じじぃの「科学・地球_245_生態学大図鑑・ニッチ構築」

Why are earthworms important?

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=uFKaD6NFjDQ

Niches within earthworms’ habitat

Science Learning Hub
A more specific way to describe where earthworms live is their niche - the position of the species within its habitat. A species’ niche includes both its physical location and the role it plays within the environment. By occupying a specific niche, earthworms make use of conditions that are best suited to their survival. Although all earthworms have common characteristics, features like size, pigmentation (skin colour) and quickness of movement reflect which niche different species occupy.
Soil-dwelling earthworms fall into three main niche groupings: compost and soil-surface dwellers (epigeic), topsoil dwellers (endogeic) and deep-burrowing subsoil dwellers (anecic).
https://www.sciencelearn.org.nz/resources/7-niches-within-earthworms-habitat

生態学大図鑑』

ジュリア・シュローダー/著、鷲谷いづみ/訳 三省堂 2021年発行

生物は自身が生きる世界を変え、築く ニッチ構築 より

【主要人物】F・ジョン・オドリン=スミー(1935年~)

すべての生物は自身の必要を満たすために環境を変える。動物はより安全な環境を整えるために穴を掘り、巣を築き、日陰を作り、風をよけられるシュルターを作る。植物は土壌の化学的特性を変え、栄養を循環させる。生物が環境における自身や互いの場所になんらかの変更を加えるとき、これを「ニッチ構築」という。この用語は、イギリスの進化生物学者F・ジョン・オドリン=スミーによって、1988年に作られた。
アメリカの進化生物学者リチャード・レウォンティンは以前から、動物は自然選択の受動的な犠牲者ではないか示唆していた。彼は、動物はみずからの環境を積極的に構築して変化させ、その過程で自身の進化に影響を与えると主張した。たとえば、オオヤマネコとノウサギは走る速さを互いに競うことで、進化に相互に強く影響を及ぼし、環境を共有する。オドリン=スミーも同様に、ニッチ構築と「生態的継承」――土壌の化学的変化などが継承されて子孫に資源や条件として伝えられる場合――は進化プロセスと見なされるべきだと主張した。

構築のレベル

ニッチ構築の一般的な例として明白なものもあれは、顕微鏡レベルのものもある。ビーバーは見事なダムを川に建設し、湖を作り、川の流れを変える。これが水質や下流に運ばれる物質の組成を変え、他の生物が利用する新たなハビタット(生息・生育場所)を創出し、また河川の植物および動物群集の構成を変える。イギリスの生物学者ケヴィン・ラランドは、ビーバーのダムは明らかに進化的にも生態的にも重要であり、ビーバーの糞(ふん)の影響も顕著なものであろうと示唆した。
ミミズは非常に有効なニッチ構築者で、自分かすむ土壌を絶えず変化させる。植物質や無機物質を植物が取り込める細かい粒子に分解する。ミミズが排出する糞に含まれる利用可能な窒素の有効量じゃ、まわりの土壌の5倍、リン酸塩の濃度は7倍、カリウムの量は約11倍である。
同じように、海底堆積物のなかで生きる微小なケイ藻は、砂を固まる安定させる化学物質を分泌する。たとえば、カナダのファンディ湾では、ケイ藻が海底の物理的状態を変化させて、クダヒゲエビなど、他の生物が生息できるようにする。
イギリスの生物学者ナンシー・ハリソンとマイケル・ホワイトハウスも同じように、鳥類が繁殖期以外によく見られる混群を作ると、競争者との関係が変わり、餌資源をより多くエルことができ、また捕食者からより身を守りやすくなると示唆している。鳥たちが作る複雑な社会的環境は、その生態と行動を変更する。
オドリン=スミーはニッチ構築の説明において、20億年より前に、光合成の副産物として酸素を産生した古い時代のシアノバクテリアを例にあげている。それは、大酸化イベントの主要因であり、地球の大気圏や海洋の組成を変え、地球環境を大規模に変更した。酸素の増加は、それまでよりはるかに複雑な体制の生物――ヒトも含む――の進化の条件の構築に役立った。