じじぃの「カオス・地球_317_LIFESPAN・第4章・タバコは老化を早める」

My wife Laura smoking VS all white 120s while getting ready to go out

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Q5vZU7i_VA0


喫煙による健康影響/千葉県

1 たばこの煙に含まれる有害物質
たばこの煙は大きく分けて、喫煙者自身が吸い込む「主流煙」と、たばこの先端から発生する「副流煙」に分類されます。
主流煙には粒子成分が4,300種類、ガス成分が1,000種類、合わせて5,300種類の化学物質が含まれており、発がん性があると報告されている物質も約70種類存在しています。副流煙の化学成分は主流煙とほぼ同じですが、その成分量は非常に多いことが知られています。
https://www.pref.chiba.lg.jp/kenzu/tabako/kenkoueikyou.html

LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界

【目次】
はじめに――いつまでも若々しくありたいという願い
■第1部 私たちは何を知っているのか(過去)
第1章 老化の唯一の原因――原初のサバイバル回路
第2章 弾き方を忘れたピアニスト
第3章 万人を蝕(むしば)む見えざる病気
■第2部 私たちは何を学びつつあるのか(現在)

第4章 あなたの長寿遺伝子を今すぐ働かせる方法

第5章 老化を治療する薬
第6章 若く健康な未来への躍進
第7章 医療におけるイノベーション
■第3部 私たちはどこへ行くのか(未来)
第8章 未来の世界はこうなる
第9章 私たちが築くべき未来
おわりに――世界を変える勇気をもとう

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『LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界』

デビッド・A・シンクレア、マシュー・D・ラプラント/著、梶山あゆみ/訳 東洋経済新報社 2020年発行

第4章 あなたの長寿遺伝子を今すぐ働かせる方法 より

タバコや有害な化学物資、放射線は老化を早める

多少の困難や細胞のストレスであれば、エピゲノムにはプラスに作用する。それが長寿遺伝子を刺激してくれるからだ。結果的にAMPK(細胞内のエネルギーが不足すると活性化し、代謝を制御する分子)が活性化され、あるいはmTOR(mammalian target of rapamycin、細胞外の栄養状態や細胞内エネルギー(ATP量)等の情報が感知して、細胞成長・増殖へ結びつける上で中心的な役割を担うリン酸化酵素)が抑制され、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、エネルギーを産生する補酵素の一種。体内の細胞で起こる化学反応に不可欠な物質)濃度が高まり、サーチュイン(例の災害対応部隊、SIR1からSIR7まで)の働きが活発になる。そして、地球に暮らすうえでつきものの通常の消耗に負けないようになるわけだ。

しかし、この「通常」という言葉には注意が必要だ。こと老化に関しては、「通常」のダメージであっても十分好まなくないものだからである。対応しなければならない災害(とくにDNAの2本鎖が共に切断されるような損害)の数が多いと、サーチュインは持ち場を離れて損傷箇所に向かわざる得ない。仕事が終わって元の場所に帰ってくればいいが、そうでもないときもある。

DNAが壊れるのを1つ残らず防ぐのは不可避だし、仮に可能でもそれを望まないほうがいい。DNAが損傷することは、免疫系を適切に機能させたり、記憶を固定したりすることにまで不可欠だからだ。そうはいっても、余計なダメージはやはり防ぎたい。

あいにく、世の中は余計なダメージだらけだ。

まずはタバコである。合法的な悪習は数々あれど、これほどエピゲノムに悪いものはそうないといっていい。

要するに喫煙とは、有害な化学物質を何千種類も混ぜ合わせて毎日体に取り込むことにほかならない。喫煙者がヒトより老けて見えるのにはわけがある。実際に老化のスピードが迷いからだ。喫煙によって生じるDNAの損傷のせいで、DNA修復部隊は激務を強いられる。それが結局はエピゲノムを不安定にし、老化につながっている可能性が高い。それに、すでに耳にタコができているかもしれないが、改めて繰り返しておきたいことがある。喫煙はけっして、何の犠牲者も出さない自己完結した行為などではない。タバコの煙に含まれる芳香族アミン類はDNAを傷つける作用をもち、その量は主流煙より副流煙のほうが約50~60倍も多いのである。あなたがタバコを吸うなら、悪いことはいわない。禁煙の努力をすることだ。
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放射線も忘れてはいけない。紫外線やX線ガンマ線や屋内ラドン(肺がんの原因としては喫煙について2番目に多い)こうした自然放射線や人工放射線はどれも、DNAをさらに損傷させて修復部隊を働かせるおそれがある。私は仕事でよく飛行機に乗るので、このことが気になって仕方がない。セキュリティチェックを受けるたびに心配になる。昨今の空港で使用されるタイプのスキャナーの場合、DNAへのダメージがさほど大きくないことが研究からうかがえはする。ただ長い目で見たときにエピゲノムや老化プロセスにどんな影響が及ぶかには、ほとんど注意が向けられていない。スキャナーを何度も通ったマウスが2年後にどういう姿になるかは、誰も検証したことがないのだ。現に、第2章で取り上げたICEマウス(エピゲノムを変化させることで老化が進んだのと同じ状態にしたマウス)の件からもわかるように、DNAを少しいじっただけでも老化は加速できてしまう。ミリ波スキャナーなら旧型のスキャナーより放射線被曝が少ないそうだし、その被曝量は「フライトと同じ」程度だと係員は説明する。けれど、すでに何百万マイルものフライトを経験した身で、誰がさらに損傷を倍増させたいと思うだろう? だから私は可能なときはいつでも、事前登録者専用レーンに回って簡易なチェックで済ませるか、手によるボディーチェックをお願いしている。

