じじぃの「カオス・地球_307_白人がマイノリティになる日・第9章・住み分け」

London - population characteristics

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=E59yUaQnEPI

London Minority growth in ward 2001-11


White Flight in England? White attraction rather than repulsion seems to be the story

December 17th, 2013 British Politics and Policy at LSE
https://blogs.lse.ac.uk/politicsandpolicy/white-flight-in-england/

WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日

【目次】
第1章………白人がマイノリティになる世界―ホワイトシフト
■第1部・闘争
第2章………ホワイトシフト前章アメリカ史におけるWASPから白人への転換
第3章………トランプの台頭―移民時代の民族伝統主義的ナショナリズム
第4章………英国― 英国保護区の崩壊
第5章………欧州における右派ポピュリズムの台頭
第6章………カナダ特殊論― アングロスフィアにおける右派ポピュリズム
■第2部・抑圧
第7章………左派モダニズム―一九世紀のボヘミアンから大学闘争まで
第8章………左派モダニズムと右派ポピュリストの戦い
■第3部・逃亡

第9章………避難― 白人マジョリティの地理的・社会的退却

■第4部・参加
第10章………サラダボウルか坩堝か? ―欧米における異人種間結婚
第11章……白人マジョリティの未来
第12章……「非混血の」白人は絶滅するのか?
第13章……ホワイトシフトのナビゲーション―包摂的な国の包摂的なマジョリティへ

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『WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日』

エリック・カウフマン/著、臼井美子/訳 亜紀書房 2023年発行

白人マジョリティが徐々に、白人の伝統的文化を身につけた混血人種のマジョリティへと変容していくモデル。
英国では2100年代に混血の人々がマジョリティになると著者カウフマンは予見する。

第9章………避難― 白人マジョリティの地理的・社会的退却 より

これまで、民族変化に対する白人の抵抗について論じてきたが、同時に、彼らはリベラルの規範の遵守のために不安を抑圧するという、正反対の反応も強いられてきた。しかし、白人マジョリティには他の選択肢もある。「闘争か逃走か」とは、脅威に対する動物の反応を述べるときに言われることだが、人間もこれに変わりはない。つまり、私たちもしばしば困難から逃げたりこれを避けたりしているのである。本章では、逃亡という反応、つまり、白人が、自分たちが優勢な地域や、あるいは白人の非常に多い社会的ネットワークのなかに逃げることについて考察していきたい。

人々は、社会的特徴に基づいて群れる傾向があり、そのため、選択肢が多くなればなるほど、住み分けは進んでいく。英国のある研究によると、公営住宅の居住者が住む場所の選択を許されると、民族的な住み分けが強まる傾向がある。対照的に、シンガポールでは住民の大部分は公営住宅に住み、住む場所は公的機関によって割り当てられている。エスニック集団がかたまって住まないよう政府が策を講じ、住み分けが起こらないように設計しているのである。これをよいことだと考える人もいるが、選択の自由がないおkとは別としても、マイノリティの健康と幸福は、自分と同じ民族が密集して暮らす地域で同胞による支援ネットワークに頼れる時に向上することが多いため、その利点が得られないという欠点もある。人の住む場所の構成には経済的要因も重要である。マイノリティ集団の多くは白人より貧しく、そのため、住む場所も貧困地域であることが多い。したがって、欧州やアメリカの大部分のように民族(エスニシティ)と所得がかなり重なり合っている場合、所得層の混合する混合住宅団地化によって統合が促進される可能性がある。混合住宅団地化とともに公営住宅の質のよさを維持しているドイツなどの欧州本土の国々では、ある程度住み分けを緩和することができている。

一方、特に欧州などの欧米の都市部には、多くの白人貧困層が暮らしている。白人貧困層とマイノリティは同じように経済の影響を受ける存在かもしれないが、どの貧困地域に住むかについてはまだ選択の余地がある。社会階層の対極にある裕福なマイノリティが、よりよい家に引っ越す場合には、もはや白人のみが居住する地域を選択する必要はなく、多様性に富む通流階級の住宅地を選択することができる。カナダの都市部には大勢のマイノリティの中流階級を暮らし、またアメリカや英国でも著しく増えている。さらに、バンクーバーの都市リッチモンドやロンドンのハーロウ地区、カリフォルニア州の都市クパチーノのような裕福な「他民族居住郊外都市(エスバーブ)」が増加傾向にあり、上昇志向の強いマイノリティたちが移り住んできているが、一方で、白人中流階級家庭は次第にこのような地域から離れていく。これは、マイノリティの経済的向上が必ずしも統合につながるものではないことを意味している。混合住宅団地の規模によっては、結局、その地域に住む同じ民俗的背景をもつ富裕層と貧困層が混合するだけになる可能性もある。

じじぃの「ムーアの法則・半導体チップ・線幅のパラドックス!逆説の雑学」

【ゆっくりIT】ムーアの法則とは? ~CPU解説~ ゆっくり解説コンピュータ知識 No.024

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=grKYPyPmGs8


【図解】コレ1枚でわかるムーアの法則

2019/09/13 オルタナティブ・ブログ
1965年の春、フェアチャイルドセミコンダクタ社の創立メンバーのひとりでありインテルの創業者であるゴードン・ムーアは、「エレクトロニクス・マガジン」誌から同誌の35周年を記念して、コンピュータの未来についての記事を依頼されました。当時、集積回路の最先端の試作品でも1つのコンピュータ・チップに詰め込めるトランジスタ数は30個が限界でした。

