じじぃの「未解決ファイル_13_がん」

NHKスペシャル 「病の起源第1集がん 〜人類進化が生んだ病〜」 (追加) 2013年5月19日
第1集は、人類最大の脅威となっている病“がん”。日本人の2人に1人が患い、3人に1人の死因となっている深刻な病気だ。“がん”は、多細胞生物に宿命の病と言われてきたが、自然界の動物では、ほとんど見つからず、進化の隣人チンパンジーでさえ、“がん”で死ぬ個体は極めて稀だ。なぜ人類だけが、これほど“がん”になり命を落とすのか。その答えは、人類が二本の足で歩き脳を巨大化させてきた陰で、宿命として抱え込んでいたことにあることが、最先端の研究から明らかになってきた。実はヒトは、他の動物に比べ“がん細胞”が増殖しやすい条件を、進化の過程で幾つも抱え込んでいたのである。“がん”を増殖させ続ける遺伝子、“がん細胞”の栄養源を大量に作ってしまう仕組み、そして“がん細胞”の増殖を防いできた体内物質の減少など・・・。
進化の陰で宿命として“がん”になる種が埋め込まれていた人類の体。私たちはどう“がん”に向き合い、闘っていけばよいのか、進化の過程から紐解いていく。
人は動物の中でも特にがんになりやすいです。がんで亡くなる日本人の割合は30%ですが、チンパンジーのがんによる死亡率は2%しかありません。同じ多細胞生物でもなぜここまで違うのでしょうか。理由の一つが脳の巨大化。人類の祖先は進化する中で石器などの道具を作り始めました。脳が巨大化し高度な知性を持つようになったのです。脳が巨大化した理由はFASと呼ばれる酵素にあると考えられています。細胞の材料となる脂肪酸を作り出す酵素です。ほとんどの動物にFASはありますが、人類のFASは他の動物よりもはるかに多く脂肪酸を作ると言われています。そのため、脳が発達し高度な知性を持つようになったと考えられているのです。しかし、最先端の研究によってFASの別の側面が見えてきました。FASが作る脂肪酸は幹細胞の分裂も促していたのです。人類は知性と引き換えにがんになりやすくなったのです。
FASが、がんの増殖に関わっていることを突き止めたのはジョンズ・ホプキンス大学のガブリエル・ロネット博士です。
このFASの働きをブロックする物質を見つけ、3年前精製に成功しました。このFAS阻害薬(C31)は正常な細胞には影響を与えず、がん細胞の増殖を抑え死滅させることが確認されています。
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20130519
悪性腫瘍 ウィキペディアWikipedia)より
悪性腫瘍(malignant tumor)は、遺伝子変異によって自律的で制御されない増殖を行うようになった細胞集団(腫瘍、良性腫瘍と悪性腫瘍)のなかで周囲の組織に浸潤し、また転移を起こす腫瘍である。
【発生機序】
ほぼ全ての「がん」は、遺伝子の突然変異によって発生する。一部、遺伝子のエピジェネティック変化が要因となることもある。
身体を構成している数十兆の細胞は、分裂・増殖と、「プログラムされた細胞死」(アポトーシス)を繰り返している。正常な状態では、細胞の成長と分裂は、身体が新しい細胞を必要とするときのみ引き起こされるよう制御されている。すなわち細胞が老化・欠損して死滅する時に新しい細胞が生じて置き換わる。ところが特定の遺伝子(p53など、通常複数の遺伝子)に突然変異が生じると、このプロセスの秩序を乱してしまうようになる。すなわち、身体が必要としていない場合でも細胞分裂を起こして増殖し、逆に死滅すべき細胞が死滅しなくなる。
このようにして生じた過剰な細胞は組織の塊を形成し、腫瘍あるいは新生物と呼ばれる。腫瘍には良性(非がん性)と悪性(がん性)とが存在する。良性腫瘍は、稀に命を脅かすことがあるが(特に脳に出来た場合)、身体の他の部分に浸潤や転移はせず、肥大化も見られない。一方、悪性腫瘍は浸潤・転移し、生命を脅かす。
全ての遺伝子の突然変異ががんに関係しているわけではなく、特定の遺伝子(下述)の変異が関与していると考えられている。また、発がんには多段階発がん説が提唱されている。すなわち、がんに関与する因子ならびにがんに至るプロセスは単一ではなく、複数の遺伝子変異などが関与すると考えられている。
【がん発生に関与する遺伝子群】
現在、がん抑制遺伝子といわれる遺伝子群の変異による機能不全がもっともがん発生に関与しているといわれている。たとえば、p53がん抑制遺伝子は、ヒトの腫瘍に異常が最も多くみられる種類の遺伝子である。p53はLi-Fraumeni症候群 (Li-Fraumeni syndrome) の原因遺伝子として知られており、また、がんの多くの部分を占める自発性がんと、割合としては小さい遺伝性がんの両方に異常が見つかる点でがん研究における重要性が高い。p53遺伝子に変異が起こると、適切にアポトーシス(細胞死)や細胞分裂停止(G1/S 細胞周期チェックポイント)を起こす機能が阻害され、細胞は異常な増殖が可能となり、腫瘍細胞となりえる。p53遺伝子破壊マウスは正常に生まれてくるにもかかわらず、成長にともなって高頻度にがんを発生する。p53の異常はほかの遺伝子上の変異も誘導すると考えられる。p53のほかにも多くのがん抑制遺伝子が見つかっている。
一方、変異によってその遺伝子産物が活性化し、細胞の異常な増殖が可能となって、腫瘍細胞の生成につながるような遺伝子も見つかっており、これらをがん遺伝子と称する。これは、がん抑制遺伝子産物が不活性化して細胞ががん化するのとは対照的である。がん研究はがん遺伝子の研究からがん抑制遺伝子の研究に重心が移ってきた歴史があり、現在においてはがん抑制遺伝子の変異が主要な研究対象となっている。

