クジラ対シャチ 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=JRzwDwS5Bsg
ユニマック海峡 画像
http://is2.storage.gree.jp/album/43/03/264303/d8385204_640.jpg
クジラとシャチが死闘…NHK撮影成功 2012年11月15日 YOMIURI ONLINE
北米アラスカ沖のアリューシャン列島周辺に、クジラとシャチが死闘を繰り広げる海域がある。
NHKのカメラがその撮影に成功。12月2日午後9時から総合テレビで放送する予定だ。そこに映し出されたのは、互いの生存を懸けた壮絶なスペクタクルだ。
太平洋とその北のベーリング海を隔てるアリューシャン列島周辺の海域は、夏の一時期にオキアミが大発生し、それを求めてクジラとニシンと海鳥が大集結。NHKは、2010年「アリューシャンマジック」として番組で紹介した。
その取材の際、NHKは、列島の東に位置するユニマック島の西側に広がる、幅10キロほどのユニマック海峡で毎年、クジラとシャチが激しい争いを繰り広げるとの情報を得た。春から夏にかけて、ベーリング海の豊富な餌を求めて、コククジラやザトウクジラの群れが延べ4万頭も集まり、それを肉食のシャチが待ち受けるというのだ。
しかし、暴風が吹き荒れる海の難所のため、攻防の詳細は不明のまま。世界のドキュメンタリー制作者たちが取材を計画しながら、実現せずにいた。
NHKのスタッフは、今年4月から撮影に挑戦。カニ漁船を改造した調査船とヘリコプターを駆使し、まずはシャチの背びれ探しから始めた。最高気温は5度前後。高さ5メートルもの荒波が船を襲う海で、波間に目を凝らし、黒い背びれを見つけたら、距離を保ちながら追尾。その先にクジラが現れるのを待つ。
香川史郎ディレクターによると、40日以上に及ぶ取材期間中、実際の攻防に遭遇できたのは6、7回。船が100メートル以内に近づくことは、米国魚類野生生物局の規則により禁じられているが、それでも互いに尾びれや胸びれを海面に打ちつける激しい音が聞こえてきたという。さらに迫力ある映像を撮ろうと、取材チームは小型ボートに乗船した。クジラとシャチの進行方向を予測し、先回りして待ち受ける分には、100メートル以内の接近も認められるからだ。
期待通りにシャチがボートの真横を通り過ぎ、眼前で攻防が始まった。母親から離れたコククジラの子どもを海中に引きずり込み、息継ぎをさせぬまま窒息死させようとシャチが襲いかかる。
そこへザトウクジラの群れが現れ、種類の異なるクジラの子どもを救出するという奇跡のような出来事も目の当たりにした。「シャチに立ち向かっていくザトウクジラがあげる、ゾウの雄たけびのような呼吸音が、船上にまで響いてきた」と香川ディレクターは興奮を隠さない。
圧巻は、コククジラの母親と、我が子を狙うシャチとの40分にも及ぶ戦い。ヘリコプターで現場上空に近づき、防振装置付きの望遠カメラを駆使して撮影に成功した。「母親が子どもを守りきった映像を確認した瞬間、スタッフ全員が感動した」。だが、狩りの成功率はわずか10%程度というから、シャチにとっても命を懸けた戦いなのだ。
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/tv/tnews/20121108-OYT8T01016.htm
NHKスペシャル 「大海原の決闘! クジラ対シャチ」 2012年11月25日
【語り】三宅民夫、渡邊佐和子
地球上で最大級の生きもの、クジラとシャチ。両者あわせて千頭以上にもなる大群が、わずか10キロ四方の海域で対峙し、命を賭けた攻防を繰り広げる。今回、世界で初めてその一部始終を撮影することに成功した。スペクタクルの舞台は、北米アラスカ沖に浮かぶアリューシャン列島。世界一と言われる豊穣の海だ。春、メキシコ沖からクジラ親子が北上してくる。その子クジラを狙って続々と集まる総勢200頭ものシャチ軍団。最強ハンターは見事なチームワークでクジラに攻撃を仕掛ける。その包囲網の中を、体長14mもの親クジラたちは大集団を作って、子クジラを守りながら突き進んでいく。巨大な体をぶつけ合い、高い知能を生かした戦術を駆使するクジラとシャチの激突。大人のクジラは、自らの命を投げ出す覚悟で子供を守り、我が子に限らず別種の子クジラまで助けようと戦い続ける。その行動は、クジラならではの“無償の愛”と呼ぶに相応しい。なぜ、クジラはこれほどの危険を賭してまでこの海に来るのか。なぜ、これほど献身的に次の世代を守ろうとするのか。番組では、世界で初めて“地球最大の攻防戦”を陸・海・空からドキュメント、その全貌に迫力あふれる映像で迫っていく。
https://www.nhk.or.jp/special/detail/2012/1125/
どうでもいい、じじぃの日記。
11/25、『NHKスペシャル』で「大海原の決闘! クジラ対シャチ」を観た。
こんなことを言っていた。
【後半部のみ】
クジラはこれほどの危険を賭してまでこの海に来るのか?
なぜ、クジラたちは命を落とす危険を冒してまで、わざわざアリューシャン列島のユニマック海峡を通るのでしょうか?
