じじぃの「科学・芸術_151_香港の大学・ランキング」

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アジア大学ランキング:東大7位転落の理由と1位のシンガポール国立大学 2016年07月07日 huffingtonpost
イギリスのタイムズ・ハイアー・エデュケーション (THE) が、アジア大学ランキングを発表しました。近年1位を維持してきた東京大学が7位に転落し、代わってシンガポール国立大学 (National University of Singapore、地元ではNUS(えぬゆぅえす)と呼ばれる) が1位になりました。
http://www.huffingtonpost.jp/uniuni/university-asia_b_10814954.html
アジアの大学ランク:1位は香港大…東大5位、北京大12位 2010/05/13 サーチナ
英紙タイムズ系の高等教育情報誌「タイムズ・ハイアー・エデュケーション」は5月12日、2010年のアジア地区の大学ランキングを発表した。
第1位は香港大学、第2位は香港科技大学、第3位はシンガポール国立大学で、日本の東京大学は5位、韓国のソウル大学は6位。
中国大陸では北京大学が12位、清華大学は16位だった。
同ランキングは、各大学に所属する研究者が発表した論文が他論文に引用された件数や、研究者らによる評価、学生数に対する教師の多さなどにもとづき、大学の優秀さを順序づけた。
第1位    香港大学
第2位    香港科技大学
第3位    シンガポール国立大学
第4位    香港中文大学
第5位    東京大学
第6位    ソウル大学
第7位    大阪大学
第8位    京都大学
第9位    東北大学
第10位  名古屋大学
第11位  東京工業大学
第12位  北京大学
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第16位  清華大学

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『香港を知るための60章』 吉川雅之、倉田徹/編著 赤石書店 2016年発行
大学 世界ランキングで優秀なのは、なぜか
香港の大学は、世界ランキングで強い。ランキングは、世界の様々な機関が発表していて注目を集めるが、批判も山積みだ。なにより同じ物差しで世界の大学を計るというのは、いささか強引だろう。しかし、ここではランキングが問題をはらんでいることを踏まえた上で、ランキングを通して香港の大学の特色を見ていこうと思う。
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返還まであと6年となった1991年から、香港の大学は急増する。まず香港科技大学が新設された。ゼロからスタートした大学だが、現在ではMBAプログラムを中心に高い評価を受け、世界大学ランキングで常にアジアの先頭集団にいる。また、1991年からの3年間に、それまで専門学校や短大のような位置付けだった4校が大学に格上げされた。そして1996年にはいくつかの教員養成学校がまとまって香港教育学院となり、これも大学の扱いを受けるようになった。
イギリス植民地政府は、新たな大学6校と、香港大、香港中文大の2校の計8校を、香港の公立大学とした。この際、創立の理念や経緯は度外視されており、例えばキリスト教のミッション系である香港パプレスト大学も公立となっている。公立大学は学費が一律で、2015年度で年間4万2100香港ドル(約61万円)と、香港市民になるべく負担がかからないように設定。これは低所得層の優秀な人材にも門戸を開くためだ。香港大学の学部生のデータを見ると、2014年に一家の月収が2万香港ドル(約29万円)以下という学生がほぼ4分の1を占めており、香港政府は、奨学金やローンで、市民にきめ細やかな支援を行っている。
さて、返還を前に大学が急激に増えたことで、急務となったのが教員の確保だ。香港内の人材ではとても追いつかず、世界中から英語で専門知識が教えられる人材を公募した。私自身もアメリカの大学院を出て、返還直前に新設大学に就職した一人だ。キャンパスには活気があり、アメリカでは聞いたこともない、ありとあらゆるアクセントの英語が飛び交っていた。
その後2000年に、私は香港大学に転職した。こちらはますます国際色豊かで、教員が世界46ヵ国から集まっていた。日本研究科の学科長はデンマーク人で、日本文学、歴史、文化などを教える同僚には、日本人だけでなく、イギリス人、香港人もいた。
世界大学ランキングの指標の一つに「国際性」がある。日本の大学ではこれに苦戦しているが、香港の大学はここで点数を稼ぐ。香港の大学教員の多くは、英語で授業を教え、英語で会議をし、英語で論文を書く。書いた論文はその内容の良し悪しにかかわらず、グローバルサーキットに乗る。そして、ランキングの本拠地イギリスのレーダーにも映る。その結果、ランキングの指標にある「論文の引用」でも、有利になるのである。
そんなわけで、2004年にTHESが第一回目のランキングを発表すると、香港大学は39位に入った。その結果、学生のグローバル化も本格化する。この時点では、香港大学の本科生は、ほとんどが香港人で、そこに交換留学生が多少混ざっている程度だった。しかし、ランキング発表を契機に、中国大陸のトップクラスの学生たちが、香港の大学に押し寄せて来るようになった。
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中国から来た優秀な学生は、香港の大学のレベルを押し上げ、結果として世界から学生と教員を惹きつけることになった。香港大学には、2015年春の時点で、教員が56ヵ国、学生が103ヵ国から集まってきている。
イギリスの狙い通り、香港の大卒は急増した。15歳以上の人口で大学教育を受けた人の割合は、30年間で5倍近く伸び、2割を越えている。
イギリスが最後の最後になって整備した香港の大学教育が、巡り巡って世界ランキングで評価され、中国大陸から頭脳流出を引き起こすことになろうとは、一体誰が想像したことだろう。