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迷惑な進化―病気の遺伝子はどこから来たのか シャロン モアレム、ジョナサン プリンス 翻訳 矢野真千子 NHK出版 2007年発行
あなたとiPodは壊れるようにできている (一部抜粋しています)
あなたの体には、がんになることを防ぐための何層もの防御機構がある。腫瘍を抑制する役目を負った特別な遺伝子もあれば、がん細胞を探し出してやっつけるたんぱく質を作る遺伝子もある。
がんと闘う遺伝子を修復するための遺伝子まである。細胞には、切腹(ハラキリ)メカニズムがある。これはアポトーシスというプログラムされた細胞死で、ある細胞が感染を受けたり損傷したりしたときづいたとき、あるいは他の細胞からそれを「指摘」されたとき、その細胞が自殺するメカニズムだ。その一番手が、ヘイフリック限界ということになる。
ヘイフリック限界はあなたをがんから守る。細胞がおかしくなってがん化しても、ヘイフリック限界がその増殖を断つことで、それ以上広がるのを防いでくれる。決められた回数しか細胞分裂できないということは、悪い細胞が無制限に増殖しないということだ。
そう、そこまでは正しい。問題は、がん細胞のほうもずる賢くて、ちょっとしたトリックを使ってくることだ。そのひとつがテロメラーゼという酵素だ。ヘイフリック限界はテロメアがなくなるから生じる限界だ。細胞はテロメアを使い尽すと増殖をやめる。ところがテロメラーゼは、染色体の末端にあるテロメアを延長させる。正常な細胞ではテロメラーゼは眠っているので、テロメアはきちんと短くなる。しかしがん細胞ではテロメラーゼが目覚めていて、テロメアをどんどん補充する。細胞に貼られていた「賞味期限」のシールははがされ、がん細胞は永遠に増殖を続ける。
がんになるとき、これはたいていテロメラーゼが活動してしまった状態を言う。人間のがん性腫瘍細胞の90パーセント以上はテロメラーゼの助けを借りて勢力を伸ばす。言い換えれば、テロメラーゼがなければどんながん細胞でも50〜60回分裂すれば死んでしまうのだからがんにはならない。テロメラーゼがヘイフリック限界を無効にするからこそ、がん細胞は無制限に増殖して僕たちの体を蝕む。優秀ながん細胞は−−僕たちにとっては最悪のがん細胞という意味だが−−プログラムされた細胞死、つまりアポトーシスを回避する道を見つけるのだ。がん細胞は、正常な細胞なら何かがおかしくなったときに指示される自殺命令を無視して、永遠に分裂できる「不死」の細胞になる。科学者たちは現在、テロメラーゼの活動が増大したかどうかを検知する検査法を確立しようと躍起になっている。そうなれば、がんの早期発見はいまよりずっと容易になるだろう。
ところで、ヘイフリック限界にはもうひとつの例外がある。いま世間で政治、医学、倫理の議論の的になっている注目の細胞、幹細胞だ。幹細胞は「未分化」の細胞で、いろいろな種類の細胞に分裂することができる。細胞分裂というとふつうは、抗体を作るB細胞からはB細胞しかできないし、皮膚細胞からは皮膚細胞しかできない。ところが幹細胞は分裂するとき別の種類の細胞を作ることができる。あらゆる幹細胞の親分にあたるのは、精子卵子が結合した接合子だ。この接合子というたったひとつの細胞が、あなたの体を構成するすべての細胞を作り出す。幹細胞もまた、ヘイフリック限界の干渉を受けない「不死」の細胞だ。幹細胞はがん細胞とおなじようにテロメラーゼを使ってテロメアの長さを一定に保つ。科学者が幹細胞に熱い視線を注いでいるのは、望む細胞を無限に作り出せるという幹細胞の潜在能力を使えば、病気治療の可能性が大きく広がると信じているからだ。
ともかく科学者たちは、細胞分裂に制限回数があるのはがんを防ぐ目的で発達したメカニズムなのだろうと考えている。だが、ものごとにはかならずプラスとマイナスの両面がある。ヘイフリック限界のプラス面ががん予防なら、マイナス面は「老化」だ。細胞は決められた回数だけ分裂すると、それ以上は分裂せず、老いて死ぬのを待つだけになる。

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どうでもいい、じじぃの日記。
『迷惑な進化―病気の遺伝子はどこから来たのか』の本の中にがんと寿命について書かれている。
どうもヘイフリック限界というのが「がん」を予防してくれるらしい。そしてヘイフリック限界は「テロメア」と密接な関係にあるようだ。
長生きは「がん」の元か。
アメリカのMIT教授レオナルド・ギャレントによると長寿遺伝子「サーチュイン」があって、この長寿遺伝子でさらに30%、寿命を延ばすことが可能らしい。食事のカロリーを制限したときに活性化するそうだ。
8月10日の産経新聞に「警察官僚ガン闘病記」の記事が載っている。小腸がんで亡くなった人のブログを紹介している。
人間の寿命は、今の医学の段階では大体125歳ぐらいまで可能らしい。
ただ、理論上はそうかもしれないが、遺伝とか、食生活でがんはいつ発生するのか分らない。
人間の場合、40歳ぐらいから免疫力が急に衰えるらしい。だが新聞に載っていた人は36歳でがんで亡くなっている。
免疫力の強い20歳ぐらい時の幹細胞を登録しておいて、40歳前後でがんになったら、その幹細胞でがんをやっつけるとか、正常細胞に置き換わるというわけにいかないものだろうか。
まあ。私の場合はとうに賞味期限が切れていていて、どうしようもないことは分かっているが。