じじぃの「カオス・地球_301_白人がマイノリティになる日・第3章・トランプの台頭」

【トランプ前大統領】まもなく出廷“無罪主張”の方針 大統領選への影響は?

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=FcxBSTDRO7I


バイデン氏の勝利はトランプ氏支持の白人男性層の離反が決め手に

2020年11月23日 東京新聞
米大統領選は、民主党のバイデン前副大統領(78)が共和党トランプ大統領(74)に獲得選挙人数で306人対232人と、70人以上の差をつけ勝利した。
勝敗を分けた要因は何なのか。出口調査から見えてきたのは、4年前にトランプ氏を圧倒的に支持した層の一部の離反だった。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/70014

ポリティカル・コレクトネス

コトバンク より
ポリティカリー・コレクトpolitically correctとも。略してPC
米国において1960年代から1970年代にかけての新左翼運動のなかで使われはじめた言葉。政治的適正,政治的妥当性,政治的正当性などと訳される。社会的・政治的実践において適切と思われる基準。被差別者・少数者の立場に立ち,被差別者や少数者に不利益をもたらすような慣用語や差別的表現を是正していこうという姿勢や運動をさす。
具体的には〈人〉を意味する際にmanではなくpersonを用いるなど。こうした姿勢は,少数民族・女性の解放や権利の擁護運動を進める人々に支持され,西洋・男性中心主義を批判し,社会意識の変革を推進した。だが一方で保守陣営の反発を招き,また言葉や表現の是正がエスカレートすると,言葉の意味がわからなくなったり,文脈に関係なくあらゆる言動を検閲するような言葉狩りにおちいる危険性もあるとして,やがてそうした行き過ぎを非難する言葉としても用いられるようになった。

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WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日

【目次】
第1章………白人がマイノリティになる世界―ホワイトシフト
■第1部・闘争
第2章………ホワイトシフト前章アメリカ史におけるWASPから白人への転換

第3章………トランプの台頭―移民時代の民族伝統主義的ナショナリズム

第4章………英国― 英国保護区の崩壊
第5章………欧州における右派ポピュリズムの台頭
第6章………カナダ特殊論― アングロスフィアにおける右派ポピュリズム
■第2部・抑圧
第7章………左派モダニズム―一九世紀のボヘミアンから大学闘争まで
第8章………左派モダニズムと右派ポピュリストの戦い
■第3部・逃亡
第9章………避難― 白人マジョリティの地理的・社会的退却
■第4部・参加
第10章………サラダボウルか坩堝か? ―欧米における異人種間結婚
第11章……白人マジョリティの未来
第12章……「非混血の」白人は絶滅するのか?
第13章……ホワイトシフトのナビゲーション―包摂的な国の包摂的なマジョリティへ

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『WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日』

エリック・カウフマン/著、臼井美子/訳 亜紀書房 2023年発行

白人マジョリティが徐々に、白人の伝統的文化を身につけた混血人種のマジョリティへと変容していくモデル。
英国では2100年代に混血の人々がマジョリティになると著者カウフマンは予見する。

第3章………トランプの台頭―移民時代の民族伝統主義的ナショナリズム より

トランプ勝利の理由

トランプ勝利の理由を分析する際、重要なのは、トランプ個人の人気と選挙での勝利とを分けることである。これからその両方について考えていくが、まず選挙から始めよう。11月、忠実な共和党支持者の多くは、しぶしぶトランプに投票した。そのほとんどは、候補者が共和党員ならば誰にでも投票した人たちである。その一方で、トランプが女性やマイノリティに対して非常識な発言をしても、それが有権者の多くに投票を思いとどまれる要因にならなかった事実は、マイノリティについて否定的なこと(あるいは左派モダニストから否定的だと解釈される可能性のあること)を言ってはいけないというPC(ポリティカリー・コレクトの規範が、多くの共和党有権者に及ぼす力は限られていることを示す重要なものである。

PCへの攻撃は、トランプの選挙運動の特徴であり、のちほど見ていくように、多くの有権者の心に最も強く響いたテーマの1つだった。インタビュー中に、PCへの攻撃は大統領を何度も窮地から救い出し、公の場での議論において受け入れ可能な範囲の「オーバートーンの窓」を、トランプがどこまで拡大できたかを証明するものとなった。トランプが繰り返し吐く暴言や、議論に対する横柄な態度は、社会的制裁の力を鈍らせたように見えた。たとえば、この社会的制裁の力があるからこそ、かつてFAIRは移民に対する文化的不安をあえて口にしなかったのである。FOXニュースの司会者メーガン・ケリーから、女性を「動物」や「クズ」と呼び、性的対象とする侮蔑的な言動について質問されると、トランプは「この国の大きな問題はPCであることだ」と答えた。同様に、メキシコ人に関する意見が原因でNBCに関係を絶たれたあと、トランプは「NBCは弱腰で、他の誰もがそうであるように、PCであろうとしている」とやり返した。

英国でもそうだが、右派左派どちらの評論家も、白人労働者階級の有権者は「取り残された」という思いを抱え、不平等で実質賃金の低迷するこの時代に、私利私欲を追求すろ経済エリートや政治エリートに抗議するためにポピュリズムに投票したのだという説明をする。
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新たな移民制限主義者のエリートたち