そんなにあるなら、全部避けるのなんてとうてい無理じゃないか、って? 残念ながらその通りだ。
そもそも、DNAを複製するのは自然で不可欠な活動だというのに、そのせいで毎日体中の何兆という箇所でDNAの切断が起きている。鉛の箱に入って海底にでも沈まない限り、ラドン宇宙線を避けることはできない。たとえ絶海の孤島に引っ越したとしても、魚を食べたらその体内には恐ろしい化学物質が溜まっている可能性がある。水銀やPCBやPBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)、ダイオキシンに塩素系農薬。そのどれがDNAを傷つけてもおかしくない。現代の世界では、どれだけ「自然な」生活を送っていようと、この種のDNA損傷からは逃れられないのだ。

自分が今、何歳だろうが関係はない。仮にまだ十代であっても、すでに老化は始まっている。DNAの損傷があなたの時計を速めており、その影響は人生のあらゆる段階に及ぶ。胎児も乳児も老化しつつある。だとしたら、六十代や七十代や八十代の人はどうなるのか。すでに体が衰えているためにカロリー制限ができず、走りに行くこともままならず、真冬に雪まみれになって遊ぶこともできない人はどうすればいい? もう手遅れなのだろうか。

いや、まったくそんなことはない。
ただ、すでにエピゲノムの変化や老化がかなり進んでいる人も含めて誰もが長く健康に生きようとするなら、少しばかり手助けがいりそうだ。

じじぃの「ウイルス・ASPM遺伝子・知能向上のパラドックス!逆説の雑学」

脳のサイズを制御するASPM遺伝子の進化の加速は、人間の脳の拡大の前に始まります

Bibgraph(ビブグラフ)
原発性小頭症(MCPH)は、脳皮質量の世界的な減少を特徴とする神経発達障害です。
https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/15045028

バイオインフォマティクス

ウィキペディアWikipedia) より
バイオインフォマティクスbioinformatics)とは、生命科学情報科学の融合分野のひとつであり、DNAやRNA、タンパク質をはじめとする、生命が持つ様々な「情報」を対象に、情報科学統計学などのアルゴリズムを用いた方法論やソフトウェアを開発し、またそれらを用いた分析から生命現象を解き明かしていく(in silico 解析)ことを目的とした学問分野である。

【関連分野との関係性】
バイオインフォマティクスは生物計算機学(biological computation)と一見似ているが、これは異なる科学分野である。
生物計算機学は生物工学と生物学を使用して生物学的なコンピュータを設計することが主眼であるが、バイオインフォマティクスは逆にコンピュータを用いた計算を使用して生物学をよりよく理解することが主眼である。バイオインフォマティクスと生物計算機学の分野には共に、生物学的データ、特にDNA、RNA、タンパク質配列の分析が含まれる。

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『フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する』

ミチオ・カク/著、 斉藤隆央/訳 NHK出版 2015年発行

第6章 天才の脳と知能強化 より

知能の遺伝的特質

幹細胞のほかに、人間の知能をもたらしている遺伝子を特定するという探索の道筋もある。
生物学者は、われわれの遺伝子がチンパンジーとおよそ99パーセント同じであると指摘しているが、われわれのほうが2倍長く生きるし、過去600万年のうちに知的スキルを大幅に向上させた。今後数年以内に、両者の遺伝子の違いをすべて明らかにしたマップが完成し、人間の長寿と高い知能の秘密がこのわずかな違いのなかに見つかる可能性もある。すでに科学者は、人間の脳の進化の原動力となったかもしれない遺伝子をいくつか絞り込んでいる。

すると、ひょっとしたら知能の秘密を解き明かす手がかりは、祖先の類人猿を理解することで得られるのかもしれない。これにより、また別の疑問が生じる。この研究で、『猿の惑星』は可能になるのだろうか?

この次々と続編が作られた映画では、核戦争によって現代文明が滅びる。人類は未開の状態に退行するが、放射線によってなぜかほかの霊長類が進化を加速し、地球を支配する種となる。彼らは先進文明を築くが、人類は臭くてみすばらしい蛮族となり、森のなかを半裸でうろつきまわっている。動物園の動物になるぐらいが関の山だ。人類と立場が逆転し、類人猿は檻の外から人間を眺めている。

2011年に公開された作品『猿の惑星:創成記』では、科学者がアルツハイマー病の治療法を探っている。その過程で、彼らはあるウイルスを偶然発見し、それがはからずもチンパンジーの知能を向上させる結果をもたらす。不幸にも、そうした知能がチンパンジーの1頭が、霊長類の保護施設に入れられたときに虐待を受けてしまう。そのチンパンジーは、向上した知能によって檻から脱出し、ほかの実験用霊長類の一団がゴールデンゲートブリッジで暴れまわり、地元警察や州警察を圧倒する。人間たちとの壮絶な戦いののち、映画は類人猿たちが橋の北のセコイアの森に安息の地を見つけ、幕を閉じる。

こんなシナリオは現実にありうるだろうか? 短期的にはありえないが、将来は可能性を排除できない。今後の科学者が、ホモ・サピエンスを生み出した遺伝子変異をすべてリストアップできるはずだからだ。それでも、知能の高い類人猿が生まれるまでには、さらに多くの謎を解かなければならない。

SFではなく、われわれを「ヒト」たらしめている遺伝子特質に魅せられたひとりの科学者が、キャサリン・ポラード博士だ。10年ほど前から台頭してきたバイオインフォマティクス(生命情報学)」という分野の専門家である。この生物学の分野では、動物を解剖してその成り立ちを理解するのではなく、コンピュータの莫大な能力で動物の身体の遺伝子を数学的に分析する。ポラードは、ヒトと類人猿の違いの本質を決定する遺伝子の探索において、最前線にいた。
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そこでポラードは、ゲノムのなかで変異の加速がとりわけ大きな場所を見つけるコンピュータ・プログラムが作成できれば、ホモ・サピエンスを生み出した遺伝子を正確に特定できるのではないかと考えた。そして何ヵ月も熱心に仕事をしてデバッグをおこなった末、ついに自分の開発したプログラムを、カリフォルニア大学校の巨大なコンピュータにインストールし、気を揉みながら結果を待った。
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もうひとつ(言語に関係するFOXP2遺伝子の他に)重要な遺伝子はASPMで、これはわれわれ脳容積を急増させた要因と考えられている。このような遺伝子で、ヒトが知能を獲得したのに類人猿はそうではなかった理由をできると考える科学者もいる(欠陥のあるタイプのASPM遺伝子を持つ人は、小頭症になることが多い。小頭症の人は、重度の精神遅滞となるが、それは頭蓋が小さくてわれわれの祖先のひとつであるアウストラロピテクスほどのサイズだからだ)。

