じじぃの「科学・芸術_187_特別な惑星・地球・アンナ・カレーニナ原理」

The 7 wonders of TRAPPIST-1 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=oxOlgZyLiGs
地球は神によって創られた?

サイエンスZERO 「7つの地球を大発見!?“トラピスト1”惑星系」 2017年5月28日 NHK Eテレ
【キャスター】南沢奈央竹内薫 【ゲスト】渡部潤一国立天文台 副台長)
今年2月、地球から40光年の距離にある恒星「トラピスト1」に、7つの惑星が存在することが発表され、大きな注目を集めている。
太陽系の外に存在する惑星“系外惑星”はこれまで4000以上の候補が見つかっているが、今回の発見が特別とされる理由は、地球と似たサイズで初めて詳しい観測が可能だからだ。また7つのうち3つは、水が液体の状態で存在しうる位置にあり、生命の存在の可能性もあるという。
こうして赤色矮星の周りを回る地球サイズの惑星が次々と発見されるようになりました。
南沢奈央、「今まで赤色矮星が注目されてなかったのは観測しにくかったからですか?」
渡部潤一、「まあそれもあるんです。暗いですから。ただそれ以外に系外惑星探しのもともとの動機というのは第2の地球がどのくらいあるかっていうことなので明るい星の周りで地球のようなものを探そうっていうのが非常に前提にありました。それで赤色矮星っていうのは最初からターゲットにはなってなかったんです。数としては全体の4分の3になりますね」
http://www4.nhk.or.jp/zero/x/2017-06-03/31/19626/2136638/
『広い宇宙で人類が生き残っていないかもしれない物理学の理由』 チャールズ・L・アドラー/著、松浦俊輔/訳 青土社 2014年発行
アンナ・カレーニナ原理と居住可能な惑星 (一部抜粋しています)
  幸福な家族というのは基本的には同じものだが、不幸な家族にはそれなりの不幸がある。
                  ――レフ・トルストイアンナ・カレーニナ
トルストイの『アンナ・カレーニナ』にはそう書かれている。ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』は、地球上にありうるすべての動物のうちほんのわずかなものだけが人類によって家畜化された理由を検討するとき、「アンナ・カレーニナ」原理なるものを導入した。ダイアモンドは、食用に家畜化された動物はすべて、共通にいくつかの特徴を有していると見た。草食動物で、成長が早く、飼育環境で交配できるなどのことだ。ダイアモンドを引くと、
  家畜化するには、候補となる種はいろいろな特徴を有していなければならない。必要な特徴のどれか1つが欠けても、家畜化の努力は失敗することになる。幸福な結婚生活を築く努力が失敗に終わるように。
やはりダイヤモンドが言うように「たいていの重要なことについて……成功には実は、多くの失敗の原因を避けることが必要」なのだ。
先に私はアドラーの呪文なるものを紹介した。曰く、「すべての星は互いに同じだが、惑星はすべて違う」と。惑星に関するかぎり、それを次のように言い換える。
  生命のない惑星は互いに違っていて独自なものだが、地球型の生命がいる惑星は基本的に同じである。
これはアンナ・カレーニナを居住可能な惑星に適用したものだ。すべての地球型惑星はいくつかの類似した特徴を持っていなければならない。いちばんわかりやすい特徴は、恒星との距離が近すぎもせず遠すぎもしない、「生命体」の中に納まっていなければならないということだ。この点を認識することで、科学者は長年向き合ってきたある難問を解決したと私は思う。地球が平均的な銀河の平均的な恒星を公転する平均的な惑星で、特別なところは何もないとしたら、宇宙の他のところに生命が見つかっていないのはなぜか。宇宙が生命に満ちあふれていないのはなぜか。エイリアンが接触してきていないのはなか。
1970年代以降、惑星科学が発達したのに伴い、徐々に2つのアイデアが育ってきた。
1 異なる惑星上の条件はこれまで認識されていた以上に多様である。惑星形成は非常にカオス的で、惑星の歴史は(他の因子とくらべて)地球型惑星の地質的、気象学的特徴を決めるのに、誰も気吹かなかったほど大きな役割を演じている。
2 惑星上に地球型生命が生じるのに必要な条件には、1960年代に考えられていたよりはるかにきつい制約がかかっている。
この2つの認識は、地球型の生命のいる惑星がありうる数を大きく下げる。地球はある意味で他の惑星と比べて特別ではないが、別の見方をすれば宇宙の宝くじに当たったという点では特別なのだ。そこに登場する生命にとってすべてが都合よくできている。肝心なのは、特定の人をとれば宝くじに当たる確率はきわめて低いが、ほとんど必ず、確かには当たるというところだ。
おそらく、惑星上の生命をもった世界の数をドレイクの公式ふうに確率で推定しようとしても、十分なデータがないので意味のある結果がでない。