GRO J1655-40 in Orbit in the Milky Way (Sun in yellow) 動画 Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=WFH-5Ie-s3s
Harlow Shapley
天の川から銀河系へ
銀河系宇宙はどのようにしてわかったのだろう。
アメリカのハーロー・シャプレーは、1914年からウイルソン山天文台で球状星団の研究を始めました。
球状星団は、何万もの星が集まったものです。シャプレーが研究を始めた頃には、明るさを変える星を調べると距離がわかることが知られていました。シャプレーは、ヘルクレス座のM13という球状星団の距離を約10万光年と計算しました。M13はカプタインが考えた銀河系のずっと外になってしまいます。
http://kodomo123.jp/tsu_wkk/star/Gingakei/gingakei.htm
『宇宙論と神』 池内了/著 集英社新書 2014年発行
宇宙の中心は? より
地球が宇宙の中心にあって世界は地球の周りを回るという天動説宇宙は、神が存在するこの地球こそが宇宙の中心にあるという考え方であったが、やがてダンテの世界像のように、神は天体の彼方の天国に去り行き、唯一無二の地球には紙に選ばれた人間が居住するが故に宇宙の中心にあるべきという考えに移り変わってきたようだ。少しずつ人間中心主義の色がこくなってきたと言えるだろう。コペルニクスによる地動説宇宙への転機を受け入れれば、地球は平凡な1つの星に過ぎず、唯一無二ではなくなってしまうのだ。それ故にローマ教会は抵抗したのである。
地動説を受け入れざるを得なくなっても、なお太陽系は宇宙の中心にあることを人々は望んでいた。やはり、私たちを中心とした宇宙であればこそ安心できるためだろうか。ハーシェルが銀河系の星分布を観測した図を提出したが、太陽系はその中心にあると仮定していた。実際、星は多数存在しても遠くの星の光は星間に存在するチリやガスに吸収され、実際に観測できる星は比較的近くの星に限られている。そのため、周囲を見ればどの方向にも同じ数だけの星が観測できるから、観測者たる人間は宇宙の中心にいると誤解しても不思議ではなかったのだ。
しかし、20世紀に入って、太陽系は銀河系の中心ではなく隅っこにあることが明らかになってきた。ハーロー・シャプレー(1885年〜1972年)の仕事である。シャプレーは、変光星の光度と変光周期の間に簡単な関係があることに目をつけた。実は、それ以前にハーバード大学天文台のヘンリエッタ・リービット(1868年〜1921年)が小マゼラン星雲に存在するセファイド型変光星の見かけの光度と変光周期の間に簡単な関係があることを見出していた。何らかの方法で絶対光度と見かけの光度の関係がわかれば、この関係を用いて変光周期から距離が決定できることになる。シャプレーはセファイド型変光星について、この関係を確立したのである。これによってハローに存在する球状星団中のセファイド型変光星までの距離を決定することができたのだ。
その結果、球状星団は射手座方向に集中しており、その反対側には少ないことを明らかにした。球状星団は天球面上に満遍なく一様に分布していないのだ。
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併せて、球状星団の分布の中心と銀河系の中心とが同じであるとして、私たちが中心からどれだけ外れているかが決定された。その結果、銀河系円盤の直径が10万光年にもなり、そこには1000億個を超える星が含まれることがわかってきた。銀河系は巨大な星とガスの集団なのである。この事実が、優れた天文学者であったシャプレーですら宇宙の大きさについて誤解させたのかもしれない。