科学者は、ASPM遺伝子における変異の数を調べ、ヒトがチンパンジーと分かれて以降、過去500万~600万年のうちにおよそ15回変異が起きたことを見出している。こうした遺伝子で起きたなかでより最近の変異は、ヒトの進化の重大な転機と関係しているように見える。

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じじぃの日記。

ミチオ・カク著『フューチャー・オブ・マインド』という本に、「知能の遺伝的特質」があった。

「2011年に公開された作品『猿の惑星:創成記』では、科学者がアルツハイマー病の治療法を探っている。その過程で、彼らはあるウイルスを偶然発見し、それがはからずもチンパンジーの知能を向上させる結果をもたらす」

ネアンデルタール人が絶滅したのはウイルス感染によるものとする説がある。

ヒトとチンパンジーの祖先が大きく分かれ始めたのは、500~700万年である。

ヒトとチンパンジーではDNAの違いはわずかに1%しかないのだが、見た目は大きく違う。

最近の研究で、ヒトとチンパンジーの知能の比較で異なっている遺伝子が見つかってきた。

FOXP2遺伝子は、類人猿にもあるが、ヒトの場合大きく発達した。

ASPM遺伝子は、脳の大きさに関わる遺伝子である。

頭蓋のサイズに関係するASPM遺伝子と他のいくつかの遺伝子をいじれば、脳がより大きく複雑になり、知能を高められる可能性があるのだそうだ。

将来、チンパンジーとヒトは知能で同じになるかもしれない。

もし、チンパンジーとヒトとで知能の逆転が起きたら、それは「パラドックス」に違いない。

じじぃの「カオス・地球_316_LIFESPAN・第4章・なぜ赤身肉は危険なのか」

がん診断後の食事「肉は制限すべき?」

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=mnrQQ72g9j4

えっ!赤身肉ってヘルシーだと思ってた!


赤身肉で大腸がんになる?

2023年4月24日 ひだ胃腸内視鏡クリニック
世界中で行われた研究の結果から、「赤身肉」の摂取は大腸がんができやすくなる危険因子であることが分かっています。
「えっ!赤身肉ってヘルシーだと思ってた!」
「じゃあ、脂身の多い霜降り肉やったら大丈夫なんや!」

・・・と、どえらいポジティブ?な勘違いをされる方もおられますが、決してそうじゃありません。
https://nishinomiya-naishikyo.com/%E8%B5%A4%E8%BA%AB%E8%82%89%E3%81%A7%E5%A4%A7%E8%85%B8%E3%81%8C%E3%82%93%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%EF%BC%9F/

LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界

【目次】
はじめに――いつまでも若々しくありたいという願い
■第1部 私たちは何を知っているのか(過去)
第1章 老化の唯一の原因――原初のサバイバル回路
第2章 弾き方を忘れたピアニスト
第3章 万人を蝕(むしば)む見えざる病気
■第2部 私たちは何を学びつつあるのか(現在)

第4章 あなたの長寿遺伝子を今すぐ働かせる方法

第5章 老化を治療する薬
第6章 若く健康な未来への躍進
第7章 医療におけるイノベーション
■第3部 私たちはどこへ行くのか(未来)
第8章 未来の世界はこうなる
第9章 私たちが築くべき未来
おわりに――世界を変える勇気をもとう

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『LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界』

デビッド・A・シンクレア、マシュー・D・ラプラント/著、梶山あゆみ/訳 東洋経済新報社 2020年発行

第4章 あなたの長寿遺伝子を今すぐ働かせる方法 より

アミノ酸を制限する――なぜ肉は危険なのか

動物性タンパク質にマイナス面のあることは、ほとんど議論の余地がない。動物性に片寄った食生活を送っていると、心血管系疾患による死亡率とがんの発症率が共に高まるおとが数々の研究で報告されている。加工した赤身肉はとくにいけない。ホットドッグやソーセージ、ハムにベーコン。素晴らしく美味であっても、恐ろしく発がん性が高い。そのことは何百という研究で指摘されており、結腸・直腸がん・膵臓がん、前立がんとの関連が確認されている。赤身肉にはカルニチンという物資が多く含まれて、これが腸内細菌によって変換されるトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)になる。心臓病の原因になることが疑われている化学物資だ。
    ・

mTORを活性化させるアミノ酸の接種量を控える

では、制限するのはどの必須アミノ酸でもいいかといえば、そうでないこともしだいに明らかになっている。
アメリ国立衛生研究所(NIH)のラファエル・デ・カーボと、、ミシガン大学のリチャード・ミラー、それからハーバード大学医学大学院のジェイ・ミチェルは、必須アミノ酸メチオニンに注目している。メチオニン含有量の少ない餌をマウスに与えると、とりわけmTOR(mammalian target of rapamycin、細胞外の栄養状態や細胞内エネルギー(ATP量)等の情報が感知して、細胞成長・増殖へ結びつける上で中心的な役割を担うリン酸化酵素)抑制効果の高いことを見出したのだ。具体的には、体の防御機能を働かせ、手術中の臓器を低酸素症から守り、健康寿命を20%長くするという結果が確かめられている。
私のかつての教え子で、今はウィスコンシン大学に研究室を構えるダドリー・ラミングは、肥満マウスのメチオニン摂取を制限すると体脂肪が大幅に減少することを突き止めた。しかも短時間で、ラミングが「ぐうたら族」ラミングと名づけたマウスでさえ、運動もせずに好きなだけ食べ続けても1ヵ月で体脂肪が約79%減った。おまけに、血糖値も下がったのである。