そんな時代にムーアは記事を書くためにデータを集めていて驚くべきことを発見したのです。なんと1枚のチップに集積されるトランジスタ数は1959年から毎年倍増していたのです。この傾向がこの先も続くと仮定すると、1975年には6万5千個という途方もない数のトランジスタが集積されることになります。
https://blogs.itmedia.co.jp/itsolutionjuku/2019/09/1_48.html

『フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する』

ミチオ・カク/著、 斉藤隆央/訳 NHK出版 2015年発行

第10章 人工知能 より

進歩の障害
では、ロボットがついに知能で人間に並び、人間を追い越すのはいつになるだろう? それはだれにもわからないが、すでに多くの予想がある。大半は、ムーアの法則が何十年も先まで成り立つと当てこんでの予想だ。しかしムーアの法則はそもそも法則ではないし、それどころか、その存続は結局のところ基本的な物理法則である量子論に反している。

そんなわけで、ムーアの法則が永久に成り立つことはない。事実、すでに法則のペースは落ちはじめている。10年後か20年後には頭打ちになるかもしれず、その影響は、とくにシリコンバレーには深刻なものとなりかねない。

問題は単純だ。現在、爪の先ほどのチップに何億ものシリコントランジスタをのせられるが、そうして詰め込める数には限界がある。現時点で、ペンティアム・チップも最も薄いシリコンの層は原子20個ぶんほどの厚みであり、2020年までには原子5個ぶんほどになる可能性がある。だがそこでハイゼンベルグ不確定性原理が働き出す。電子の居場所を厳密に決定できなくなり、電子が配線から「漏れ出る」おそれが生じるのだ。そうなればチップはショートしてしまう。おまけに、目玉焼きができるほどの熱を発する。したがって、こうした漏洩と熱によっていずれムーアの法則は破綻し、それに代わる何かが必要となるだろう。

平たいチップにトランジスタを詰め込んでコンピュータの性能を上げるのが限界に近づいているのなら、チップを三次元にしようと、現在インテル社は数十億ドルの賭けに出ている。このギャンブルがうまくいくかどうかは、時が経てばわかる(3Dチップの大きな問題は、チップの厚みが増すにつれ、生じる熱が急激に増す点にある)。

マイクロソフト社は、並列処理で二次元に広げるなど、別の手段を探っている。ひとつの可能性は、チップを水平にいくつも並べるというものだ。そしてソフトウェアが取り込む問題を細かく分解し、それぞれを小さなチップに振り分けて解き、結果を最後に組み合わせる。しかしこれはややこしいプロセスだろうし、ソフトウェアは、ムーアの法則でわれわれにはおなじみのとてつもない指数関数的なペースよりも、はるかにゆっくり進歩している。

こうした一時しのぎの策は、ムーアの法則を何年か延命させるかもしれない。しかし、やがてそれも終わる。量子論に必ず支配されるのだ。

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じじぃの日記。

ミチオ・カク著『フューチャー・オブ・マインド』という本に、「進歩の障害」があった。

2020年6月、理化学研究所富士通が共同開発したスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」がスーパーコンピューターの性能を競う世界ランキング「TOP500」で1位を獲得した。

日本が1位を取るのは2011年11月の「京(けい)」以来、8年半ぶり。
2位にランクされたスパコンは米オークリッジ国立研究所で、富岳は速度で約2.8倍の差をつけての断トツ1位にランクされた。

世界一となった富岳の正体

富士通が開発したプロセッサー「A64FX」により高性能化を達成した。
・台湾の半導体企業TSMCが持つ最先端技術を用いて生産した。
 CPUの製造はTSMC社が担ったが、回路の配線の間隔は7nmと世界最高密度であった。

2023年11月14日、スパコンの世界ランキングは4位に転落したが、2部門(HPCG、Graph500)で6期連続世界1位を獲得している。
   

「だがそこでハイゼンベルグ不確定性原理が働き出す。電子の居場所を厳密に決定できなくなり、電子が配線から「漏れ出る」おそれが生じるのだ。そうなればチップはショートしてしまう。おまけに、目玉焼きができるほどの熱を発する。したがって、こうした漏洩と熱によっていずれムーアの法則は破綻し、それに代わる何かが必要となるだろう」

スパコン富岳の回路の配線の間隔は7nmだったが、TSMCは米国内で2nm世代以降も生産を計画している。

回路線幅を細くし回路を小さくすると高性能になるが、これ以上線幅を細くすると、ムーアの法則の壁(パラドックス)にぶつかる。

半導体工程におけるフッ化水素の役割

フッ化水素半導体の生産工程でシリコンウエハーへの回路形成や洗浄などに使われる。

回路の配線の間隔を小さくすればするほど、高純度のフッ化水素が必要とされる。

フッ化水素最高純度は現在「99.9999999999%」(トゥエルブ・ナイン)といわれている。
不純物の濃度が、1兆分の1で、現在、ステラケミファ、森田化学工業ダイキン工業といった日本企業しか製造できていないとされる。
   

今日(日本時間 4月22日)、ドジャース大谷選手のメジャー通算HR176号が出ました!

じじぃの「カオス・地球_306_白人がマイノリティになる日・第8章・移民と人種差別」

The Most RACIST Countries in the World

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=hP0exVsr2XQ

Source: Ipsos-Mori Global @dvisor Survey, 18 countries, 15 March 2017. N=14,014. Aggregated data.


Is tribalism racist? Antiracism norms and immigration

July 9th, 2017 British Politics and Policy at LSE

Are ethnically-motivated restrictions on immigration racist? Eric Kaufmann draws on new data from an 18-country survey to explain how people answered this question and how their answer affects their own support for higher or lower immigration levels.