組織的なレベルで見ると、トランプの上級顧問スティーヴ・バノンは、ホワイトハウスブライトバート・ニュースの両方から解雇されたが、新たな文化ナショナリズムの下地作りを促した。バノン、はフランスの第三世界の移民による侵略を描いた黙示録なジャン・ラスパイユの小説『聖人のキャンプ』に影響を受け、欧州思想における「反ジハード」の潮流に精通していた。ナショナリズム運動の成功には文化的エリートが欠かせない。新たなオンライン右翼は、ヘンリー・カボット・ロッジの時代の上流階級の移民制限連盟ほどには階級や公的機関に支えられてはいないものの、一貫したネットワークを構築している。

移民排斥というバノンのアプローチは、トランプが大ばくちのような大統領選を戦う上で重要な戦略だった。結局、それはあらゆる困難を乗り越えて、オルタナ右翼と原保守主義を大統領執務室の中心にもたらした。ムスリムやメキシコ人に関するトランプの非常識な発言は、それまで公の場での議論の限界を定義していたタブーを踏みにじるものだった。民族伝統主義的で人種差別的な「発言」は、共和党内や、移民を政治的に扱うことは逸脱だとみなす広い政治の舞台におけるエリートの規範を踏みつけた。トランプがその暴言にもかかわらず当選したという事実は、多くの保守派に、自分以外の人たちもPCに反感を抱いており、マイノリティに恐怖を感じている人もいるという合図を送るものだった。これは「オーバートンの窓」をさらに広げて、反人種差別の心の痛みを麻痺させ、他の保守派の有権者を力づけ、自己成就的なダイナミクスを推し進めた。これについて第8章では、欧米の多文化主義移民問題を中心に、反人種差別の規範の崩壊を図表化していきたい。また、広義の人種差別、つまり白人のグループの利益の表現を人種差別とする定義によって、白人の反発的行動(バックラッシュ)が悪化するのかどうかについて問いかけていく。これは重要なことだが、トランプでさえも、規制の民族文化的論拠を直接呼び覚まして移民排斥主義反対のタブーに違反することはせず、その代わり、移民によるテロや犯罪、福祉への依存などの実際的な懸念を引き合いに出していた。けれども、欧州は、アメリカの白人保守層が自らの民族文化の衰退を嘆く気持ちを投影できる、安全で中立的な画面として働く可能性がある。形を変えたこれらの民族伝統主義的不安は、2018年7月、トランプの英国訪問の際に表面に現れた。「移民を欧州に根づかせるのは恥だ」とトランプは英国のタブロイド紙ザ・サン」に語った。「私は、それが欧州の骨組みを変えたと思う。素早く行動しない限り、昔のようには戻らない。あなた方は文化を失いつつあるのだと思う」
アメリカの人種的人口動態の変化によって、今後民主党は大統領は大統領選でえ連続して勝利するようになり、次に国会議員選挙で勝利するようになるだろう。あるいは、共和党の体制派が移民支持派の予備選挙候補者を立てられるようになる可能性もある。
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アメリカの内陸部の田舎が白人によるテロを支持するとは考えにくいが、「自分たちとは相容れない」アメリカ政府や都市に対して公然と敵対的な態度をとるようになる可能性はある。次章以降で論じていくが、もし人種を超えた「白人」や「アメリカ人」のマジョリティが創られて、田舎と都会のかけ橋となったら、それよりずっと素晴らしいことになるのではないだろうか? それと同じことは実際に起こっている。それは、ほとんど田舎の住民であるプロテスタントが、主に都会に住むカトリック人と融合し、新たな白人マジョリティを生み出した1960年代から1980年代の間に起こったことである。そうなったとしたら、どんなに素晴らしいことだろう。

じじぃの「宇宙の地平線・オルバースのパラドックス!逆説の雑学」

【ゆっくり解説】夜空はなぜ暗いのか?-オルバースのパラドックス

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=fXdzfrGWJDY

星はたくさんあるのに、なぜ宇宙は暗いの?


星はたくさんあるのに、なぜ宇宙は暗いの?【オルバースのパラドックス

2019年03月26日 ねとらぼアンサー
●オルバースのパラドックスとは
パラドックスの内容は、
・宇宙が無限に広がっていて
・恒星が均等に散らばっている
・ならば、宇宙は明るいはず
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1903/26/news084.html

『絵解きパラドックス

高橋昌一郎/監修 Newton別冊 2014年発行

宇宙のパラドックス オルバースのパラドックス② より

観測できる宇宙は有限の範囲にかぎられている
オルバース自身は、夜空が明るくならない理由を、「星と地球の間に、星からの光をさまたげるちりやガスが存在するため」と考えていたようである。しかし、これは正しくない。もし仮にそのような物質があったとしても、それらの物質は無限の星から発せられた光を吸収して加熱され、やがては光を放つようになると考えられるからだ。

オルバースのパラドックスを解決する正しい答えは、星から地球に届く光は、有限の範囲から届いたものだけであるということだ。宇宙は約138億年前に誕生したと考えられている。光の進む速度は秒速約30万キロメートルと一定なので、光が138億年かけて進める距離よりも近いところにある星だけが、地球から観測できるというわけだ。

つまり、有限な範囲にある有限な個数の星だけでは、夜空をすべて星の光で満たすには、まったく足りないのである。オルバースのパラドックスは、地球に無限の星からの光が届くと考えたところにあやまりがあったわけだ。

