じじぃの「科学・地球_144_中国と戦う・日本の失われた30年」

【教えて!ワタナベさん】失われた30年~デフレとグローバリズムはなぜ悪いのか? [R3/1/9]

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=7fcPJ5op4pk

As new era approaches, Japanese look back over Heisei

Apr 30, 2019 KYODO NEWS
TOKYO - Japanese people across the country on Tuesday recalled the past three decades of Emperor Akihito's reign and expressed hopes for the new era starting the next day.
https://english.kyodonews.net/news/2019/04/d7c78a249401-people-look-back-over-heisei-express-hopes-for-new-era.html

中国と戦うときがきた日本

著者 渡邉哲也
日米「経済安全保障」により、経済的集団的自衛権が発動! 中国企業の出資を受ける楽天は日米政府の共同監視対象に、対中情報管理が甘かったLINEは体制改善を迫られ、ユニクロ無印良品などはウイグル人強制労働との関連を内外から追及されるなど、中国ビジネスはもはや最大のリスクとなった。
次に危ない企業はどこか。米国「2021年 戦略的競争法」施行で日本の対中政策は180度大転換が必至、そこで何が起こるのか。気鋭エコノミストが解説!
第1章 中国にかかわることが最大のリスクとなった日本
第2章 超弩級中国経済大破滅がやってくる
第3章 経済安全保障で中国と対決する世界
第4章 日本は中国にどう勝つか

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『中国と戦うときがきた日本 経済安全保障で加速する日本の中国排除』

渡邉哲也/著 徳間書店 2021年発行

第4章 日本は中国にどう勝つか より

軍事的に接近する中韓

2021年4月2日、ワシントン近郊で日米韓高官級協議が開かれた。これは日本にとっては、その後に開かれた日米首脳会談の前哨戦的な意味合いもあり、日米韓3ヵ国の協力関係を再確認するものであった。バイデン政権にとっては、発足後、対面では初の高官協議でもあった。
しかし、この高官級協議後に発表された共同声明では、「非核化に向けた日米韓の協力」を確認したといった程度のもので、特段の成果はなかった。
この日米韓高官級協議の翌日、中国福建省厦門中韓外相会談が開かれた。このとき、韓国外相は1月の就任後初の外遊だった。韓国では従来、外相の最初の外遊先はアメリカであったが、韓国はその慣例を破ったわけだ。
この中韓外相会談では、北朝鮮問題に対する中国の積極的介入、中国と韓国との安全保障軍事協力の強化、そして6月までに中韓2プラス2を開き、安全保障に対する協議を行うこととした。そのうえで韓国側は年内に習近平主席を国賓として招くことを申し入れたと報じられた。
一方、4月16日に日米首脳会談が開かれ、日米首脳共同声明において、核を含むすべての兵力を使ってアメリカが日本の安全保障に協力していくこと、日米豪印の軍事協力を拡大し、台湾問題や尖閣問題にも対応していくことなどが発表された。
そして、日米首脳会談と並行するかたちで、4月下旬に予定されていた日米韓の外相会談が中止になったと報じられた。
見てわかるように、ここまでで韓国は中国に軍事的接近をするばかりで、アメリカと適切な対話ができている状況にはなかった。
そして、4月20日から26日まで、中国と韓国は両国間の海域で計100時間以上の合同海上トロールを行った。これは中国の護衛艦と韓国の護衛艦が並行して韓国と中国の領土をパトロールするというものであり、この映像を世界に公表した。
護衛艦というのはあくまで警察権行使の範囲なので、これは軍事協力とはいいきれないが、2018年3月に中国共産党中央委員会が公布した「党及び国家機構改革案」によれば、この護衛艦を運用する中国の海警局は、現在、党中央軍事委員会の指揮下にある武警部隊の配下にあることが判明している。
つまり、この合同海上トロールは、事実上の合同軍事訓練に近いものといえるだろう。

