じじぃの「ある犬の物語・絵本!本当は恐ろしいほど残酷な」

unjour un chien 動画 YouTube
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UN JOUR UN CHIEN Google 検索
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ガブリエル・バンサン ウィキペディアWikipedia)より
ガブリエル・バンサン(Gabrielle Vincent、女性、1928年6月19日-2000年9月24日)は、絵本作家。ベルギー・ブリュッセル生まれ。本名、モニーク・マルタン(Monique Martin )。
【作品リスト】
・『あめの ひの ピクニック くまのアーネストおじさん』,Ernest et Celestine vont pique-niquer ブックローン出版,(1983/01)
・『アンジュール ある犬の物語』,Un jour, un chien ブックローン出版,(1986/05)
・『たまご L'OEUF』,L'OEUF ブックローン出版,(1986/10)

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『大人が絵本に涙する時』 柳田邦男/著 平凡社 2006年出版
『アンジュール』から『ヴァイオリニスト』へ−−孤独と愛の作家バルサ (一部抜粋しています)
ガブリエル・バンサンの鉛筆画による『アンジュール ある犬の物語』(BL出版)をはじめて読んだ時の衝撃は、いまだに忘れられない。
いきなり1匹の犬が走るクルマの窓から投げ捨てられる場面からはじまる。絵本が子どもだけのものであるなら、冒頭からこういう情景ではじまるという構成はあり得なかっただろう。
犬は必死になってクルマを追いかけるが、クルマは見るみる小さくなっていく。犬は息切れしてあえいでしまう。首をたれ悄然と歩む犬。その時、飼い主のクルマが去った道路の向こうから、別のクルマが走ってくる。犬はクルマの直前にとび出して横切る。飼い主のクルマと勘違いして止めようとしたのか、それとも捨てられた腹いせの仕返しまのか、どちらであるかはわからない。言葉のない絵本だからだ。おそらく後者だろう。
そのクルマのドライバーはあわててハンドルを切ったため、対向車と衝突してしまう。2台のクルマは横倒しになって炎上する。両車線ともたちまち後続のクルマが数珠つなぎになって大渋滞ちなる。それを見た犬はショックを受けて、現場を去る。
はるかに自己の惨状を振り返り見て、動揺し困惑している犬の表情と心の翳(かげ)りを、バンサンは太く濃い鉛筆による速描(はやが)きのスケッチ風の描き方でみごとに表現している。
しっぽを下げてとぼとぼと浜辺に出た犬は、遠くに2人連れの人影をを見る。飼い主かもしれないとおもったのだろうか、走って近くにいくが、飼い主ではなかった。空ろな気持ちで浜辺をさ迷う犬。私が最も衝撃を受けたのは、海と空の境がわからないような広い広い何もない風景の中に、さ迷う犬が小さなシルエットのような姿でポツンと描かれた場面だった。やや細めの鉛筆による淡い線を刷毛雲のように水平に何本となく流して、底知れぬ空と海の無限空間を表現し、ほぼ中央に海に向かってたたずむ犬のシルエットがポツンとはめこまれている。水面(みなも)に犬の影がにじんでいる。波打際の浅瀬であることが、その小さな影の描き方だけでわかる。途方に暮れて泣いているかのようだ。
犬の内面を形あるものが何もない無限空間の中にポツンと小さな影だけの存在になってしまった情景で表現するバンサンという画家は凄い。これは疎外された孤独という20世紀のテーマと真正面から向き合った絵本ではないか−−いや「絵本を超えた絵本」と言うべきだろう−−そんな思いが私の脳裏を駆けめぐったのだった。

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どうでもいい、じじぃの日記。
先日、図書館のなかで本巡りをしていたら柳田邦男著『大人が絵本に涙する時』という変わった題名の本があった。
中をパラパラ、めくって見るといろいろな絵本の紹介の本になっている。
絵本も大人になってから、ほとんど見ていない。たまには童心にかえるのもいいか、と思って柳田邦男の本を借りてきた。
「『アンジュール』から『ヴァイオリニスト』へ−−孤独と愛の作家バルサン」にこんなことが書いている。
ガブリエル・バンサンの鉛筆画による『アンジュール ある犬の物語』をはじめて読んだ時の衝撃は、いまだに忘れられない」
ネットで検索したら、ユーチューブにバンサンの『unjour un chien』があった。
『アンジュール ある犬の物語』はフランス語の原題で「UN JOUR,UNCHIEN」だ。まったく文字のない、鉛筆デッサンによる絵本である。本書はガブリエル・バンサンの処女作なのだそうだ。
いきなり、犬がクルマの窓から投げ捨てられる場面から始まる。この犬の第2の人生が始まる。
言葉が無くても、この犬の心情が伝わってくる。
我が身を犬と重ねる。
この犬は、また誰かに拾われるのだろうか。
こんな絵本もあったのか、この絵本に出会えてよかったと思った。ユーチューブで見ただけの話だが。