じじぃの「未解決ファイル_156_重力波」

LIGO: The First Observation of Gravitational Waves 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=wrqbfT8qcBc
[ScienceNews]最新鋭の「重力波望遠鏡」 KAGRA計画始動 動画 YuTube
http://www.youtube.com/watch?v=sEiNsIFygd0
gravitational waves

重力波からの電波を観測 (kajima.co.jp HPより)

アインシュタインも喜ぶ」物理学賞のレイナー・ワイス氏 トランプ大統領へ皮肉も (追加) 2017.10.4 09:13 産経ニュース
ブラックホールからの重力波を捉え、今年のノーベル物理学賞に決まったレイナー・ワイス氏(85)が3日、米マサチューセッツ工科大で記者会見し「信じられない。(重力波を予言した)アインシュタインが生きていたらきっと喜んでくれただろう」と語った。
日本の重力波望遠鏡「かぐら」について「とても先進的な技術を使っている。協力して観測したい」と期待を示した。
ワイス氏は、わずかな空間の伸び縮みを、光の干渉を使って検出する望遠鏡「LIGO(ライゴ)」を考案。研究の話となると大きな身ぶりを交え、早口でまくし立てた。「これからも望遠鏡の改善に取り組みたい。ノーベル賞(の騒ぎ)が妨げにならなければいいが」と会場を笑わせた。
http://www.sankei.com/world/news/171004/wor1710040022-n1.html
クローズアップ現代+ 「アインシュタイン“最後の宿題”が解けた!〜重力波天文学の夜明け〜」 2016年6月29日 NHK
【キャスター】松村正代 【ゲスト】中川翔子(歌手・タレント)、村山斉(東京大学 カブリIPMU 機構長)
今から100年前、アインシュタインが「一般相対性理論」の中で存在を予言しながら、誰も観測できなかった物理現象「重力波」。
ことしに入り、アメリカの研究チーム「LIGO」が相次いで観測に成功したと発表し、世界に衝撃が走っています。
研究チームはおよそ10年にわたる検討を重ね、振り子を4段にすることで鏡の揺れをほぼなくすことに成功しました。
それでも取り除けない原因不明のノイズがありました。それを除去する重要な局面で活躍したのが数々の日本人研究者たちでした。
その一人ノイズ調査を行う現場責任者の河邊慶太さんです。河邊さんは、施設の周囲に大量のセンサーを設置し電子機器が発するノイズなど原因を一つ一つ突き止めました。
こうしてノイズを少しずつ除去。原子の1億分の1の僅かなゆがみを、正確にとらえられるようになったのです。
LIGOによる初観測で一気に加速した、重力波による宇宙探索。将来的には、観測装置自体を宇宙に打ち上げようという計画まで持ち上がっています。
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3830/
梶田さん新たな挑戦、重力波観測KAGRA完成 2015年11月5日 YOMIURI ONLINE
KAGRAは、物理学者アインシュタイン(1879〜1955年)が存在を予言した重力波の直接観測を可能にする“夢の望遠鏡”だ。
長さ3キロ・メートルのトンネル2本がL字形に交わる構造で、同研究所は昨年3月にトンネルの掘削工事を完了させた後、重力波の観測に必要な装置の開発や設置を進めてきた。今年度中に、試験観測を行い、第2期実験施設の完成を経て、2017年度から本格的な観測を開始。
「成功すればノーベル賞級」(東京大宇宙線研究所の三代木伸二准教授)とも言われる、世界初の重力波の直接観測を目指す。
http://www.yomiuri.co.jp/science/20151104-OYT1T50058.html
宇宙誕生直後の「時空の揺れ痕跡」初観測 2014.3.18 NHKニュース
およそ140億年前、宇宙が誕生した直後に急激に膨張したという説を裏付ける、時空の揺れの痕跡を世界で初めて観測したと、アメリカの大学などの研究チームが発表し、宇宙の始まりを解き明かすうえで重要な成果と注目されています。
宇宙は、誕生した直後、急激に膨張したと考えられており、その際「重力波」と呼ばれる空間や時間の揺れが波のように広がる現象が起きたと言われています。
