じじぃの「科学・地球_254_生態学大図鑑・光害」

New Lights Installed Along Florida’s Coastline To Protect Baby Sea Turtles | NBC Nightly News

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Gfst1W3KcPI

途中に、こんな子ガメがいました。

光害の小さな犠牲者

2012年08月31日 グローバルネイチャークラブのガイド日記
毎晩、今夜のように月の大きな夜なら、
海の輝きが強くて子ガメたちは海の方向を迷わされることがないかも知れませんが。
https://blog.goo.ne.jp/gscrikuguide6/e/66915c0e10d8dcd7ad607a2cf35aa57d

生態学大図鑑』

ジュリア・シュローダー/著、鷲谷いづみ/訳 三省堂 2021年発行

暗い夜空が消えつつある 光害 より

【主要人物】フランツ・ホルカー

世界を人工的に照らす明かりは、最も影響の大きい「汚染因子」になりうると指摘する生態学者もいる。いわゆる光害である。人類のおよそ80%が、光に満ちた空の下で暮らしている。2017年、ドイツの生態学者フランツ・ホルカーの、人工衛星データを用いた光害に関する大規模な研究によれば、2012年から2016年の間に、地球上の人工的に照明された地域は9%増した。とくに明るさを増したのは南米・アフリカ・アジアの開発途上国だが、すでに十分明るいヨーロッパ諸国や米国でも、今なお明かりが増え続けている。
光害に最初に気づいた人々には宇宙飛行士たちが含まれるが、それは、光害が夜空の天体を見にくくするからである。1988年にアメリカの宇宙飛行士ティム・ハンターとデイヴィッド・クロフォードが、光害から夜空を守ることを目的に「国際ダークスカイ協会」を設立した。それは、最初のこの種の団体であった。
それ以来、動植物に対する光害の影響を調べる研究が実施されるようになったが、それは、栄養摂取、睡眠、捕食者からの防御、さらには生殖までを含む生命維持活動の調節が、明と暗のサイクルに依存しているからである。それらの研究は、数多くの悪影響を明らかにした。たとえば、ある研究はヨーロッパの木々が1990年代に比べて1週間早く芽を開くようになったと報告した。それにより成長期間が変わり、落葉したり結実できなかったり、冬期の凍害を防ぐために休眠状態に入ることができなくなるだろう。

ウミガメへの影響

卵のなかの胚が殻を通して呼吸できるように、海岸で産卵するウミガメにとって、光害は大きな問題だ。

雌の産卵には暗い砂浜が必要であるが、上陸した場所がビーチリゾートの照明や街灯、人家の明かりに照らされていたら、海岸沿いの別の場所を探すことになるだろう。しかし、海岸線全体が照明されていけば、産卵には適さない砂浜に卵を産むか、海に産み落とすしかないが、そこでは子孫を残せない。

ウミガメの個体数が減っている背景には、このような問題がある。科学者たちによれば、孵化したウミガメは最も明るい光に向かって移動する。自然条件の下ではそれは海面を照らす月光であるはずだが、人工の光だとしたら、孵化したばかりの子ガメは陸に向かい、車に轢(ひ)かれたり、捕食者に食べられたり、フェンスにひっかかったりしてしまう。解決策として考えられるのは、人や事業体が明かりを消すこと、あるいは「ウミガメに安心な」すなわちカメが感知しない照明を使うことだ。