じじぃの「人の死にざま_1264_G・バンサン」

unjour un chien 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=st8VPq-omWo
La petite marionnette 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=3N9TfR38zFY
バンサン作 「unjour un chien」

ガブリエル・バンサンの絵本 いやしの本棚
http://www.geocities.jp/ayagonmail/books/ehon/vincent.html
ガブリエル・バンサン ウィキペディアWikipedia)より
ガブリエル・バンサン(Gabrielle Vincent、女性、1928年6月19日 - 2000年9月24日)は、絵本作家。ベルギー・ブリュッセル生まれ。本名、モニーク・マルタン(Monique Martin )。
【作品リスト】
・『あめの ひの ピクニック くまのアーネストおじさん』,Ernest et Celestine vont pique-niquer ブックローン出版,(1983/01)
・『アンジュール ある犬の物語』,Un jour, un chien ブックローン出版,(1986/05)
・『たまご L'OEUF』,L'OEUF ブックローン出版,(1986/10)

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『絵本作家ガブリエル・バンサン 今江祥智/監修 BL出版 2004年発行
ある日、犬は 【執筆者】小野明 (一部抜粋しています)
路上で放り出す。いかなる温情か。何かのついでにか。単なる不精か。絶縁の一突き。押し出すやすく、背中を向かせる助手席の女の手の、圧力。一声はあったか。
後部座席に子供。飼い主の一党。動顛放心落下中の犬を、見ようともしない。不視。非視。無視。さては、拾い、すぐに飽きたか。分別。遠別。訣別。もしや惜別。
アンジュール。あたかも犬の名のように響くことば。いや、この<ある日>という意味をもつフランス語は、本当に犬の名かもしれない。だが、誰が名付けたのか。
<ある日>という名の犬。その不確かゆえにきぅぱりとしたことば、アンジュール。次の生を得た(私はうすく励ます)犬よ、おまえをアンジュールと呼ぼう。
アンジュール、お前が車を追走したのは、無論、疑人の入る余地などない、種の要請だろう。でもやはり全力の追走は、どこか切なく映る。充分美しいゆえに。
疲れたのか。あきらめたのか。そう、あきらめは徐々に、鈍く、体を消耗させる。あきらめ、やがて、興味を失う。失い、忘れ、次へ。白紙再生という重ね描き。
アンジュールよ、どうして、道に飛び出したんだ。何を嗅ぎつけたのだ。火急の匂いなのか。あの3人の手がかりなのか。それとも、別の、なつかしいものか。
急ハンドル。正面衝突。横転。炎上。負傷。もしかしたら死亡。閉じた救急車の後部。人、人、人、人、人。もうもうたる黒煙。はたしてこれらは何のしるしか。
ねえ、アンジュール。なぜ事故が必要だったんだろうか。このぞっとする選択は何なんだろうね。私は途方に暮れてしまう。何かの罰にしては、いかにも重い。
落ち度の見えない罰。見えないのは私の鈍重の証か。おまえの体を借りたら、おまえの間隔が体験できたら、この衝撃音。この黒煙。この匂い。この現実を。
すっきりしたかい、アンジュール。小水ながら、おまえなりの鎮火かな。でも焦げたまま鎮まらぬものがありそうだ。もっと水を。やがて影は反映へと。

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