The racism v. racial self-interest divide strongly predicts variation in support for immigration, but is only part of the story. For instance, regardless of moral sentiment, countries such as Turkey or Sweden which have recently received large numbers of Syrian refugees, want less immigration.

What is especially interesting, though, is that the antiracism-pro immigration relationship holds more strongly in European-descended societies than elsewhere. The line of best fit for western countries is shown in red in figure 1. Notice that India, South Korea, Japan, Mexico, and Turkey fall well outside the line. This underscores the sharper value cleavage emerging in the West.
https://blogs.lse.ac.uk/politicsandpolicy/antiracism-norms-and-immigration/

シャーロッツヴィル事件、デモ主催者に2500万ドルの支払い命令 連邦地裁

2021年11月24日 BBC NEWS
シャーロッツヴィルでは2017年、南北戦争奴隷制維持を掲げる南部連合の軍を率いたロバート・E・リー将軍銅像撤去をめぐり、白人至上主義者たちが抗議集会を重ねていた。
8月12日には「右派の団結」を呼びかける人たちと、これに抗議する人たちの衝突が起きた。人種差別に抗議する人たちの中にジェイムズ・アレックス・フィールズ被告が自動車で突入し、ヘザー・ハイヤーさん(32)が死亡したほか、19人が負傷した。

また、当時のドナルド・トランプ大統領が「双方に責任がある」と主張。当時の与党・共和党内や政権内からもトランプ氏を批判する声が上がった。
リー将軍銅像は今年7月に撤去されている。
https://www.bbc.com/japanese/59397162

WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日

【目次】
第1章………白人がマイノリティになる世界―ホワイトシフト
■第1部・闘争
第2章………ホワイトシフト前章アメリカ史におけるWASPから白人への転換
第3章………トランプの台頭―移民時代の民族伝統主義的ナショナリズム
第4章………英国― 英国保護区の崩壊
第5章………欧州における右派ポピュリズムの台頭
第6章………カナダ特殊論― アングロスフィアにおける右派ポピュリズム
■第2部・抑圧
第7章………左派モダニズム―一九世紀のボヘミアンから大学闘争まで

第8章………左派モダニズムと右派ポピュリストの戦い

■第3部・逃亡
第9章………避難― 白人マジョリティの地理的・社会的退却
■第4部・参加
第10章………サラダボウルか坩堝か? ―欧米における異人種間結婚
第11章……白人マジョリティの未来
第12章……「非混血の」白人は絶滅するのか?
第13章……ホワイトシフトのナビゲーション―包摂的な国の包摂的なマジョリティへ

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『WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日』

エリック・カウフマン/著、臼井美子/訳 亜紀書房 2023年発行

白人マジョリティが徐々に、白人の伝統的文化を身につけた混血人種のマジョリティへと変容していくモデル。
英国では2100年代に混血の人々がマジョリティになると著者カウフマンは予見する。

第8章………左派モダニズムと右派ポピュリストの戦い より

本書では、左派モダニズムと、高まりつつある民族伝統主義的ナショナリズムが衝突した時に、一体、何が起こるのかを見ていきたい。シャーロッツヴィルの出来事が重要なのは、自己主張を強めていく左派モダニストと白人ナショナリストの活動家が、これを契機に、その後直接衝突していくようになるからである。
キャンパスや都市部における左派モダニストの抗議活動が急激な高まりを見せる一方で、他方には、白人意識の高まりや反移民政治運動があり、その衝突は、より大きなドラマに役割を果たしている。左派モダニズムの制度化により、人種差別の意味は見事に拡大されて、新たな政策分野が生み出され、社会規範によって特定の問題に関する議論が抑制されるようになっている。

左派モダニストの思想は、1960年代から1990年代の間にエリートの組織のなかできわめて着実な進歩を見せてきたが、現在、ナショナリストからの激しい抵抗にあいはじめている。
    ・

移民と人種差別

左派モダニズムとポピュリスト保守主義を分ける主要な分岐線は、移民を中心とするものである。つまり、特に、文化的理由によって移民の削減を望むことが、人種差別になるかどうかということだ。移民の削減について話すことが多くの欧州諸国で受け入れられるようになった2000年代には、これは通常、賃金や公共サービスの圧迫の懸念という衣をまとっていた。西洋のハイカルチャーには、いまだに移民問題を取り上げることに対する居心地の悪さがある。このことがメディアの左派/右派のエコー・チャンバーへの分断化を助長する。そこには物事を都合よく解釈する状況があり、起こった事実に異なる処理を施して、自分体の陣営で優勢な世界観を強化していく。たとえば、テロ攻撃によって、左派のメディアは無実のムスリムの物語を語り、イスラム恐怖症の広がりを懸念する一方、右派は高まるムスリムの脅威からの保護と安全を強く求める。
    ・
アメリカでは、道徳はジョナサン・ハイトが「束ねて盲目化させる」と言うように、党派の境界識別指標となり、論理的盲点を生み出している。アメリカ以外では、党派的な差異はそれよりも小さく、自国の白人マジョリティの一員が、白人のグループの割合を維持するために移民の削減を求めることを人種差別と考える人は少ない。
たとえばアメリカの白人で、これを人種差別だと考える人は37%なのに対し、英国のYouGov調査でこの意見が人種差別であると答えた白人の英国人は24%である。ほとんどの国でその違いを推測させるものは、移民に対する意見である。つまり、現状維持あるいは移民の増加を求める人々は、民族文化的理由で移民の受け入れ数を制限することを人種差別だと感じる傾向があり、また、その逆も言える。英国では、大卒で移民支持派のEU残留に投票した白人の英国人のうちの80%と、移民の削減を望む白人の英国人の大多数との間には、大きな意見の相違がある。たとえば、教育を受けた移民支持派のEU残留支持者を見ると、大学や文化産業に上層部で働いている人のほとんどが、この感情は人種差別だと述べている。だが、これは白人の英国人EU残留支持者全体では45%へと下落し、白人の英国人の離脱支持者ではわずか6%へと大きく下がっている。大卒資格のない英国人の離脱支持者で、この発言を人種差別だという割合は完全にゼロである。

