じじぃの「歴史・思想_623_宮本弘曉・日本の未来・シン③・健康の未来」

北欧&日本 デジタルヘルステック最前線 大企業オープンイノベーション成功の秘訣を探る

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=l2xdgmi0utg&t=3225s


北欧&日本 デジタルヘルステック最前線 大企業オープンイノベーション成功の秘訣を探る

Thursday, July 8, 2021 Nordic Innovation House
北欧と日本において、スタートアップと大企業とのオープンイノベーションに最前線で携わるスピーカーが登壇し、オープンイノベーションを成功に導く秘訣について議論するパネルディスカッションを開催します。

北欧のヘルステックビジネスのトレンドや有望なヘルステック・スタートアップを、ノルディックイノベーションハウス東京から紹介。大阪スタートアップ・エコシステムコンソーシアムにも参画するアストラゼネカ株式会社からは、スタートアップとのオープンイノベーション事例について紹介します。また、北欧と日本のスタートアップ支援機関の活動についても紹介。
https://www.nordicinnovationhouse.com/tokyo/events/thjywwwl74x4jtkl8zrd32mx6z9nc4

101のデータで読む日本の未来

宮本弘曉(著) PHP新書
「日本人は世界経済の大きな潮流を理解していない」。
国債通貨基金IMF)を経て、現在は東京都立大学教授を務める著者は、その結果が日本経済の停滞を招いたと語る。
そこで本書では、世界と日本を激変させる3つのメガトレンド――①人口構造の変化、②地球温暖化対策によるグリーン化、③テクノロジーの進歩について、その影響を各種データとファクトから徹底的に検証。日本人が勘違いしている「世界経済の変化の本質」を理解した上で、日本社会の現在、そして未来に迫る。

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『101のデータで読む日本の未来』

宮本弘曉/著 PHP新書 2022年発行

第5章 日本経済再生への提言 より

労働市場改革」のために、いま何が必要か?

ここまで、日本経済の現在、未来を考える際に重要なメガトレンドの変化、そしてそれが日本経済に及ぼす影響について見てきました。日本は現在、多くの課題を抱えており、また、今後もメガトレンドの変化により大きな影響を受けることが予想されます。
では、今後、日本経済を再浮上させるためには何が必要なのでしょうか? 最終章では、この問いについて考えていきたいと思います。まずは、私たちの生活と直結する労働について考え、その後、第2章、第3章で取り上げたいくつかの分野について論じることにしましょう。

シン・未来③ 健康の未来

高齢化が進む日本では、健康維持が個人・社会にとって大きな課題となっています。
日本人の健康寿命は、男女ともに平均寿命よりも短く、健康上の問題で日常生活に制限がある期間は約10年となっています。この期間には、支援や弁護が必要となるため、個人はそれに対する備えが必要となり、また、国は高齢者の増加に伴う医療費や介護費の増加に対応しなくてはいけないという状況にあります。
こうした中、健康に投資をすることで、健康水準を高め、健康寿命を延ばすことが期待されています。誰もが健康で快適に人生を過ごしたいと考えているため、亡くなる直前まで健康でいることには高いニーズがあると同時に、高齢者の健康が維持されれば、支援や介護が楽になり、社会的コストの節約につながると同時に、高齢社会における雇用拡大にも資すると考えられます。
健康寿命の延伸には、いうまでもなく日常の積極的な健康づくりが大切です。栄養管理や食事、運動などが重要ですが、高齢者が健康的な日常生活を送るうえで要となるのが筋肉です。筋肉は支障なく自由に体を動かすのに必要なものであり、最近の研究では、筋肉を維持できている人は病気になりにくく、長生きする傾向にあることが明らかとなってきています。また、厚生労働者の調査では、寝たきりになる原因で転倒による骨折は、脳卒中認知症に続く第3位となっています。転倒を防止するには筋肉トレーニングが欠かせません。
そこで重要となるのが健康医学、スポーツ医学です。体力、健康管理の専門家の支援を受け、エビデンスに基づく信頼できる施術体系のもと、人々が理解、知識をもって健康維持の習慣形成をしていくことが肝要です。

人生100年時代には、健康管理を積極的に行うことが重要となります。人々が積極的に自ら健康増進の努力を行うためには、健康への認識、自覚、知識を高めることが必要です。筋トレなど健康寿命を延伸させるための健康投資を促すような優遇税制やバウチャーなどを導入することも検討に値すると考えられます。ヘルスケアは今後の日本の経済成長にとって重要な分野のひとつであり、市場や雇用の創出が見込めます。人々の健康増進へのニーズを高めることはヘルスケア産業の発展につながると期待されます。
また、健康に関しては、企業が従業員の健康をサポートする「健康経営」も重要です。従業員の心身の不調は生産性を低下させることが明らかとなっています。また、アメリカのヘルスケア企業ジョンソン・エンド・ジョンソンは、健康経営に対する投資1ドルに対するリターンは3ドルになるとの調査結果を出しています。従業員は企業にとって重要な経営資源であり、従業員の健康づくりを進めることは生産性向上やコスト削減につながるだけでなく、企業のイメージアップにもつながることが期待されます。

