じじぃの「科学・芸術_863_人類宇宙に住む・ひも理論」

String Theory / Theory of Everything [Basics / Simplified]

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=cxQ5eRqHJ2o

String theory

超弦理論

ウィキペディアWikipedia) より
超弦理論(英: superstring theory)は、物理学の理論、仮説の1つ。
物質の基本的単位を、大きさが無限に小さな0次元の点粒子ではなく、1次元の拡がりをもつ弦であると考える弦理論に、超対称性という考えを加え、拡張したもの。超ひも理論、スーパーストリング理論とも呼ばれる。
宇宙の姿やその誕生のメカニズムを解き明かし、同時に原子、素粒子クォークといった微小な物のさらにその先の世界を説明する理論の候補として、世界の先端物理学で活発に研究されている理論である。この理論は現在、理論的な矛盾を除去することには成功しているが、なお不完全な点を指摘する専門家もおり、また実験により検証することが困難であろうとみなされているため、物理学の定説となるまでには至っていない。

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『人類、宇宙に住む 実現への3つのステップ』

ミチオ・カク/著、斉藤隆央/訳 NHK出版 2019年発行

先進文明 より

一般に、数学者は創意に富む新しい体系を生み出し、のちにそれを物理学者が理論に組み込む。たとえば曲面の理論は19世紀の数学者によって考案され、その後、1915にアインシュタインの重力理論に組み込まれた。しかし今後は逆のことが起った。ひも理論は数学の新分野を数多く切り開き、数学者を仰天させたのである。若く野心に満ちた数学者は、えてして自分たちの分野の応用には軽蔑の目を向けるが、最先端を行きたければひも理論を学ばなくてはならない。
アインシュタインの理論はワームホームや超光速航行の可能性を許容しているが、量子補正があるなかで、ワームホールがどれだけ安定しているのかを見積もるには、ひも理論が必要になる。
要するに、こうした量子補正が無限大なので、その無限大をなくすことが物理学における根本的な問題のひとつになっている。ひも理論でそうした量子補正を排除できるのは、ちょうど打ち消し合う2種類の量子補正があるためだ。このようにして粒子とス粒子で正確な相殺が起こるのは、超対称性のおかげなのだ。
だが、ひも理論がエレガント強力でも、それだけでは十分でない。結局は最後の試練に向かうことになる。実験だ。
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超空間に住む

ご存知のとおり、宇宙のどんな物体も、縦、横、高さという3つの数で記述できる。これに時間を加えると、4つの数で宇宙のどんな事象も記述できる。私がだれかとニューヨーク市で会いたいとき、たとえば42丁目、5番街の10階で正午にお会いしましょうと言うだろう。だが数学者から見て、座標が3つか4つしか必要ないというのは恣意的に映るだろう。3次元や4次元には何も特別なことがないからだ。物理的な宇宙の最も根本的な特徴が、そんな平凡な数で記述されるはずがないではないか。
だから数学者はひも理論に抵抗を感じない。しかし、この高次元を視覚化するために、物理学者はたとえを用いることが多い。子どものころ、私はよくサンフランシスコのジャパニーズ・ティー・ガーデン[1894年の国際博覧会に合わせて造成された日本庭園]を何時間も眺め、浅い池で泳ぐ魚を見ながら、子どもならではの自問をしていた。「魚になったらどんな感じがするのかな?」。どんなに奇妙な世界を魚は見ているのだろう、と私は思った。魚は宇宙にはふたつの次元しかないと考えているはずだ。この狭いスペースで、泳げるのは横方向だけで、上下には動けない。池の外の3つめの次元の話などしようとしたものなら、いかれていると仲間に思われるだろう。そこで私は、だれかが超空間の話をするたびにいつもばかにしている魚が池にいると想像してみた。その魚にとって、触れて感じることのできるものだけが宇宙だからだ。私がその魚をつかみ、「上」の世界へ持ち上げたら、魚は何を目にするだろう? ひれがなくても動いている生き物を目にする。新たな物理法則の発見だ。その生き物は、水がなくても呼吸している。今度は新たな生物学の法則である。それからこの科学者となった魚を池に戻したら、ほかの魚たちに「上」の世界には驚くべき生き物が住んでいると語らずにはいられないだろう。
これと同じで、われわれは魚なのかもしれない。ひも理論の正しさが証明されれば、住み慣れた4次元世界の向こうにまだ見ぬ次元があることになる。だがそんな高次元がどこにあるのか?
ひとつ考えられるのは、もともとの10次元のうち6つは「巻き上げられて」いるため、見れなくなっているという可能性だ。紙を巻き上げて細い筒を作るとしよう。元の紙は2次元だが、巻き上げることで1次元の筒ができる。遠目には1次元の筒にしか見えないが、実際には2次元のままなのだ。
同様に、ひも理論によると、宇宙はもともと10次元だったが、なんらかの理由で6つの次元が巻き上げられた結果、われわれは世界に4つの次元しかないと錯覚させられている。このひも理論の特徴は現実離れしたものに思えるが、いまや実際にそうした高次元を観測しようという試みがなされている、