人間はメチオニンなしでは生きていけない。しかし、それを摂り込む量を制限すれば、もっといい生き方ができる。牛肉、仔牛肉、鳥類の肉、豚肉、卵にはメチオニンが豊富に含まれる一方で、植物性タンパク質ではおしなべてメチオニンが少ない傾向にある。いわば生命の火を灯し続けるには十分だが、生物としての満足感を味わうには足りない量だ。

同じことがアルギニンや、分岐鎖アミノ酸と呼ばれるロイシン、イソロイシン、バリンの3つにもいえる。いずれもmTORを活性化する働きをもつものだ。これらの接種量を控えると、寿命が延びるという相関関係が確認されている。また、人間を対象にした研究からは、分岐鎖アミノ酸の摂取量を減らせば、代謝機能の指標となる数値が大きく改善することもわかっている。

どれも生きるうえで欠くことがアミノ酸だとはいえ、たいていの人は少ない量でも間違いなく耐えられる。その量を抑えるには、一般に「良質の動物性タンパク質」とされる鶏肉や魚や卵を減らせばいい(ただし、身体がストレスを受けているときや怪我からの回復期を避けて行うのが得策だ)。

    ・
肉好きよりもベジタリアンのほうが心血管系疾患やがんに圧倒的にかかりにくいのは、こうした背景があるからかもしれない。もっとも、そこにはほかの要素も働いている。たとえば、カロリー摂取量の低さや、ポリフェノール摂取量の多さ、さらにはほかの人類に対する優越感も一役買っている。最後の優越感はさておき、ベジタリアンのほうが寿命も健康寿命も長い理由としては、どちらの要素も十分に納得のいくものだ。

ただし、低タンパク質で野菜中心の食事を心掛けて長生きしたとしても、それだけでは寿命を最大限に延ばすことにはならない。なぜなら、体にとってのストレスを栄養の面でつくっているだけだからだ。それでは、長寿遺伝子のもてる力をすべて発揮させるところまでは行かない。だから、物理的なストレスも加えてやる必要がある。それがないと、サバイバル回路をより一層働かせる大事な機会を失ってしまう。たとえるなら、美しいスポーツカーをもっているのに、毎週日曜の朝に次の信号まで走らせるだけで戻ってくるようなものだ・長寿遺伝子が宝のもち腐れになって、あまりにもったいない。

これは大変な馬力のある車なのだ。とにかくエンジンをふかして、遠くまで一走りしてくればいい。

じじぃの「意識の流れ・自己認識とパラドックス!逆説の雑学」

生理学 神経ゾーン⑦ 「脳幹」「間脳 視床/視床下部

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=F7qzkQ4mvcY

視床下部とは


視床下部・下垂体疾患

玉田クリニック
視床下部とは
視床下部とは10g程度の重さですが、脳の一番奥で下垂体の真上に位置する脳のきわめて重要な部位です。
体温、食欲、睡眠、体の水分量や塩分量の調整をしています。さらには近くの海馬と連携して記憶や意識の調整をしているとも言われています。また、下垂体とは直接つながっていて下垂体から出るホルモンの調整を行います。

下垂体が「様々なホルモンの分泌調節の中枢」と下垂体の項で書きましたが、視床下部はそのさらに上位の調整の中枢です。
https://tamada-clinic.jp/pituitary.html

『フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する』

ミチオ・カク/著、 斉藤隆央/訳 NHK出版 2015年発行

第2章 物理学者から見た「意識」 より

レベルⅢ:未来をシミュレートする

主としてホモ・サピエンスと関連づけられる最高レベルの意識はレベルⅢ(視床下部を中心とした脳の部位)の意識だ。
この意識では、世界のモデルを手にしてから、未来へ向けてシミュレーションをおこなう。
われわれはこれを、人や出来事にかんする過去の記憶を分析し、その後多くの因果関係を考えて「因果の」木を作ることによっておこなっている。カクテルパーティーでいろいろな人も顔を目にするとき、人はこんな単純な疑問を自分に投げかける。どうしたらこの人は私の助けになるのかな? ここで交わされるうわさ話は、将来どんなふうに広まるのかな? だれか私をやっつけようとしているのかな?

あなたが職を失ったばかりで、新しい仕事を必死に探しているとしよう。この場合、カクテルパーティーでいろいろな人と話をしているときに、あなたの心は話し相手のひとりひとりとの未来を懸命にシミュレートしている。あなたは自問する。どうしたらこの人に私を印象づけられるかな? うまくいくためには、どんな話題を持ち出すべきかな? 私に仕事をくれるかな?

最近の脳スキャンでは、脳がどのように未来をシミュレーとしているかについて、解決のヒントが少し与えられている。そうしたシミュレーションは、主に脳のCEOである背外側前頭前皮質で、過去の記憶を使ってなされている。未来のシミュレーションで望ましい満足な結果になれば、脳の快楽中枢(側坐核視床下部にある)が光る。
一方、問題のある結果になれば、眼窩前頭皮質が活動してわれわれに危険を知らせる。すると、脳のなかで、(望ましい結果にも望ましくない結果にもなりうる)未来に関わる異なる部位のあいだで闘争が起きる。最後には、背外側前頭前皮質がそれを調停して最終的な判断を下す(一部の神経学者は、この闘争がおおざっぱに見てフロイトの自我とイドと超自我との対立関係にも似ていると指摘している)。

自己認識の謎

意識の時空理論が正しければ、それは自己認識の厳密な定義も与えてくれる。曖昧で堂々めりの言い方をするのではなく、検証可能で有用な定義を提供できるはずなのだ。そこで自己認識を次のように定義しよう。

