じじぃの「科学・地球_122_半導体とは何か・CMOSインバータ回路・ロジックIC」

スパコン「富岳」、CPU「A64FX」などの部品の実装の様子

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=9vkSvtgVqnM

CMOSインバータの断面構造を示します

世界経済の「新たな要」となった台湾の半導体大手TSMCが独り勝ちできる理由 | あのインテルさえも主要技術を委託

2021.5.10 クーリエ・ジャポン
供給不足と熾烈な開発競争が続く半導体業界で独り勝ちしている企業がある──TSMC(台湾積体電路製造)だ。英紙「フィナンシャル・タイムズ」は、台湾にある同企業を徹底分析した長編記事を掲載した。
https://courrier.jp/news/archives/244574/

半導体が一番わかる』

内富直隆/著 技術評論社 2014年発行

デジタルICの基本はCMOSインバータ より

シリコン集積回路の基本回路は、CMOSインバータ回路(論理反転回路)です。Cはコンプリメンタリー(Complementary:相補的)を意味しています。
CMOSは、pチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETを相補うように接続した構造をしています。そして、pチャネルMOSFET側の電源をVdd、pチャネルMOSFET側の電源をVssのようにしたときに、VddはVssに対して3~15ボルト程度高い電位を持ちます。Aが信号の入力側で、Bが信号の出力側です。
入力電圧AがVssと同じ電位のときには、pチャネルMOSFETがオン状態になり、nチャネルMOSFETはオフ状態になります。このとき出力側BはVddとほぼ等しくなります。一方、入力電圧AがVddと同じときには、pチャネルMOSFETがオフ状態になり、nチャネルMOSFETはオン状態になります。そうすると出力側BはVssとほぼ同じ電位になります。
入力電圧AのVssをデジタル信号の"0"に対応させると、出力電圧BのVddは"1"のデジタル信号になり、このようにAからBの関係は、VssからVddに、あるいはVddからVssのように反対の電位が現れることから、「反転する」を表す「インバータ」回路と呼ばれ、ロジックICを設計するときの基本回路になるものです。
CMOSのインバータ回路の大きな特徴は、論理が反転するときにわずかな電流しか流れないので、非常に消費電力の少ない論理回路を構成できることです。MOSFETを微細化することでさらに消費電力を減少させられることから、CMOS回路は超大規模回路(VLSI)の製造に適しています。そしてCMOS構造の微細化によって低消費電力とあわせて高速化も図られ、現在では半導体モリーやマイクロプロセッサーなどのロジック回路には、ほとんどCMOS構造が使われています。