じじぃの「科学・地球_212_5000日後の世界・新生物学的な時代・ドローン」

TU Delft - Ambulance Drone

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=y-rEI4bezWc

The ambulance-drone

AED搭載のドローンであれば現場到着まで1分! 心停止の救命率は8%から80%にアップ!!

2015.07.16 HEALTH PRESS
119番通報を受けた救急車が、現場に到着するまでに平均8分30秒もかかっている。
AED自動体外式除細動器)は、心停止した人の胸に貼ったパッドから自動的に心臓の状態をキャッチし、心室細動や無脈性心室頻拍の不整脈を判断して、電気ショック(除細動)を心臓に与えて、心停止した人を蘇生させる。
AEDを搭載したドローンなら、救急車より速く現場に出動できるはずだ。心停止の人の救命率を高めるに違いない。
http://healthpress.jp/2015/07/aed1880.html

5000日後の世界 すべてがAIと接続された「ミラーワールド」が訪れる

ケヴィン・ケリー(著)
『WIRED』誌創刊編集長として長年ハイテク業界を取材していたケヴィン・ケリー氏に言わせれば、今ほど新しいことを始めるチャンスにあふれている時代はない。
はじめに
第1章 百万人が協働する未来
第2章 進化するデジタル経済の現在地
第3章 すべての産業はテクノロジーで生まれ変わる
第4章 アジアの世紀とテック地政学
第5章 テクノロジーに耳を傾ければ未来がわかる
第6章 イノベーションと成功のジレンマ

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『5000日後の世界』

ケヴィン・ケリー/著、大野和基/インタビュー、服部桂/訳 NHK出版 2021年発行

第3章 すべての産業はテクノロジーで生まれ変わる より

われわれは「新生物学的な時代」を生きることになる

第2章で「これからは新生物学的な時代が来る」と述べましたが、まさにそういった話が現実に進んでいるわけです。われわれが生物学的な運命を制御できる時代が来て、自分たちを変容させるということです。
先ほどお話ししたように、すでに食べ物について、畜産分野では変化が起こりつつあります。バイオテクノロジーは今後もっと流行し、きっと現在コンピューターで誰でもプログラミングができる程度に、ユーチューブでやり方を学んだり、誰でもバイオを手がけたりするツールができるようになると思います。そういう時代になれば、われわれが生物学的に自分自身を変えられるようになるでしょう。人間自体を変えて子孫の世代をも変えるんです。例えば、病気をなくすために遺伝子治療をするような話です。
遺伝子編集技術であるクリスパー・キャスナイン(CRISPR-Case9)は2012年にできたばかりですが、今後百年の間にはもっといろいろなものが出てきますよ。
ただ、その時代には自分のなりたいものになれるかというと、私は害義的です。バイオがすべてこなせるわけではなく、他のテクノロジーも必要です。それにまず何になりたいか、ということが問題になりますね。それを社会が認めたとしても、受け入れたくない、というような話もあるでしょう。良かれと思っても子どもに手を加えるのはどうか、という論議も出てくるでしょう。いずれ、現在の妊娠中絶問題などよりも難しい問題がいろいろ出てきてもめることになると思います。
デザイナーベビーもそうですし、それだけの話でとどまらず、すべての他の問題がのしかかってきます。先ほど人工肉の話をしましたが、それも同じことです。例えば、動物を買ってに変異させてもいいのか、豚と牛をかけあわせた肉を作るべきか、その中間的なものを作ってもいいのか……という問題が出てきます。仮に足のない鶏を作って、ずっと座らせておくとどうなるか。つまり、これから対処すべき方法がわからない問題が今後百年間に増えていくでしょう。

ドローン利用はますます進む

一方、小型のドローンはもうすでに飛んでいますね。アマゾンは配達用に使う予定だと言っています。こうした使い方が一般的になるかはわかりませんが、必ず使われるようにはなります。
ルワンダでは、ドローンが薬の配達に使われています。道路がなかったり道が整備されていなかったりする場所があり、医療品や価値のあるものを迅速に確実に届けるために効果的だそうです。われわれの国の道路は整備されているので、日常的な利用という必要はないかもしれませんが、こういう使い方はできるわけです。
もう1つ話しておきたいのは、あと25年か30年ほどで、商用の航空機も自動運転化されるのではないかということです。パイロットが乗っていない旅客機ということで、ある意味ドローンの拡張系と考えていいでしょう。そして最初は荷物便に使われ、定期的に大型のパイロットのいない旅客便が運航されるでしょう。
小型ドローンを旅客便に使うことはいずれ実現すると思います。なぜなら旅客便の1番のコストはパイロットなどの人件費ですから、AIを使って飛行するわけですが、すでにそれは航空機に実装されています。人間のパイロットは緊急時に備えて乗っているだけです。離着陸はすでにAIで行なわれており、人間の乗務員なしの飛行に大きな障害はありません。
そうなると、パイロットや自動運転のトラック運転手は不要という話になっていくでしょうが、超長距離の運輸トラックでは、自動運転車であっても、人間が乗っていると思います。
例えば、ボストンのような混雑した都市に入るときなどに人間の運転が必要かもしれません。乗っている人は空調の効いた快適な室内にいて、運転が必要なとき以外はプログラミングなど別の仕事をしていることができます。ある種の兼用仕事で、運転はしていないが他の仕事をしていて、緊急用の医師のように呼ばれたら働くという方法です。
ですから、タクシーの乗務員が普段は別の仕事をしているとか、パイロットが通常は飛行以外の別の仕事をしていて、必要なときだけ操縦するという移行期間があると思います。毎日車で1時間移動する際に、運転しないならその間何をするかということを考えなければなりませんね。ゴーグルをかけて別の世界で遊ぶとか、スマートグラスをかければ画面が全部見えるとか、VRやARを活用して車内でできることもあるでしょう。
私の予想では、家にいるときより車の中の方がもっと高速の通信環境が整うと思います。外にいるときは5Gの環境があり、ロボットが運転している最中に広い帯域を使ったりするわけですから。

今後5年で、電気自動車は爆発的に普及する

電気自動車は非常に優れた車なので、普及は非常に早く、現行のガソリン車を代替していくと思います。現在は少ない給電ステーションについてもどんどん普及していくでしょう。5年以内に新車はほとんど電気自動車になると思います。
フォードは通常車よりトラックの販売台数が多く、有名なT型に相当するピックアップトラックF-150は最も普及しているモデルですが、つい先日、このモデルの電気自動車を販売すると発表しました。
こうした車が増えるとガソリンスタンドに行く人はいなくなるでしようね。普通はガソリンで何百ドルも払っていますから、かなり大きな話です。良い電気自動車が普及することで、給電ステーションや家庭の電気供給を含めた全部のシステムが変わっていくことと思います。
私自身、小さな電気自動車を持っていますが、これまで使ったうちで最高の車で、効率も良く、加速や運転性能なども申し分ありません。この安い自動車のおかげで、ここ3年間ガソリンスタンドのお世話になっていません。
ですから脱二酸化炭素化は急速に進むと思います。問題は石油の価格がまだ下がり続けていることですが、太陽光・風力・原子力発電もまだ発展途上のテクノロジーですから、これらが良くなれば環境問題の真の解決手段になるでしょう。