じじぃの「科学・地球_59_エネルギーの世界ハンドブック・地熱発電」

Why don't we all just use Geothermal Energy?

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=-Ss_wHCS1Aw

Installed geothermal energy capacity

2019 Our World in Data
https://ourworldindata.org/grapher/installed-geothermal-capacity

『地図とデータで見るエネルギーの世界ハンドブック』

ベルトラン・バレ、ベルナデット・メレンヌ=シュマケル/著、蔵持不三也/訳 原書房 2020年発行

その他の再生可能エネルギー資源 より

地熱もまた熱や電気を生み出すことができる。このエネルギー資源は、特殊な水力エネルギーである潮汐(潮力)エネルギー――海洋再生可能エネルギー源――と同様、第1次オイルショック[1973年]のあとに開発されている。これら一連の海洋エネルギー源のうち、着床式のオフシェア(洋上)風力発電だけが今日成熟段階にあり、深さ50mを超える海に施設を設ける浮体式洋上風力発電はなおも実証段階にある。

地熱発電――形式と技術

地熱は、地下のマグマによって熱せられた深層の浸透水(地熱流体)の循環に由来する。したがって、これは間欠的なエネルギーではない。天候や季節ないし昼夜とは無縁だからである。このエネルギーのうち、表層地熱は地盤の表面熱と熱慣性(深さ数十cmから100m)を利用して、個々の住居の暖房および/ないし空調をおこない、深層地熱は地熱貯留層もしくは地下深く(数百mから数km)の高温岩体の熱をもちいて、暖房や発電をおこなう。また、熱水タンクから熱を生成する低エネルギーおよび超低エネルギーの地熱と、蒸気タンクから電気をつくる高エネルギーの地熱もある。
地熱からの熱生成は、おもに3通りの技術にもとづいている。熱交換機(地表地熱)とヒートポンプ(同)、ヒートネットワーク(深部)がそれで、こうした技術によって、地中(地熱貯留層ないし高温岩体)の熱を熱媒に伝え、建物に供給することができるようになる。

世界の地熱利用

世界の地熱発電所の設備発電容量は2015年には12.6GWに達しているが、その発電量は73TWhで、世界の電力生産の0.1%未満にすぎない。この地熱発電をおこなっている国は26ヵ国で、ほかを圧倒する発電量を誇るのはアメリカである[2015年は3450MW。次は1870MWのフィリピンで、国全体の発電電力量の17%を占める]。
一方、地熱由来の熱の直接利用量は2015年には70GWで、これは163TWh以上の発電量に相当する。こうした地熱エネルギーは、熱利用の再生可能エネルギー源として、第1位のバイオマスに次ぐ位置にある。その生産国はかなりの数にのぼり、世界全体で75ヵ国あるが、トップ2は中国とアメリカである。このエネルギー利用はかなりの拡大を続けており、2010年から2015年にかけて39%以上も増加している。

潮汐エネルギー利用

潮汐は開発されてしかるべき最大の海洋エネルギーである。1966年、フランス北部サン=マロ近郊のランス河口で最初の潮汐発電所が操業を開始し、韓国北西部の始華湖潮汐発電所[定格出力255MW]が始動する2011年までは、世界唯一の巨大発電所だった。その定格出力は240MWで、潮の満ち引きだけでなく、オフピーク時にはポンプ・システムをもちいて内側に設けた貯水池の水面を上げ下げし、負荷率を25%にすることができる。その年間発電量はおよそ500GWhである。なお、このプラントは2025年完成をめどにリノヴェーションがおこなわれている。