アメリカのハーバード大学や、スタンフォード大学などの研究チームは、この現象の解明のため、宇宙の誕生直後に発生した光の名残である特定の電波に着目し、南極に設置した望遠鏡で3年以上にわたってこの電波を観測し、データを解析してきました。
その結果、この電波が「重力波」の発生を示す特殊な波形を描いていることを、世界で初めて確認したということです。
研究チームでは、この波形の観測は宇宙が誕生直後に急激に膨張したというこれまでの説を裏付けるものだとしています。
研究チームは、今回の成果をより確かなものにするためには、ほかの研究機関による検証が必要だとしたうえで、「この現象を捉えることは、現在の宇宙論の重要なゴールの1つだ」としており、宇宙の始まりを解き明かすうえで重要な成果と注目されています。
http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/200/183363.html
重力波プロジェクト推進室 国立天文台
重力波プロジェクト推進室では、宇宙からの重力波の直接検出による「重力波天文学」を創生することを目指し、地上の干渉計型重力波検出器の研究(TAMA300干渉計、CLIO干渉計やLCGT)、第3世代干渉計のための技術開発、衛星を利用した重力波検出器(DECIGO)の開発を推進しています。
http://tamago.mtk.nao.ac.jp/spacetime/index_j.html
相対性理論における時間と宇宙の誕生 佐藤勝彦
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2006jiku_design/satou.html
LCGT 大型低温重力波望遠鏡
岐阜県飛騨市神岡町にある神岡鉱山の地下深くには、2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊博士の成果につながった宇宙素粒子研究施設「カミオカンデ」の後継施設「スーパーカミオカンデ」をはじめ、宇宙の謎に迫る世界最先端の研究施設が整備されています。いま、ここで新たな研究計画が動き出しました。
それがLCGT計画(大型低温重力波望遠鏡計画)です。この「望遠鏡」によって、地底深くからとらえようとしているのは、光や電磁波ではなく、重力がもとになって生まれる宇宙からの波動「重力波」です。重力は、宇宙の構造や進化を支配するとても重要な力で、重力波を観測できるようになることは、宇宙の謎を知るために非常に重要です。大型低温重力波望遠鏡計画は、ブラックホールの解明などをめざし、人類初となる「重力波の直接観測」に挑戦しています。
http://gwcenter.icrr.u-tokyo.ac.jp/
サイエンスZERO 「時空のさざ波 重力波をとらえよ!」 2014年11月16日 NHK Eテレ
【司会】江崎史恵(アナウンサー)、竹内薫 (サイエンス作家)、南沢奈央 (女優)  【ゲスト】梶田隆章 (東京大学宇宙線研究所 所長)
100年前にアインシュタイン一般相対性理論の中でその存在を予言した重力波が、1世紀の時を経てはじめてとらえられようとしている。その先頭に立とうとするのが、日本で建設中の重力波望遠鏡KAGRAだ。しかし、重力波相対性理論が前提のため、普通の感覚ではとらえがたい。そこで竹内薫重力波について懇切丁寧に解説する。
南沢、「重力波が未だにとらえられていないというのはどうしてなんですか?」
梶田、「重力波というのはとても小さい空間の歪みなので、我々が観測できるような重力波というものは宇宙のどこかでものすごく巨大な重力のイベントが起こらないと観測ができないのです」
南沢、「重力のイベント?」
梶田、「連星中性子星が合体すると強い電磁波が出ます。あるいは超新星の爆発、このような巨大な重力のイベントが起こらないと我々には観測ができないのです」
南沢、「そんなのがひんぱんに起こらないんですか?」
梶田、「例えば、我々の銀河(直径10万光年)で考えてみます。この中で連星中性子星の合体は10万年に1回くらいです」
竹内、「アインシュタイン自身もこの重力波というのは観測できないのではと思っていたくらいなんです」
梶田、「でも遠くから来る重力波は到達するまで弱くなるので、測定器の感度を上げてやる必要があります」
     ・
梶田、「トンネル3kmに対して空間の歪みが水素原子1個の10億分の1まで観測できる」
南沢、「そこまでできたら、重力波を観測することができそうですね」
