じじぃの「未解決ファイル_145_大脳皮質」

神経細胞の挙動 動画 YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=TuOf0krAdOA&feature=related
リーリン、Reelin 画像
http://www.pharma.uzh.ch/research/neuromorphology/researchareas/neurodegeneration/projects/Reelin_gfap3.jpg
Nakajima Lab Homepage
http://plaza.umin.ac.jp/~Nakajima/
大脳皮質の6層について。(ヒトについて) 2011/3/23 Yahoo!知恵袋
大脳皮質は、6層構造があると知りましたが、その構造はどのように分けたのですか?
その層の違いは、形や働きによって分かれていると考えられると思うのですが、具体的にどのようなものなのか、わからないので、教えて下さい。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1158410501
サイエンスZERO 「記憶”のミステリー 〜最新脳科学が解き明かす記憶の正体〜」 (追加) 2016年2月28日 NHK Eテレ
【司会】竹内薫 (サイエンス作家)、南沢奈央 (女優)  【ゲスト】井ノ口馨 (富山大学大学院医学薬学研究部教授)
記憶はどこに保管され、どう思い出されているのか?
脳科学の長年の謎が、今、急速に解明されつつある。さらに記憶を人工的に作ったり切り離したりと、「記憶を操れる」可能性さえ見えてきたのだ。どうすれば記憶力がよくなるのか、といった素朴な疑問から医療への応用まで、新たなステージに入った“記憶”の科学。記憶の正体に迫る!
海馬の役割の解明に身を捧げた人がいました。
彼の名はヘンリー・モレゾン。重度のてんかんを患っていました。
当時決定的な治療法はなく、最後の望みがてんかんの原因とされる海馬を切除する手術でした。
主治医はやむなく海馬の摘出に踏み切りました。
手術後、ヘンリーの発作は激減。治療は成功したかに見えましたが、彼の脳に異変が起きていました。
するとその直後、僅か数分前の出来事さえ一切覚えられなくなっていたのです。
しかし、奇妙な事に家族の事や子どもの頃の思い出など手術前の記憶は残っていました。
日常生活も難なくこなせました。
このことから海馬の役割が判明します。
ところが、最近その謎が解明されつつあるんです。
海馬に刻まれた新たな記憶。それは一体どのように大脳皮質へ転送されていくのか。
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp536.html
慶応大、大脳の神経細胞が正しく配置されるメカニズムを発見 2012年10月18日 BIGLOBEニュース
慶應義塾大学(慶応大)医学部の仲嶋一範教授らの研究グループは10月18日、大脳皮質が形成される時に、神経細胞が正確に配置されるメカニズムを明らかにしたと発表した。
同成果の詳細は10月18日(米国東部時間)発行の米国神経科学雑誌「Neuron」に掲載された。
哺乳類の大脳皮質は、多くの神経細胞が整然と並んだ6 層構造を作っているが、同構造は、哺乳類が進化の過程で獲得した特別な形質と考えられている。
この層構造の形成過程において、神経細胞は脳の深部にある脳室の周囲で誕生し、放射状に脳表面に向かって移動して、表層付近で正しく移動を終了する。
この際、遅れて生まれた神経細胞は早く生まれた先輩神経細胞をすべて乗り越え、より表層側に到達して停止することから、最終的には先輩細胞が深層に、後輩細胞が表層に並ぶ「inside-out」型と呼ばれる様式で層構造が形成されるが、この層構造形成で異常が、発達障害統合失調症てんかんといった精神神経疾患の患者で多数報告されていることから、神経細胞を正しく配置させるメカニズムの重要性が示唆されるようになってきた。
近年の研究により、神経細胞は複雑に移動様式を変化させながら動いていくことがわかってきた。
例えば大脳皮質神経細胞の7〜8割を占める興奮性神経細胞の場合、すでに移動を終えた先輩細胞の集団の中を、脳を貫くように走る長い線維(放射状グリア)につかまりながら、後輩の神経細胞がよじ登っていく様子が報告されている。
しかし、放射状グリアの線維は脳の表層まで伸びているにもかかわらず、神経細胞がその途中でどのようにして移動を終了するのかは不明であった。
研究グループは、神経細胞の移動終了地点で発現し、大脳皮質の層構造形成に決定的な役割を持つ細胞外タンパク質「リーリン」に着目して研究を進めてきた。
