じじぃの「宮崎駿・第9章・崖の上のポニョ・水をリアルに!ジブリアニメの世界」
『崖の上のポニョ』グランマンマーレの正体とは?
崖の上のポニョ グランマンマーレ

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グランマンマーレ
ピクシブ百科事典 より
映画『崖の上のポニョ』の登場キャラクター。
ポニョの母で、フジモトの妻。フジモトにとって頭が上がらない存在である。公式設定では海なる母とされており、海全体の女神のような存在。身体の大きさを人間大から大型船超まで自由自在に変えることが出来る。神であるため、美しい容貌のまま何時までも年を取らない。
かつて潜水艦ノーチラス号で乗組員をしていたフジモトに一目惚れされ結ばれた。夫であるフジモトの家に定住はせず、娘であるポニョを預け自身は奔放な暮らしをしている。実はフジモト以外にも何人もの夫がいるとのこと。
海の神とされているが、その正体はチョウチンアンコウの人魚である。姿を変え発光するという特徴から、疑似餌の先端部分が人の姿をしたものであると推測されている。
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第9章 グランマンマーレの正体――『崖の上のポニョ』 より
水を描く天才の苦悩と決意
『崖の上のポニョ』で一番好きなシーンが、ポニョが海を走って宗助のもとにやってくるシーンなのですが、何がすごいって、わずかに足が水に沈んでいるのです。普通のアニメーターが気をつけずに描いたら、こうはなりません。水面に足が接地してしまうと思います。でもポニョの走りはそうではなく、少し沈んでいるだけリアルに見えます。
『もののけ姫』では、シシ神が水の上を歩くシーンも同じように描かれていました。やはり水野なかにわずがに沈んだかかとがリアリティと神秘性を演出しています。
さかのぼること『ナウシカ』よりも前には、テレビシリーズ『未来少年コナン』で海に閉ざされた終末世界を描いており、業界内で海を描写する際の手本とされるほどの腕前でした。あるいは『千と千尋』を風呂、海原電鉄、川というように一貫して水を描いた映画と見ることもできます。
このように、『ポニョ』 に至るまで、水は宮崎駿が表現を磨いてきた十八番なのです。なかには高畑監督のもとで作った映画『パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻』という、水にのみこまれた日常世界という『ポニョ』と同じ光景を描いた過去作もあります。のみこまれるのは日常世界ではないものの、『カリオストロの城』でも遺跡が水にのまれますね。
そんな『ポニョ』であらためて水の表現に、しかもCG全盛の時代にオール手書きで取り込んだ背景には、『ファインディング・ニモ』があったのではないかと僕は睨んでいます。
これは宮崎駿がインタビューでも語っているのですが、『ポニョ』が全編手描きとなった理由に、『ハウル』の反省を挙げています。宮崎駿は天才的なアニメーターです。人がうまく絵のなかで動かせないものを、手描きで生き生きと動かしてみせる才能を持っています。そんな彼が、『ハウル』では、あろうことが、あまりの作業量に目玉である城をCGに頼ってしまったのです。
その『ハウル』をまさに制作していた2003年に公開した『ニモ』。宮崎を師とあおぎ可愛がられているジョン・ラセター率いるピクサーによるこの作品は、ピクサーの最新CG技術で、魚たちが住む海の世界をきれいに描き出しています。
要するに、「動かす」という手描きアニメ―ションの喜びを自ら放棄してしまったなさか、自分の独断場であった水をリアルに、美しく、しかも自分が使いつつも憎んでいるCGを使って描いてしまった弟子があらわれたわけです。
悔しい思いをした宮崎駿が、あらためて水の表現に正面から挑む。こんな動機ですから、『ポニョ』は表現重視の映画です。アニメーションとしての大いにありますが、これまで以上に物語は破綻してしまいました。
だからあまり物語の深みを考察するわけにはいかないのですが、その代わりにこの映画には宮崎駿のイマジネーションが溢れています。
ポニョの母であり、フジモトの妻である、海なる母たるグランマンマーレの描写なんて、宮崎駿が好き放題自分の絵が期待ものを詰め込んだ、最たる例だと思います。本章では、このグランマンマーレの正体を追っていきましょう。
グランマンマーレはチョウチンアンコウ
ここまで『オフィーリア』、観音様というように、グランマンマーレのビジュアルイメージの元となったネタを紹介してきました。今度は見た目の話ではなく、その正体は何なのかを解説していきます。
実は宮崎駿あ答えを明かしています。公開当時の雑誌で語っていたその答えは、現在は『続・風の帰る場所』というインタビュー集で確認できます。
異種婚礼っていうのは日本には数々あるからね。あのお母さんだって本当は巨大なアンコウなんだとかね。そういうことは、スタッフの中で話してたんですよ。でも差し渡し1キロのアンコウが出てきても画面の中にどう入れていいかわかんないから(笑)、ちゃんと人間の姿を執ることもできて、その代わり大きさは自由自在っていう。要するに孫悟空の世界ですね。孫悟空の中に、天界にいた金魚が3日間ほど地上に逃げて、化けものになった暴れるっていう話があるんですよ。それが地上では3年間だったとか。最後は観音様だったかに連れていかれちゃうんですけど(笑)。
ここでも観音様が出てきますね。なるほど、ポニョを連れ戻す立場としても、まさにグランマンマーレは観音様であるわけです。もっとも、最終的にはポニョを人間として陸に残すことに決めるのですが……。
それよりもっとおもしろい証言として、グランマンマーレの正体はアンコウだと言っています。異種婚礼というのは、違う生き物同士が結婚することで、確かにそういった話は日本には多くあります。一番有名なのは『鶴女房』ですかね。昔話として今よく知られている鶴の恩返しはおじいさん、おばあさんと鶴の物語ですが、そうではなくて若い男と鶴が結婚するバージョンの鶴の恩返しがあるのです。
ポニョも異種婚礼によって生まれた子であり、父が人間のフジモト、母の正体はアンコウというわけです。グランマンマーレを母なる海としてしか認識していないと、なぜポニョが「さかなの子」として生れているのが不思議ですが、アンコウなら確かに一応魚の血が入っているということになります。
それでもアンコウとポニョでは、同じ魚でも全然イメージが違いますが……。ポニョが金魚の見た目をしているのは、孫悟空の元ネタからの影響でしょうか。
ともあれ、グランマンマーレの正体はアンコウということで決着です。光輝くアンコウ。さながらチョウチンアンコウといったところでしょうか。