梶田、「我々としては来年(2015)の暮れに最初の試験観測をやって、2017年頃から本格的な観測に移行しようと考えています」
南沢、「KAGRAの性能というのはダントツなんですか?」
梶田、「アメリカやヨーロッパでも今、レーザー干渉計と言われるこの装置を大改造しています。同じ頃に同じような感度で観測をしようとしています」
竹内、「最初に観測したところがノーベル賞を獲るのですか?」
梶田、「それはわかりませんが、でも競争もしていますが、協力もしながらやっています。おそらく1つの装置では『これが重力波ですよ』と言ってもなかなか信じてもらえない。世界中の装置で同じ信号を見つけて『重力波をとらえた』と、初めて納得してもらえるということになるのではないか」
南沢、「そうやって一度ありましたと言ったら、お役ご免ですか?」
梶田、「とんでもない。重力波をとらえるというのは最初の一歩で、この装置を使って新しい天文学をやろうと考えています。例えば、光の望遠鏡だといくら頑張っても星の内部は見えない。一方、重力波は何でもつき抜けるので、星の内部の情報が得られる。連星中性子星が合体すると、次の瞬間にブラックホールができると考えられている。これを調べることで、中性子星の内部とか、ブラックホールができた時の様子が分かってくると考えています」
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp484.html
サイエンスZERO 「爆発が迫る!? 赤色超巨星・ベテルギウス 2011年11月25日 NHK Eテレ
【キャスター】安めぐみ 、山田賢治 【ゲスト】国立天文台教授 渡部潤一 【コメンテーター】竹内薫 【語り】土田大
大量のガスを放出しながら、脈打つように大きさを変える赤色超巨星・ベテルギウス。今まさに寿命が尽きて、超新星爆発を起こそうとしている姿だと考えられています。ベテルギウスが爆発すると何が起こるのか?地球から観測される爆発のスペクタクルや、爆発時に発せられる強力なガンマ線の影響などが研究されています。死が迫ったベテルギウスの運命、そして大爆発の地球への影響を最新研究から探ります。
http://tvfreak-japan.blogspot.com/2011/11/20111125ts.html
BBC地球伝説 「神秘の大宇宙 Episode3 重力の秘密」 2011年11月30日 BS朝日
太陽系を解説した「神秘の太陽系」で、案内役を務めた物理学者ブライアン・コックス教授によるシリーズの第2弾。今回は、宇宙に関する数々の謎に迫る。
第3回のテーマは、“重力の秘密”。宇宙を形づくった重力について解き明かす。重力とは、宇宙のはるか彼方にまで影響を及ぼす、宇宙には欠かせない重要なもの。ブライアンは、無重力体験できるジェット機に乗り込み、私たちを取り巻く環境において、重力がどのような影響を及ぼしているのか解説する。
ブライアンは、まず無重力を体験できるジェット機に乗り込み、重さのない世界を体感する。エンジンを止めた機体が落ちることで、落ちている間、重力から抜け出すことができるのだ。
続いてブライアンは、常に私たちに同じ面を見せて輝いている月に注目する。月は、地球の重力が月の自転と公転の速度を固定したため、地球に対していつも同じ面を見せるようになったのだ。このような重力によるつながりは、地球と月に限ったことではなく、宇宙の隅々まで広がっている。地球を含めた太陽系の惑星の軌道、銀河系を回る太陽系の軌道も、重力によって決まっているのだ。
しかし、地球における重力はそれほど強い力ではない。重力の強さは、惑星によって異なるのだ。ブライアンは、戦闘機のパイロット訓練用に作られた遠心機に乗り、地球以外の惑星の重力を体験する。海王星と同じ重力では、手を上にあげることができたが、木星の重力では、手をあげることすら難しくなった。さらに、もっと強い重力の惑星では、呼吸することもできなくなり、視界がぼやけ、気分が悪くなってしまった。私たち人間の体は、地球の重力で暮らせるように、調整されているのだ。
続いて、水星に注目。太陽を回る水星の軌道は、きれいな円ではなく楕円形で、水星がなぜそのような軌道をとっているのかが科学者たちの長年の疑問だった。
その謎を解明したのが、アインシュタインの「一般相対性理論」である。この理論によって、太陽の重力で時空がゆがんだ結果、水星が楕円状の軌道をとっているということがわかったのだ。
