じじぃの「アリストテレス・7つの誤り!科学は錯誤の中から生まれる」

天動説 画像
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アリストテレス ウィキペディアWikipedia)より
アリストテレス(前384年-前322年3月7日)は、古代ギリシアの哲学者。
アリストテレスは後世「万学の祖」と称されるように、彼のもたらした知識体系は網羅的であり、当時としては完成度が高く偉大なものであった。彼の多岐にわたる学説は、13世紀のトマス・アクィナスによる神学への導入を経て、中世ヨーロッパの学者たちから支持されることになる。しかし、アリストテレスの諸説の妥当な部分だけでなく、混入した誤謬までもが無批判に支持されることになった。
例えば、現代の物理学、生物学にかかわる説では、デモクリトスの「原子論」「脳が知的活動の中心」説に対する、アリストテレスの「4元素論」「脳は血液を冷やす機関」説なども信奉されつづけることになり、長らくこの学説に異論を唱える者は出てこなかった。
さらに、ガリレオ・ガリレイ太陽中心説(地動説)をめぐって生涯アリストテレス学派と対立し、結果として裁判にまで巻き込まれることになった。当時のアリストテレス学派は望遠鏡を「アリストテレスを侮辱する悪魔の道具」とみなし覗くことすら拒んだとも言われる。古代ギリシャにおいて大いに科学を進歩させたアリストテレスの説が、後の時代には逆にそれを遅らせてしまったという皮肉な事態を招いたことになる。
ただ、その後の哲学におけるアリストテレスの影響も忘れてはならない。たとえばエドムント・フッサールの師であった哲学者フランツ・ブレンターノは志向性という概念は自分の発見ではなく、アリストテレスやスコラ哲学がすでに知っていたものであることを強調している。

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天動説 ウィキペディアWikipedia)より
天動説とは、全ての天体が地球の周りを公転しているとする説で、コスモロジー宇宙論)の1つの類型のこと。大別して、エウドクソスが考案してアリストテレスの哲学体系にとりこまれた同心天球仮説と、プトレマイオスの天動説の2種がある。単に天動説と言う場合、後発で最終的に体系を完成させたプトレマイオスの天動説のことを指すことが多い。現在では間違いとされる。
古代、多くの学者が宇宙の構造について考えを述べた。古代ギリシャでは、アリストテレスやエウドクソスは、宇宙の中心にある地球の周りを全天体が公転しているという説を唱えていたが、エクパントスは、地球が宇宙の中心で自転しているという説を唱え、ピロラオスは地球も太陽も宇宙の中心ではないが自転公転しているという説を唱え、アリスタルコスは、宇宙の中心にある太陽の周りを地球が公転しているという説を唱えていた。

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『われ思う、故に、われ間違う―錯誤と創造性』 ジャン‐ピエール ランタン/著、丸岡高弘 /翻訳 産業図書 1996年発行
アリストテレス――7つの誤りを探せ】 (一部抜粋しています)
紀元前4世紀、アテネプラトンアリストテレスが、この世界最初の誤謬のアンソロジーの第1巻をみごとに締めくくってくれる。プラトンアカデメイアを創立し、アリストテレスはリュケイオンを設立する。それは優れた学校で、自由大学とでも言うべきもの、学者の協会のようなものであった。そこには過去何世紀もの時代の成果が収集され、すべてが批判と吟味にさらされていた。とりあけアリストテレスはオールラウンドな科学的天才の原型とでも言うべき人物で、形而上学や、倫理学や文法の論文のみならず、天文学、論理学、数学、物理学、気象学、地質学、生物学、動物学、植物学、解剖学、生理学、生物種など、あるゆるものについて書物を書いている。その才能は否定しようもなく、その仕事をする能力は人並みはずれており、集積された地域の量には目を見はるものがある。しかし、彼にも間違いはある。つぎに彼のおかした誤りのうちもっとも大きな7つの錯誤をあげるこつにしよう。もし彼の後、ヨーロッパの科学の進歩がひどく減速するということがなかったら、そうした誤りもさほど重大なものとはならなかったであろう。しかし、アリストテレスの考えは、信頼するに足る競争者がいなかったために、正しいものも間違ったものも、15世紀にわたって君臨することになるのである。
まず、世界の中心に不動の地球があり、星々はその周りをまわっているとする「地球中心主義的」宇宙観が執拗につづいたのはアリストテレスのせいである。また「円のみが天体の運動の神聖な完全性・無限性に合致する唯一の幾何学的形なのだから、星の軌道は必然的に完全な円である」という魅力的だが根拠のない確信を後世に残したのも彼である。今日ではわれわれは惑星は円でなく、楕円を描いて運行していることを知っている。アーサー・ケストラーも書いているように、「円の呪縛ほど、人々が誤謬に頑強・執拗に固執した例は思想史上おそらく他に類を見ない。このために天文学は2000年にわたって被害を受けた」。
アリストテレスを弁護するために言っておくと、上に述べた説は常識に合致したモデルで、われわれが実際に目で見るものともっともよく適合しているように見える、しかし何人かのギリシャ天文学者がすでに地動説を唱えていて、アリストテレスもそれを知っていた。彼はそうした説を紹介したうえで、地動説が完全に完全に馬鹿げた考えであると宣言する。もし地球が回転しているとしたら、空中に投げられたものは後ろに落ちに落ち、鳥は宇宙に吸いこまれ、壊滅的な暴風が吹き荒れて地上のものがすべてを吹き飛ばしてしまうだろう。アリストテレスのこうした反論はコペルニクスケプラーガリレオにいたるまで、あらゆる地動説の信奉者に対して何度も何度も繰り返されたのである。
アリストテレスのしくじり集を続けよう。
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最後にアリストテレスの動力学(運動の物理学)は、簡単に要約してしまうと、「各物体は自然な場所、コスモスの中であるべき場所をもっている」ということになる。石が落下するのはその自然な場所、コスモスの中であるべき場所をもっている」ということになる。石が落下するのはその自然な場所が下方にあるからであり、炎が上昇するのはあるべき場所が上方にあるからである。斜行運動や水平運動に関しては、運動が起こるためには運動する物体と接触して動因となるものがなければならない。今「接触して」といったが、それは、物体が距離をおいて他の物体に作用を及ぼせるとアリストテレスは考えなかったからである。しかしそれでは、車をいったん押すと、手を話した後でも何故それは転がりつづけるのだろう。矢はその「動因」である弓の弦から離れても何故空中を飛びつづけるのだろう? それは空気の粒子がバトンタッチされて、背中にその物体を乗せて回転させるからである、とアリストテレスは答える。それでは、空気の粒子がない真空中では運動は可能ではないだろうか? しかしアリストテレスがこのようなパラドクスに悩むことはない。彼は真空の存在を認めないからである。
13世紀にはソルボンヌでもオクスフォードでもニュルンベルグでもバーゼルでもこうした虚偽の主張が絶対批判してはならないドグマとなっていた。やっと生まれたばかりの科学がその体毒――避けがたい誤謬――をだしたのである。

