じじぃの「科学・芸術_225_コスタリカ・自然保護法」

Costa Rica Eco-Tourism 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=MeynzQz4SXk
コスタリカ エコツーリズム

『経済成長という呪い 欲望と進歩の人類史』 ダニエル・コーエン/著、林昌宏/訳 東洋経済新報社 2017年発行
どのようにすればデンマーク人のようになれるのか――ポスト工業社会への移行 より
今日でも、人々の社会的な暮らしは、世界中どこでも同じというわけではない。デンマークは、ポスト工場社会へうまく移行した例として、しばしば紹介される。国際的な調査によると、デンマークは世界で最も幸せな国の1つだという。デンマーク人に自身の幸福感を10点満点で評価してもらうと、彼らは平均して8点をつける。これは高得点だ。デンマークと並んで最も幸せな5ヵ国は、フィンランドノルウェー、オランダ、カナダ、そしてなんとコスタリカ。最も不幸な5ヵ国は、トーゴベナン中央アフリカ共和国シエラレオネブルンジコモロだ。
幸福度の高低差を説明する要素は多すぎて選択に困るほどだ。たとえば、最も幸せな国は最も不幸な国に比べて、収入は40倍、平均寿命は28年も長く、親しい友人の数は2倍、自由と感じる割合は高く(94%対63%)、自国の政府の誠実さをあまり疑わない傾向にある(33%対85%)。

                          • -

コスタリカ自然/コスタリカ動物は情報満載のSTWへ 世界遺産
国をあげて環境保護に積極的に取り組むコスタリカでは国土の4分の1が国立公園や生物保護区に指定されており、国と地元の住民たちが一体になって自然環境を守りながら観光にも力を入れている「エコツーリズム」の先進国としても知られています。
貴重な動植物の宝庫として世界的にも有名なコスタリカは変化に富んだ地形に恵まれ、熱帯雨林や海、川には地球上の生物の約5%が生息しています。
http://adventure.stworld.jp/cr/nature.html
コスタリカツアー コスタリカツアーならユーラシア旅行社
近年、エコツーリズム発祥の地として大注目を浴びているコスタリカ
ユーラシア旅行社では10年以上も前から、その魅力溢れる世界へお客様をご案内してきました。
年間100万人もの観光客が訪れ、人々を魅了するコスタリカの魅力は何といっても自然の豊かさにあります。
http://www.eurasia.co.jp/attraction/feature/costarica
コスタリカを知るための60章【第2版】』 国本伊代/編著 赤石書店 2016年発行
自然保護法 (一部抜粋しています)
最近、コスタリカは「生物多様性世界一の国」として紹介されることも多くなった。単位面積あたりの動植物種が最も多いということだ。全生物種の5%、とくに蝶類に至っては10%が棲息しているといわれ、これは全アフリカ大陸に住んでいる蝶の種類をあわせた数よりも多い。日々新種の生物が発見されるほどの恵まれた生態系を活かすため、それまでにあった森林法や国立公園法などの環境関係の法律を総合的にまとめなおした生物多様性法が、1998年に制定された。自然保護について先進的であるといわれるコスタリカでも、これは画期的なことだった。当時、法案制定に中心的な役割を果たしたルイス・マルティネス=ラミレス元国会議員は語る。
「自然は全体でひとつのものであり、個別に保護しても、バランスを考えなければ意味がない。しかも、個別に見たとしても、商業主義との確執があったため、うまく機能していなかった面もあった」
これらの点を改善するため、まず理念として、自然の生態系は何よりも優先するという価値観をうちだした。これは、人間の生活より自然を優先するというものではなく、人間が持続的に発展。維持するためには、生態系のバランスを何よりも優先させなければならないというものである。単純な例で言えば、木をむやみに切ると水がなくなる、といったことだ。その第一歩は、1994年6月3日の憲法改正だった。世界史的に見て、憲法レベルでの権利保障運動の第1段階は個人の権利について、第2段階は社会権の保障であった。環境権は憲法史的に「第3世代の権利」と呼ばれている。改正後のコスタリカ共和国憲法第50条には、「すべての人は健康でエコロジー的に均衡の取れた環境に対する権利を持つ」と定められている。
     ・
1996年には、森林法が改定された。これは、森の木を伐採するのに細かな条件をつけ、私有地であってもむやみな森林開発はできないようにするという画期的なものであり、エコシステムを総合的に考えることを理念として作られている。つまり、木材としての森の価値より、水資源やエネルギー源、気候安定システム、エコツーリズム源としての価値を上位におくという考え方である。他国の森林法は、主に林業との兼ね合いのもので作られたものが多い。コスタリカの森林法は、この概念を完全に転換したものだと、当時同法制定に携わったマルティネス氏は胸を張る。
だが彼は同時に、いまだにこの法律の理念はあまり理解されていない、とも言う。森の木を伐採することに優先的価値観を見出す人が、今でも少なくない。森を伐採してプランテーションを拓くほうが、人びとにとっては直接的な現金収入となるからだ。法律の制定より、人びとの価値観の転換のほうがより時間を要するのである。
2年後、自然保護法制の総仕上げとして、生物多様性法が制定された。生物多様性に関する総合的な法律の制定は、当時世界でも類例を見ない先進的なものであった。この法律では、動植物・水や空気などの自然資源は「公に属する」ものであると規定している。そのため、たとえば川が流れているところに私有地を買った場合、その川は公に属するものであるため、占有が許されていない。実際、山奥に1軒家を建てた筆者の友人は、購入した土地を川がかすめていたため、水流のルートを変更して、私有地を通らないようにしなければならなかった。21世紀は水の世紀ともいわれており、水をめぐる争いが絶えない地域もあることを考えると、画期的な立法措置だといえる。また、私企業の利益のために自然を開発することには厳しく制限をつけており、私企業による開発が公(地域住民など)の利益を損ねる場合には、開発が認められない。さらに、多様性そのものが資源であり、公に属するとした点は、この法律の最大の特徴ともいえる。1本の木に数百もの着生植物が育ち、それだけでひとつの生態系であるといわれるほど豊かな森を抱える国ならではの着想だろう。