なお、宇宙は約138億年前に誕生したので、観測可能な宇宙の大きさ(半径)も138億光年かというと、そうではない。光が届く間にも宇宙は膨脹をつづけているので、その効果を考えると、観測可能な宇宙の大きさは138億光年に3をかけた410億光年程度だといわれている。ただし、この値は宇宙の膨脹のしかた(減速膨脹か、加速膨脹かなど)しだいで変動する。この観測可能な宇宙の”果て”は「宇宙の地平線」とよばれている。

宇宙が誕生直後に旧膨脹したとするインフレーション宇宙論によると、私たちが観測可能な宇宙は、宇宙全体のごくごく一部でしかなく、宇宙の地平線の向こうには、さらに広大な宇宙が広がっていると考えられている。

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じじぃの日記。

Newton別冊『絵解きパラドックス』という本に、「オルバースのパラドックス」があった。

星はたくさんあるのに、なぜ宇宙は暗いの?

宇宙は約138億年前に誕生し、宇宙の膨張が減速から加速に転じたのはおよそ50億年前ということがわかってきた。そこからどんどん加速している。

つまり、宇宙の膨張が加速に転ずる前までは、宇宙はキラキラと輝いていた。
だが、宇宙はおよそ50億年前から加速膨脹を始めた。

星々が遠くに離れていって、見える星も少なくなっていった。

まあ、もともと夜空がそれほど明るくないのは、星同士の距離が離れすぎているからだ、ということがある。

じじぃの「カオス・地球_300_白人がマイノリティになる日・第2章・WASPエリート集団」

The Origin of Race in the USA

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=CVxAlmAPHec

The US will become ‘minority white’ in 2045, Census projects


US whites keep losing ground in historic demographic shift, Census figures showJune 13, 2013 MPR News

The government also projects that in five years, minorities will make up more than half of children under 18. Not long after, the total U.S. white population will begin an inexorable decline in absolute numbers, due to aging baby boomers.
https://www.mprnews.org/story/2013/06/13/us-whites-keep-losing-ground-in-historic-demographic-shift-census-figures-show

WASP

ウィキペディアWikipedia) より
WASP(ワスプ、WASPs)とは、ホワイト・アングロ・サクソンプロテスタントの略称(アクロニム)で、白人のアメリカ人プロテスタント、かつイギリス系の上流階級を指す。
WASPエリート集団は、アメリカ合衆国の歴史の大部分において米国の社会・文化および政治を支配し、婚姻・相続及び縁故主義を通じて諸分野を寡占した。富裕層としてのWASPの社会的影響力は1940年代以降減少したが、この集団は以後も一部の金融および慈善分野と政治を支配している。

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WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日

【目次】
第1章………白人がマイノリティになる世界―ホワイトシフト
■第1部・闘争

第2章………ホワイトシフト前章アメリカ史におけるWASPから白人への転換

第3章………トランプの台頭―移民時代の民族伝統主義的ナショナリズム
第4章………英国― 英国保護区の崩壊
第5章………欧州における右派ポピュリズムの台頭
第6章………カナダ特殊論― アングロスフィアにおける右派ポピュリズム
■第2部・抑圧
第7章………左派モダニズム―一九世紀のボヘミアンから大学闘争まで
第8章………左派モダニズムと右派ポピュリストの戦い
■第3部・逃亡
第9章………避難― 白人マジョリティの地理的・社会的退却
■第4部・参加
第10章………サラダボウルか坩堝か? ―欧米における異人種間結婚
第11章……白人マジョリティの未来
第12章……「非混血の」白人は絶滅するのか?
第13章……ホワイトシフトのナビゲーション―包摂的な国の包摂的なマジョリティへ

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『WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日』

エリック・カウフマン/著、臼井美子/訳 亜紀書房 2023年発行

白人マジョリティが徐々に、白人の伝統的文化を身につけた混血人種のマジョリティへと変容していくモデル。
英国では2100年代に混血の人々がマジョリティになると著者カウフマンは予見する。

第2章………ホワイトシフト前章アメリカ史におけるWASPから白人への転換 より

人種差別、反人種差別と移民

1910年代と1920年代の移民に関する議論の新たな特徴は、人種差別である。アメリカの知識人は、カトリックに対する敵対心を反動的な感情だと考えていた。だが一方では、優生学を現代的で科学的なものとして高く評価していた。優生学は個人の遺伝的特徴を目指す科学であり、エスニック集団に優劣をつける科学的差別と結びついていた。カトリックアイルランド人とドイツ人は、当時、一部の人種主義科学者からアングロ・プロテスタントと同等の「北欧人(ノルディック)」とされており、旧移民の多くの議員がこの解釈を支持していた。だが、人種主義科学者のなかには、これに異議を唱え、アイルランド人を下位にランク付けする者もいた。

優生学は科学的な風格こそあったが、実際にはずさんな方法論に基づいたもので、既存の民俗的ステレオタイプを裏づけただけのものだった。たとえば、受刑者のなかにアフリカ系アメリカ人が少ないことが判明した時には、優生学者はその理由として、黒人はプランテーションで働いていたためにトラブルに巻き込まれなかっただけだというその場しのぎの話をでっちあげた。人類学者のフランツ・ボアズが科学的方法で頭の大きさを測定し、移民グループの脳の火うが小さいという優生学者の主張を否定すると、その研究結果は無視された。
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白人(ホワイトネス)であることが力ではなくアイデンティティが問題である理由