リーリンの異常は滑脳症と呼ばれる脳構造異常の原因の1つであり、統合失調症自閉症などの精神神経疾患との関連も示唆されているほか、リーリン欠損マウスにおいては、大脳皮質の層構造がおおまかに逆転してしまうことから、リーリンの層構造形成における重要性が示唆されてきた。
リーリンは、移動神経細胞に発現し、リーリンの受け取り手であるApoER2/VLDLRと呼ばれるリーリン受容体に結合した後、細胞内タンパク質であるDab1 をリン酸化することが知られている。
http://news.biglobe.ne.jp/it/1018/mnn_121018_9967030670.html
大脳皮質が作られる際に神経細胞が正しい位置まで動く仕組みを解明
http://www.med.keio.ac.jp/information/hbimd20000005pfm-att/hbimd20000005pg7.pdf
大脳皮質 ウィキペディアWikipedia) より
大脳皮質は大脳の表面に広がる、神経細胞灰白質の薄い層。その厚さは場所によって違うが、1.5〜4.0mmほど。大脳基底核と呼ばれる灰白質の周りを覆っている。知覚、随意運動、思考、推理、記憶など、脳の高次機能を司る。神経細胞は規則正しい層構造をなして整然と並んでいる。両生類から見られる古皮質と、哺乳類で出現する新皮質がある。個体発生の初期には古皮質が作られ、後に新皮質が作られる。アルツハイマー病ではβアミロイドの沈着による斑が観察される。
【層構造】
普通の皮質領域(同種皮質)は神経細胞は規則正しい6層構造をなして整然と並んでいる特徴を持つ。この6層は外側から順に
①分子層
②外顆粒層
③外錐体細胞
内顆粒層
⑤内錐体細胞層(神経細胞層)
⑥多型細胞層
と呼ばれる。
【リーリン】
リーリン は、神経細胞の移動と発達中の脳での中での位置の固定の過程の制御を補助するタンパク質である。この初期の発達における重要な機能の他に、リーリンは成体においても長期増強の誘導によるシナプスの柔軟性の調節等を行う等、働きを続けている。また、樹状突起樹状突起棘の発達を促進し、脳室下帯等の成体の神経細胞新生箇所からの移動を調整し続ける。リーリンは脳だけで見られる訳ではなく、脊髄や血液、その他の器官や組織でも見られる。
リーリンは、いくつかの脳の疾患の発病に関わっていると指摘されている。例えば、統合失調症双極性障害の患者の脳では、このタンパク質の発現量が少なくなっている。しかし、本当の原因は未だ不明であり、レベルが変化することを説明しようとする後生説についても反対の証拠がいくつか挙がっている。リーリンが全く欠如すると脳回欠損を引き起こす。また、アルツハイマー病や側頭葉てんかん自閉症等にも関わっていると言われている。

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サイエンスZERO「シリーズ 細胞の世界(4)見えた! 神経細胞の変幻自在」 2011年7月30日 NHK Eテレ
【専門家ゲスト】慶応義塾大学教授 仲嶋一範 【コメンテーター】総合研究大学院大学教授 長谷川眞理子 【司会】安めぐみ、山田賢治 【語り】土田大
私たちの記憶や人格を保持する脳の「神経細胞」。細胞分裂しないという「不変」な性質によって、人としてのアイデンティティーを保っていると考えられている。一方で、新しいことを覚えたり、見たことのない環境に適応したりする「柔軟」な性質も必要とされる。この「不変にして柔軟」という条件を満たすために、神経細胞は「変幻自在」に振る舞うことが分かってきた。最新研究が明らかにした、神経細胞の驚異の姿に迫る。
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp355.html
どうでもいい、じじぃの日記。
8/4、再放送だったがNHKサイエンスZERO』の番組で「細胞の世界(4)見えた! 神経細胞の変幻自在」を観た。
こんなことを言っていた。
大脳皮質はどう作られる?
MRIで頭を輪切りにしたような円に2つ卵のようなのが並んでいる。その卵のようなふちが黄色で中は白色になっている映像が出てきた。
こちらは胎生期の脳を輪切りにしたところで、この黄色のところが大脳皮質に変っていくところです。中の白いところは脳せき髄(空洞)になっているところです。黄色のところは将来大脳皮質なっていくところの深いところで神経細胞が次々に誕生していきます。この胎生期の脳が大きくなっていくと大人の大脳皮質になっていく。
この大脳皮質は6つの層からできています。(①分子層〜⑥多型細胞層) ↓ 参照のこと
http://www.med.keio.ac.jp/information/hbimd20000005pfm-att/hbimd20000005pg7.pdf
Q.大脳皮質で一番新しい層は?
