じじぃの「人の生きざま_543_梶田・隆章(物理学者)」

ノーベル賞>「浜松ホトニクス」2人目の梶田隆章さんの受賞に貢献 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=D_j66_U-ia4
スーパーカミオカンデ梶田隆章

ノーベル物理学賞梶田隆章氏ら2人 ニュートリノ研究 2015年10月6日 朝日新聞デジタル
スウェーデン王立科学アカデミーは6日、今年のノーベル物理学賞を、東京大宇宙線研究所長の梶田隆章教授(56)ら2氏に贈ると発表した。梶田さんは岐阜県にある装置「スーパーカミオカンデ」で素粒子ニュートリノを観測、「ニュートリノ振動」という現象を初めてとらえ、重さ(質量)がないとされていたニュートリノに重さがあることを証明した。宇宙の成り立ちや物質の起源を解明するのに大きな影響を与えた。
http://www.asahi.com/articles/ASH9W5WBNH9WULBJ006.html
ニュートリノ振動 ウィキペディアWikipedia)より
ニュートリノ振動(neutrino oscillation)は、ニュートリノが質量を持つことで、ニュートリノのフレーバーが変わる現象である。
1998年にスーパーカミオカンデが大気から降り注ぐニュートリノを観測することによって、この現象が実証された。
梶田隆章
1996年よりスーパーカミオカンデで大気ニュートリノを観測、ニュートリノが質量を持つことを確認し、1998年ニュートリノ物理学・宇宙物理学国際会議で発表。1999年に第45回仁科記念賞を受賞した。これらの成果はすべてグループによる研究の賜物であった。2015年のノーベル物理学賞をアーサー・B・マクドナルドと共に受賞。受賞理由は「ニュートリノが質量をもつことを示すニュートリノ振動の発見」である。

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サイエンスZERO 「祝!ノーベル賞(2)梶田隆章さん特別出演!ニュートリノ振動に迫る!」 2015年12月6日 NHK Eテレ
【司会】竹内薫 (サイエンス作家)、南沢奈央 (女優)  【ゲスト】梶田隆章 (東京大学宇宙線研究所長)
ノーベル物理学賞を受賞した東京大学宇宙線研究所長の梶田隆章さん。受賞理由は『ニュートリノ振動の発見』だ。ニュートリノ振動は質量がないと説明できない現象で、質量がゼロとされていた素粒子物理学の常識を覆す大発見だった。
ニュートリノには、電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノの3つがある。
ニュートリノ振動を音叉を使った実験
音を、ミューニュートリノとタウニュートリノに例えて説明。
別の波長の音が同時に鳴らしたときのうねりが微妙に異なる。音の大きさが2つとも同じなら、波は重なる。
ニュートリノの実験では、波が重なったり、重ならなかったりした。
これはニュートリノに質量があることを意味している。
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp527.html
白熱教室 「第2回・入門編! 物理学者の秘密のお仕事」 2014年6月27日 NHK Eテレ
【講師】アリゾナ州立大学 宇宙物理学 ローレンス・クラウス教授
▽太陽の熱源・素粒子の寿命
宇宙のような複雑な世界を捉えるには非常に緻密な考え方が必要かと思いきや、クラウス教授は「違う、違う!大ざっぱに捉えることこそ大事なんだ!」と力説する。
物理学者たちは、例えば「牛」を研究する場合、複雑な牛の形などは無視して、「牛は球形(〇)だ!」と大ざっぱに考えるというのだ。一体どういうことか? 実は巨大なスケールを相手にする宇宙物理学の世界で肝心なのは「概算」なのだという。「概算」の手法を身につければ、太陽の形から中心付近のエネルギー源の正体まで推測することができるし、素粒子が別の素粒子に変化するまでの時間だって計算できるというのだ。それだけではない。わずか数分の思考で、例えば大昔のカエサルの臨終の間際の一息に入っていた空気分子の内の何粒を、現代の私たちが呼吸のたびに吸っているかまで導き出されるのである! 物理学者たちの秘密の思考方法を伝授する!
http://www.nhk.or.jp/hakunetsu/cosmology/140627.html
6月27日 NHK Eテレ 『白熱教室』 ローレンス・クラウス教授「第2回・入門編! 物理学者の秘密のお仕事」 より
クラウス教授の「太陽の熱源・素粒子の寿命」の講義が始まる。
太陽の密度や温度は実際は場所によって異なるはずだが、それを大ざっぱに捉えて中心からの距離が同じ場所なら密度や温度も同じだと考えてみよう。
太陽を単純な球(〇)に置き換えて考えていこうというわけだ。
さて、太陽が持つ圧力のエネルギー源は長いこと大きな謎だった。
18世紀あるドイツの医者は太陽を石炭の〇い塊だと考えてみた。それが燃えることで重力と釣り合う圧力になっていると。
ところがその場合、太陽は僅か1万年で燃え尽きてしまうということが分かった。
だが、地球は誕生から数十億年経ていることが次第に分かってきたから何かがおかしいということになった。
当時知られていたエネルギー源では太陽がそんなに長く燃え続けられるわけがなかったからだ。
1920年ごろアーサー・エディントンは太陽には未知のエネルギー源があってそれが太陽を維持させているに違いないと言った。
だが人々はそんなことはありえないと言った。「太陽の中心はたった1000万℃だと分かっています。新しいエネルギー源などあるはずはありません」、と。
でもやがて核融合の存在が実証されることになる。
ハンス・ベーテは核融合によって太陽は100億年燃え続けることを示した。
全ては太陽を単純な〇だと考えての発見だった。
一体、誰が毎秒数千億もの水爆が爆発しているような無秩序な状態をこれほど単純化できると思っただろうか? さて核融合は光だけでなく「ニュートリノ」と呼ばれる素粒子もつくり出す。
実は毎秒君たちの体、1平方センチメートルあたりを1000億個のニュートリノが通り抜けている。
昼間は上からやって来るし、夜には地球をすり抜けて下からやって来る。今夜ベッドでその様子を想像してみるといい。
ニュートリノを捕らえるため10万ガロンの液体が入った巨大な検出器を造った驚くべき人物がいた。
無数のニュートリノがその液体の中を通り抜けていくのだが、その中で1日平均たった1つのニュートリノが反応を起こすことが計算から分かっていた。
彼は必死でそれを検出し、40年後ノーベル賞を受賞したんだ。
重要なのは太陽を単純な〇に置き換えて考えたことで、そこまでたどりついたということだ。
しかも、もっと面白いことに彼は少し予測と違う結果を得たんだ。ニュートリノの数が予測の3分の1しかなかった。
当時、私たち素粒子物理学者は「天体を研究している連中は太陽をあまりに単純化しすぎて失敗したんだ」、と笑っていた。「そんなにうまくいくはずがない」、と。
だが、実はその単純化は正しかった。
ニュートリノが予測の3分の1だった理由は太陽で作られる数が間違っていたからではなく、太陽と地球の間でその性質が変化するからだった。
我々が検出できない別のニュートリノに変化していたんだ。
この発見で素粒子物理学の理論は根本的に書き換えられることになった。
「太陽は単純な〇だ」、と考えたことで、複数のノーベル賞まで生まれたんだ。