じじぃの「人の死にざま_196_ドヴォルザーク」

アントニン・ドヴォルザーク - あのひと検索 SPYSEE
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ドボルザーク作曲スラブ舞曲 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=faPf92gsGgo
『音の影』 岩城宏之/著 文芸春秋 2007年発行
ドヴォルザーク ベストセラーとはこんなもの!? (一部抜粋しています)
日本のクラシック音楽ファンに、もっとも人気がある曲のベストテン最上位は、ドヴォルザークの『新世界』とベートーヴェンの『第9』『運命』だろう。
第二次世界大戦後の50数年のクラシック音楽の人気曲は、かなり変化してきたように思う。しかし、この3曲の人気は不動である。
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他に、戦後代々のベストセラーをあげれば、サラサーテの『チゴイネルワイゼン』とか、ドップラーの『ハンガリー田園幻想曲』というようにいろいろあるが、やはり一貫してのロングベストセラーは、『新世界』と『第9』『運命』だろう。
以前、ぼくはスイスのバーゼルの音楽協会で、毎年定期的に仕事をしていたことがあった。あるとき音楽協会の会長が、憂鬱そうにこぼしたのだった。
「今年は、この協会の創立150周年なのです。定期演奏会を、これだけ長い間続けてきたところは、ヨーロッパでも他に少ないので、150周年を記念して、現在の定期会員全員の投票で、プログラムを決めることにしました。150年間続けてきた伝統で、われわれの定期会員たちのレベルは非常に高いと自負しているので、例えば、シェーンベルグの『グレの歌』とか、マーラーの『交響曲第7番』のような、高級なプログラムを期待したのです。
ところがですね。アンケートの結果は、1位が『新世界』、2位が『未完成』、3位が『アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク』というわけでした。150年もかかってこんなザマとは、トホホ・・・・」
と、ベソをかいていた。
ベストセラーとは、こういうものなのだ。あくまでも、「お客様は神様」なのである。
「なんとも悔しいでしょうが、仕方がないではありませんか」
と、ぼくは慰めたのだった。
ところで世の中では『新世界』でまかり通っているが、正確には『交響曲第9番新世界より(From the New World)」』なのである。
ドヴォルザークは1892年に、ニューヨークに新設されたナショナル音楽院に招かれ、1895年まで院長だった。そこの院長および作曲教授として初期のアメリカ音楽界に業績を残したのだった。
滞在中に、アフロアメリカンやネイティブアメリカンの音楽に共感を覚えたから影響はあるだろうが、あくまでも「新世界から」故郷のボヘミアを偲(しの)んで作曲した曲であり、「新世界」を描いた交響曲ではないのである。

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『人間臨終図巻 上巻』 山田風太郎著 徳間書店
ドヴォルザーク (1841-1904) 63歳で死亡。
「新世界から」「ユモレスク」その他によってチェコの国民的作曲家となったドヴォルザークは、1901年プラハ音楽院長に任ぜられたとき、祝福の声をあげて集まった市民に、はじめは感激の涙をながして窓際で手をふっていたが、いつまでも歓呼の声がやまないので、とうとう「もう、ヤメロ!」とどなったくらいのカンシャクもちであった。血圧の高い人物であったのかもしれない。
それから3年後の1904年5月1日、かなり長い風邪がやや回復したので、彼はベッドから起き上がって部屋を一周し、やがて昼食をとりはじめたが、異常に食欲がすすみ、たちまちスープ一皿を平らげた。その直後彼は、「頭がグルグルまわる!」とさけんで、椅子の中に落ちこんだ。
顔が蒼白となり、次に真っ赤になり、妻と子に何か話かけたいようであったが、理解出来ない声がのどからほとばしるだけであった。
脳溢血であった。昼過ぎに彼は死んだ。

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