じじぃの「映画の中のヒッチコック!死ぬまでに観ておきたい世界の写真」

Frenzy Alfred Hitchcock cameo

『死ぬまでに観ておきたい 世界の写真 1001』

ポール・ロウ/著、小川浩一、竹村奈央、風早仁美/訳 実業之日本社 2019年発行

『フレンジー』を宣伝する より

ヒッチコック
撮影者 未詳
撮影年:1971年
撮影地:ロンドン、英国
フォーマット:35mm
テムズ川に浮かぶ人物はアルフレッド・ヒッチコックのようだ。よく見ると、人形だとわかるだろう。とはいえ、不気味なほどよく似ている。
この写真は、ヒッチコックの最後から2番目の作となり、暴力描写の最も生々しい『フレンジー』の宣伝活動に使われた。アーサー・ラ・バーンの『Goodbye Piccadilly, Farewell Leicester Square(さようならピカデリー、さらにはレスタース・スクウェア)』(1966)が原作のこの映画は、ロンドンの街に野放しになった、ネクタイ絞殺魔の物語である。主人公は元王立空軍のパイロット、リチャード・バラニー(ジョン・フィンチ)で、元妻の死体を発見してから、彼女を殺した犯人、さらにはネクタイ絞殺魔なのではないかと疑われている。
多くのサスペンス映画で卓抜したブラックユーモアを見せつけたヒッチコックが、同じ方向性で宣伝スチールの制作を監督したことは驚くにはあたらない。もし成功する宣伝活動のカギが衝撃を与え興味をそそることであるならば、映画の始まりの舞台であるテムズ川ヒッチコック自身の死体が浮かんでいる画像は、間違いなく成功の条件を満たしているだろう。