イプソス・モリでも18ヵ国の代表調査で同じ質問をおこなっている。ここで私たちは各国に応じてマジョリティであるエスニック集団を変更し、ハンガリーでは「白人のハンガリー人」、インドでは「ヒンドゥー教徒」とした。「わからない」という回答を除いて国別に集計したところ、再び明らかになったのは、民族文化的理由で移民の削減を求めることは人種差別ではないと大多数が考えているということだった。この動機を人種差別だと考える率が高い国はアメリカで、36%の人がそう考え、低い国は南アフリカで、13%である(南アフリカではコーサ人が準拠集団[個人が自己の行動や立場を評価する際に、その基準となるようなグループのこと]である)。国内で大きく意見が相違することもある。カナダでは、英語圏カナダ人の37%がこれを人種差別だと述べている――これはアメリカとほぼ同じ比率である――一方で、ケベック人ではそう述べた人はわずか15%にとどまっていた。ベルギーでは、ブリュッセルの住民の32%がこれに同意したが、フランドル地方では同じ意見を述べた人はわずか19%となっていた。

移民の現状維持あるいは増加を求める人々は、移民の受け入れを制限することは人種差別だと考える傾向にある。

    ・
最も注目すべきは、反人種差別と移民の受け入れに対する支持との関係が白人マジョリティ社会において他のどの社会よりも強い影響力をもつことである。図(画像参照)では欧米諸国における予測値を灰色の線で示している。
インド、韓国、日本、メキシコ、トルコはこの線からかなり離れていることに注目してほしい。これは、世界の他の地域と比較して、欧米では、個人の人種差別とは何かという見解に関する意見との間に関連があることを明確に示すものである。移民の受け入れと民族変化が進むにつれ、人種差別のタブーの適切な範囲をめぐる不一致は次第に大きな政治問題となっている。

じじぃの「コネクトーム・脳細胞・不死のパラドックス!逆説の雑学」

死は、それ自体が「パラドックス」である

2022.10.18 日経BOOKプラス

●人類を突き動かす「永遠」への熱望
私たち人間は、他のあらゆる生き物同様、果てしなく生を追求するよう駆り立てられている。だが、生き物のうちで唯一私たちだけが、その追求の過程で目覚ましい文化を創出して瞠目(どうもく)すべき芸術品を生み出し、豊かな宗教伝統を育み、科学の物質的業績と知的業績を積み上げてきた。そのすべては、「不死」を手に入れるための4つの道をたどることを通して成し遂げられてきた、というのが私の主張だ。

1回目のテーマは「人は必ず死ぬ。しかし誰もが、自分の死を正しく想像できない」。
https://bookplus.nikkei.com/atcl/column/082600120/082900001/

『フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する』

ミチオ・カク/著、 斉藤隆央/訳 NHK出版 2015年発行

第12章 心が物を超越する より

意識は肉体の束縛から解放されて、単独で存在できるのだろうか? われわれは死を免れない体を離れ、霊魂のように、宇宙という名の遊び場をうろつきまわれるのだろうか?

この問題は『スター・トレック』でも探られている。宇宙船エンタープライズ号のカーク船長は、惑星連邦より100万年近く進歩している超人類と遭遇した。非常に進歩した超人類は、もろくて死を免れない体を捨て去って久しく、いまやエネルギーのみとなり、脈打つ球体のなかに存在している。彼らは、はるか昔には、新鮮な空気を吸う、他人の手に触れる、肉体的な愛を禁じるといった高揚感を味わうこともできていた。リーダーであるサーゴンは、エンタープライズ号を彼らの惑星へ喜んで迎え入れた。その招きを受けたカータ船長は、彼らの文明がその気になれば、エンタープライズ号などたちどころに消してしまえることにはっきり気づかされた。

しかし、エンタープライズ号のクルーは知らなかったが、この超人類には致命的な弱点があった。いくら技術は進んでいても、彼らは何十万年ものあいだ肉体から切り離されていた。そのため、心地よい肉体の感覚を味わいたくて、再び人間に戻ることを切望していたのだ。

不死
こうした方法(人間のクローンなど)が批判されてきたのは、このプロセスで現実にその人の本当の人格や記憶がインプットされるわけではないからだ。機械に心を入れるというのをもっと忠実に実現できる手だては、コネクトーム・プロジェクトによるものである。このプロジェクトでは、前の章で紹介したとおり、ニューロン1個1個まで、脳のあらゆる神経回路を再現しようとしている[これをコネクトームと呼んでいる]。すべての記憶や人格は、もとからコネクトームに組み込まれているのだ。

