じじぃの「科学・芸術_186_パリのアメリカ人・ロスト・ジェネレーション」

The Lost Generation A&E Biography. I DO NOT OWN THIS MATERIAL. 動画 YouTube
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ガーシュイン 巴里のアメリカ人 小澤征爾 ベルリン・フィル 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=AfPryxLJaVk
The Lost Generation in Paris

アメリカの「失われた世代」を知るための6冊 P+D MAGAZINE
1920年代から1930年代にアメリカで活躍した小説家たちは、失われた世代、ロストジェネレーションと呼ばれています。
これはガードルード・スタインがヘミングウェイに投げかけた「You are all a lost generation.」(あなたたちは皆、失われた世代なのよ)という言葉が由来であり、広義では、20代の青年期に第1次世界大戦が勃発した世代のことを指しています。
https://pdmagazine.jp/works/lost-generation/
『パリ・フランスを知るための44章』 梅本洋一大里俊晴、木下長宏/著 赤石書店 2012年発行
ロスト・ジェネレーション パリのアメリカ人 (一部抜粋しています)
アメリカ文学はパリという場所と緊密な関係を持っている。それはもっぱらロスト・ジェネレーションと呼ばれる第一次世界大戦1920年代にパリで過ごしたアメリカ人の文学者たちがいて、彼らが著名な作品を数多く残したことによる。
アーネスト・ヘミングウェイ、F・スコット・フィッツジュラルド、ジョン・ドス・パソス、シャーウッド・アンダーソン、エズラ・パウンド……。後に著名になる文学者たちが、同時期にパリに滞在し、詩や小説やエッセーを書いた。彼らの中心には、ふたりの女性がいた。ひとりはガートルード・スタイン、もうひとりはシルヴィア・ビーチである。
ロスト・ジェネレーション(失われた世代)の名付け親でもあるガートルード・スタイン。彼女は裕福な家庭の5番目の娘であり、幼少時から世界各地を旅し、パリにも住居を持っていた。長兄が両親の財産をうまく運用したために、子どもたちは経済的な心配をする必要なく生活することができた。兄のレオとともにガートルードはパリに住む。レオは美術のコレクターであり、ふたりが借りていたフルリュス通り27番地で毎週土曜の夕刻に隔離されるサロンには多くのアーチストたちが集った。ピカソ、ブラック、セザンヌ、そして詩人・評論家のアポリネール。彼らの絵画の中心には常にガートルードとレオがいた。ふたりはパリやニューヨークで周囲に集うアーチストの展覧会を開催し、同時代の才能の紹介に努めた。ガートルードは文才にも恵まれ、多様な内容、さまざまなジャンルの文章を次々に発表していく。
そうしたガートルード・スタインのフルリュス通り27番地のアパルトマンに第一次世界大戦後は若いアメリカ人の作家の卵たちが集まるようになる。前述の大作家たちのことだ。彼らは誰かの紹介でガートルードのサロンに出入しながら、ヨーロッパ世界を学び、当時オデオン通りにあった、世界に先駆けてジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』を出版した。シルヴィア・ビーチが経営する英語系の書店シェイクスピア&カンパニー書店で、英語の書物を物色した。新大陸出身だが、まるでルーツを牛なかったようにパリに終結し、無国籍的な文学を書き綴る彼らのことをガートルードは「失われた世代」(lost generation)と呼んだのである。彼らがパリに住むことのできた大きな理由は、第一次世界大戦後のアメリカの未曽有の好況によるものだろう。同時代のアメリカは「ローリング・トウェンティーズ」と呼ばれた活気を呈した文化芸術状況があった、大戦後の旧大陸ヨーロッパとジャズに乗せて世の中がスウィングする新大陸。伝統と新奇。こうした揺れの中で伝統の中心にあって、その中で新たな創造活動の担い手たちを支援するガートルード・スタイン。彼女を中心にアメリカ系の文学者たちの一群が形成されていくのである。
ヘミングウェイの傑作旅行記でもある『移動祝祭日』は、そのタイトルそのもののように、この時代の彼らの生活を生き生きと活写している。彼の『日はまた昇る』やフィッツジェラルドの『偉大なるギャッツビー』は、こうした時代と彼らのパリ滞在がなければ存在しない作品である。新大陸の創造活動と州大陸の創造活動がこれほど密接な関係で結ばれた例は他に存在しない。パリが、全世界的な意味で創造の中心になりえていた時代がこの「失われた世代」を生んだ一時期であり、同時代のパリは、フランス人文学者の誰よりもアーネスト・ヘミングウェイの描写が生々しい。