最後にブライアンは、計り知れない重力を持つブラックホールについて説明する。私たちのいる銀河の中心には、驚くほど高密度のブラックホールがある。時空を極端にゆがめるブラックホールからは、光すら抜け出すことができない。一度飲み込まれてしまったら、決して脱出できないのだ。
ブライアンは、「重力とは、世界の創造主であると同時に破壊者でもあり、その謎は、まだ全て解き明かされていない」と語る。
http://www.bs-asahi.co.jp/bbc/na_62_03.html
重力波 (相対論) ウィキペディアWikipedia)より
重力波は、一般相対性理論において予言される波動であり、時空の曲率(ゆがみ)の時間変動が波動として光速で伝播する現象である。
重力波は、巨大質量をもつ天体が光速に近い速度で運動するときに強く発生する。例えば、ブラックホール中性子星白色矮星などのコンパクトで大きな質量を持つ天体が、連星系を形成し、重力波によってエネルギーを放出しながら、最終的に合体することが考えられる。
重力波の概念は、アルベルト・アインシュタイン自身が、一般相対性理論を発表した2年後に発表した。重力波が存在することは間接的には示されている(#間接的な検出参照)が、2011年1月現在、まだ直接観測されてはいない。重力波の伝播を媒介するものは、重力子 (graviton) という粒子と考えても良いが、これも未検出である。
重力波を直接観測することは、現在の一般相対性理論研究の大きな柱の1つであり、巨大なレーザー干渉計や共振型観測装置が世界の数拠点で稼働あるいは計画中である。また、予想される重力波は非常に弱いため、ノイズに埋もれた観測データから重力波を抽出するために、重力波の波形をあらかじめ理論的に計算して予測する研究も精力的に進められている。
宇宙重力波望遠鏡 ウィキペディアWikipedia)より
宇宙重力波望遠鏡は、NASAのジェット推進研究所およびESAが進めている、重力波天体観測惑星である。
現在の計画では、2015年に地球 - 太陽軌道系(黄道面)に対して20度の傾きを持った人工惑星軌道に投入され、観測を行う予定。
重力波望遠鏡の構造は、3つの衛星からなる。各々の衛星は、500万km離れた位置を周回し、衛星間にてレーザー光による干渉計として動作させる計画である。基線長が500万kmに達するため、地上では実現の難しい、mHz帯の波長を持つ重力波を捉えることが可能である。
2009年に搭載する機器の実証としてLISA パスファインダーの打ち上げが予定されている。
【干渉計型検出器(地上)】
現在の検出の主流は、強力なレーザー光の干渉計を用いるものである。1つの発振装置から出たレーザー光を直交する二方向に分け、一辺が300mから4Kmのアームを往復させる。レーザーの反射には、時空の歪みを自由に反映する鏡を用いることにより、重力波が通過した時の四重極の歪みによる二方向の距離差(理想的には片方は伸び、もう片方は縮む)が干渉縞の変化から検出される、という原理である。自由質量型観測装置とも呼ばれる。
干渉計型検出器は、装置が大掛かりになるが、検出できる重力波の周波数帯が広い。検出感度は上記の起源の 1-3 に適していると考えられている。検出感度を得るための障害となるのは、レーザー光の量子雑音・鏡の熱振動・機械振動や電気雑音や地面振動などである。これらのノイズを1つ1つ取り除くことにより、現在ではブラックホール連星系の合体ならば地球から10 Mpc程度の距離までの現象を測定できる世界的なネットワークが構築されている。
干渉計型検出器は、2007年現在、世界の数ヶ所で稼働している。
アメリカは、LIGOというプロジェクト名で、一辺が4kmのレーザー干渉計をワシントン州ルイジアナ州に2台稼働させている。2007年現在もっとも感度が良い。
・日本は、国立天文台にあるTAMA300で、一辺が300mの干渉計を稼働させている。これは、世界に先駆けて最初に本格的な観測を開始した。2003年までは、神岡では、TAMAのプロトタイプだった一辺が20mの干渉計を設置し、LISM干渉計として運用実験を行っていた。その後、同じ、神岡内に片腕100mの低温鏡レーザー干渉計重力波アンテナCLIOが、地球物理学研究のための地殻歪計とともに建設され、現在運用中である。
重力波天文学的解説】
