「ChatGPT」を開発したOpenAI サム・アルトマン氏がCEOに復帰で基本合意|TBS NEWS DIG
動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=IrYGpUJ5iuQ
アルトマン氏 復帰で合意
【最新】解任のアルトマン氏が復帰!ChatGPTどうなる?
2023年11月22日 NHK
ChatGPTを開発し、生成AIブームをつくりだしたアメリカのベンチャー企業「オープンAI」。
11月17日に会社の顔であるサム・アルトマンCEOが突如、取締役会から解任されました。それからわずか5日、会社はアルトマン氏がCEOに復帰することで合意したことを明らかにしました。シリコンバレーに走った激震、何が起きたのか、この先どうなるのか、見通します。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231120/k10014263491000.html
『2035年に生き残る企業、消える企業――世界最先端のテクノロジーを味方にする思考法』
山本康正/著 PHP研究所 2024年発行
世界のテクノロジーは、かつてない速度で進化しています。
2022年11月に登場したChatGPTのユーザー数は、公開からわずか5日で100万人を超え、瞬く間に世界中に広がりました。これはIT史上最速のスピードです。このブームに乗って、生成AIに必要な半導体を製造するエヌビディアの時価総額は、2024年6月、マイクロソフトやグーグル、アップルを抜き、約500兆円で、上場企業の時価総額において世界一となりました。
これまでIT業界を牽引してきたのはビッグテックのGAFAMが中心でした。
第1章 いま押さえておくべき最新テクノロジーの潮流 より
格段の進歩を見せたオープンAIの「GPT-40」
Google I/Oが開催された前日に、当てつけるように、オープンAIが新モデル「GPT-40」を発表しました。こちらは、リアルタイムのデモをライブ配信で発表していました。
GPT-40の最大の特徴は、音声の反応スピードの速さです。まるで人間同士で会話をしているかのような自然でなめらかな会話が続き、さらに、英語とイタリア語の同時通訳をする様子も披露されて、大いに話題になりました。
従来のタイムラグがなくなったことに加えて、会話の途中で相手(人間)が話し始めたらAIは自分の話をいったんストップする、といったような、いかにも人間らしい対応も見られました。
グーグルとは対照的に驚きの多い発表でしたが、オープンAIにも懸念はあります。GPT-40を発表した翌日に、同社の共同創業者であり、チーフサイエンティストでもあった、イリヤ・サツキバー氏が退任することが発表されたのです。
イリヤ・サツキバー氏は、ChatGPT開発の重要人物であると同時に、高度化する生成AIの危険性に備えて安全対策をするチームのトップでもあり、さらに、2023年のアルトマンCEOの解任騒動劇の関係者でもありました。
新製品リリースの翌日に安全対策チームのトップが退社するというタイミングを考えると、もしかすると、開発競争の激化に伴(ともな)い、オープンAIにおいて安全対策が軽視されている状況が反映されているのかもしれないとも考えられます。
サツキバー氏の他にも、生成AIの性能向上ばかりに注力する方針に批判的だった幹部が相次いで退社したことも明らかにされています。
サツキバーと共同でAIの制御をリードしていた、グーグルの関連会社であるディープマインド(DeepMind)出身のヤン・ライケ氏は、安全確保が後回しとなり「限界に達した」として退社、同じくオープンAIから独立した、安全性をより重視するAIスタートアップ、アンソロピック(Anthropic)に参画すると発表しています。
スタートアップにとって、事業成長を目指すことは宿命です。
各社が矢継ぎ早に新製品や性能アップを発表する激流の中にあって、安全対策に力を割(さ)くことは、一面では、成長へのブレーキにもつながりかねません。
しかも、オープンAIには、グーグルの広告事業のような、生成AI以外の収益の柱が十分にありません。
こうした事情が絡(から)み合って、社内にジレンマや困難があることは想像できます。サツキバー氏らの退社を、その象徴ととらえることもできるでしょう。
このように、人の動向に目を凝(こ)らすことで見えてくる風景もあります。
退社や解任のような大きな動きだけではなく、開発者会議のように、トップが公の場に現れるイベントも同じです。
大々的なイベントの基調講演でCEOが語るのは当然として、それ以外に誰が登壇して語るのか? そんなワンシーンからも見えてくることがあります。
新製品・新機能だけに目を奪われるのではなく、その背後でどのような人材の移動や台頭が起きているのかにも目を配っておきましょう。