  自己認識とは、世界のモデルを構築し、自分がいる未来をシミュレーとすることである。

したがって、動物にはいくらか自己認識がある。将来生き延びて配偶者を得るつもりなら、自分がどこに存在するかを知る必要があるからだ。しかしそれも本能のせいでかなり限られている。

ほとんどの動物は、鏡の前に連れていくと、映った像が自分だとはわからず、無視するか攻撃する(「ミラーテスト」といい、ダーウインのころからある)。ところが、ゾウや大型類人猿、バンドウイルカ、シャチ、カササギといった動物は、鏡に映った像が自分だとわかる。

一方、ヒトはそれより大きく前に出て、いつでも自分が主役として存在する未来のシミュレーションをおこなう。デートに行く、求職する。転職するといったさまざまな状況――どれも本能では決定しない――に自分が直面するのを絶えず想像するのである。
ヒトの脳に未来のシミュレーションをやめさせることはきわめて難しいが、それを試みる巧みな方法もあれこれ考案されている(瞑想など)。

夢想と言う行為ではおおむね、目標をなし遂げるために、考えられるさまざまな未来が演じられる。われわれはみじからの限界も強みも知っていることに自信があるので、自分をモデルのなかに入れて「再生」ボタンを押し、バーチャルな芝居の役者であるかのように、仮想のシナリオを演じはじめるのだ。

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じじぃの日記。

ミチオ・カク著『フューチャー・オブ・マインド』という本に、「自己認識の謎」があった。

自己認識はどこで行っているのだろうか?

デカルトは共通感覚の座としての脳の「松果体」を心身の結合の場とみなした。

「そうしたシミュレーションは、主に脳のCEOである背外側前頭前皮質で、過去の記憶を使ってなされている。未来のシミュレーションで望ましい満足な結果になれば、脳の快楽中枢(側坐核視床下部にある)が光る」

人間は五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)から情報を得ている。
特に視覚は、全体の約80%もの多くの情報を目から得ている。

視床下部は、五感からの情報取得の他、体温調節や睡眠の制御までおこなっているのだとか。

この本によれば、脳の司令塔は「側坐核」と「視床下部」が担っているのだとか。
   
東京大学の研究チームは、マウスの脳内神経ネットワークを独自のアルゴリズムで解析。主観的な体験である「意識」と、神経ネットワークの双方向接続との関係について明らかにした。 「意識」は脳領域同士が成す複雑なネットワークが担っていると考えられているものの、脳のネットワークのどの部分が意識を担うのかは明らかになっていない。
https://ascii.jp/elem/000/004/099/4099149/

なんとなく、脳の「自己認識の謎(パラドックス)」は「視床下部」にあるような気がする。

じじぃの「カオス・地球_315_LIFESPAN・第3章・老化は病気である」

カズレーザーと学ぶ5月7日<不老不死研究の最前線/若返り食材/改造T細胞/脳オルガノイド/アンスロボット/見逃し配信/再放送>2024年5月7日 LIVE FULL

動画 tver.jp
https://tver.jp/episodes/ep7dnw9pa1

新たなフェーズに入った老化研究


新たなフェーズに入った老化研究

医学書
これまでは,個々の加齢性疾患に対して個別の治療法を確立する必要があったが,「老化」を共通の病因と見なすことで,同じ治療で多くの疾患をターゲットにすることができる。
https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2023/3499_02

LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界

【目次】
はじめに――いつまでも若々しくありたいという願い
■第1部 私たちは何を知っているのか(過去)
第1章 老化の唯一の原因――原初のサバイバル回路
第2章 弾き方を忘れたピアニスト

第3章 万人を蝕(むしば)む見えざる病気

■第2部 私たちは何を学びつつあるのか(現在)
第4章 あなたの長寿遺伝子を今すぐ働かせる方法
第5章 老化を治療する薬
第6章 若く健康な未来への躍進
第7章 医療におけるイノベーション
■第3部 私たちはどこへ行くのか(未来)
第8章 未来の世界はこうなる
第9章 私たちが築くべき未来
おわりに――世界を変える勇気をもとう

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『LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界』

デビッド・A・シンクレア、マシュー・D・ラプラント/著、梶山あゆみ/訳 東洋経済新報社 2020年発行

第3章 万人を蝕(むしば)む見えざる病気 より

老化を病気と認めれば老化との闘いには勝利できる

老化は身体の衰えをもたらす。
老化は生活の質を制限する。
老化は特定の病的異常を伴う。

これだけの特徴をすべて備えているのだから、1個の病気と呼ぶための基準に残らず合致しているかに思える。ところが、1つだけ満たしていない条件がある。影響を受ける人の数が多すぎるのだ。

『高齢者医療メルクマニュアル』(メディカルブックサービス)によると、病気とは、人口の半数未満がこうむる不調のことをいう。しかし、当然ながら老化は誰にでも訪れる。では、このマニュアルは老化をどう表現しているのか。いわく、「外傷、疾病、環境リスク、あるいは不健康な生活習慣の選択といった要因が存在しなくても、時とともに臓器の機能が不可避的かつ不可逆的に低下すること」。それが老化なのである。

がんにしろ、糖尿病にしろ、あるいは壊疽にしろ、それが不可避で不可逆だと発言するなんて、今なら想像もできないだろう。

でも私は知っている。昔は誰もがそう話していたものだ。
今挙げた病気にしても、老化と同様に自然なプロセスから生じた不具合といえる。だからといって、その病気が不可避で不可逆だなどとは思わないはずだ。受け入れるべきだという発想も、絶対に出てこないだろう。老化に対するマニュアルの考え方は間違っている。

しかし、過去を振り返ってみればわかるように、たとえ間違っているのが明らかでも、それまで通用していた物の見方は公共政策にいやでも悪しき影を落とす。一般的な病気の定義から外れているために、老化は私たちが築いてきたシステムに組み込みにくい。医学研究への助成金制度とも、薬剤開発のプロセスとも、保険会社による医療費補償の仕組みとも、うまくなじまないのである。言葉は重要だ。定義は重要だ。枠組みは重要だ。そして、老化をいい表わす言葉や言葉や定義や枠組みがどうなっているかといえば、「避けて通れないもの」という一点に尽きる。闘いが始まる前にタオルを投げ込むどころではない。闘いがあるのも知らないうちからタオルを投げ入れている。