その秘密はこの辺りの地形に隠されています。春、北極海の氷が溶けてベーリング海に豊富な水が大量に流れ込みます。アリューシャン列島が防波堤となり、栄養分が海底に貯えられるのです。ベーリング海の東側は浅く、西側の海は深くなっています。その境界には崖が続きます。深い海に蓄積した栄養分は海流の働きで崖に沿って湧き上がってきます。そこに太陽の光が射すと植物プランクトンが急増。するとそれを食べる動物プランクトンの一種オキアミが世界一の密度で大発生します。クジラはこの膨大なオキアミを食べるためにベーリング海を目指すのです。
世界地図が出てきた。アラスカ寄りのベーリング海が赤に染まっている。
これは夏に発生する動物プランクトンの図です。高い密度を示す赤が海底の崖に沿って広がっています。その豊かな海に一番近いのが、ユニマック海峡。クジラはこの最短ルートの海峡を通るのです。
海面に無数の鳥が浮かんでいる映像が出てきた。
ベーリング海にはこんなすごい光景が現れます。鳥、鳥、鳥。わずか10キロ四方の海が14万羽で埋め尽くされます。この生きものの大集結は海の魔法「アリューシャンマジック」と呼ばれています。鳥の名前はハシボソミズナギドリ。オーストラリアの南から、はるばるやってきました。水中を飛ぶように泳いで大量のオキアミを頬ばります。続いてやってきたのは魚の大群、ニシンです。その量は推定10万トン。日本の年間の水揚げ量の30倍近くになります。この世界一豊かな海の恵みを求めて、クジラたちは危険をかえりみず、はるか南から旅してくるのです。
再びクジラたちの難所、ユニマック海峡です。
ユニマック海峡の陸地で、ヒグマ同士が戦う映像が出てきた。
海岸に大きな固まりが横たわっています。クジラの亡骸です。シャチが食べ残したものが岸に流れ着きました。勝ったヒグマが死んだクジラを食べ始めました。食べ物が少ない春、クジラは陸上の命を支える貴重な恵みになるのです。
ユニマック海峡で観察を続けていたある日、6頭のシャチの群れに出会いました。子どもがいます。産まれて間もない赤ちゃんです、シャチの子育ての真っ最中。母親はたくさんお乳を与えなければなりません。シャチにとってクジラはなくてはならない食べ物なのです。
クジラがユニマック海峡を通る1ヵ月の間、シャチも北海道やハワイなど北太平洋の広い範囲から大集結します。総勢200頭。これほど集中する所は世界でここだけです。
私たちはシャチのとても珍しい行動を目にしました。
シャチが仕留めたクジラを食べていたときのこと。突然、さかんに鳴き始めたのです。
間もなく、別の7頭の群れが近づいてきました。2つの群れは合流して、一緒にクジラを食べ始めました。何と声で別の群れを呼び、貴重な獲物を分け合ったのです。
ユニマック海峡にはクジラにとって最大の脅威が潜んでいることを5年前に発見したのが、クレイグ・マトキン博士です。
クレイグ・マトキン博士、「ふだんシャチは群れごとに、ばらばらに暮らしています。しかしクジラが捕れると、一緒に食べながら交流を深めることがあるのです。シャチの社会にとってはとても大切な活動です」
今回初めて撮影されたシャチの交流会。ふだんは異なる地域に棲む群れ同士が獲物の居場所や狩りの方法など、さまざまな情報を交換する貴重な機会ではないかと、博士は考えています。こうして、シャチは狩りのテクニックを磨いていくのです。
5月下旬。ユニマック海峡を越えていくクジラの数はピークを迎えます。
海面をジャンプしているクジラの映像が出てきた。
ザトウクジラです。小笠原やハワイで子育てをしてきた巨大なクジラで7〜8頭の群れで海峡を進み始めました。実はこの群れに血のつながりはありません。ザトウクジラは仲間との結びつきが強いため、たまたま居合わせたもの同士、行動を共にするのです。
私たちは不思議な光景を目にしました。
コククジラの子どもが1頭だけ海峡に向かって進んでいます。普通ならば、まだ母親と一緒のはずなのですが、母親はどこを探してもいません。子どもを守るためにシャチと戦って命を落としたのでしょうか。
4〜5頭のシャチが近づいてきました。いきなり襲いかかります。母親のいない子どものクジラは身を守る術がありません。あっ。シャチがシッポに噛みつきました。深みに引きずり込み、窒息させようとしています。クジラは絶体絶命。そのとき、誰も見たことがない出来事が起こりました。
巨大なザトウクジラの群れが猛烈な勢いで接近。子どもを襲うシャチに向かって大きな唸り声を上げながら、突進していきます。ふだんザトウクジラの方からシャチに近づくことはありません。ところが、種類の違うコククジラの子どもを助けようとしているのです。
尾びれで水面を叩いて、攻撃しています。さらに巨大な胸びれも使います。シャチの頭を狙って振り落とします。当たれば致命傷を与えるほどの威力があります。
クジラはシャチの群れに突っ込み、尾びれを振り回します。激しい攻撃にシャチは大混乱です。
世界で初めて捉えられた、ザトウクジラが最強のハンターシャチを撃退する瞬間です。
3年前、南極でもザトウクジラがアザラシを助けたという記録があります。シャチに襲われたアザラシを背泳ぎでお腹の上に乗せて約20分守り続けたということです。
クレイグ・マトキン博士、「ザトウクジラには『弱いものを守る習性』があるのではないか。思いやりの心があるとしか、考えられない」
じじぃの感想
「巨大なザトウクジラの群れが猛烈な勢いで接近。子どもを襲うシャチに向かって大きな唸り声を上げながら、突進していきます。ふだんザトウクジラの方からシャチに近づくことはありません。ところが、種類の違うコククジラの子どもを助けようとしているのです」
最後にこんなことを言っていた。
「ザトウクジラには『弱いものを守る習性』があるのではないか。思いやりの心があるとしか、考えられない」
なかなか、いい番組だった。