じじぃの「科学・芸術_879_クロード・シャノン・チェスコンピュータ」

Claude Shannon - Father of the Information Age

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=z2Whj_nL-x8&t=1151s

Claude Shannon's Chess Board

クロード・シャノン

ウィキペディアWikipedia) より
クロード・エルウッド・シャノン(Claude Elwood Shannon, 1916年4月30日 - 2001年2月24日)はアメリカ合衆国の電気工学者、数学者。20世紀科学史における、最も影響を与えた科学者の一人である。
情報理論の考案者であり、情報理論の父と呼ばれた。情報、通信、暗号、データ圧縮、符号化など今日の情報社会に必須の分野の先駆的研究を残した。アラン・チューリングジョン・フォン・ノイマンらとともに今日のコンピュータ技術の基礎を作り上げた人物として、しばしば挙げられる。
【シャノンのチェスプログラム】
1949年にコンピュータチェスに関する画期的な論文「チェスのためのコンピュータプログラミング」を発表し、力ずくの総当たりでなくコンピュータがチェスをする方法を示した。
コンピュータがどの駒をどう移動するかを決定するのにシャノンが用いた方法が、評価関数に基づいたミニマックス法だった。評価関数は、駒の価値や、駒の位置の価値、移動の価値などをすべて数値化して「局面」の価値を評価するものであり、シャノンはその後のゲーム展開を探索木(Search tree)に分類してどの着手がもっとも良いかを探索する方法について考察している。この論文はコンピュータゲームでのコンピュータの思考プログラム設計の原典となった。

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クロード・シャノン 情報時代を発明した男』

ジミー ソニ、ロブ グッドマン/著、小坂恵理/訳 筑摩書房 2019年発行

チェスコンピュータ初号機 より

1965年にロシアを訪れたシャノンは、インターナショナル・グランドマスターであり、3度にわたって世界チャンピオンに輝いたミハイル・ボトヴィニクに親善試合を申し込んだ。おそらく様々な用心との遊びのゲームに何度も付き合わされていたボトヴィニクは、朝鮮に応じたもののゲームに気乗りではなく、ずっとタバコを吸い続け、関心のなさは部屋にいる全員に伝わった。ところがゲームが始まってほどなくシャノンは、ナイトとポーンをボトヴィニクのルークといきなり交換し、有利な立場を確保した。ボトヴィニクは直ちにチェス盤に集中し始め、部屋の雰囲気はがらりと変わった。今回の要人は、いつものへたくそな挑戦者とは違うことをロシア人のチャンピオンは認識したのだ。「ボトヴィニクは心配そうでした」と何年も後にベティは回想している。
仰天した世界チャンピオンをはじめ、誰もが予想していた以上にゲームは長引いた。それでも結果に疑いようはなかった。42回目の指し手の跡、シャノンはキングをひっくり返して負けを認めた。史上最強のチェスプレイヤーのひとりと評されるボトヴィニクを相手に大健闘したことは、シャノンにとって生涯にわたる自慢の種になった。
(このロシア訪問でのもうひとつの出来事からは、シャノンとベティのユーモアセンスがうかかえる。ホテルの部屋の鍵がこじ開けられているとシャノンが声を出して文句を言うと、直ちに錠前師がやって来たので、ソビエト当局によって会話を盗聴されているのではないかとふたりは疑いを強めた。そこで今度は、自分の著書のロシア語版の印税を受け取っていないとシャノンが声に出して文句を言うと、翌日には小切手が発行されたのだった)。
シャノンはコンピュータ・チェスに関する研究を始めるが、やがてこれもまた情報理論のときと同様、新しい分野に進出した途端にその限界を明らかにして、重要な可能性を数多く発見した事例のひとつと見なされた。
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やがてシャノンは、人工的な脳が有機的な脳の能力をしのぐ日が来るという確信を強めた。彼が築いた土台に基づいてプログラマーグランドマスターレベルのチェスコンピュータを構築するのは何十年も先の出来事だが、そのような結果は回避できないと信じていた。機械が創造者を決して超えられないなど、彼によれば「馬鹿げた論理であり、間違った不正確な論理」だった。さらに彼はこう言う。「自分よりも賢いものを作るのは可能だ。このゲームでは、時間とスピードが賢さの決め手の一部になっている。僕は自分のニューロンよりも速く機能するものを作ることができる」。そこに神秘的な要素はいっさいない。
  僕は、人間は機械だと思う。冗談ではない。コンピュータと同じではないし、仕組みも異なるが、人間は非常に複雑な機械だと考えている。そして、人間は簡単に複製できる。人間には10の10乗、すなわちおよそ100億個の神経細胞があるが、このすべてを電子機器でモデル化すれば、人間の脳のように作用するだろう。もしも[ボビー・]フィッシャーの頭のモデルを制作すれば、フィッシャーの脳と同じように動作するはずだ。