だが、闘いは現に存在する。栄光ある、世界規模の闘いが、そしてそれは、勝利できる闘いでもあると私は考えている。

人口の49.9%に起きるのが病気で、50.1%が経験するものは病気じゃないなんて、そんなおかしな理屈があるだろうか。こんな検討違いの方向からアプローチしているから、世界中の病院や研究センターがモグラ叩き式の医療に走る現状が生まれているのだ。

今の私たちは、一部の人にだけ関係する問題にわざわざ焦点を当てている。しかし、あらゆる人を悩ませる問題に対処できるとしたらどうだろうか。しかも、それに取り込むことで、ほかのこまごまとした問題すべてに大きな変化をもたらせるとしたら?

私たちはそれができるのだ。
老化は1個の病気である。私はそう確信している。その病気は治療可能であり、私たちが生きて生きているあいだに治せるようになると信じている。そうなれば、人間の健康に対する私たちの見方は根底からくつがえるだろう。

「老化の情報理論」から始まる老化との闘い

老化を病気と呼ぶのは、健康や幸福に関する一般的な見方から大きく逸脱することを意味する。それは私も認める。これまでは旧来の見方を根本に据えて、致死性の疾患に対する様々な治療法が確立されてきた。しかし、そもそもそんな枠組みになったのは、老化の原因が突き止められていなかったからという理由が大きい。だからつい最近になるまで、私たちの武器は「老化の典型的特徴」を並べたリストがせいぜいだった。「老化の情報理論」ならこの状況を変えることができる。

治療の指針とするために、老化の典型的特徴を利用するのが悪いわけではない。その特徴に1つ1つ取り組んでいけば、たぶん私たちの暮らしにプラスの変化をもたらせるだろう。

テロメアが短縮しにくくなる処置をすることで、長期にわたって健康状態と幸福感を高められるかもしれない。タンパク質の恒常性を維持し、栄養状態の感知メカニズムが劣化するのを阻み、ミトコンドリアの機能不全を回避し、細胞の老化を食い止め、幹細胞を若返らせ、炎症を減らす。

こうしたことにはいずれも、避けがたいものを遅らせる効果があると見られている。現に私自身、個々の解決策を開発している世界中の研究者と手を携えているし、これからもそれを続けたいと考えている。苦しみを和らげるためなら、できることは何でもやったほうがいい。

だがそれは、やはり9つの支流に9つのダムを築いているのと同じだ。
2010年の王立協会の会合で、出席者たちはこの闘いを「老化の新しい科学」と名づけた。一致団結して闘っていくうえでは、上流に向かうことにこそ可能性と未来がある。そう気づき始めた科学者はしだいに数を増してきている。

力を合わせれば、私たちはたった1個のダムを築くことができる。しかも、水源に。問題が起きたときにだけ介入するのではない。ただ進行を遅らせるだけでもない。老化に伴う様々な症状を一気に消し去ればいい。

これは、治療できる病気なのだ。

じじぃの「倫理的問題・ロボット三原則のパラドックス!逆説の雑学」

戦争とAI 偽情報が次々拡散/AI×人 共生できる?支配される?【11月23日(木)#報道1930】 | TBS NEWS DIG

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=VkZ3O3f4f1A


報道1930 「手塚治虫ブラック・ジャックの“新作” AI×ヒトが生む創造力」

2023年11月23日 BS-TBS
【キャスター】山形純菜、松原耕二 【解説】堤伸輔
【ゲスト】佐藤正久(元外務副大臣)、栗原聡(慶應義塾大学教授)、鈴木晶子理化学研究所客員主管研究員)
手塚治虫“新作”の制作現場密着 「AIに個性を感じる瞬間がある」▼AI界の“ゴッドファーザー”が警告 「AIは人間を支配する」▼AIの悪用にどう対処…衝突あおるフェイク画像を見破る
https://bs.tbs.co.jp/houdou1930/

ロボット工学三原則

コトバンク より
第一原則「ロボットは人間に危害を加えてはならない」。
第二原則「第一原則に反しない限り、人間の命令に従わなくてはならない」。
第三原則「第一、第二原則に反しない限り、自身を守らなければならない」という原則からなり、第一原則が最も優先される。

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『フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する』

ミチオ・カク/著、 斉藤隆央/訳 NHK出版 2015年発行

第10章 人工知能 より

倫理的なロボット
一見したところ、倫理的なロボットなど考えるのは時間の無駄のように思える。しかしこの問題はいずれロボットが生死にかかわる決断をすることになると気づくと、切迫感を持つようになる。ロボットは物理的に頑丈で人命を救えるので、だれを最初に助けるかについて、瞬時の倫理的選択を迫られることになるはずだ。

たとえば、大地震があって、みるみる崩れゆく建物に子どもが閉じ込められているとしよう。
ロボットは自身の能力をどう割り振るべきだろう? 一番多くの子どもを救うようにすべきか? 一番幼い子どもを救うべきか? それとも一番弱い子どもを救うべきか? 一番幼い子どもを救うべきか? それとも一番弱い子どもか? がれきが重すぎれば、ロボットの電子部品が損傷するおそれもある。すると、ロボットはまた別の倫理的問題に決断を下さなければならなくなる。助ける子どもの数と、みずからの電子部品に受けるダメージとを、どうはかりにかけるのか?