アメリカのナショナル・アイデンティティは、アングロ・プロテスタントの伝統を守ろうとするものから、白人を包摂するものへと変化した。批判的人種理論家は、これを権力の見地から考える。つまり、アフリカ系アメリカ人やその他の非白人に身の程をわきまえさせておくことに共通の政治的、経済的、地位的利益があるというのである。一方、極右の人々は異なる説明をするふだろう。それは白人には共通の遺伝子があり、その遺伝子が原初的な力で彼らを互いに協力させているというものだ。共通の物質的利益はもちろん重要だ。だが、アメリカの白人が、包摂的なリベラルと排他主義的な保守派に分離しているという事実は、民族境界の位置を決める際には、利益はせいぜい不完全な指針でしかないことを示唆している。遺伝的類似性も同様に人間の行動を促す遠因にすぎない。主に黒人のアメリカ人から成る「ドリームチーム」と、白人のセルビアのバスケットボールチームとの試合で、アメリカの白人がセルビアチームを応援することがどれほど不自然か考えてみてほしい。それよりも、文化的観点から説明したい。白色人種の外見は、プロテスタントの信仰や英語のように、アメリア独立以来、アメリカのエスニック・マジョリティである「我々」のシンボルでありつづけてきた。さらに、アメリカはいつの時代にも人種的多用性に富み、有名なマイノリティもいるが、ヒーローの敵と人口で勝ってきたのは白人である。白人であることとアメリカ人であることのミーム[生物学者ドーキンスが提唱した概念。習慣や物語など文化的・社会的な情報で脳から脳へとコピーされていくとした]は、現在は分離しはじめてはいるが、長らく密接に結びついてきたのである。

多くのWASPにとって、民族意識エス二シティ)とナショナル・アイデンティティは、完全に重なっていると言えるほど近い関係にある。
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さらに、人種の融合が進行しているにもかかわらず、白人のアメリカ人の間でも、WASPアメリカ人の原型でありつづけている。1982年にアメリカ人にエスニック集団の貢献度の評価を求めた調査では、最も貢献度が高いのは英国人で、次にアイルランド人、ユダヤ人、ドイツ人と続く、非欧州系グループが下位を占める結果になった。私は2017年3月19日から4月1日もかけて、MTurkで便宜的標本抽出法を用いて3つの調査を実施した。そのなかで、467人のアメリカ人に「どの姓もみな等しくアメリカ的なものだが、特徴的なアメリカ人の姓は何かと外国人から尋ねられたら、ブラウニング、グラツィアーノ、ヘルナンデス、シュルツ、ウォンのうちどれを選ぶか」と尋ねた。回答者の81%は英国人の姓であるブラウニングを選んだが、そう答えたのはクリントン支持者で86%、トランプ支持者では78%、アフリカ系アメリカ人では86%、ヒスパニックでは85%、白人では80%である。
宗教に関する同様の質問では、525人の回答者のうちの72%、また、カトリックの回答者では70%が、アメリカの特徴的な宗教としてカトリックユダヤ教ではなくプロテスタントを選んだ。英語とプロテスタント会衆派教会の宗教組織をとるか、もしくはプロテスタントに切り替えるかにかかわらず、アメリカ社会の文化的傾向は依然として英国文化順応主義なのである。

白人であるという自己意識の強い人は、当然ながら、アメリカの白人とキリスト教のシンボルと伝統に価値を置く民族伝統主義的なナショナリストの傾向をもつ。たとえば、デューク大学政治学者アンシュリー・ジャーディナの研究によると、白人であるという自己意識が強い人のうち、57%は「(真の)アメリカ人である」ためには白人であることが少なくともいくらか重要であると言い、23%はこれを非常に重要だと言うという。また、全体の80%が「真のアメリカ人である」であるためには「アメリカ人の祖先」をもつことが少なくともいくらか重要であると言い、62%がキリスト教徒であることがいくらか重要であると言うとのことだ。このあとで見ていくが、保守的なヒスパニックのアメリカ人とアジア系アメリカ人も、同様に白人キリスト教徒の伝統を重視する。実際のところ、イデオロギーは人種よりも民族伝統主義的ナショナリズムと密接に関連しているのである。

本章では、現代でも意味のあるアメリカ民族史のいくつかの側面を浮き彫りにしてきた。
第一に、ほとんどの欧州諸国と同様に、アメリカにも独立以来、エスニック・マジョリティが存在してきたということである。第二に、アングロ・プロテスタント・マジョリティは、2-世紀半ばに、かつてよそ者とみなしたカトリックユダヤ人を吸収するという1つの「ホワイトシフト」を経験してきたことである。そして最後に、特定のエスニック集団(特にアングロ・プロテスタントアフリカ系アメリカ人)が、アメリカという国と象徴的に絡み合っているということである。アメリカ人の3分の2はこれらのグループの構成員ではないが、それでも多くの人々は彼らを民族伝統的なもの、つまりアメリカをアメリカたらしめているものの一部として認識している。右派においては、現在、アングロサクソン系白人の伝統の保護に焦点を当てた民族伝統主義的ナショナリズムアメリカの政治における重要な力として浮上している。

