じじぃの「科学・地球_62_レアメタルの地政学・レアメタルの呪詛」

Rare Earth: How the US plans on rivaling China in the production of critical earth minerals

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=CW4TnJDIQUw

レアアース(希土類 Rare earth elements)

中国北部の内モンゴル自治区にあるバヤン鉱区

China’s rare earth still needs an edge up in technology for high-end products

2020/10/13 Global Times
China is the world’s biggest supplier of rare-earth elements, the crucial component in an array of high tech and military applications.
However, due to a lack of technology patents - which would transform the production chain from mining and extraction to more value-added products - the industry continues to be cursed by thin margins and illegal mining and exports.
https://www.globaltimes.cn/content/1203383.shtml

レアメタル地政学 資源ナショナリズムのゆくえ』

ギヨーム・ピトロン/著、児玉しおり/訳 原書房 2020年発行

第1章 レアメタルの呪詛 より

レアメタル消費は加速する

こうしたさまざまな技術開発(新モーターやエンジンなどの発明)によって、採掘する金属の種類が増加した。人類が古代からルネサンスまでに利用した金属は7種類に過ぎず、20世紀半ばまでにおよそ10種類、1970年には20種類だったが、現在はメンデレーエフの元素周期法にある86の全金属を利用している。
しかも、消費量は爆発的に増加したが、これはまだ序の口だ。世界で使用される3つの主なエネルギー資源(石炭、石油、天然ガス)の消費が横ばい、あるいは減少、少なくとも弱い増加を示しているのに対し、レアメタルの需要は大きな増加が予測されている。世界中ですでに金属類は年間20億トン以上消費されている。1日当たりの消費がエッフェル塔500個以上に相当する。ある調査によると、2035年にはゲルマニウムの需要は2倍、ジスプロシウム、タンタルパラジウムは5倍になると予想される。スカンジウム市場は9倍、コバルト市場は24倍になる可能性がある。つまり、レアメタル・ラッシュだ。今後、資本主義の耐久力はグリーンテクノロジーとデジタルテクノロジーに依存することになるだろうが、その資本主義は過去2回の産業革命を支えた燃料への依存を減らし、来るべき転換を支える金属への依存を強める。
米地質調査所とEU委員会の一次産品を担当するグループは初めて世界のレアメタル生産地図を作成した。それによると、南アフリカはプラチナとロジウム、ロシアはパラジウムアメリカはベリリウム、ブラジルは二オブ、トルコはホウ酸塩鉱物、ルワンダタンタルコンゴ民主共和国はコバルトなど、それぞれのレアメタルに主要生産国がある。

しかし、レアメタルの多くを供給しているのは中国である。アンチモンゲルマニウムインジウムガリウムビスマスタングステン、そして、とりわけ、優れた電磁気性、光学的、化学的特性、触媒作用において高機能で、グリーンテクノロジーの王者ともいうべきレアアースの主要生産国だ。レアアースとは17元素のグループで、スカンジウムイットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジムネオジムサマリウムユウロピウム、カドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウムエルビウム、ツリウム、イッテルビウムルテチウムプロメチウムである(画像参照)。

レアメタルの闇取引と環境汚染

大量のレアアースが採掘されているのは、中国内陸部の江西省である。
ワン・ジンさんはそのことをだれよりもよく知っている。私たちは星光(せいこう)村で、この若々しくて明るい顔をした24歳の青年に会った。その地方の山地を熟知しており、快く私たちの案内を引き受けてくれた。彼はユーカリの林に隠れた違法鉱山で何年も働いていた。顔を真っ黒にした男女がどうやって赤っぽい岩石の起伏を削り取り砕いたかを話してくれた。
週7日、1日24時間、山には人間がうごめいていたという。数百ユーロの月給をもらう鉱夫たちは、油圧ショベルとつるはしででこぼこになった地べたにじかに寝たそうだ。こうした恐ろしいスピードで数十万トンのレアアースがこの山々から奪い取られた。しかし、2年前に中国当局はこの違法採掘を禁止し、重い罰金を科した。国外に密輸されるはずだったレアアースのストックがすべて、数百キロメートル南の広東省の港で没収され、数十人の密輸業者が収監された。
しかし、しぶとい人たちは人が立ち入りにくい土地に隠れた。彼らは欲に目のくらんだ地元警官のおかげで隠れて採掘できているらしい。こうして、中国の膨大な闇市場レアメタルを供給し、精錬を経て世界中に輸出されるのだそうだ。
私たちが江西省の山あいで見かけたのは、それだった。あの3人の男たちは知っていたに違いない。バイクに乗った男は何度も私たちを脅しつけた。テントから遠ざかったほうがよさそうだ。探していたものを実際に見ることはできなかった。レアアースの採掘による大きな環境汚染の証拠を探していたのだが……。
「毒ですよ。レアアースが精錬されると、使われると、使われた化学薬品はそのまま土壌に流されていました」とワン・ジンは言った。

