じじぃの「科学・芸術_758_大図鑑・大陸の誕生」

Earth’s Crust

西之島 誕生

『ビッグヒストリー大図鑑:宇宙と人類 138億年の物語』

デイヴィッド・クリスチャン/監修、ビッグヒストリー・インスティテュート/協力、オフィス宮崎/日本語版編集 河出書房新社 2017年発行

大陸の誕生 より

およそ40億年前に地球の地殻が動き始め、そのあおりで一部がマントルへと沈み込んだ。それによって噴出したマグマが冷えると、新種の比重が軽い地殻となった。それが大陸地殻である。周囲の岩石よりも高くせり上がり、最初の陸塊を造り出した。地球の表面の約3割は大陸からなり、この活動は現在も続いている。

広い土地に若木が育つのと同じように、大陸の前にはクラトン(陸塊)があった。このクラトンは、最初の大陸地殻から形成された連続した島からなるものである。この生成は始生代(40億年~25億年前)始まった。冥王代以降、地球は冷えたが、現在よりもまだまだ熱かった。それでも、層が固定されたため、海が固体の地殻上に形成された。
現在の地球の地殻は、重い海洋地殻と軽くて厚い大陸地殻からなる。原始地殻は均一だったが、マントル内の流れが下へと引っ張り始めると、この地殻も動き出して、プレートへと分かれていった。
     ・

原始地殻

原始地殻は、当初は地球を覆っていた。地殻変動により2つのプレートが正面からぶつかりあい、一方が他方の下に沈み込んだ。マントル内では軽い物質が先に溶け、湧き上がるように地表に出てきた。

最初の大陸

最初の大陸がクラトンや島の衝突を経て、ついに形づくられた。こうした大陸は軽いため、表面にとどまったが、さまざまな種類の岩石で構成されるようになっていった。海洋地殻は比較的重いために沈み込み続けており、古いまま残ることがなく複雑化することもない。海嶺での海底拡大により地殻が更新されるからである。

西之島

2013年、日本の小笠原諸島西之島沖に新島が発見された。激しい火山活動により溶岩が地殻を突き抜けてその後冷えるという、40億年前に大陸ができたときと同じ過程をたどって新島が出現した。

じじぃの「磁気感覚・徘徊老人のここはどこ?不運の方程式」

ヨーロッパコマドリ

『不運の方程式―あなたの「ついてない!」を科学する』

ピーター・J.ベントリー/著、三枝小夜子/訳 新潮社 2010年発行

ここはどこ? ……道に迷う より

雨は、降りはじめと同じくらい唐突に降りやんだ。あなたは信じられない思いで青空を見上げる。太陽はなにごともなかったかのようにさんさんと輝いている。濡れた舗道からは蒸気が立ちのぼってきた。あなたは本屋を出て、早足で会社をめざす。雨上がりの街並みが妙にきらきらしているせいか、行き交う車が派手に跳ね上げていく水しぶきのせいか、なかなか知っている街を歩いているような気がしてこない。さらに10分ほど歩き続けると、まします不安になってきた。
ついに商店街を抜けて、閑静な住宅地に入り込んでしまった。道を聞こうにも、立っているのは街路樹ばかりで、人っ子ひとりいない。知らない人の家をノックするのも気がひける。枝を広げた木々が、今にも襲いかかってきそうな気がする。あなたは今来た道を振り返った。これから行こうとする道と、ほとんど変わりないように見える。道に迷ってしまった。完全に。
街を歩いているときに、ふと、自分が今どこにいるのかわからなくなってしまったことはないだろうか。周囲を見わたしても見覚えのあるものはなに1つなく、あなたはにわかにパニックになる。人目が気になるので平静をよそおっているが、未知の危険が迫っているような気がしてならず、心は困惑と恐怖でいっぱいになっている。あなたはどうにかして状況を把握しようと周囲をうかがい、目の前の風景と結びつきそうな記憶を呼び覚まそうとする。私たちはなぜ道に迷うのだろうか?
    ・
多くの鳥は、磁場をはっきりと感じることが知られている(実際、渡り鳥が地磁気を乱すほどの規模の鉄鉱床の上空を飛ぶときには、混乱して方向感覚を失うことがある)。ある研究によると、鳥がものを見るときに使う脳の領域は、各種の磁場にされられるときにも活性化するという、鳥たちは地磁気を「見ている」可能性がある。
論争はあるものの、ヒトにも非常に基本的な「磁気感覚」が備わっている可能性があるとする研究がある。実験では、目隠しをした状態で移動しても方位がわかっていた人が、頭の近くに磁石を置かれると方位がわからなくなってしまったとされている。より説得力ある実験としては、脳科学者が被験者の脳の活動を観察したところ、外部から磁場をかけたときに脳の活動が変化することが確認された。これは、意識されるかどうかにかかわらず、私たちの脳のなにかが磁場の影響を受けていることを示している。
あいにく、ヒトになんらかの磁気感覚が備わっていたとしても、これだけ多くの金属製品や電子機器に囲まれ、通信や娯楽のために伝播やマイクロ波を飛ばしている現代人に、その感覚を活かせる可能性はほとんどない。匂い、温度、音、景色についても同様である。私たちの街や都市には繰り返しの要素が多すぎて、どの感覚も過剰な入力に混乱している。

                        • -

どうでもいい、じじぃの日記。
ここはどこ? わたしはだ~れ? (徘徊じじぃ)
ヨーロッパコマドリは遠くまで移動する渡り鳥として有名だ。
ある本にこんなことが書かれていた。
コマドリの体内からは磁鉄鉱を見つけることができず、コマドリの方向感覚は謎のままだった。またコマドリの磁気感覚には、磁気コンパスと相容れない不可解な特徴がいくつかあった。目隠しをされると磁気感知能力を失い、コマドリ地磁気を『見ている』ことが示されたのだ」
たぶん、コマドリの眼の中には磁気感知受容体が存在するのだろう。
しかし、21世紀に入って至るところで電波やマイクロ波が飛びまわっている。
コマドリでも、ここはどこ? と悩んでいるに違いないのである。