じじぃの「科学・地球_257_生態学大図鑑・プラスチックのごみ捨て場」

プラスチック汚染:人間が世界をどうやってプラスチックに変えているのか

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=RS7IzU2VJIQ

plastic pollution

How does plastic pollution affect the ocean?

June 30, 2020 China Dialogue Ocean
Every year, 8 million tons of plastic enter the ocean. That’s equivalent to one truckload dumped into the sea every minute of the day.
From there, it goes on a long and destructive journey. “The plastic that enters the ocean can be carried vast distances by currents to all parts of the world, including remote Antarctica and the Mariana trench, the deepest place on Earth,” says Winnie Lau, senior officer for The Pew Charitable Trusts’ Preventing Ocean Plastics campaign. Along the way, it infiltrates ecosystems and causes untold harm to marine life.
https://chinadialogueocean.net/14200-how-does-plastic-pollution-affect-the-ocean/

生態学大図鑑』

ジュリア・シュローダー/著、鷲谷いづみ/訳 三省堂 2021年発行

われらが海はプラスチックのスープと化しつつある プラスチックのごみ捨て場 より

【主要人物】チャールズ・J・モア(1947年~)

20世紀の初期にプラスチックが初めて大量生産されたとき、どんな形にも成型でき、使い捨てできるこの材料の可塑性と耐久性に世界は驚嘆した。しかし、プラスチックの難点は、その大部分が消えてなくなることが決してないことである。イギリスのビジネス誌エコノミスト』によれば、1950年代以来世界で生産された63億トンのプラスチックのうち、わずか20%のみが焼却もしくはリサイクルされた。これは、残り80%の約50億トンはごみ埋立地あるいは他の場所で今も環境中に存在することを意味する。

海洋を汚染する

マイクロプラスチック――長径5mm以下のプラスチック粒子は、とりわけ除去が難しい。海洋中のプラスチックの90%がこのマイクロプラスチックであり、濁ったスープのように海流に漂っている。

この問題を最初に明らかにしたのは、アメリカの海洋学者チャールズ・J・モア「船長」だった。彼は2011年刊行の『プラスチックスープの海』で、この問題への注目を集めた。モアは、ヨット競技会からの帰国途上、太平洋のプラスチックごみが浮かぶ広大な海域を横切った。今ではフランス・ドイツ・スペインを合わせた総面積よりも広いことが知られている、その巨大な「太平洋ごみベルト(GPOGP:the Great Pacific Ocean Garbage Patch)」は、「北太平洋旋回」として知られる海流の渦に留まった7万9000トンものマイクロプラスチックから成る。
GPOGPの他にも、大西洋やインド洋、さらに小さな北海のような海域にも同様なごみベルトが存在する。1990年代に化粧品メーカーによって導入されたマイクロプラスチックビーズも新たな問題となっている。石鹸やフェイシャルスクラブや練り歯磨きなどのケア用品に使われているビーズは、下水処理施設から川へ、さらに海へと流れ、魚類や他の動物の体内に取り込まれ、マイクロプラスチック同様の悪影響をもたらす。

プラスチックの規制に向けて

プラスチック汚染を一掃するのは至難の業となる。プラスチックを化学的な構成成分まで分解するには膨大なエネルギーを必要とし、それがまた環境に悪影響を及ぼす。最善の策はプラスチックを使わない生活を学ぶことだ。多くの国が、化粧品にマイクロプラスチックビーズを使うことを禁止するか、段階的廃止に向かう動きを進めている。また、2002年のバングラデシュを皮切りに、多くの国が使い捨てレジ袋の提供を禁止している。他にもプラスチックストローの禁止、繰り返し使う水筒の使用やリサイクル可能な生分解性の梱包材の梱包材の使用の推奨など、多様な対策が進められている。

野生生物への影響

プラスチックは、野生生物にさまざまな危険をもたらす。スーパーのレジ袋のような大きさのものは、鳥や海洋動物を窒息死させる。消化管に入ればそれを傷つけたり、詰まらせたりして餓死を招く。マイクロプラスチックが体内に取り込まれると、有毒物資が動物の脂肪層に蓄積し、食物連鎖を通じて広がっていく。
国際環境NGOグリーンピース」によれば、海鳥10羽中9羽、ウミガメ3匹中1匹、クジラやイルカの半数以上がプラスチックを食べている。世界で最も深いマリアナ海溝に生息する甲殻類でさえ、その体内にプラスチックが見つかる。
企業はプラスチックの厳しい使用制限の必要性を真剣に受け止め始めている。たとえば、フロリダのビール醸造所は、6缶をまとめるシックスパック・リングを、プラスチックではなく醸造過程でできる副産物で作る方法を開発した。それであれば、たとえ鳥が絡まったとしても、噛み切ることができる。