適切なプログラムがされていなければ、ロボットは停止し、人間が最終的な決断を下すのを待つことになるかもしれない。それでも貴重な時間が無駄になる。だから、ロボットが自動的に「正しい」決断をするように、だれかが前もってプログラムしておかなければならないのだ。

こうした倫理的決断はあらかじめコンピュータいプログラムしておく必要があるが、それは、複数の子どもを救うときに価値判断の基準となる数学的規則が存在しないからだ。
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あなたが要人を警護する警備会社に勤めているとしたら、最重要の任務を予算の範囲内で遂行することなどを考慮して、さまざまな状況において厳密に決まった順序で人を救うことをロボットに教えなければならないだろう。

では、犯罪者がロボットを購入し、そのロボットに犯罪をおこなわせようとしたらどうなるだろう?
ここでひとつ疑問が生じる。法を破るように求められたら、ロボットはオーナーに逆らえるようにすべきか? 今の例からわかるように、ロボットは法を理解し、さらに倫理的な決断も下すようにプログラムされなければならない。したがって、法を破れと言われているのだと判断したら、主人に背けるようにする必要がある。

また、オーナーが常識した道徳観念や社会規範の持ち主の場合、その思想を反映したロボットが招く倫理的ジレンマもある。今日の社会に見られる「文化戦争」は、われわれがオーナーの意見や思想を反映したロボットを持つようになれば、激化するばかりだ。ある意味で、この争いは避けられない。ロボットは作り手の夢と希望の延長上にある機械であり、道徳的決断ができるほど高度になれば、それをおこなうことになるのだ。

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じじぃの日記。

ミチオ・カク著『フューチャー・オブ・マインド』という本に、「倫理的なロボット」があった。

たとえば、大地震があって、みるみる崩れゆく建物に子どもが閉じ込められているとしよう。
ロボットは自身の能力をどう割り振るべきだろう? 一番多くの子どもを救うようにすべきか? 一番幼い子どもを救うべきか? それとも一番弱い子どもを救うべきか? 一番幼い子どもを救うべきか? それとも一番弱い子どもか? がれきが重すぎれば、ロボットの電子部品が損傷するおそれもある。すると、ロボットはまた別の倫理的問題に決断を下さなければならなくなる。助ける子どもの数と、みずからの電子部品に受けるダメージとを、どうはかりにかけるのか?
   
去年11月23日、BS-TBS 報道1930 「手塚治虫ブラック・ジャックの“新作” AI×ヒトが生む創造力」を観た。

こんなことを言っていた。

AIが人を支配する日?

AI界”ゴッドファーザー”ジェフリー・ヒントン教授、
「人間が二酸化炭素を減らすという目標をAIに与えると、AIは二酸化炭素を排出する人間を排除する』という目標を設定するかもしれない。AIにやっていけないことを覚えさせることはできるが、全てを網羅できるとはかぎらない」

理化学研究所客員主管研究員・鈴木晶子
「曖昧なもの、例えば愛情をもって接していれば、相手の言うことを信じてしまう。ある種の錯覚状況に陥ってしまう。昨日は35℃、今日は38℃と温度計のように計れるのだったらいいが、はっきりしていないものの場合、見えないものを見えないままに受けとめるというあたりが人間らしさだと思う」

じじぃの「カオス・地球_314_LIFESPAN・第2章・走るのをやめない高齢のマウス」

老いなき時代の到来!長寿遺伝子=「サーチュイン」の7つの働き|九州大学片倉喜範先生|

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=AHdGELNJAdc

寿命制御の組織間コミュニケーションの概念図


老化を制御し、予防する

Nature ダイジェスト
視床下部からのシグナルは骨格筋へと伝わり、他の臓器に何らかの作用をもたらす(エフェクター)と考えられるが現在解明中。
それぞれの組織でNAD+によるサーチュインの活性化という反応が重要と考えられている。なお、脂肪組織の脂肪細胞内にあるNAMPT(iNAMPT)は血中に分泌されるとeNAMPTとなり、それがNMNの合成を促進する。NMNは脳血液関門を通って視床下部でのNAD+合成を賦活化し、それがサーチュインを活性化すると考えられる。
https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v13/n1/%E8%80%81%E5%8C%96%E3%82%92%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%97%E3%80%81%E4%BA%88%E9%98%B2%E3%81%99%E3%82%8B/70752

エピジェネティクス

国立環境研究所 より
エピジェネティクス」という言葉は、個体発生に関する説の1つである「エピジェネシス(後成説)」と、ジェネティクス(遺伝学)」を起源としています。
「エピ」はギリシャ語で「後で」や「上に」という意味の接頭語であるため、「エピジェネティクス」は「遺伝子の上にさらに修飾が入ったもの」などという概念です。
ジェネティクスでは、DNAを構成するA(アデニン)、 T(チミン)、 G(グアニン)、 C(シトシン)という4種類の塩基の並び方、すなわち塩基配列を遺伝情報の基本とします。一方エピジェネティクスでは、DNAの塩基配列は変えずに、あとから加わった修飾が遺伝子機能を調節する制御機構となります。

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LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界

【目次】
はじめに――いつまでも若々しくありたいという願い
■第1部 私たちは何を知っているのか(過去)
第1章 老化の唯一の原因――原初のサバイバル回路

第2章 弾き方を忘れたピアニスト

第3章 万人を蝕(むしば)む見えざる病気
■第2部 私たちは何を学びつつあるのか(現在)
第4章 あなたの長寿遺伝子を今すぐ働かせる方法
第5章 老化を治療する薬
第6章 若く健康な未来への躍進
第7章 医療におけるイノベーション
■第3部 私たちはどこへ行くのか(未来)
第8章 未来の世界はこうなる
第9章 私たちが築くべき未来
おわりに――世界を変える勇気をもとう

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『LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界』

