じじぃの「チェスの天才少年・実は太極拳の世界王者になっていた!ボビー・フィッシャーを探して」

Searching For Bobby Fischer Trailer 1993

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=gghecEHT4PI

Chess Josh Waitzkin

チェスが強い国ランキングトップ10

2021.07.20 ランキング記事
チェスが強い国のランキングについてです。
世界にはチェスが盛んな国がたくさんありますが、その中でも特にチェスが盛んで強豪選手が多い国をランキング形式でご紹介します。
1位:ロシア レート平均:2739
https://www.chessnoakatsuki.com/archives/1673

『映画になった奇跡の実話 これが美談の真相だ』

鉄人ノンフィクション編集部 鉄人文庫 2021年発行

チェスの天才少年ジョシュは太極拳の世界王者になっていた

ボビー・フィッシャーを探して」はチェスの天才少年が、周りの期待や強さゆえの苦悩を抱えながら成長していく姿を描いた1993年のアメリカ映画で、AFI(アメリカン・フィルム・インスティチュート)が2006年に発表した”感動の映画ベスト100”の1本にも選出された、隠れた名作だ。
題名にもなっているボビー・フィッシャー(1943年生)は1972年、ソ連の強豪スパスキーを破り、米国人として初めて世界王者となった伝説のチェスプレイヤーで、本作の主人公ジョシュ・ウェイツキンは、そのフィッシャーの再来と呼ばれた実在の人物である。
将来の活躍を期待されたジョシュだが、映画公開からまもなくチェスの表舞台から退き、その後、歩む道をがらりと変更、なんと太極拳の世界王者になっていた。
映画は、スポーツ記者で作家のフレッド・ウェイツキンが、長男ジョシュの幼年期の暮らしを綴ったノンフィクションが基になっている。舞台は1980年代前半のニューヨークだ。
1976年生まれのジョシュがチェスと出会ったのは6歳のとき。母親と散歩中にワシントン・スクエア公園で街頭チェスを目撃したのがきっかけだった。
たちまちチェスの魅力に取りつかれた彼は毎日のように公園に通い大人を相手に対戦、非凡な才能を発揮する。その姿を見た父親フレッドが、息子を本格的なチェスプレイヤーに育てるべく指導を頼んだのが、かつてチェスの世界的プレイヤーだったブルース・パンドルフィーニだ(劇中でベン・キングズレーが演じていた役)。
”第2のボビー・フィッシャー”を目標に1対1の特訓が進められると、ジョシュの才能は開花し、少年少女チェストーナメントを次々に制覇していく。そして、映画の最終盤で描かれる全米少年少女トーナメントでの優勝。ジョシュはまだ7歳だった。ちなみに劇中では、この決勝戦のシーンでジョシュが対戦相手の少年を気遣い引き分けを提案し相手に断られているが、実際には引き分けが成立、再試合の結果、優勝を手にしている。
その後、ジョシュは全米チェストーナメントの21歳以下の部門で8回優勝。16歳で「インターナショナル・マスター」(国際チェス連盟が規定するレイティング2400以上の有資格者に与えられる称号。クラスは8段で、日本では2人しかいない)となる。ちょうど映画が公開された1993年頃のことだ。
映画は本編が終ると、こんな字幕が流れる。
「ジョシュは今もチェスを続け、18歳未満での全米第1位」
順調に進めば、フィッシャー以来のアメリカ人世界チャンピオンになることも夢ではなかった。が、本作公開をきっかけにジョシュの人生は大きく変わっていく。
映画がヒットしたことで、彼の名前は全米に知れ渡り、一躍セレブの仲間入りを果たす。チェスの大会に出れば黒山の人だかりで、女の子が電話番号を渡してくる。もっともジョシュはそれで有頂天になるような人間ではなかったが、本人曰く「競技者としての重力の中心を失った」らしく、彼はその頃出会った孔子の教えに導かれ、太極拳に没頭し始める。
何とも理解し難い選択だが、若くして天才の名を欲しいままにしたジョシュには思想哲学に傾倒する素養ができあがっていたようで、彼に言わせれば「チェスと太極拳はどちらも厳しい訓練が必要で、その経緯は自分探しをしているところが似てい」らしい。
その言葉どおり、ジョシュは本格的に太極拳を始めて数年で「推手(すいしゅ)」(投げ技中心の格闘技)で全米チャンピオン、そして世界王者まで上りつめる。まさに天は二物を与えたのだ。

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