じじぃの「量子からみ合い・光速度・EPRパラドックス!逆説の雑学」

量子もつれパラドックス...量子はテレポートできるのか?【日本科学情報】【宇宙】

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=2iaPVGquTBM

量子もつれの最も有名な例の 1 つはEPR パラドックス

2023.01.07 Technology Prediction
instein-Podolsky-Rosen (EPR) パラドックスは、1935 年に Albert Einstein、Boris Podolsky、および Nathan Rosen によって提案された思考実験です。2 つ以上の粒子が強くなる現象である量子もつれの最も有名な例の 1 つです。距離が離れていても相関します。
https://techprediction.com/qt-2/

『絵解きパラドックス

高橋昌一郎/監修 Newton別冊 2014年発行

物理のパラドックス EPRパラドックス より

量子論は「光速度不変の原理」に矛盾する!?
アインシュタインは、「量子論は不完全であり、”完全な理論”の登場によって、コペンハーゲン解釈は否定されることになるはず」と考えていた。そして、1935年、ボリス・ポドルスキーとネーザン・ローゼンという共同研究者とともに量子論の矛盾点を突くための論文を発表した。その論文で指摘された主題は、アインシュタインポドルスキー、ローゼンの頭文字をとって「EPRパラドックス」とよばれている。

アインシュタインらは、この論文で「量子論が正しいとするとみちびかれる合理的ではない結論(パラドックス)」という内容の思考実験を考案し、この思考実験を例にして量子論が完全な理論ではないことを主張しようとした。

量子論によると、電子は自転しており(厳密には「スピン」という量子論にもとづく物理量)、観測するまでは右まわりと左まわりの状態を同時に取ることができる。この共存した状態を「量子重ね合わせ状態」とよぶ。さらに「量子重ね合わせ(エンタングルメント)」という量子論的な状態にある2つの電子は、観測前にはそれぞれ右まわりと左まわりの自転の重ね合わせにあったものが、観測によって片方の電子の自転(スピン)の向きが確定すると、もう片方の電子の自転の向きが逆向きに確定する。これは、ある種の保存則がなりたつために、2つの電子の向きを合わせるとゼロにならなければいけないからだ。

ここで、量子からみ合いの状態にある2つの電子(電子1と電子2)が同じ場所から別々の方向に向かって飛びだしていくような反応を例に、アインシュタインの思考実験を考えてみよう。

電子1と電子2は同じ場所から正反対の方向に向かって飛んでいくとする。すると観測しない段階では、電子1と電子2は、ともに右まわりと左まわりの自転が共存した状態にある。

その後、観測によって、電子2が右まわりに自転していることが確定すると、どんなに2つの電子の距離がはなれていようが、その瞬間、電子1の自転は左まわりに確定する。逆に、観測によって電子2が左まわりに自転していることが確定したとすると、その瞬間、電子1の自転は右まわりに確定する。

アインシュタインらは、この思考実験において、十分にはなれたものに時間差なしで「瞬時」に影響が伝わるなどありえないと考えたわけだ。「光速度不変の原理」によれば、自然界の最高速度は光速のはずである。よって、光速をこえて電子に影響が伝わることはないと主張したのである。

アインシュタインたちは、もし「瞬時」に影響が伝わらないとすれば、2つの電子が分かれた最初の時点で、電子の自転方向は決まっていたことになり、たんに現在の量子論ではそれがわからないだけだと主張した。こうして「量子力学は不安全だ」と批判したわけである。

しかし、アインシュタインらがいうように最初から決まっていたとすると、量子論とは矛盾する結論が出ることが、ジョン・ベル(1928~1990)によって発見された。そしてベルは、どちらが正しい正しいのかを判別するための実験を提案した。ベルの提案に基づく最初の信頼できる実験は1981年に出され、量子論のほうが正しいことが確認されたのである。

量子論によれば、2つの電子に瞬時に影響が伝わることはないが、量子からみ合いという現象があるので、観測される2つの電子の自転方向はつねに反対方向になる。量子論では、いかにはなれていても”かたみ合っている”2つの電子の状態はセットとして考えなければならず、電子の性質は個別には論じられないのである。

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じじぃの日記。

Newton別冊『絵解きパラドックス』という本に、「EPRパラドックス」があった。

量子からみ合いとは

右回転している電子と左回転している電子をからませることが可能なのである。たとえば2つの電子を引き離すとしよう。100メートル引き離そうが、宇宙の果てまで引き離そうが、2つの電子は相関関係にあって、つながっているように見える。
   
このことは、片方の電子を測定した瞬間に、もう片方の電子が状態が決まる、ということも考えられる。これは、言うなれば瞬間的に情報が伝わったことになる。

アインシュタインは言った。
「いちばん自然なのは最初に電子がくっついている状態のとき、すでにどちらかは右回りで、どちらかは左回りだということが決まっていた」

「しかし、アインシュタインらがいうように最初から決まっていたとすると、量子論とは矛盾する結論が出ることが、ジョン・ベル(1928~1990)によって発見された。そしてベルは、どちらが正しい正しいのかを判別するための実験を提案した。ベルの提案に基づく最初の信頼できる実験は1981年に出され、量子論のほうが正しいことが確認されたのである」

この量子からみ合いを「宝くじ」に例えてみると、

宝くじの抽選が、ちょうどわれわれが観測することに当たる。

もし、抽選の前に宝くじの当選番号が決まっていたとしたら、それは八百長である。

観測がなされてはじめて、宝くじの抽選会が行なわれてはじめて、状態が決まる。

のだとか。

アインシュタインは言った。
「神様はサイコロ遊びはしない」

じじぃの「カオス・地球_299_白人がマイノリティになる日・第1章・ホワイトシフト」

Populism and the Future of White Majorities

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=Ev1Wyk5EsGY


エスニック

コトバンク より
エスニック(ethnic) は民族的なこと。また、そのようなさま。特に、アジア、アフリカ、ラテンアメリカなどの民族的なさまについていうことが多い。

