じじぃの「科学・芸術_506_日本の未来・ロボット」

AMAZING DARPA ROBOT 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=9BqpHGp3vqo
初音ミクのロボット完成 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ZGmpaIWJ4qs
働く女性の不安 (prtimes.jp HPより)

AI・ロボットに何をどこまで期待するか  2018年4月13日 ソイソース
●『ロボットが家にやってきたら――人間とAIの未来』
「ロボットが私たちの生活に入ってきたらどうなるか」という未来を考えていく1冊。
欧米文化の中での「ロボット」と日本文化の中での「ロボット」の受容はどう異なるのか、近代以降の歴史を振り返る。その上で、これからロボットやAIという新しい「他者」との共生はどうあるべきかを、考察していく。著者は、日本のロボット技術は優れていても、これまで「ヒューマノイド型」にこだわり過ぎてきたのではないか、と指摘する。
著者は、もっとも現代的なロボットの姿として、歌声合成ソフトである〈初音ミク〉を挙げている。人型ロボットから一歩離れ、プログラムに従って歌うだけの、身体を持たない〈初音ミク〉をロボットとして見ることで、「ロボット」とは何かを改めて考えさせる。
https://www.soysource.net/2018/04/shinsho-20180413/
『ロボットが家にやってきたら――人間とAIの未来』 遠藤薫/著 岩波ジュニア新書 2018年発行
なぜ人間はロボットをつくろうとするのか より
後でも説明するが、人間にとってロボットとは、自らの生の根源に関わるものである。だから、人間がロボットに抱く愛憎は、古く、深い。
それにしても、なぜ、現在、ロボットに特に関心が集まっているのか。
その背景には、現代社会が抱えるさまざまな問題がある。
2015年5月、私は、「生命倫理に関する意識調査」(以下、「2015年5月調査」と略記)を行った。そのなかで、「今あなたはどんなことに不安を感じていますか?」という質問をした。
これによれば、現代の日本人にとって、最大の不安は「老後・病気」であり、第3位には「災害」がはいっている。これらは、そもそも人間にとって、抗(あらが)うこのとできない自然がもたらす大きな危険であり、人間は自然に対抗できるような「力」を得たいと努力を続けてきた。近代以降の自然科学の発展はまさにそのような動機によるものであり、時代を超えた関心事であるといえる。
しかし、なかでも今、特に関心が高まっている背景には、現代に特徴的な要因が考えられる。以下に、その代表的なものを挙げてみよう。
ドイツの社会学者、ウルリッヒ・ベック(1944-2015)は、現代を「リスク社会」と形容した。科学技術がどれほど発展しても、さまざまな災害リスクはあくまでもつきまとう。
そのなかには、科学技術が発展したことでかえって増大したリスクもある。ベックが特に注目したのは、起こる確率はきわめて低いが、いったん起こったら壊滅的な被害をもたらすようなリスクである。
ロボットやAIはリスク対策として次のような需要に応えるものとして期待されている。
(1)東日本大震災をはじめとした自然災害の脅威から、災害救助や復興のために、人間ではできないような仕事・作業をするロボットの需要拡大。
(2)福島原発を典型とする産業災害は、高度に発達した今日の技術産業では、いったん事故が起こると取り返しのつかない災禍を生み出す。人間が作業不可能な場所で修復作業をなどを行うロボットの需要拡大。
(3)現代世界には、残念ながらさまざまな紛争がある。紛争の場で、人間に代わって、物資の輸送、敵の監視、実践などの任務を担わせるロボットの需要拡大。
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こうした期待は世界的に高まっている。特に東日本大震災時の福島原発事故の経験から、2012年以降、アメリカ国防総省の研究組織であるDARPAが音頭をとって、災害対応ロボットのコンテスト「DARPAロボティクス・チャレンジ(DARPA Robotics Challenge:DRC)」が開催されている。
だが、2015年6月の決勝戦で、優勝候補と見なされていた日本チームは惨敗を喫する結果となった。
惨敗の原因はいろいろ挙げられているが、その1つとして、日本におけるロボット観が足枷(あしかせ)になっているとの説がある。すなわち日本のロボット技術は優れているが、ヒューマノイド型(人間型)であることに過度にこだわり、AIBO(2018年発売の製品はaibo)にせよ、ASIMOにせよ、性能や機能よりもその表現を重視して、人間に代わって困難な作業を果す機会というよりも、ペットや話し相手などコンパニオン(伴侶)的役割を目指す傾向が見られるというのである。
その結果、人間らしさには重きを置かず、性能重視で世界の潮流から取り残されるガラパゴス化(日本特有の技術発展も特徴を指していわれる。全体よりも細部の機能を高度化する傾向がある)が起っているという批判である。
意外にも、日本においても、伴侶型ロボットに対するニーズは必ずしも高くないことが、「2015年5月調査」から見てとれる。
なぜこのようなことが起こるのか。またそれは何を意味するのか。日本の技術は根本から方向を誤っているのか。