じじぃの「歴史・思想_443_日本経済予言の書・アマゾンエフェクト」

Introducing Amazon Go and the world’s most advanced shopping technology

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=NrmMk1Myrxc

アマゾン対ウォルマート

時代を読む 「アマゾンエフェクト(Amazon-Effect)」

2017年9月8日 株式会社エスワイ・ロジステックス
インターネットの記事からお借りしたウォルマートとアマゾンの比較です。
ウォルマートはご存知の通り全米最大の小売りチェーンです。
売上で見ると2015年時点でアマゾンの5倍近くあります。
しかしながらすでにその時価総額ウォルマートを大きく上回っています。
市場はアマゾンを既にウォルマート以上の価値と受け取っているのです。
http://sy-logistics.jp/workmaterial/1434/

『日本経済 予言の書』

鈴木貴博/著 PHPビジネス新書 2020年発行

第4章 アマゾンエフェクトが日本の流通を破壊する日 より

楽天市場の試練

アマゾンエフェクトという言葉があります。アメリカでインターネット通販の拡大のせいでリアル店舗を運営する小売店がつぎつぎと業績を悪化させていく現象です。2020年代にはそれが日本にも本格波及すると考えられています。この章では、日本の小売流通業界がアマゾンエフェクトによって破壊されていく順序を具体的に予測していきたいと思います。
さてそのことに先立って、ひとつ触れておきたい話題があります。それが日本のインターネット通販大手だって楽天市場の混乱です。
2020年2月、楽天市場を運営する楽天公正取引委員会の立ち入り検査が入りました。前年の8月に楽天が「3980円以上購入した顧客に対し、出店側の負担で一律送料を無料にする」方針を打ち出したことが、楽天の加盟店に対する優越的地位の乱用にあたる可能性があるという判断です。
楽天三木谷浩史社長は、公取が入ったにもかかわらず送料無料については当初は予定通り実施すると表明しました。「激しい競争を乗り切るにはこれしかない」という理由からです。しかし最終的にはその方針を撤回します。楽天に何が起きているのでしょうか。
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ライバルであるアマゾンはプライム会員であれば送料無料という条件を武器に日本での勢力を伸ばしています。わかりやすくて安い送料がアマゾン成長の鍵だと三木谷社長は捉えているのです。
しかし楽天の加盟店から見れば、自社で従業員を使って商品を梱包し、それを宅配会社を使って配送しているわけで、荷物の大きさや倉庫の運営状態にもよりますが、ダンボールひと箱を発送すれば合計で1000円ぐらいの梱包コストと宅配コストがかかっているわけです。それを一律無料にさせられたらどこで利益を出すのかという死活問題になります。
この問題の本質が何かというと、ライバルであるアマゾンの配送コストが業界の中です。すごく低いということです。これはかつて社会問題になったようにヤマト運輸の配送費を極端に低く抑えてきたからではありません。宅配費用が値上げされた後でもアマゾンの商品ハンドリングコストは非常に低い。なぜかというとアマゾンはトヨタをまねて物流面のカイゼンを何年もの間、重ねてきたからです。

ベゾスが買収を狙う日本の大手小売企業はどこか?

さて、アメリカでアマゾンゴー(無人コンビニ、Amazon Go)というコンビニが成功したとして、次に彼らは何をするでしょうか。当然、日本でのアマゾンゴーの展開を開始するはずです。
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さてみなさんご存じの通り、日本はコンビニ大国です。業界首位のセブン-イレブンが全国に約2万1000店舗、2位のファミリーマートが約1万7000店舗、3位のローソンが約1万5000店舗(各、2020年3月時点)と日本のコンビニは飽和状態にあります。
この市場にアマゾンが無人コンビニで参入する場合、一からオーナーや店舗を募集し、お弁当やおにごりの供給メーカー、PB商品の開発メーカーを開拓したとしたら、日本市場を制覇するのに20年はかかってしまいます。
でもジェフ・ベゾスにすれば、もっと簡単で早く参入方法がある。それが日本のコンビニ大手を買収することです。
ではどうするか・私がベゾスならファミリーマートかローソンを買収します・
日本のコンビニの時価総額を見ると首位のセブン-イレブンがグループ企業を含むセブン%アイ・ホールディングスとして約3.1兆円なのに対し、2位のファミリーマートが約9000億円、3位のローソンが約6000億円(各、2020年4月時点)と、ファミマもローソンもアマゾンから見れば買える値段の会社です。

アマゾンゴーがセブン-イレブンを破壊するシナリオ

「しかしファミリーマート伊藤忠商事が、ローソンは三菱商事がそれぞれ大株主で、どちらの商社も消費者流通ビジネスの中核会社としてコンビニ事業を位置付けているから、手放すはずがないじゃないか」
と普通の日本人なら考えるでしょう。でも本当にそうでしょうか?
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私には選択肢はひとつしかないようにしか思えません。ライバルより先に、アマゾンにコンビニを売却することです。そのうえで総合商社らしく、日本でのアマゾンのビジネス展開に食い込む逆オファーを提示するのが正解でしょう。
ちなみにアマゾンにとってセブン-イレブンを買収するメリットはゼロです。買収の経済学としては、セブンよりも安いチェーンを買収してそれをバリューアップすることが重要です。セブンとの時価総額を逆転させる部分がアマゾンのうまみになるとともに、利益の源泉になるのです。

さてこの章でお話したことが、2020年代に日本の小売業界がその洗礼を受けることになるアマゾンエフェクトによる業界破壊の予言です。

細部についてはあくまで予測ですが確度の高い予言としては、2030年にむけ、家電量販店が消え、ホームセンターが凋落し、アパレル業界が衰退し、GMS(総合スーパー)だけでなく食品スーパーも赤字基調になる。
メディアの世界でも地上波のテレビはアマゾンプライムビデオのような動画配信に押され、音楽コンテンツもアマゾンエコー経由でダウンロードするのがユーザーの主流になる。
そして、2030年の日本の街中にはコンビニが2020年と同じようにたくさん存在するでしょうけれども、その中で一番目立つ、そして唯一の高収益のコンビニの看板は緑とオレンジではもはやなく、黒地に白い電飾のアマゾンゴーの看板になっていると予言しておきましょう。