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WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日

【目次】

第1章………白人がマイノリティになる世界―ホワイトシフト

■第1部・闘争
第2章………ホワイトシフト前章アメリカ史におけるWASPから白人への転換
第3章………トランプの台頭―移民時代の民族伝統主義的ナショナリズム
第4章………英国― 英国保護区の崩壊
第5章………欧州における右派ポピュリズムの台頭
第6章………カナダ特殊論― アングロスフィアにおける右派ポピュリズム
■第2部・抑圧
第7章………左派モダニズム―一九世紀のボヘミアンから大学闘争まで
第8章………左派モダニズムと右派ポピュリストの戦い
■第3部・逃亡
第9章………避難― 白人マジョリティの地理的・社会的退却
■第4部・参加
第10章………サラダボウルか坩堝か? ―欧米における異人種間結婚
第11章……白人マジョリティの未来
第12章……「非混血の」白人は絶滅するのか?
第13章……ホワイトシフトのナビゲーション―包摂的な国の包摂的なマジョリティへ

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『WHITESHIFT――白人がマイノリティになる日』

エリック・カウフマン/著、臼井美子/訳 亜紀書房 2023年発行

白人マジョリティが徐々に、白人の伝統的文化を身につけた混血人種のマジョリティへと変容していくモデル。
英国では2100年代に混血の人々がマジョリティになると著者カウフマンは予見する。

第1章………白人がマイノリティになる世界―ホワイトシフト より

私たちは白人のアイデンティティについて話す必要がある。権力維持のための作り話としてではなく、人々が大切にする一連の神話やシンボルとして、つまり、他のエスニック集団がもののとなんら変わらない1つのエスニック・アイデンティティとしてである。民族変化が進行中の現在、私たちが問うべき重要な問題は、「英国人であるとはどういうことなのか」ではなく、「白人の英国人であるとはどういうことなのか」ということだ。進行中の白人マジョリティの話の筋書きは、白人の消滅というハッピーエンドで終わる道徳話のようになっており、今日のポピュリストの態度の多くは、直接的あるいは間接的にこの話への反発から生まれたものである。本書ではそれを示していきたい。

だが、白人は実際に減少しつつあり、潮の満ち引きが止められないように、この人口構造の変化を食い止めることはできない。移民の流入がなくても、西洋では人種の混交が進んでいる。これは推測ではなく、多くの西洋諸国における異民族間結婚率という実際の数字で証明されている。人口推計によると、移民流入の速度が速ければ純血の人が多く生まれるため、人種の混交の進行は緩やかになるとわかっているが、それでも今から100年後には、英国やアメリカのような国では混血の人種が最大のグループとなるだろう。さらにもう200年もすれば、西洋の都市部の住人で純血の人はほとんどいなくなるはずだ。純血の人は、移民、もしくは超正統派のユダヤ人のような反社会的な宗教集団の反近代的な宗教集団の人々だけになるだろう。そう聞くと、さらに多様性の高まった未来や、ラルフ・ウォルド・エマーソンやイズレイル・ザングウィル[アメリカを「坩堝」と呼んだ作家]などの作家や「タイム」誌が予言した「新しい人間」の時代の到来が目に浮かぶかもしれない。しかし、歴史を振り返ると、未来はまったく違うものになりそうだ。というのも、多くの人々は自らのルーツを求め、伝統を重んじ、由緒ある土地に住んでいた祖先との継続性を維持したいと思うものだからである。

このことは、白人マジョリティが異民族間結婚で生まれる混血の人々を吸収することによる変化、つまり私が「ホワイトシフト」と呼ぶ変化が現実のものとなることを意味する。
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白人マジョリティの未来

「ホワイトシフト」ダイナミクスを調べた結果、私は新たな中心のための未来像を打ち出した。それには、適合した間接的な存在であるエスニック・マジョリティの真の文化的な関心の受け入れが求められる。
これにより、合理的で気取らない政治的会話の道が開かれるはずである。欧米は、大量の移民を受け入れながら、同時に文化的に中立な移民政策を維持することはできない。しかし私は、排他的な東アジアのモデルを採用すべきだと主張しているのではない。よりよい解決策は、移民の増加を求めるリベラルとマイノリティの選好と、エスニック・マジョリティの保守層の移民制限主義とのバランスをとることだ。その鍵は、マジョリティが閉鎖的ではなく開放的なエスニック集団になることである。そうすれば、その開放的なマジョリティ集団の保守的な構成員は、排斥や追放ではなく、移民の自発的な同化を通じてその割合を維持できるよう、緩やかな速度の移民の受け入れを望むことだろう。マイノリティは、国の定義したナショナル・アイデンティティへの同化を強いられるべきではない。だが、白人マジョリティのように、自らの民族意識エス二シティ)を明確に示した独自の形の共通のナショナル・アイデンティティを自由に表現すべきである。これを可能にするのが私の言う多義主義である。
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白人はポスト・エスニックなコスモポリタンでなければならないというリベラルの自負心は、すでにその有用性を失っている。世界主義に共感を寄せる人もいれば、自らのエスニック集団との一体感の方を好む人もいる。多様性の価値を訴える純粋な積極的リベラリズムは、ポピュリスト・モーメントを生き残ることはないだろう。保守的な白人は、たとえ選挙で勝利しなくても、変化を妨げ、社会的結束を損ない、そしておそらく安全上の脅威を引き起こす立場にある。一方、世界主義的理想の推進のために国家機関や腸国家的な機関を利用するエリートは、保守層のリベラルな公的機関に対する信用を失わせている。保守的な白人には未来がなければならないし、私はほとんどの人々が開放的な形の白人マジョリティ・アイデンティティを受け入れていくと思っている。政治家は、保守的な白人の抱く不安に共感を示すべきである。ただしそれは、その不安ンガ、反ムスリムの政治活動に関して言えるような、不合理な恐怖に基づくものでない場合に限ってのことである。さらに、私たちは自発的な同化のペースに関する朗報を、もっと率直に伝える必要がある。また、移民の受け入れは、経済的に最適なペースより緩やかなペースでおこなう必要があるだろう。ただし、その結果として、より調和に満ちた社会がもたらされなければならない。これらの変化の準備がすべて整えば、西洋は、民主化や経済成長、不平等の是正、気候変動対策といった優先事項に再び集中して取り組むことができるはずである。