コネクトーム・プロジェクトのセバスチャン・スン博士は、10万ドル以上払って自分の脳を液体窒素に入れて凍結してもらう人がいると言った。魚やカエルなど、一部の動物は、冬に氷の氷の塊のなかでカチカチに凍っても、春になって解けると元気でぴんぴんしている。これは、ブドウ糖を凍結防止剤として用い、血中の水の凝固点を変えているおかげだ。こうして、カチカチの氷に閉じ込められても血液は液体のままでいられるのである。しかし、人体でブドウ糖の濃度がこれほど高くなれば、おそらく命にかかわるので、人間の脳を液体窒素に入れて凍らせるのは怪しい試みと言える。氷の結晶ができる際に膨脹し、細胞壁が内側から敗れてしまう(さらにまた、脳細胞が死ぬと、カルシウムイオンがなだれこむので、脳細胞が膨脹してついてには破裂する)からだ。いずれにせよ、脳細胞が凍結のプロセスを生き延びることはほぼないだろう。

肉体を凍らせて細胞を破裂させるのでなく、もっと確実に不死を成し遂げる方法が、コネクトームを完成させることなのかもしれない。
このシナリオでは、医師があなたの神経細胞をすべてハードディスクに収める。つまり、あなたの魂はそのときディスク上にあり、情報と化しているのだ。その後、いつか将来、だれかがあなたのコネクトームを復活させれば、理論上は、クローンが複雑に配線されたトランジスタを用いてあなたを生き返らせることができるだろう。

コネクトーム・プロジェクトは、すでに述べたように、人間の神経結合を記録できる状況にはまだほど遠い。それでも、スンは言っている。「現在不死を追い求める人を、ばか呼ばわりしてあざ笑うべきでしょうか? それとも、彼らはいつの日か、私たちの墓を見てくすっと笑うのでしょうか?」

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じじぃの日記。

ミチオ・カク著『フューチャー・オブ・マインド』という本に、「不死」があった。

「肉体を凍らせて細胞を破裂させるのでなく、もっと確実に不死を成し遂げる方法が、コネクトームを完成させることなのかもしれない」

生と死のパラドックス

少し古い本だが、前野隆司著『「死ぬのが怖い」とはどういうことか』という本を読んだ。
こんなことが書かれていた。

人生は絶望か、希望か?
では、本質的には意味のない人生を、僕たちはどう生きればいいのだろうか。以下の相反する2つの方向性があり得る。
   
  1、どうせ人生は無意味なんだから、はかなく悲しい、と絶望に向かう生き方。

  2、人生には定められた意味などないんだから、人生の足かせを取り去り、むしろ自由に人生をデザインして軽やかにのびのびと生きていこう、という希望に向かう生き方。
   
人生に意味はない。しかし、もともとあると思っていたのにないと思い知らされた場合、それはショックかもしれない。その場合、1に向かうのかもしれない。

逆に、人生に意味を求める現代の風潮にもともと疑問を感じていた方の場合、「人生に定められた意味などない」というメッセージは心地よく響くのかもしれない。また、定められた意味がないということは、自分で自分なりの意味を創造する自由があるということでもあるから、前向きな人はそこに共鳴するのかもしれない。

性格・気質の差もあるのかもしれない。もともと悲観的で神経質な人が1に向かい、楽観的で社交的な人が2に向かうのかもしれない。調査はしていないので真偽は明らかではない。しかし、鬱状態の人は、1に行きがちかもしれない。
   
とか。

今日は大谷選手のHR176号が出るんじゃないか。

じじぃの「カオス・地球_305_白人がマイノリティになる日・第7章・白人特権」

「反人種差別という宗教」と白人特権


白人であることの特権を理解する:日常的に得ている20の特権例

2020/06/04 Harper's BAZAAR
白人であるということで受ける恩恵と、それが構造的な人種差別の一因となっているということについて
https://www.harpersbazaar.com/jp/lifestyle/daily-life/a32762584/white-privilege-everyday-examples-200604-lift1/

白人特権

ウィキペディアWikipedia) より
白人特権(white privilege)、または白い肌の特権(white skin privilege)は、特に同じ社会的、政治的、または経済的状況下にある場合に、一部の社会で白人以外の人々よりも白人に利益をもたらす社会的特権。ヨーロッパの植民地主義帝国主義と大西洋奴隷貿易にルーツを持ち、白人の特権はさまざまな国民の市民権、およびその他の権利や特別な利益を保護することを広く求めてきた状況で発展した。

この用語は、人種差別の対象である人々への不利益ではなく、人種差別が蔓延し、白人が正常であると見なされる社会で白人が持つほとんど隠された利益に焦点を当てた議論で使用される。このように、概念のほとんどの定義と議論は、人種差別が常態化した社会で白人が無意識に「身に着けている」「見えないバックパック」のマッキントッシュのメタファーを出発点として使用されている。

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WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日

【目次】
第1章………白人がマイノリティになる世界―ホワイトシフト
■第1部・闘争
第2章………ホワイトシフト前章アメリカ史におけるWASPから白人への転換
第3章………トランプの台頭―移民時代の民族伝統主義的ナショナリズム
第4章………英国― 英国保護区の崩壊
第5章………欧州における右派ポピュリズムの台頭
第6章………カナダ特殊論― アングロスフィアにおける右派ポピュリズム
■第2部・抑圧

第7章………左派モダニズム―一九世紀のボヘミアンから大学闘争まで

第8章………左派モダニズムと右派ポピュリストの戦い
■第3部・逃亡
第9章………避難― 白人マジョリティの地理的・社会的退却
■第4部・参加
第10章………サラダボウルか坩堝か? ―欧米における異人種間結婚
第11章……白人マジョリティの未来
第12章……「非混血の」白人は絶滅するのか?
第13章……ホワイトシフトのナビゲーション―包摂的な国の包摂的なマジョリティへ

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『WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日』