重力波は、電波、赤外線、可視光、紫外線、エックス線、ガンマー線と同じように、波動の性質を持つため、宇宙膨張による赤方偏移による影響を受ける。よって、遠い天体からの重力波を観測するためには、長い基線長を持つ重力波望遠鏡が必要となる。
例えば、TAMA300の場合、基線長が300mのため、MHz帯の重力波を捉えることならば可能である。しかしながら、300mとなると、銀河系内等で起こる重力崩壊の結果によって生じる重力波を検出することしかできない。それに対して、LIGOとなると、基線長は4km及び2kmに達するため、数十kHzの重力波を検出することが可能となる。この大きさならば、銀河系内で起こる同様のイベントのみならず、乙女座銀河団内で生じる同様のイベントを捉えることが可能になるとされる。

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アインシュタインの望遠鏡―最新天文学で見る』 エヴァリン ゲイツ/著、野中香方子/翻訳 早川書房 2009年発行
重力波 (一部抜粋しています)
アインシュタイン一般相対性理論は、静的な理論ではなく、宇宙を動的に描くものである。恒星、惑星、銀河といった天体は、時空を移動し、時空はそれに応じて移り変わる。また、水中に波を作れるように、時空に波を作ることもできる。重力波は、曲がったり隆起したりしながら光速で時空を伝わり、通過する何ものにも影響されることなく宇宙を進んでいく。時空そのものが、内包する物質の動きに揺さぶれている。
重力波の振幅は一般にきわめて小さく、発信源から遠くへ進むにつれて波の力は衰える。人間にとってはありがたいことで、そうでなければ、地球は遠方の発信源(たとえば、互いの周りをぐるぐる回っている2つのブラックホールなど)から重力波 によって揺さぶられ、大型のモーターボートの波を受ける小さないかだのように上下にあおられ続けるだろう。しかし、微弱であっても、重力波はいくらか検出できると考えられている。
宇宙はインフレーションのほかにも、さまざまな発信源からの重力波に満ちている。急速に移動する巨大な天体は、周囲の空間をかき混ぜ、波動を外部へと送り出す。衝突するブラックホールもまた、時空をかき回すのが得意で、重力波を直接発見するための最善の方策となるのかもしれない。また、互いの周囲をらせんを描いて回る2つの中性子星も有望な発信源となる。そのような連星システムが、重力波の存在を示す最初の間接的証拠をもたらした。
1993年、ジョセフ・テイラーとラッセル・ハルスはノーベル物理学賞を受賞した。互いの軌道がしっかり組み合わさった2つの中性子星の発見という1974年の功績によるものだ。その中性子星のひとつは「パルサー」である。パルサーは高速で回転しながら灯台の光のように規則正しい光のパルスを発している。この特別な中性子星から出されるパルス(ラジオ波として放射される)の間隔はきわめて規則的で、事実上、非常に高精度の時計となっている。パルサーがその伴星のまわりを回る時、この規則正しいパルサー時計の時の刻みは、ドップラー偏移を起こす。パルサーがもうひとつの中性子星のまわりを軌道に沿って動くにしたがって、検出されるパルスは一定のパターンで変化する――パルスの間隔は、次第に狭くなり(パルサーが地球へ向かってきている時)、その後、広がってゆき(パルサーが遠ざかっている時)、その後ふたたび狭くなっていく、この周期を調べれば、その連星システムの公転周期を非常に精密に計ることができる。
PSR1913+16という名で知られる、テイラーとハルスが発見したこの連星パルサーは、相対性理論をテストする理想的な環境を提供する。各中性子星の質量はそれぞれ太陽の約1.5倍で、それが直径およそ20キロメートルの球体におさまっている。2つの距離は、地球から月までの距離の2、3倍で、互いのまわりを8時間で1周する。アインシュタインによれば、これらの中性子星の動きは重力波を生み出すはずであり、その重力波は連星システムからエネルギーを運び去る。そうやって、システムのエネルギーが重力波として放射されると、軌道エネルギーは減少し、中性子星は徐々に互いに向かって近づいてゆき、より短い軌道をより早く回るようになる。PSR1913+16の軌道を4年にわたって注意深く観測した結果、その減衰(公転周期の減少)がたしかに確認され、発表にいたった。そのデータは一般相対性理論による予測とみごとに一致し、重力波の存在を確かに裏づける証拠となった。このシステムの現在の測定結果は、0.5パーセント以内の誤差でアインシュタインの理論と一致する。
