じじぃの「人の死にざま_1686_ヴァン・ダイン(推理作家)」

ヴァン・ダインなど】感動する話 奮起した人間の出す凄い力 〜有名人の感動する話・いい話〜 動画 YouTube
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グリーン家殺人事件 (文庫) 感想 ヴァン・ダイン 読書メーター
●あらすじ・内容
ニューヨークのどまんなかにとり残された前世紀の古邸グリーン家で、2人の娘が射たれるという惨劇がもちあがった。
この事件を皮切りに、一家の皆殺しを企てる、姿なき殺人者が跳梁する。神のごとき名探偵ファイロ・ヴァンスにも、さすがに焦慮の色が加わった……。1ダースにのぼる著者の作品中でも、1、2を争うといわれる超A級の名作。
http://bookmeter.com/b/4488103030
『短編小説を読もう』 阿刀田高/著 岩波ジュニア新書 2005年発行
不思議な頭のアラン・ポー (一部抜粋しています)
私はコナン・ドイルをせっせと読むかたわらで(日本の作家はべつに述べるとして)エドガー・アラン・ポー(1809〜1849)にもめぐりあいました。
ドイルより50歳くらい古いアメリカの作家。推理小説というジャンルはこの人によってはじまった、というのが定説です。ポー自身にはそんな意識はなかったでしょうが、登場人物の推理力を中核とした、今までとは少し趣のちがった先品を発表したところ、後につづく者があって、これがジャンルとして確立し、探偵小説、推理小説、ミステリーとなった、という事情です。そして、その流れのじゃじめのところに、たとえばコナン・ドイルたちが現われた、という歴史です。
ポーについての読書はまず型通り『黄金虫』から、子ども向けの翻案だったと思います。暗号文を読み解いて海賊が隠した宝物を見つける、というストーリー。ストーリーそのものは、よくある冒険小説のパターンでしょうが、際立(きわだ)っているのは暗号文を解いていくプロセスのみごとさ。
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話を文学に戻して、短編小説はそれ自体手軽に楽しむことができると同時に、――こういう作家がいるのか――
あるいは、
――こういうジャンルがあるのか――
新しい好みを発見する手がかりになることはすでに述べましたね。つまり短編小説は見本帖としての役割もあわせ持っているわけです。
アラン・ポーによって切り開かれ、コナン・ドイルたちの筆により充実した推理小説(探偵小説)はジャンルとして確立し、長編の名作を数多く生み出しました。私もまた短編から入り、長編へと興味を深めました。
ここでめぐりあったのがヴァン・ダイン(1888〜1939)。ドイルより30年くらい遅れての登場です。推理小説の台頭期に燦然(さんぜん)たる仕事を残した作家と称してよいでしょう。
『グリーン家殺人事件』、これはほんとうに古典的な名作ですね。グリーン家はニューヨークの旧家で、そこに住む6人の家族がつぎつぎに殺されていきます。6人のうち4人が死んで2人が残り、犯人はいいかげんにわかりそうなものなのに、それがはっきりしません。名探偵が現われて危機一髪、犯人の野望がくだかれてしまいます。
「はじめの20ページで犯人がわかるね」
推理小説を読み慣れた人なら笑うかもしれません。このあたりの事情は先にドイルの『金髪組合』について説明したことと同一です。『グリーン家殺人事件』は推理小説の型をきわめた名作であり、それゆえにこのジャンルの古典となりました。だから後から来た』人には、
――ははーん、あの手だな――
とトリックが見破りやすいのです。典型的な方法を踏んでいるからです。
しかし、そうであればこそはじめてこのジャンルに踏み入る人には、とてもおもしろく読めます。私もその一人でした。推理小説に慣れきった、すれっからしにはもの達ないかもしれませんが、読んでないなら、読んでおいてもよい、みごとな推理小説です。
ヴァン・ダインによれば、トリックを基本とする推理小説は、そうそう数多く書けるものではない。思いつくトリックに限りがあります。だから一人の作家が生涯に書ける作品の数も多くはないと考え、この考えをみずからに課して、
「6つも書ければ上等」
とばかり長編推理小説を6編発表しましたが、人気に押されてもう6編を加えています。