図の一番下で生まれるんですけど、それでは一番新しい層は?
大脳皮質の6層構造はどのような順番でできているのか? 実はそこにはちょっと不思議な脳の進化戦略が隠されています。
慶応義塾大学医学部 仲嶋一範教授さんは大脳皮質がどのようにできていくのか、その映像化に成功しました。
アメーバのような細長い固まりが上に向かって移動して行く映像が出てきた。
これは脳の奥にある幹細胞から次々に神経細胞が生まれている様子です。白く見える1つ1つが蛍光たんぱく質で光らせた神経細胞です。驚くのはその後です。一斉に画面の上、脳の表面に向かって移動し始めました。生まれたばかりの神経細胞は活発に移動するのです。その距離はおよそ1ミリですが、大きさ10数マイクロの細胞にとってはかなりの大移動です。しかも移動していくところは真っ黒で何もないように見えますが。実は先に作られた神経細胞がからんでいます。ぎっしりと詰まったその間を、新たに今生まれた神経細胞臨機応変に形を変え、すり抜けているのです。
仲嶋先生、「大体3〜4日で生まれた場所から、最終的な場所までたどり着きます。少なくとも3つのパターンで移動していくことが分かっています」
1つ目は仲嶋さんらが発見した「多極性移動」と命名したパターンです。神経細胞は自身の周りに突起を出し入れし、まるで周囲の環境を探索しているようです。このパターンの間はゆっくりと漂うように移動します。
2つ目は神経細胞が先端から先導突起というロープのようなものを出し、そのロープを修復しながら移動を繰り返し「百とり虫」のようなパターンで、「ロコモーション」と呼ばれています。
そして3つ目は「細胞体トランスロケーション」と呼ばれるパターンで、脳の表面まで届くロープを一気に短縮しながら大きく移動していきます。
仲嶋先生、「3つと言っても1つの細胞が3つのうちのどれか1つを使うわけではなく、多くの細胞はそのうちの1つ(多極性移動)を使って動き始め、24時間を過ぎて次の移動方式(ロコモーション)に変って、一気に脳表面に向かって行くというパターンです」
生まれると表面へと移動する神経細胞の中で、もっとも古いのは表面の外。一番深い場所⑥に層となっています。そこで表面に近づくほど新しい細胞ということになります。その結果、「Q.大脳皮質で一番新しい層は?」の答えは②です。
このように大脳皮質は、「インサイドアウト」と呼ばれる方式で作られているのです。
仲嶋先生、「神経細胞は分化してしまうと、2度と分裂しないといわれていますけれど、一方で形に関しては非常にダイナミックに動くことができて、状態や時期によってまったく違う形をとる。たぶん形を変えることが最終的な組織を作っていくうえで、非常に重要な柔軟性を担保している可能性がある」
安さん、「なぜ、あんなに複雑な作り方をするのか?」
仲嶋先生、「インサイドアウトですと、すべての細胞が一度は脳の表面まで行くということになります。実は脳の表面には「リーリン」という特殊な分子が発生しています。このリーリンという物質は神経細胞をきれいに並べたりとか、あるいは神経細胞を正しく分割したりとか、そういう重要なことをしています」
安さん、「その6層というのは人だけですか?」
仲嶋先生、「この6層構造は哺乳類から獲得されたものですけど、鳥の中にもカラスとかハトとか賢いのがいる。鳥の場合は神経核構造といって、それぞれの神経細胞が非常に深い所に集まっています。それだと数を増やそうとすると限界があるんです。哺乳類の大脳皮質は6層構造になので、しかも脳表面にあるので、どんどん『しわ』を作っていって表面積を増やすと、神経細胞をどんどん増やすことができる。だから人のように高い知能を獲得していくという進化の過程で、それが非常に重要になってきたのではないか」
長谷川さん、「うまくできていますね。表面積を増やすことはしわを増やすということなんですね」
じじぃの感想
「しわ」のプロセスが少し分かった気がした。
記憶というのがこんなふうに作られていくんだ、と初めて知った。
面白かった。