レアメタルの厄災は世界に広がる

レアメタルによる汚染は何も中国に限ったことではない。世界のコバルト需要の半分を供給するコンゴ民主共和国など、ほかの生産国も同様だ。電気自動車用のリチウムイオン電池の多くに不可欠なコバルトの採掘は昔ながらのやり方だ。コンゴではスコップやつるはしを持った10万人ほどの鉱夫が土地を掘り返して採掘する。とくに南部のルアラバ州ではそのやり方だ。国が鉱山活動を規制する能力がないために、周辺の皮の汚染や生態系の破壊が多く見られる。コンゴの医師たちの調査によると、上カタンガ州ルブンバシ市の鉱山周辺の住民の尿に含まれるコバルト濃度は通常の43倍に達したものもある。
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地殻から鉱物を採掘することは、それ自体が汚染を生じる活動だ。鉱業の盛んな国々で責任と倫理観がほぼ欠けたやり方がされていたために、エネルギー転換とデジタル化の高潔な意図は必然的に問い直されなければならなくなった。ブラックスミス研究所の最近の報告書によると、鉱業は世界で2番目に汚染の多い産業である。前回2013年の調査からワンランク上がった。世界中でやめようとしている石油化学産業はそのランクの10位にも入っていない。レアメタルの世界供給における中国の優位性から考えると、この国の環境パフォーマンスを考慮せずに地球温暖化との闘いの進歩を正確に評価するのは不可能だ。
こうしたレアメタル採掘の環境への影響を見ると、グリーンテクノロジーの進展に懐疑的な見方をせざるを得ない。ソーラーパネル風力発電機、電気自動車、低消費電力照明を設置する以前の段階ですでに、そのエネルギー・環境収支のひどさの「原罪」にぶつかる。グリーンテクノロジーのライフサイクル全体の環境負荷を正確に算定するべきだろう。

じじぃの「小説『2034』・激化する米中対立で懸念される台湾・地球で最も危険な場所に!報道1930」

【米中衝突 現実味増す“ハイブリット戦”とは?】報道1930 まとめ21/5/28放送

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=iNYKS-dacyo

Taiwan urges China to renounce use of force after war threat

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=XcfF1BxTt1Q

台湾、日本を襲う「通信戦争」の脅威

台湾 澎湖島 金門島

2034: A Novel of the Next World War Hardcover 2021 Amazon

English Edition by Elliot Ackerman (著), Admiral James Stavridis USN (著)
●レビュー
“It is hard to write in great detail about what ensues in this novel without giving away the drama of its denouement.
Suffice it to say that there is conflict and catastrophe on a large scale, and it unfolds, as major conflicts tend to, with surprising twists and turns . . . The strengths of the novel are anything but incidental to the background of one of its authors, Adm.
Stavridis, a former destroyer and carrier strike group commander who retired from the Navy in 2013 as NATO Supreme Allied Commander in Europe. . . . Adm. Stavridis not only understands how naval fleets work; he has clearly given a great deal of thought to America’s biggest strategic risks, and at the top of the list is war with China, which, as this book seems designed to point out, could occur quite by accident and at almost any time . .. One of the messages of this book is that war is utterly unpredictable and that opportunist adversaries of the U.S. are likely to play important roles in any widening confrontation . . . 2034 is nonetheless full of warnings.
Foremost is that war with China would be folly, with no foreseeable outcome and disaster for all. This is not a pessimistic book about America’s potential, but the picture of the world it paints before the central conflict will be a difficult one for many to accept, albeit one well supported by facts.” ーWall Street Journal

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報道1930

2021年5月28日 BS-TBS
【キャスター】出水麻衣、松原耕 【コメンテーター】堤伸輔、パトリック・ハーラン 【ゲスト】森本敏(元・防衛相)、三船恵美(駒澤大学教授)、松本哲哉(国際医療福祉大学主任教授)
激化する米中対立で懸念される台湾“地球で最も危険な場所“に。兵器ではなく宇宙・サイバーが主戦場に。宇宙争奪戦 きっかけは28年前の中国船拿捕だった。

激化する米中対立で懸念される台湾“地球で最も危険な場所“に

●台湾進攻は現実に? 中国の戦略“ハイブリッド線戦”とは
米国海軍の元幹部が、米中戦争を描いた小説『2034』が話題を呼んでいる。
そこには、生々しい現実が記されている。
さらに、明確な軍事行動をとらずに台湾を統一する中国の戦略に迫る。
最悪の事態をどう避けるのか、議論する。
●米国ベストセラー『2034』とは
米国海軍の元幹部でNATO軍最高司令官を務めたジェイムズ・スタヴリディス元米国海軍大将が米中戦争を描いた小説『2034』が話題を呼んでいる。
そこには、生々しい現実が記されている。
ストーリーは、2034年南シナ海をきっかけに米中が衝突、台湾が両国のレッドラインとなり戦争に突入するという内容。