じじぃの「脳科学・IQの高い人の神経回路・頭が良いってどういうこと?面白い雑学」

The UnXplained: The Secrets of Einstein's Brain

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=U6_IBNPO0Uc


   

IQの高い人は何が違うのか…天才アインシュタインの脳に凡人の2倍あった"ある細胞"

2022/08/10 PRESIDENT Online
【執筆者】毛内拡(お茶の水女子大学基幹研究院自然科学系助教、脳神経科学者)

天才と凡人は何が違うのか。脳科学者の毛内拡さんは「アインシュタインの脳組織が、死後、世界中の研究者に配布された。研究の結果、脳の一部の領域で、普通のヒトより2倍ほど多い細胞の存在がわかった。その細胞を増やすことはできないが、活性化する方法はある」という――。

またこれも都市伝説のようなものですが、20世紀最大の知性と呼ばれているアルバート・アインシュタインの脳組織が死後、世界中に配布されました。さまざまな研究者が違いを見つけようと躍起になりましたが、ニューロンには特段の違いは見つけられませんでした。
しかし、アストロサイトを含むグリア細胞には違いが見つかったというのです。脳の一部で、普通のヒトと比べて、グリア細胞の数が2倍程度多い領域があったということです。
https://president.jp/articles/-/60025?page=1

『面白くて眠れなくなる脳科学

毛内拡/著 PHP研究所 2022年発行

PartⅢ 脳の可能性は無限大――頭が良いってどういうこと? より

答えがないことに向き合うのが知性

頭が良いといってもいろいろな定義があり一概にはいえません。計算が早かったり、記憶力が良いだけでなく、人の心の機微がわかる人、、音楽や絵画などの芸術に長(た)けている人、、話すのがうまい人、リーダーシップが取れる人などなどです。
日本語では、知能と知性という2つの言葉があり、直感的にはその違いがわかるような気がしますが、その違いはどのように定義するのが良いでしょうか。
私は、「知能」というのは、答えがあることに素早く答えを出す能力であり、「知性」というのは、答えがないことに答えを出そうとする営みそのもののことを指すのだと理解しています。
したがって、人工知能(AI)はあくまで知能であり、計算や分類などは得意でも、人間のような知性は獲得できないのではないかと考えています。人工知能が人間の能力を凌駕(りょうが)する技術的特異点(シンギュラリティ)が2045年に訪れるとまことしやかにささやかれています。人間の仕事の大部分は、人工知能に奪われるかもしれない、だから人間にしかできない仕事を探そうと躍起になっているところです。
もちろん人工知能が得意な部分はたくさんあると思うので、人間にはできないこと、人間には不得意な部分はぜひ、人工知能に補ってもらえればと思います。
しかし、よくあるSF映画のように、人工知能が人間の脳を凌駕して、人類を支配するということに関しては、私は楽観的で、人工知能やコンピュータは決して脳にはなれないし、脳を超えることはないと考えています。その理由については、本書の後半にかけてじっくりと説明したいと思います。
さて、他方、知能にも種類があるようで、それぞれ流動性知能と結晶性知能と呼ばれています。流動性知能は、直感や処理速度などに関与する能力で、結晶性知能は、創造力やコミュニケーション力、社会適応力など、言語に関する能力である能力であると定義されています。流動性知能は、30歳くらいにピークを迎え、65歳頃から低下するといわれており、一方の結晶性知能は、25歳を過ぎても増加し、加齢しても低下しないとされています。この定義からすると、私が思う知性というのは、結晶性知能のほうなのかもしれません。
このような知見は、個人の中で発揮できる知能が、年齢と共に変化してくるというものですが、では脳科学的に頭が良い人というのは、どういう違いがあるのでしょうか。特に脳にはどのような違いがあるのでしょうか。それに対する統一的な見解は出ていませんが、そのヒントとなるような研究事例を1つ紹介したいと思います。

IQの高い人の神経回路は?

ドイツで行われた研究では、いわゆる知能指数(IQ)を指標にし、脳の違いを明らかにしようとしました。これまでの研究で、IQが高い人は、大脳皮質の体積が大きくなっているということがわかっており、この研究でも、IQが高い人の大脳皮質の体積が大きくなっていることが示されました。
次に、IQが高い人とそうでない人の神経回路がどう違うのかを直接可視化することを試みました。さて一般的に、頭が良い人というのは、さぞびっしり頭の中が詰まっているのでしょうね、と思うかもしれません。私もそう思っていました。

しかしながら、研究の結果、IQが高い人ほど、神経回路がシンプルになっているということが判明しました。一方、IQが低い人は、より複雑な神経回路を持っていたというのです。

これはちょっと直感に反した結果で驚きましたが、この結果を解釈すると、脳科学的には、頭が良い状態というのは、省エネである。つまり効率的に脳を働かせられる状態といえます。そう考えると、納得はいきます。