Book of the Dead: An introduction to the Book of the Dead exhibition at the British Museum 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=G6snYcSu024
死者の書 1
死者の書 2
『ハリー・ポッターの魔法世界ガイド』 アラン・ゾラ クロンゼック、エリザベス クロンゼック/著、 和爾桃子/訳 早川書房 2001年発行
ヘビ Snake より
ハリーがヘビ語(バーセルタング)を話すとクラスメートに知れたとき、おおかたの者は恐れおののき、さらに悪い疑いを抱きました――本当は闇の魔法使いなんじやないか、と。結局のところ、魔法社会では、ヘビは邪悪と同義語なのです。悪のしもべデス・イーターをみわける闇のしるしは、しゃれこうべの口からヘビの舌が突き出ています。あきらかに闇の魔術の温床スリザリン寮にかかげられた紋章はヘビ。そして、第4巻で再登場するヴォルデモート卿に力を与えたのはペットのヘビ、ナーギニーの毒でした。それでもヘビにまつわる逸話はまだやっと半分くらい。それから、ハリーがしごくたやすくボア・コンストリクターとおしゃべりしたり、もしくは攻撃しようとしたヘビにお行儀よくしろと命じた理由なんかもあります。世界中、いくつもの文化でヘビはもっともあがめられ、悪だけでなく、知恵や、悟りや、癒(いや)しの象徴とされてきました。
人間がヘビに魅了されたのは有史以前にさかのぼるできごとです。最古の絵や彫刻が、岩や洞窟に残っています。ヘビをまつる宗教は、他のどの動物よりたくさんあります。さらに北欧、中央アメリカのアステカ、西アフリカの部族国家では神聖視され、中東、地中海、中国、インドも同様です。インドでナーギニーとはある種のヘビで、いくつもヘビの頭をつけた美女、もしくはヘビのとぐろで巻かれた美女として描かれます。ヘビの毒を含むありとあらゆる危険から身を守ると信じられたこの神聖な生き物とヴォルデモートのヘビは同じ名前なのです。
でも、ヘビは信仰されている土地でさえ、やはり恐れられていました。邪悪でいつわりに満ちたヘビは多くのエジプト神話に登場します。古代エジプトの『死者の書』では、アポピスというヘビの化け物がひんぱんに登場し、怒りっぽく裏切り者の手先と称されます。別名「闇の妖怪」というアポピスは太陽神ラーと絶え間なく戦っており、日ごとの夜明けと日没はラーが敵のヘビを首尾よく打ち負かしたことを示します。北欧神話ではヘビのニードホッグまたの名を恐怖のかじり屋、生命の木ユグドラシルの根元に住みついてつねにその根をかじっており、世界の闇の力をあらわします。西洋最悪のヘビといえば、代表格は何といってもアダムとイブをエデンの園から追っぱらう元凶となった、旧約聖書創世記のヘビでしょう。他にも聖書でヘビは危険と恐怖の象徴としてひんぱんに顔を出し、ユダヤとキリスト教文化では悪の象徴とされました。イスラム教徒も人間の堕落の象徴としてヘビを避けています。
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『世界文学大図鑑』 ジェイムズ・キャントンほか/著、沼野充義/監修 三省堂 2017年発行
『死者の書』(紀元前16世紀) より
パピルスに記されたエジプトの『死者の書』は、およそ200章から成り、使者が来世で使う呪術や方法がさまざまな書き手によって記録されている。
書記官によって写され、ミイラと共に墓に埋葬されたが、それは死者があの世へ向かう旅で読み、危険から身を守るための案内者となると信じられていたからである。よく知られているのが『アニのパピルス』で、現在はロンドンの大英博物館に所蔵されている。