次にすべき仕事は、重力波を直接探知することで、そのための調査がすでに始まっている。レーザー干渉計重力波検出器(LIGOを始めとする高感度の重力波検出器が、時空を監視するために建設され、特徴的な信号を持つ重力波の通過を捉えようとしている。LIGOの全体はL字型で、それぞれ全長4キロにおよぶ2本のアームが直角になるように配置されている。各アームの先端にはおもりが吊るされ、そのおもりの間を行き来するレーザー光線によってアームの距離が計測される。一方のアームから出たレーザーの光は、もう一方のアームからの光と結合して、ある干渉パターン――明るい点と暗い点からなる模様――を作る。仮に、各アームの距離がきっかり同じままなら、レーザー光線はもう一方と同調し続け、干渉パターンは変化しないだろう。もし距離が変化すれば、光源は同調しなくなり、干渉パターンは変わるはずだ。
重力波が地球とLIGOの検出器を通過する時、重力波は空間をある方向へ引き伸ばすと同時に、それに対して垂直になる方向へ圧縮するので、アームの距離はわずかに変化する。その結果として生じるレーザー光線の干渉パターンの変化は、重力波がたった今通過したことを知らせるだろう。
この技術によりLIGOは長さ4キロの各アームの変化を10-17センチのレベルで検出できる――その大きさは水素原子よりもはるかに小さい。このような精密なレベルで行うには、実験装置を真空に密閉し、大気分子の動きの影響を受けないようにしなければならない。また、検出器は2ヵ所以上に設置する必要がある。地震、通過するトラック、そのほかの不要な騒音が、通過する重力波の信号のように見えたり、あるいは本物の信号を覆い隠してしまったりするだろうが、そのような影響はすべて、地球上の特定の場所で起きるものだ。

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どうでもいい、じじぃの日記。
11/30、BS朝日 BBC地球伝説 「神秘の大宇宙 Episode3 重力の秘密」を観た。
こんなことを言っていた。
我々は地球に、地球は太陽に、太陽系は銀河に、銀河系はブラックホールの重力の影響を受けて、歪んだ時空の上に存在する。すべての生々流転は重力によって起こされ、重力が無ければ時間も空間も存在しない。
ニュートンは彗(すい)星の動きを見て万有引力を発見した。しかし、皮肉にもニュートン万有引力からは水星の楕円軌道は導き出されないのだ。その謎を解明したのが、アインシュタインの「一般相対性理論」だ。この理論によって、太陽の重力で時空がゆがんだ結果、水星が楕円状の軌道をとっているということがわかった。
11/25、NHK EテレサイエンスZERO』の番組で「爆発が迫る!? 赤色超巨星・ベテルギウス」を観た。
国立天文台教授の渡部潤一さんが、番組の最後にこんなことを言っていた。
「1987年に大マゼラン雲で発生した超新星の場合、ニュートリノが地球にやってきて、超新星爆発ニュートリノが出ると言われていたが観測されたのは初めてで、それで小柴昌俊先生がノーベル賞を受賞されたわけですが、今回のベテルギウスでもおそらくニュートリノがくる。スーパーカミオカンデというので待ち受けているわけです。さらに神岡の鉱山の下には今、『重力波望遠鏡』というものを作りかけています。これは捉えたものはアインシュタイン相対性理論で予測される重力の波なんですが、人類は誰もまだ捉えたことはないんです。そういう厳しい現象で発生する重力波を捉える可能性があるんです」
地球から640光年の距離にあるベテルギウスは一生の99.9%が終わっていて、ほとんど末期状態なのだそうだ。
その爆発が、明日なのか、1万年後なのか分からない。ベテルギウスまでの距離が640光年だから、もしかしたらすでに爆発していて、その光がまだ地球に届いていないのかもしれない。
1987年に大マゼラン雲で発生した超新星の爆発でニュートリノが地球にやってきたときのように、ベテルギウスの爆発でもニュートリノがやってくるだろう、そして、わずかだが重力の波を捉えられるかもしれない。
エヴァリン ゲイツ著 『アインシュタインの望遠鏡―最新天文学で見る』にこんなことが書いている。
「その大きさは水素原子よりもはるかに小さい」
本当にベテルギウスの爆発で「重力波」を捉えることができるのだろうか。
宇宙の未解決のもの、ダークエネルギーダークマターブラックホールなど、すべてが重力と関係している。