日中決戦のときに備えよ

バブル崩壊後、「失われた30年」を経て日本は弱体化していった。他国が経済成長していくなかで、日本はほとんど成長できなかった。
その理由の1つとして、人口が増加する「人口ボーナス」から、人口が減少する「人口オーナス」へと転じ、少子高齢化社会になったことがあげられるが、それ以上に大きかったのは2度にわたる円高、そしてそれによる国内の産業空洞化を招いたことだった。
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この円高で何が起こったかというと、日本企業の多くが中国に進出し、日本国内の産業が空洞化した。円高により日本企業は国際競争力を失ったため、海外生産に切り替えざるをえなくなったのだが、それが中国の改革開放の時代に重なった。そして、それが中国の急速な経済成長をもたらすこととなった。
経済成長の指針として使われるGDPであるが、これは国内総生産であって、たとえば日本企業が中国で製品をつくっても日本のGDPには入らず、中国のGDPを押し上げることになる。
海外で日本企業が稼いだお金を日本国内に持って帰り、それが国内消費につながるのであれば、結果的にGDPは伸びることになる。だが、中国の場合、資金の持ち出し規制があり、日本に還流させることが難しい。
そのため、中国で生産活動をする日本企業の多くは、中国国内でお金をまわすしかない。賃借対照表上の利益は出ても、日本に資金を巻き戻せないわけだ。つまり、日本国内の富は増えない。それはつまり、日本のGDPを中国にもっていかれたに等しい。
「中国の発展のために」という思いで中国に進出した日本企業も少なくない。だが、中国はどんどんコピー品をつくり、技術だけ盗んで同じような企業を立ち上げたりするので、結局、進出した日本人はまったく儲からない。
中国進出ブームの当初は、日本企業が日本でつくる製品と、日本企業が中国でつくる製品が価格競争に発展し、その結果、日本国内の製造業の中国移転が進んだ。
そして、次の段階には、中国で日本企業がつくる製品と、中国で中国企業がつくる製品の価格競争となり、これに日本企業は敗れ、さらには中国製品が日本のマーケットを席巻し、日本の製品を淘汰していった。
結果的に、中国国内に残る日本企業を減少し、白物家電のような製品はほぼ中国製に淘汰されてしまった。そのことは、三洋、松下、シャープばどをみれば、あるいはスマートフォンでも日本製が中国製に取って代わられてきたことをみれば明らかだろう。

このように、中国に吸い取られつづけたのが、「失われた30年」だったわけだ。

日本のGDPが伸びないのは、中国製の安い製品が入ってきてデフレになったこともあるが、それ以上に、日本に富が環流せず、GDPを中国に奪われていたことが大きい。しかも、それは奪われたというよりも、日本人自身の手で中国に与えていたのだ。
この基本構造を理解すると、これまでの中国との取引にどれだけのメリットがあったのかということになる。中国に進出した日本企業は死屍累々の状態だ。
日本の技術の結晶である新幹線にしても、無邪気に中国に技術給与してしまったことで、いまや中国は自国の高速鉄道を「独自技術」として各国で特許までとり、日本の新幹線の輸出を阻害している。2015年には、インドネシア高速鉄道受注で中国は日本を退けて勝利した。他国の技術を窃取したのだから、開発費の回収が必要なく、安価でできる。
そうやって日本企業は、中国に敗れてきたのだ。また、中国は、同じことを世界の企業に対して行っている。アメリカをはじめ西側諸国はこれを許さない姿勢を明確に打ち出しているのである。
中国と取引することにメリットがないことは、すでに答えは出ているのだ。
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これからの日本の産業で、とくに期待できるのは、光半導体だろう。NTTが中心となり、6G(2030年代の実用化を目指す第6世代移動通信システム)におけるグローバルスタンダードになろうとしている。
6Gについては、日米首脳会談の共同声明において、日本で4900億円の研究開発投資を行うことが盛り込まれているが、このような技術開発の部分で国が遅れをとらないようにすると同時に、中国に技術をコピーされないように輸出管理を徹底し、人材の流出を防ぐ必要がある。
このようなさまざまな問題が表面化したのが、新型コロナウイルスパンデミックでもあった。人や物の流通が一時的に途絶えたことで、サプライチェーンの問題、国内生産力の弱点、中国という国の異質性などが明らかかになり、日本の大きな問題点が見えてきた。そしていま、これに対処するときがやってきたわけだ。
ワクチン接種が進んだ国では、次第に新型コロナウイルスの流行が下火になりつつある。世界的なパンデミックが終息する目処が見え、安心感が広がれば、今度は中国の責任を問う声が内外から出てくるだろう。そしてそのときが、一気に変化するときなのだろう。
もはやアメリカと中国のどちらにつくか、などという二者択一の余地はもうないことに早く気づくべきなのだ。