じじぃの「世界との戦い・NEC・米NISTベンチマーク6連勝!顔認証の教科書」

生体認証 Bio-IDiom 便利で安心=暮らしを快適に [NEC公式]

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=-dsHRTJ1CZs

最も低い誤検索率(NIST FRVT2013評価内容)

世界が認めるNECの顔認証技術

2014年6月20日 NEC
2014年5月に公開されたNISTによる最新の評価試験(FRVT: face recognition vender test)に向け、NECは更に各種性能を強化したアルゴリズムを開発。
アルゴリズムでは、認証エラー率を3.1%まで低下させた高い検索精度、1秒間に300万件以上というナショナルセキュリティに耐えうる検索時間を実現し、精度・速度の両面で他の参加者を圧倒する性能を実現しました。
https://jpn.nec.com/rd/technologies/face/2013nist.html

『顔認証の教科書 明日のビジネスを創る最先端AIの世界』

今岡仁/著 プレジデント社 2021年発行

第3章 世界との戦い より

前章では、顔認証を取り巻く技術について説明しました。この第3章では、顔認証の研究チームを率いてきた私の考え方、とりわけ世界での戦いでトップを取るために何を考えてきたのかについてお伝えしたいと思います。辛いこともあれば喜びもありました。企業研究者のありのままの姿を知っていただきたいという思いもあります。
世の中では、「日本の研究力が地盤沈下している」という指摘も聞かれますが、そのような中で私たちのように「地道な研究を重ねながら、世界を相手に勝負している研究者たちもいる」という事実をぜひ知っていただきたいと思います。

――外国人モデル1000人の写真を撮影。体当たりの精度向上

精度向上のために行った取り組みは(ゲーム感覚でやるなどの)他にもあります。某外国人モデル事務所に協力を仰ぎ、さまざまな人種の顔の膨大なデータを蓄積しはじめました。なぜ外国人モデル事務所かといえば、顔認証技術を世界の市場に売り込む以上、日本人の顔だけでデータを積み上げても世界に通用しないと考えたからです。そこで最初からさまざまな種の顔を対象にデータを集めたほうがいいと判断しました。
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体当たり的に顔の画像を大量に蓄積し、自分たちなりの顔認証技術を磨いていくうちに、「NIST(米国国立標準技術研究所)ベンチマークに参加するからには勝ってやろう」と一気に前向きな気持ちになっていました。それまで数年間頭から離れなかった「どうしたら閉塞感を打ち破ることができるのか」という苦悩も、世界に挑戦することで変わるはずと考えるようになりました。

――初めて参加したNISTの2009年ベンチマークでトップを受賞

初めて参加したNISTベンチマークは、2000年の「MBGC」でした。(ベンチマーク名はこのようなアルフレッドの略字が多く、名称からは時期もわかりにくいので、本書では便宜的に「2009年ベンチマーク」のように、年度でも記述します)。「MBGC」とは、Multiple Biometric Grand Challengeの略で、日本語に訳すと「複数の生体認証によるグランドチャレンジ」という意味です。なぜ顔認証ではなく、「複数の生体認証」という名前になっていたかというと、虹彩認証や顔認証を組み合わせることによって、実用的なシステムであることを示したかったようです。
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ついに会議が始まり、結果発表です。
NISTの主催者から、これまでの経緯やどういう趣旨でベンチマークを実施したかなど、私には長いと思われる説明があった後、少しもったいぶった感じで結果が発表されました。
何と私たちがトップでした。朝に隣り合わせた中国系の研究者から大いに称賛されたことを今でもはっきりと覚えています。さらに驚いたのは、会議の直後にアメリカの大手企業の関係者から声をかけられたことです。NECの結果が良かったため、私たちの顔認証を使いたいという、うれしいオファーでした。早速、同行した事業部の担当者が対応していました。
こうして2009年ベンチマークでトップを取りましたが、実はその余韻に浸っているわけにはいきませんでした。この2009年ベンチマークの内容に加えて、さらに高度な試験なども実施する2010年ベンチマークにそのまま突入するからです。
ベンチマークとしてはそれぞれ独立した扱いなのですが、参加者からすれば、前半戦、後半戦のようなものです。最初の2009年ベンチマークでトップを取っても落ち着かなかったのは、直後に2010年ベンチマークが控えていたためでした。

――2021年に6度目の世界トップを達成

本書の執筆途中(2021年9月)でNISTの戦いに新たな動きがありました。

2021年8月に、顔認証ベンチマークテストFRVT Ongoingにおいて、6度目の世界トップを獲得したのです。

このベンチマークでは、私自身はアルゴリズムの直接的な開発リーダーではなく、一歩引いた立場で関わりました。若い研究者が育ってきて、非常に強いチームになったからです。私自身がチームを引っ張っていたころよりも研究者の層が厚くなり、バランスのとれた強力なチームになってきたと思います。
同時に、虹彩認証のNISTベンチマークテストでもトップを獲得して、顔認証とあわせて2冠となりました。今後は、技術でトップというだけでなく、事業的にも世界トップを目指したいと考えており、まだまたやるべきことは多いと思っています。