宇宙創生の瞬間 動画 Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=nhNES27rpN8
宇宙のインフレーション
宇宙は膨張(インフレーション)してビッグバンが始まったとする量子論的ミクロの解釈が必要 2016/04/09 カムサビア
●インフレーション宇宙論によって、ビッグバン宇宙論の問題点として指摘されていたいくつかの点が解決されるようです。
これらの問題の中には、観測される宇宙が極めて平坦であること(平坦性問題)、因果律的に結びつきを持たないほど大きなスケールにわたって宇宙が極めて一様であること(地平線問題)、多くの大統一理論(GUT)のモデルで存在が予言されている空間の位相欠陥が全く観測されないこと(モノポール問題)などが含まれているといいます。
http://kamusabia.com/utyu-botyo-inflation-bigbang-ryoshiron-micro/
『時空のからくり 時間と空間はなぜ「一体不可分」なのか』 山田克哉/著 ブルーバックス 2017年発行
重力は時間を支配する――重力と時間のふしぎな関係
今、1つの細菌が1秒後間に銀河の大きさにまで膨れ上がってしまったとします。「まったくのナンセンス。物理法則に外れている!」といって、きっと誰も耳を傾けてくれないでしょう。
ところが、です。ほぼ138億年前の誕生からすぐ後に、宇宙にはこのような大膨脹が起きたとされているのです。この大膨脹は「インフレーション」とよばれています。
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インフレーションによって大膨脹を起こした宇宙では温度が急激に下がり、内部に蓄えられていた巨大なエネルギー(潜熱)がどっと吐き出されます。この吐き出されたエネルギーは、宇宙をきわめて高温・高圧に状態にします。急速に高温・高圧状態になった宇宙は、インフレーションほどの勢いはないものの膨張し続け、強烈な光を放ちます。その光は、波長のきわめて短い電磁波です。
これがいわゆる「ビッグバン」、俗にいう「火の玉宇宙」です。その巨大なエネルギーはビッグバン後、 E = mc2 によって物質化され、宇宙には素粒子(内部構造をもたない粒子)が発生します。誕生直後の素粒子たちは、高温のためにあちこちででたらめな方向に猛烈な勢いで飛び交っていました。これらの素粒子の主なものが「光子」(粒子状の光。フォトン)です。他に、クォークやニュートリノ、電子も存在していました。
クォークや電子は電気を帯びている「荷電粒子」ですが、ニュートリノや光子は電荷をもたない電気的に中性な素粒子です。電子はマイナスの電荷をもっていますが、この時期にはプラスの電荷をもつ電子(陽電子とよばれる)も走り回っていました。電子と陽電子は合体して消滅し、消滅点からは2つの光子が生成して互いに反対方向に走り去りますまた、これとは逆に、消滅する光子からは電子と陽電子が発生します。
クォークにもプラスの電荷をもつものとマイナスの電荷をもつものとがあります。ビッグバン後、これらの素粒子たちは光速度で飛び回るために、全体としては高温のガスを形成します。この高温のガスを形成している素粒子たちはプラスの電荷とマイナスの電荷が同等にあるために、ガス全体としてはプラスとマイナスが相殺されて電気的に中性となっています。このように、電気的には中世であるものの、プラスやマイナスの電荷をもつ素粒子から構成されている高温のガスは「プラズマガス」と称されています。ビッグバンから数分後に、宇宙はプラズマガスの状態になりました。
ビッグバンが起きたときに強烈な光が出ますが、このときの「残光」はのちに、宇宙進化の解明にきわめて重要な役割をはたすことになります(現在も残るビッグバンの名残である「宇宙背景放射」)。
宇宙誕生直後の「時空のゆらめき」――138億年前の「原始重力波」とは何か
2016年2月にLIGO(アメリカの重力波検出装置)がとらえた重力波は、13億年前に連星ブラックホールの衝突によって発生したものでした。13億年も前に起こった出来事……、気が遠くなりそうですが、これでもまだまだ”最近”と感じてしまうほど、太古の昔に生じた「時空のゆらぎ」が存在します。それが、今から実に138億年前(!)、宇宙誕生直後に発生した「原始重力波」です。
この原始重力波には、LIGOがとらえたような一般的な重力波とは大きく異なる際立った特徴があります。宇宙誕生後のまだ物質が形成される前、すなわち、重力波の発生源であるはずの「質量」がまったく存在しない時期に発生したものであるということです。質量(発生源)が存在しないのに生まれた重力波……。原始重力波はまるで、”幽霊”のような存在なのでしょうか?
謎めく原始重力波発生のカギを握るのが、宇宙のインフレーションです。インフレーション理論は、現時点ではあくまでも”理論”にすぎず、検証されたわけではありません。一説には「100以上ある」といわれるほど、いくつかの異なる理論が考えられており、やや厳しい表現をすれば”机上の理論”です。しかし、インフレーションが実際に起こったと仮定すれば、次の3つの難題をきわめて整合的に説明することができます。
①平坦性問題(観測できる範囲内の宇宙は、大局的には曲がっておらず平坦である)
②地平線問題(宇宙はこんなに広いのに、なぜ一様で因果関係があるのか)
③モノポール問題(どんな磁石もN極とS極が対になっている。なぜN極だけ、あるいはS極だけという「磁気単極子(モノポール)」がどこにも見つからないのか?)