中国の今後の日程から、習近平国家主席にとっての2035年を紐解く。

2021年、共産党創立100年。
2022年、北京五輪共産党大会で習主席3期目?。

2027年、人民解放軍創建100年、共産党大会で習主席4期目?。

2035年、習主席「2035年長期目標」。
2049年、中華民民共和国建国100年。
パトリックハーラン、「小説『2034』はスリリングで分かりやすい。一帯一路、コロナ後も書かれている」

三船恵美、「戦わずに勝つ為の警告の物語」

森本敏、「4期目を迎えるかどうかが注目。毛沢東以上の実績が必要になる。2035年まで経済成長できるかは疑問」
習近平にとっての2035年
三船恵美、「来年もし3期目に突入できても、制度的には昨年の中国共産党の五中全会ならびに今年の全人代の人事に関わる制度なんかを見ていると、たぶん来年はいけるんじゃないかとみている、ただ2027年の大会で4期目を果たして認められるのだろうか」
●元海軍大佐「中国は実弾使わない」
ジェームズ・ファネル米国海軍大佐は、「中国は武力に頼らず目標を達成させようとしている、実弾を使わずに中国海軍が大量の漁船、沿岸警備隊、人民軍海上平民を一斉に送り込むことで軍事的な圧力をかけるというのが今の中国のやり方だ」と語った。
中国の台湾への侵攻の作戦には、日本を黙らせることも入っているという。
ジェームズ・ファネル米国海軍大佐は、「中国が米国はすぐに反応しない可能性があると判断した場合、そのことが日本の国会や首相に影響を及ぼし、彼らが懸念することを中国は知っている、日本は単独で行動したくないだろうからだ。そうなると中国は台湾侵攻を実行する上で自由に行動できる」と語った。

森本敏、「台湾有事にはいくつかのシナリオがあり得る。だが、どのシナリオが起こったとしても、台湾海峡だけでなく台湾の周辺列島や尖閣諸島への介入が同時に起こることを予想すべきだ。例えば、まず台湾の政治・経済を不安定状態にしてから、偽情報やサイバー攻撃、要人の誘拐や暗殺、さらには工作員を侵入させて、都市や部隊に混乱を起こして、台湾山頂のEWR(レーダー)の破壊工作を行い、周辺地域への監視能力を減らして、軍事中枢をまひさせる。同時に、南シナ海の太平島や澎湖諸島、金門・馬祖島を奪取してミサイル・ロケットを配備する。台湾が海上封鎖されることが起こる」

●押し寄せる中国漁船の意味
1993年に起きた銀河号事件。
中国の貨物船「銀河号」に対して、化学兵器原料運搬の疑いがあるとして、米国がGPSを切断、位置を分からなくさせ、洋上に止め米国軍艦、米軍ヘリで包囲し船内臨検を行う。
この事件を中国では、“屈辱の事件”と呼ぶ。
1994年、“中国版GPS”「北斗」衛星プロジェクト開始。
2000年、サービス開始。
現在は、海上民兵は直接指示可能、漁民は監視、管理下に。
ジェームズ・ファネル米国海軍大佐は、「最大の懸念は、中国が米国や日本の衛星システムを無効化、破壊すること、中国の行動が見えなくなれば、台湾への奇襲に関して中国は有利になる、我々が衛星の不具合を確認している間に部隊を動かされてしまう」と語った。
●灰色でやって来るハイブリッド戦
ハイブリッド戦。
三船恵美、「見えない戦争、これを一番いますごく重視している。これまで陸、海、空、宇宙、サイバーにプラスして、中国は影響力を行使できる認知の場所を戦場としている」日本はシミュレーションをしているかについて。
森本敏、「政府がやっている、それは明らかにしたことはありません、安全保障理事会でシミュレーションそのものを出したことはありません」
自衛隊が練るシナリオは…
森本敏、「まずクロスドメインの技術、宇宙だとかサイバーだとか電磁波の技術、もちろんハードコアもある、全く新しい形の兵器システムにどう対応するのか、それはそのときに実務をやっている人にしか分からない、最後は同盟、日米同盟をどのように有効に使うか」
クロスドメイン・・・ドメインが複数にまたがっている状態のこと。外部リンクとは異なり明らかにサイトの一部であるのにも関わらず、ドメインが異なる場合を指す。ECサイトを例にあげると、買い物かごまでは「aaa.example.com」のドメインだが、フォーム入力ページからは「aaa.example2.com」のようにドメインが異なるパターンがクロスドメインです。
https://www.bs-tbs.co.jp/houdou1930/