エリック・カウフマン/著、臼井美子/訳 亜紀書房 2023年発行

白人マジョリティが徐々に、白人の伝統的文化を身につけた混血人種のマジョリティへと変容していくモデル。
英国では2100年代に混血の人々がマジョリティになると著者カウフマンは予見する。

第7章………左派モダニズム―一九世紀のボヘミアンから大学闘争まで より

「反人種差別という宗教」と白人特権

反人種差別は左派モダニズムでも最も価値の高いものとされ、ジョン・マクウォーターが「反人種差別という宗教」とまでいうほどのものになっていった。これにより、人種的不平等の縮小を目指す政策の策定という賞賛に値する目標が、人類学者スコット・アトランの言う「聖なる価値」に高められている。信奉者のコミュニティ内では、「イエスは私たちの罪を贖(あがな)うために十字架にかけられた」あるいは「西洋社会は人種差別的だ」という聖なる信条に疑問がもたれることはない。これらは、科学的方法にさらされたり実験による反証を受けたりするものとは違う次元にあるとみなされている。マクウォーターによると、この宗教には、批判の対象ではなくひれ伏すべき存在である。タナハシ・コーツのような崇拝される作家という形の大祭司が存在する。コーツの分析は、実際に精査や討論を必要とするものではなく、「かくあれかし(アーメン)」と答えるのが最もふさわしい呼びかけなのだ。これについてマクウォーターは次のように述べている。
   
  白人にとって、白人特権とはそれだけで独立した特定の集団の作用の原理だと真剣に「認める」必要性は、キリスト教徒として自己の原罪を認めることと同じ正当化に基づくものです。人は原罪を背負って生まれてきますが、白人であることは、労せずに得た特権という汚点を背負って生まれてきたということなのです。(中略)コーツは[リベラルな白人の]人々に対して、白人は罪人だと言います。(中略)そして、リベラルな白人たちは熱心にその非難に聞き入って、そう言ってくれるコーツを「崇拝」するのです。いいですか、みなさん。これこそが宗教なのです。
   
マクウォーターは、「反人種差別という宗教」は、黒人男性の誇りの文化の諸相を批判や改革から保護することによって、アメリカの黒人の進歩を妨げていると考える。アフリカ人の保守派の学者であるシュルビー・スティールは、さらに、アフリカ系アメリカ人の指導者たちには、黒人コミュニティの抱えるより差し迫った問題の解決よりも、白人による差別への抗議に力を入れる政治的・金銭的動機があると述べている。作家でコラムニストのコールマン・ヒューズによると、進歩主義者たちは人種差別の減少という紛れもない事実に対して、その減少とともに定義を拡大することで対応してきた。つまり、人種差別は「質量やエネルギーの保存と同種の保存量」、つまり、形は変えられても減らすことはできないものになったのである。

私は、アメリ政治学会の政治理論セミナーでも同様のダイナミクスが働いていたことを覚えている。その時は、カナダから来たネイティヴ・インディアンの後援者が議論に参加せず、「400年間にわたる抑圧」に関して、パネリストである世界主義の理論家ジェレミー・ウォルドロンに非難することに終始していた。
また、先住民の講演者の発表の間、主に白人から成るその聴衆は、宗教的な一体感をもって話にうなずいていた。聴衆のなかで先住民の講演者の論理に異議を唱えたのは1人しかいなかった。それはアフリカ系アメリカ人の女性で、彼女は奴隷だった自分の祖先の話をして、講演者と議論するための道徳的土台作りをした上で、ようやく意見を述べた。
マクウォーターとスティールによると、反人種差別という宗教は、人種的不平等是正のために実際的な政策を策定したいと言う欲求よりも、白人の進歩主義者たちの罪の赦しを求める象徴的な要求を満たそうとするものである。私はここに、このイデオロギーは、抑圧的な単一文化主義から、平等主義的な多文化主義への急進的な社会的変革がもたらされるという、より大きな西洋の至福の時代の到来の思想とともに広がっていくということをつけ加えたい。儀式的な面には、反人種差別の聖なる価値を支持する「美徳シグナリング」をする人々を称賛するというもののほか、移民や多文化主義にまつわるタブーを侵す人々をさらし上げることも含まれている。このシグナリングを承認するダイナミクスは、原理主義の説教師のもとに集まる大衆が、何でもない出来事のなかに悪魔や神の存在を印を見る牧師のあとに続いて、「アーメン」と唱えることと同じである。反対を受けることもないために、この恍惚感は制御不能な状況に至ることがあり、そうしてエバーグリーン州立大学で起こったような一種のモラル・パニック(白人をキャンパスから追い出す日に抗議した教授吊し上げ)につながるのである。

じじぃの「ドジャース・OHTANI・HR176号のメモリアルボールに注目!ワイドスクランブル」

Shohei Ohtani hits his 175th hr #mlb #dodgers #shoheiohtani

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=UlguwmMp4rE

ドジャース大谷の175号記念カードを販売


Topps社がドジャース大谷の175号記念カードを販売 24時間限定で15日午前3時まで

2024年4月14日 スポニチ Sponichi Annex
トレーディングカードの米大手トップス社が14日、ドジャース大谷翔平投手(29)が松井秀喜が保持する日本勢最多に並ぶ175本塁打を記念した限定カードの発売を開始した。
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2024/04/14/kiji/20240414s00041000193000c.html