じじぃの「ジャガイモ・価格と需要・ギッフェン・パラドックス!逆説の雑学」

From 1845 -1852, a tragic potato famine devastated Ireland


Bitcoin and ASICs are Modern Giffen Goods

From 1845 -1852, a tragic potato famine devastated Ireland.
As potatoes died from blight, healthy potatoes became more scarce. Consumers reacted to rising potato prices by offering even higher prices, exacerbating the rise. What does bitcoin have in common with potatoes during a famine period? Let's dig a little deeper.
https://compassmining.io/education/bitcoin-and-asics-are-the-giffen-goods-of-today/

『絵解きパラドックス

高橋昌一郎/監修 Newton別冊 2014年発行

合理性のパラドックス ギッフェン・パラドックス より

値上がりした商品の需要が増すことがある!? より
「今日は肉の値段が高いから買うのをやめておこう」。
「今日は魚が安いから買っておこう」。

通常は上記のような心理がはたらき、商品の価格が上がればその商品の需要量は減り、価格が下がれば需要量は増加する。ところが、そうはならないこともある。以下のようなケースだ。

1日に肉とジャガイモを合わせて5個食べる家庭があるとしよう(肉は1パックを1個と数えることにする)。家族はできれば肉をより多く食べたいと思っている。それらを購入する予算は、1日あたり1400円とする。

ある日、スーパーで肉が1パック400円、ジャガイモが1個200円で売られていた。よって、肉を2パックと、ジャガイモ3個を購入した(合計5個で1400円)。

翌日スーパーに行くと、肉が1パック400円、ジャガイモが1個250円で売られていた。よって、肉を1パックと、ジャガイモ4個を購入した(合計5個で1400円)。

ジャガイモの2日目の値段は、1日目よりも値上がりしているのにもかかわらず、購入個数が増えているのがわかる。

実際、アイルランドで19世紀半ばに飢饉が発生した際に、ジャガイモの価格が上昇したにもかかわらず、需要量が増加したとされる。この矛盾は、イギリスの経済学者ロバート・ギッフェンによって発見されたもので「ギッフェン・パラドックス」とよばれている。また、上記の例におけるジャガイモのように、価格が上がった(下がった)にもかかわらず、需要量が増える(減る)ような品物のことを「ギッフェン財」という。

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じじぃの日記。

Newton別冊『絵解きパラドックス』という本に、「ギッフェン・パラドックス」があった。

世界的に有名な食糧飢饉として1845年から5年間、アイルランドで起きたジャガイモ飢饉がある。
主食のジャガイモに疫病が発生して壊滅的な打撃を受け、80万~100万人が病気や飢えで亡くなった。結果、多くのアイルランド人が、アメリカやイギリス、カナダ、オーストラリアなどへ移住することになる。

「通常は上記のような心理がはたらき、商品の価格が上がればその商品の需要量は減り、価格が下がれば需要量は増加する。ところが、そうはならないこともある」

現代の自動車社会の場合、ガソリンの価格が上がっても代替燃料がないので、ぜいたく品を我慢して、ガソリンを買うというのに似ているのだろうか。

見た目は同じような商品でも、値段が同じだとブランド品を買うというのとどこか共通しているのかもしれない。

まあ、肉とジャガイモを比べれば、ジャガイモを買うというのは正解なんだろうなあ。

と、どこかの糖尿病患者が言ってました。

じじぃの「カオス・地球_298_日本がウクライナになる日・第6章・日米同盟とNATO」

U.S. bolsters military ties with Japan and Philippines amid Chinese provocations

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=rbQTJOhSS4U

U.S. bolsters military ties with Japan and Philippines amid Chinese provocations


Biden says U.S. support for Philippines, Japan defense ‘ironclad’ amid growing China provocations

Apr 11, 2024 PBS NEWS HOUR

WASHINGTON (AP) - President Joe Biden said Thursday that U.S. defense commitment to Pacific allies was “ironclad” as he gathered Philippine President Ferdinand Marcos Jr. and Japanese Prime Minister Fumio Kishida at the White House on Thursday in the midst of growing concern about provocative Chinese military action in the Indo-Pacific.
https://www.pbs.org/newshour/politics/biden-says-u-s-support-for-philippines-japan-defense-ironclad-amid-growing-china-provocations