デビッド・A・シンクレア、マシュー・D・ラプラント/著、梶山あゆみ/訳 東洋経済新報社 2020年発行

第2章 弾き方を忘れたピアニスト より

何が老化時計を早めているのか

こうした発見(老化は当初、加齢に伴うDNA変異の蓄積やゲノム不安定の増大に起因する遺伝情報の喪失によって引き起こされると考えられた)は、カリフォルニア大学サンディエゴのトレイ・アイデカーとカン・ジャンや、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のステーヴ・ホーヴァスの研究結果とも一致する。とくにホーヴァスの成果は、現在「ホーヴァスの老化時計」として知られている。これは、たんに誕生からの経過時間で決まる「歴年齢」ではなく、「生物学的な年齢」を正確に割り出すための手法だ。具体的には、「DNAのメチル化」と呼ばれるエピゲノムの特徴を数千ヵ所で調べ、それによって組織や細胞の老化の度合いを測るというものである。
老化というのは、中年になってから始まるものだと思っているかもしれない。確かに、実際に体を大きな変化が現れてくるのはその頃からだ。しかし、ホーヴァスの時計は、私たちが生まれた瞬間から時を刻み始める。それはマウスにしても同じで、ICEマウス(エピゲノムを変化させることで老化が進んだのと同じ状態にしたマウス)のエピゲノム年齢は、姉妹たちより約50%進んでいることがわかった。

生命のマスタークロックを何が早めているのか、私たちはそれを見出したのである。
別の見方をすれば、通常より約50%速いペースで生命のDVDに傷をつけたともいえる。マウスの基本設計図であるデジタル情報自体は、それまでもそのときも、今も変わってはいない。ただ、その情報を読むためのアナログマシンが、データを断片的にしか拾えなくなったのだ。

ここが重要なポイントである。私たちはマウスの老化を促すことに成功したが、一般に老化の原因とされているものにはいっさい手を出していない。遺伝子変異を起こさせたわえでもなければ、テロメアに触れたわけでもない。ミトコンドリアをいじったのでも、幹細胞をじかに取り除いたのでもない。それなのにICEマウスは痩(や)せ、ミトコンドリアの機能が衰え、筋力が低下した。さらには、白内障、関節炎、認知症を発症し、骨密度の低下をきたして、体を弱ったのである。

これらはすべて老化に伴う症状であり、人間と同様にマウスを死の淵へと追いやるものだ。それが、遺伝子変異によってではなく、DNAの損傷シグナルを引き金とするエピゲノムの変化によってもたらされた。

私たちは症状1つ1つをマウスに与えたわけではない。与えたものは、老化だ。
そして、与えたものは取り戻すことができる。

エピゲノムを安定させれば若返りも不可能ではない――走るのをやめない高齢のマウス

テキサス大学のベンジャミン・レヴィーン教授は、定期的に運動するのは私たちの「義務」だと語る。「運動のことを、個人衛生の一環として捉えてほしいと皆さんには話しています。歯を磨くのと同じです。自身を健康にするために、やって当然の習慣にしなくてはいけません」

もちろん教授は正しい。ジムに通うのが歯を磨くくらいに簡単なら、たいていの人は運動するようになるだろう。だがそうはいかない。

もっとも、いずれはそんな日が来るかもしれない。現に私の研究室での実験から、そうなってもおかしくないことが示されている。

「デビッド、大変です」。2017年のある秋の朝、私が研究室に出勤すると、マイケル・ボンカウスキーという博士研究員が血相を変えていた。

1日の始まり方としてはあまりいいものじゃない。
「わかった」。深く息を吸って、最悪の事態に備える。「何が起きた?」
「あのマウスたちです。走るのをやめないんです」
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上限を3キロにしていたのにはわけがある。そんなに長い距離を走るマウスなどいないからだ。にもかかわらず、高齢のマウスがウルトラマラソンのランナーも顔負けになった。

なぜか、手掛かりは、私たちが2018年に発表した論文のなかにある。この論文に記した重要な発見の1つは、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、エネルギーを産生する補酵素の一種。体内の細胞で起こる化学反応に不可欠な物質)濃度を高める分子を高齢のマウスに与えてSIRT1酵素を活性化してやったところ、血管の内壁を覆う内皮細胞に変化が起きたことである。それが血流の不足している筋肉の領域に入り込み、新たな毛細血管が形成されたのだ。そして、切に必要とされていた酸素を運ぶのはもちろん、乳酸や有害な代謝産物を筋肉から運び去った。これにより、マウスにしろ人間にしろ、体力低下を引き起こす大きな要因を取り除いたのである。高齢のマウスが突如としてマラソンランナーに変身したのはそういうわけだったのだ。

サーチュイン(長寿遺伝子、SIR1からSIR7まで)が活性化された結果、マウスのエピゲノムはより安定した状態になった。谷の斜面が高くなり、重力も強くなって、ウォディントンの「ビー玉」はあるべき場所に押し戻された。実験のマウスには所定の物質を摂取させただけなのに、運動をさせたかのような効果が毛細血管の内壁に現われていた。疑似的な運動効果が確認されたのはこの実験が初めてである。ある方面での若返りが不可能ではないことを間違いなく物語っている。

こうした結果がどのような仕組みで生じるのか、すべてが解明できているわけではない。サーチュインを活性化する分子にしても、何が最適でどれくらいの量がいいのか、まだ結論は出ていない。そうした数々の祇園に答えるべく、体内でNADに変化する化学物質がこれまでに数百種類も合成されてきた。現在、それらを使っていくつもの臨床試験が進められといる。

とはいえ、すべての結果が出るまで待たなくても、これまでに解明されたことを活用することはできる。現時点であっても、エピゲノムのサバイバル回路を適度に働かせて、より長く、より健康な人生を送ることは十分に可能だ。「老化の情報理論」の恩恵はすぐにでも受けられるのである。

現状よりはるかに長く、はるかに健康に生きるために、今すぐできることはいくつもある。老化を遅らせ、食い止め、場合によっては部分的に若返りを図ることだって夢ではない。

どうすれば老化と闘えるのか。老化に対する見方を根本から改めさせるような科学的処置とはどういうものか。人類の未来を一変させる治療や療法とは何なのか。もちろん具体的に説明することはできる。だがその前に、1つだけ重要な問いに答えておきたい。

それは正しいことなのか?