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どうでもいい、じじぃの日記。
先日、図書館のなかで本巡りをしていたら 『われ思う、故に、われ間違う―錯誤と創造性』という変わった題名の本があった。
「われ思う、故に、われ間違う」か。それもありか。
中をパラパラ、めくってみたら「アリストテレス――7つの誤りを探せ」があった。
「とりあけアリストテレスはオールラウンドな科学的天才の原型とでも言うべき人物で、形而上学や、倫理学や文法の論文のみならず、天文学、論理学、数学、物理学、気象学、地質学、生物学、動物学、植物学、解剖学、生理学、生物種など、あるゆるものについて書物を書いている。その才能は否定しようもなく、その仕事をする能力は人並みはずれており、集積された地域の量には目を見はるものがある」
西洋文明とは何ぞや?
西洋文明とはメソポタミア文明から始まり、ギリシア・ローマ時代の地中海文明を引き継いた西ヨーロッパ文明を言う。
特に古代ギリシアソクラテスプラトンアリストテレスの思想は西洋哲学の源流なのである。
この本に出ているアリストテレスの7つの誤りとは、
①天動説 確かに夜、空を眺めると星が点滅し、地球を中心に天体が回っているように見える。「このために天文学は2000年にわたって被害を受けた」。この時代に何人かのギリシャ人が地動説を唱えていたというのも驚きである。
②多くの小動物(虫など)が「自然発生」的に誕生することができるとした。アリストテレスの自然学研究の中で、もっとも顕著な成果を上げているのが生物学や動物学の研究である。数百種にわたる生物を詳しく観察し、階層的に分類した。そんな彼が虫などは自然発生的に誕生するようなことを言っている。
③男性優位主義者 雄の精液が強ければ雄ができるし、弱ければ雌が生まれる。これも兄弟で父親似であったり、母親似であったりするじゃん。
④山や砂漠にある魚や貝などの化石をみて、多くのギリシャ人が、その場所は昔、海だった。その海に生きていた動物が化石になっと言っているのに、彼は乾燥した物が化石になったと言っている。
⑤人間の臓器で心臓は理性を司っており、脳は熱くなった体を冷却するだけの役割をしているに過ぎないとした。
⑥人間の臓器で、他のギリシャ人が肺は空気から養分(酸素)を受けていると言っているのに、肺も脳と同じように体を冷却するだけの機能しかないとした。
⑦石が落下するのは空気がその石をおんぶさせるからとした。ある意味では空気抵抗があるから落下するということに繋がるのかもしれない。ただ、彼は「真空」を認めていなかった。
1つの時代で天才としてあらゆる分野に花を咲かせたアリストテレス
ニュートンもまた、18世紀に天才としてニュートン力学を確立し、近代物理学の祖となった人物だ。
ニュートンはりんごが木から落ちるのを見て、引力を発見した。
F=GMm/r2 (万有引力の法則)
しかし、彼は「重力」が何ものであるのか、追求しなかった。
「重力」が何ものであるかがはっきりしたとき、彼の「万有引力の法則」はくつがえされるのかもしれない。