『日本がウクライナになる日』

河東哲夫/著 CCCメディアハウス 2022年発行

プロパガンダにだまされるな。「プーチン=悪、ゼレンスキー=善」という単純な見方でウクライナ危機の深層は分かりません。外交官・作家としてソ連・ロシア観察50年の実感から書いた、歴史・軍事・地政学に基づくロシア・ウクライナ関係の多角的分析。

第6章 日本をウクライナにしないために――これからの日本の安全保障体制 より

日米同盟とNATO、その他の緩い連結

この1、2年、イギリスを筆頭に、フランスやドイツの軍艦が太平洋にやってきて、日本に寄港する例が増えている。

イギリスは2021年9月、できたての新鋭空母「クィーン・エリザベス」号とその艦隊を神奈川県の横須賀に寄港させた。これは何と言っても世界におけるイギリスの地位(国連安保理P5[Permanent members(常任理事国)]の一員であること)を誇示するため、そして太平洋に残るイギリスの領土、利権を守るために派遣されたものだ。新鋭の戦闘機F35Bを積載、空母を守るための付随艦もついているから、有事には大変な戦力となる。フランス、ドイツの軍艦も同じような考えでアジアにやってきて、日本に寄港している。

加えてオーストラリアが最近めっきり防衛づいて、日本にも軍艦を派遣している。これはオーストラリアの資源の大口顧客になったからと言って、上から目線で接してくる中国にキレての対応だ。

オーストラリアは、アメリカ、イギリスから原子力潜水艦製造の技術も手に入れようとしている。オーストラリアは人口わずか2600万人弱だが、GDPではブラジルと同等の世界第13位ほどで、今回の制裁後のロシアより経済力がある。この国が対中国を念頭に、日本との連携を強めているのは、日本にとっても心強いことだ。
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こうした取り込みがあると、日本とこれらの国の間の関係は、日米同盟とNATOその他が一体化したような効果を生じる。つまりこれらの国の軍艦が、日本や台湾の安全のためにも動いてくれることになって、日本の防衛にも役立つだろう。

「自由」「民主主義」――その美しい言葉に惑わされない

宇露戦争のようなことが起きると、すぐ、「ウクライナの自由を守れ」とか「民主主義ウクライナを守れ」といった言葉が、欧米のマスコミでは出てくる。まあ、みんなを盛り上げるにはこれでいいのだけれど、ウクライナにそれほど自由があったか。民主主義があったかというと、「?」と思ってしまう。ウクライナでは反政府のジャーナリストが殺されることも珍しくなかったし、多数の国会議員には財閥の息(カネと読む)がかかっていたからだ。

だからと言って、これでロシアが武力攻撃する権利があるかと言ったら、まったく逆。ロシアの帝国主義と腐敗は、ウクライナの腐敗よりもっとひどい。ウクライナは武力で他国を侵略することまではしていない。

で、話を続けると、ヨーロッパやアメリカの政府には「自由」とか「民主主義」を標榜する資格があるのかと言うと、これにも「?」がつく。これらの概念は近世以降のヨーロッパ、そしてアメリカで、時には流血の闘争を伴いながら、納豆のように醸成されてきたものだ。でもヨーロッパの多くの国は今、民主主義がガン化したポピュリズムに染まっている。良識が通らない。

トランプ時代のアメリカに至っては、開いた口がふさがらない。既に述べたように、彼が「自由」とか「民主主義」の言葉を口にしたのがない。最後は暴徒を扇動して議会を襲撃させ、大統領選挙の結果を覆そうとした。トランプ以前、ネオコンたちが民主主義を中東に広めてやるのだ」と叫んで戦争をしかけた時に、アメリカの言う「自由」とか「民主主義」には既に大きな疑問符「?」がついていたのだは、トランプはこれらの美しい言葉を泥の中で踏みにじった。

でも、僕は自由が好きだ。自分の自由を確保するのは、他の人たちの自由も確保できる社会、つまり民主主義の社会を作らないといけない。

日本人の大多数もそう思っているだろう。

日本は次に言うように、中世の欠点をまだたくさん引きずってはいるけれど、見まわしてみると世界の中でも稀なほど、自由で民主的、以前からの集団主義は残ってはいるが、若者はもう少し個人主義(いい意味での)になっている。オリンピックで溌剌(はつらつ)として、「楽しんできたいと思います」という青年アスリートたちを見ると、ああ良かった、この点ではずいぶん前進したのだと思う。1964年の東京オリンピックの頃は、「国のため、日本のため、全力を尽くします」が定番だったのだから。

だから僕は、今回のように「ウクライナの自由を守るために、ロシアを制裁しろ」と言われれば、まず日本自身にとっての都合を考える。ウクライナに自由があったかどうかは、わからないからだ。制裁することが日本の外交・経済にどういう影響を与えるのか、受ける損失に見合った利益を日本は得ることができるのか、制裁した場合、あるいはしなかった場合、日本の対米・対中・対欧関係はどうなるのか、様々のことを天秤にかけて決めないといけない。それも素早く、日本だけ決定が遅れると目立ってしまい、欧米からは「足りない」と言われ、ロシアからは狙い撃ちの報復措置を取られてしまう。