシステムの運用を開始した。EUのシステムはガリレオという。EUから離脱したイギリスはガリレオにも参加しないだろうが、思慮分別よりも国の威信を優先するイギリス政府は独自のシステムを開発して稼働させると発表している。インドもNavICというシステムを構築しているし、日本も準天頂衛星システム(QZSS、”みちびき”)を構築中で、2023年にGPSへの依存状態から脱却する予定である。
GPSは運用上、宇宙(人工衛星)、コントロール(地上局)、ユーザー(車に乗っているあなた)という3つの”セグメント”から構成されている。人工衛星は同期信号を送信する。コントロールセグメントは衛星の軌道と時計の精度を監視して、必要に応じて軌道修正や時計のリセットの指令を送信する。ユーザーの携帯電話には小型の停電力受信機が搭載されていて、アプリに現在位置を知らせる。
GPS衛星をまとめて”コンステレーション(星座)”と呼ぶことが多い。夜空に輝く星の並びを表す伝統的な言葉だ。当初からあるGPSコンステレーションは24機の人工衛星から構成されていて、各衛星は地上2万200キロメートル、地球中心から2万6600キロメートルのほぼ円形の軌道を周回している(図.画像参照)。その後に追加された衛星はシステムの信頼性と精度を高めるためのもので、基本的な考え方には関係ないのでここでは無視する。軌道は6通りで、赤道と55°の角度で交わる平面上にあり、赤道のまわりに等間隔に配置されている。各軌道上では4機の衛星が等間隔で周回していて、つねに追いかけあっている。軌道半径は、各衛星が11時間58分ごとに同じ位置に戻ってくるよう数学的に決められている。そのため空のほぼ同じ位置に1日2回現われるが、その位置は徐々にずれていく。
続いての数学的特徴が、その軌道の形状である。衛星と軌道がこのようには配置されていることでもつねに衛星が6機以上見えている(信号を受信できる)。その6機がどの衛星であるかは地点によるし、地球が自転して衛星が軌道を周回するため、時間が経つにつれて入れ替わっていく。
GPSはユーザーが衛星にいっさい情報を送信せずに済むように作られている。代わりにユーザーは、見えるすべての衛星から送信される同期信号を受信する受信機を備えている。その受信機が同期データを処理して現在地をはじき出す。その基本原理は単純なので、最初に見ていくことにしよう。そしてその後に、現実世界で機能させるのに必要ないくつかの付加機能を取り上げることにする。
まずは衛星を1機だけを考えよう。その衛星が同期信号を送信し、あなたの受信機はその信号に基づいて、この瞬間にその衛星がどれだけ遠くにあるかを計算する。たとえば2万1000キロメートルだったとしよう。この情報によってあなたの現在地は、衛星を中心とする半径2万1000キロメートルの球面上にあることが分かる。これだけではほとんど役に立たないが、同時刻のにほかにも5機以上の衛星が見えている、それらを衛星2、衛星3、……衛星6と呼ぶことにしよう。各衛星の送信する同期信号をあなたの受信機が同時に受信すると、それぞれの信号に基づいてあなたの現在地は、各衛星を中心とする別々の球面上にあることになる。
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完璧な世界ならこれで一件落着で、衛星5と衛星6は不要だろう。しかし現実にはそう簡単にはいかない。あらゆるものに誤差が付きまとうからだ。地球の大気によって信号が減衰したり、電気的干渉が起こったりするかもしれない。そのためあなたの現在地は、問題の球面上でなくその近くにあるということになる。あなたの位置は、その球面を含む、ある程度の厚みをもった球殻の中にあるということだ。したがって4機の衛星と4つの信号だけではある程度の精度でしか現在地を特定できず、完璧にではない。そこでGPSでは、もっと制度を上げるために追加の衛星を用いる。それによって、厚みを持った球殻がさらに小さい領域に切り分けられる。この段階ではほとんどの場合、あなたの位置を特定する各方程式は、誤差を無視すれば互いに辻褄が合っていない。しかし統計学の昔ながらの手法を拝借すれば、誤差の合計を最小化することであなたの位置をできるだけ精度良く推計できる。その手法を最小二乗法といい、ガウスが1795年に編み出した。
ポイントは、あなたのGPS受信機が比較的単純な一連の幾何学的計算を体系的におこなうだけで、あなたの位置をできるだけ精度良く推計できるという点である。それを地上の細かい起伏と比較すれば標高まではじき出せる。標高は緯度・経度よりも精度が低い場合が多い。
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どうでもいい、じじぃの日記。
GPSには、アインシュタインの一般相対性理論が使われている
よく一般相対性理論をやさしく解説した本には、浦島太郎の話が出てきます。
光の速度の90%のロケットが存在するとします。
ロケットが宇宙旅行をしてロケット内の時間で1年経って地球に戻ってきたとすると地球では約2年の時間が過ぎているのです。
一般相対性理論によると、高さによって重力の強さが違うため、人工衛星と地上とでは時間の進み方が異なります。重力の違いによるこの時刻のずれは、1日でおよそ38マイクロ秒くらい。これはGPSの計算による位置にすると、1km以上違うことになります。
こんなに違ってしまうと、正しい位置とはいえません。そこで GPSでは、ごくわずかの時刻のずれもきちんと補正して、正しい位置を求めることができるようにしているのです。
生活のなかに相対性理論が使われているのです。