大下容子ワイド!スクランブル

2024年4月18日 テレビ朝日
【司会】久保田直子佐々木亮太 【コメンテーター】柳澤秀夫、能條桃子

ピックアップNEWSMLB】メジャー通算175本塁打・“ゴジラ記録”並ぶ大谷翔平

●あと1本で“ゴジラ超え” 大記録へ 目前の大谷翔平

176号HRの期待が高まる中、16日の試合では日本人最多ホームラン記録を持つ松井秀喜氏の愛称にちなんでゴジラのテーマが流れた。
試合前にはX JAPANYOSHIKIさんがアメリカ国家を生演奏。

きょう日本時間午前4時すぎに始まったナショナルズ戦にドジャース・大谷選手は2番DHでスタメン出場。
今シーズン3度目の1試合3安打で打率は3割6分に上昇した。ホームラン記録の更新はならなかったが、ベッツ選手と並んでナ・リーグのヒット数トップになった。
チームは完封負けで、ドジャーズ0-2ナショナルズ

大谷翔平の日本人メジャー最多HR176号のメモリアルボールに注目

大谷選手の松井秀喜氏と記録が並んだ175本目のホームランボールには“S1”の刻印が入っていた。MLBでは歴史的な記録が迫る打席で使われるボールににせ物が出回るのを防ぐために刻印をしているという。FBIは2000年に「市場に出回るスポーツ選手のサインや記念品などの9割以上がにせ物の可能性がある」と発表した。
MLBは選手がボールや記念品などにサインする場合、MLBが派遣した認証者が立ち会い、識別番号の付いた特殊なシールを貼ることで対策している。

ホームランボールには高値がつくことが多く、ベーブ・ルースのヤンキー・スタジアムでの初HRボールは1998年に約1550万円。アーロン・ジャッジの2022年シーズン62号HRボールは約2億3000万の値がついたという。歴代最高額はマーク・マグワイアが打ち立てた1998年の当時のシーズン新記録である70本目のホームランボールで、2020年に約4億6000万円の値がつけられている。
https://www.tv-asahi.co.jp/scramble/

じじぃの日記。

明日は大谷選手のHR176号が出るんじゃないか、
と、ちょっとワクワクしながら寝ています。

じじぃの「カオス・地球_304_白人がマイノリティになる日・第6章・カナダ特殊論?」

ケベック旅行ガイド | エクスペディア

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=mB4reNr6q8c


外務省: わかる!国際情勢 Vol.38 多文化主義と多国間主義の国、カナダ

●カナダに暮らす200以上の民族
多文化主義政策の下、現在のカナダには200を超える民族が生活しています。さらに毎年20万人以上の移民を受け入れており、近年はアジアからの移民が増加傾向にあります。なかでもイギリスから中国への香港返還(1997年)をきっかけに、香港からカナダへと移住する中国系移民が増えています。
カナダの公用語は英語とフランス語ですが、実に多様な民族が共存していることから、ドイツ語、イタリア語、中国語など様々な言語が日常的に使われており、新聞・雑誌などは40か国語以上で発行されています。これは、民族や人種が融合し、「人種のるつぼ」とも呼ばれるアメリカ社会などとは異なる国家形成のあり方です。冷戦後の世界で民族間の対立に端を発する紛争が絶えない中、カナダは多様な民族が平和に共生し、一つの国家を形成する「モザイク社会」(mosaic society)の好事例として、世界から注目を集めています。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol38/index.html

WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日

【目次】
第1章………白人がマイノリティになる世界―ホワイトシフト
■第1部・闘争
第2章………ホワイトシフト前章アメリカ史におけるWASPから白人への転換
第3章………トランプの台頭―移民時代の民族伝統主義的ナショナリズム
第4章………英国― 英国保護区の崩壊
第5章………欧州における右派ポピュリズムの台頭

第6章………カナダ特殊論― アングロスフィアにおける右派ポピュリズム

■第2部・抑圧
第7章………左派モダニズム―一九世紀のボヘミアンから大学闘争まで
第8章………左派モダニズムと右派ポピュリストの戦い
■第3部・逃亡
第9章………避難― 白人マジョリティの地理的・社会的退却
■第4部・参加
第10章………サラダボウルか坩堝か? ―欧米における異人種間結婚
第11章……白人マジョリティの未来
第12章……「非混血の」白人は絶滅するのか?
第13章……ホワイトシフトのナビゲーション―包摂的な国の包摂的なマジョリティへ

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『WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日』

エリック・カウフマン/著、臼井美子/訳 亜紀書房 2023年発行

白人マジョリティが徐々に、白人の伝統的文化を身につけた混血人種のマジョリティへと変容していくモデル。
英国では2100年代に混血の人々がマジョリティになると著者カウフマンは予見する。

第6章………カナダ特殊論― アングロスフィアにおける右派ポピュリズム より

カナダ特殊論?

オーストラリア、ニュージーランドアメリカ、カナダの歴史には多くの類似点がある。どの国にも英国系を核とした優勢なエスニック集団が存在し、その後、他の欧州諸国の集団を包摂して拡大してきたということである。カナダは民俗的に2つに分かれた国で、ケベックアカディアにはフランス人という民族(エスニック)の核があり、それ以外の地域には、英国人から転じた「白人」という民族の核がある。英国人という核は他の欧州のグループと融合してきたが、カナダ英語圏とオーストラリアでは、東欧・南欧系の占める割合は、1960年代以前はアメリカと比べると非常に小さいものだった。たとえば、1971年にはカナダ英語圏では英国人とアイルランド人が60%を占めていたが、アメリカではその割合は30%ほどだった。

第二次世界大戦以前、北米とオーストラリアはアジア人の移民をおおむね禁止し、英国人を他の欧州人よりも優遇していた、カナダでは、1896年から1904年にかけて、リベラルなクリフォード・シフトン内務大臣の下、西部入植奨励とアメリカの拡大防止のためにドイツ人と東欧人の入植者に門戸が開かれると、国内の英国系ナショナリストはこれに抵抗した。オレンジ結社と大英帝国の娘大英帝国騎士団(IODE)を含むこれらの英国王党派のグループは、他の英国系カナダ人と協力し、シフトンを辞任に追い込んだ。

こうしていったん下がったカナダへの移民の英国人の割合は、1920年までには60%に回復したが、次第に縮小して、1930年までには流入者の3分の1となっていた。これに対応し、1931年、カナダではアメリカの1924年出身国別割り当て移民法と趣旨の似た大英帝国優遇移民制度が制定された。
そのカテゴリーは優先順位の高い順に以下のとおりである。1、英国と「白人」の大英帝国自治領であるオーストラリア、ニュージーランド南アフリカアイルランドニューファンドランドの英国臣民。2、アメリカ市民。3、カナダ在住の男性の血縁者。4、カナダで農業に従事する十分な財力のある農業の専門家。
1923年と1928年には同様に東洋人排斥法も制定された。そうした1941年には、移民における英国人の比率は90%にまで回復していた。

異なる性質の社会?――英国圏カナダの欧米

移民の多い欧米諸国のなかで、国内のすべての政党が寛大な移民政策と多文化主義を支持し、右派ポピュリストの脅威に直面していないのはカナダだけである。だが、詳しく調べると、そのように特殊なのは英語圏カナダだということがわかる。ケベック州英語圏カナダよりも移民が少ないにもかかわらず、右派ポピュリスト政党があり、世論の動向は欧州に近い。英国系カナダ人ほど英国王室への忠誠に多くを注ぎ込んだグループはなかったが、大英帝国が崩壊すると、このアイデンティティも一緒に消滅した。この英国王室への忠誠心の崩壊によって、カナダの伝統の重心はリベラリズムへと移っていった。やや抽象的な英領カナダの概念は、血統と政治的起源を融合させたものだが、中心に据えられた特定のカナダの入植者集団(英国王党派の統一帝国建国神話は大英帝国と密接な関連があった)はなく、このことは、英国ナショナリズムの崩壊後も存続する民族の創設神話や民族意識は存在しないことを意味している。保守主義者にはエスニック・マジョリティのナラティブの構築を可能にする歴史的資源があったが、実際にできあがったものは何もなかった。民族復興に必要とされる知的な作品がないために、英語圏カナダには、ケベック州のように民族の伝統を守る重要な社会的勢力は存在しないのである。したがって、英語圏カナダには、決してよそでは見られない、世界主義的な事業のためのきわめて肥沃な土壌がある。そのため、リベラルは文化大国への道を開き、伝統的な経済的開放性と左派モダニズムを融合させて、多文化主義にもとづく伝統的ナショナリズムを定着させることができたのである。
    ・
移民に関して、アメリカは欧州の多くの国よりは若干リベラルだが、カナダやオーストラリアよりやや保守的だ。この一部はアメリカの白人プロテスタント入植者の伝統によるものだが、同時に、この国の移民制度が選抜制でなく、移民の多くが低技能者だという事実から生じたものだ。アメリカが高技能者の移民を選別することができていたなら、その移民政策は2015年までのカナダとよく似たものになっていた可能性もある。アメリカのポピュリズムへの転換は確実に進んでいるが、移民と多文化主義に反対する欧州スタイルの主流化が明らかなのは右翼メディアと共和党だけである。左派のメディアと民主党は、欧州の中道左派政党よりも率直なやり方で多文化主義と移民を支持しつづけている。アメリカ人の左派の多くは暗黙のうちに不法移民を歓迎し、それによって、オーストラリアやカナダの左翼政党より過激化が進んでいる。
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ポピュリストが躍進し、中道右派の言説を変えなければ、移民と多文化主義への反対を呼びかねない政商やメディアコンテンツは、英国系カナダ人のエリートの規範の制限を受けつづけるはずだ。そうすればポピュリスト・スパイラルが始まることはないため、システムは安定している。英国系民族主義的な有権者は、投票を棄権するか、もしくは不本意ながら少しでもましな選択肢に投票するしかないだろう。保守的な、もしくは秩序を求める30~40%の白人の英国系カナダ人にとって、カナダの社会は不本意なものになるだろう。それはちょうど、ハンガリーポーランドの社会がリベラルな世界主義的傾向をもつ人々に対して厳しいのと同じである。
一方、ケベック州では、人々が社会の性質を思うように変えられるため、おそらく時間の経過とともにポピュリスト勢力が州を移民削減の方向に導くだろう。これは、次第に非欧州化するカナダの他の地域と、ケベック州の民族文化との相違によって、連邦政府の移民政策や多文化主義政策を脅かすような緊張が起こらないことを意味している。こうして、英語圏カナダは他の西洋の民主主義とは異なる道を歩み、今世紀後半にはガイアナ[南米で唯一の英連邦加盟国]やベリーズ[英連邦の立憲君主国で、中米で唯一英語を公用語としている]のような真の多民族、多極社会となるだろう。そしてグレーター・トロントを超える大規模トロントが生まれるはずだ。つまり、英国や欧州の歴史とのつながりが希薄になった、活力に満ち、地域の結束力の弱い、未来志向の社会である。民族と所得を超えたつながりが続く限り、この構造は福祉国家や民主主義を脅かすことなく、社会は繁栄と安定を続けるはずである。