じじぃの「歴史・思想_445_日本経済予言の書・ポピュリズムショック」

ポピュリズム政治家の文在寅君、ただいま人気急落中で焦っている? by 榊淳司

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=PVdKhqrSSkw

韓国の理解し難い反日政策に埋め込まれた、文在寅の「真の野望」

2019.8.30 ダイヤモンド・オンライン
●日韓関係を正しく理解しないと国際政治の未来予測を間違える
以前、当連載の記事で、N国党の躍進の陰に世界的なポピュリズムが進行している影響があるという話をしました。
現在進行形で起きている韓国の文在寅政権による対日批判も、「日本を批判する政治家が国民の支持を得やすい土壌がある」というポピュリズムが問題の背景にあります。
私は未来予測の専門家としての顔も持っており、令和の時代がどのような方向に動くのかを研究していますが、ポピュリズムは今の時代を読み解く重要なキーワードの1つです。
https://diamond.jp/articles/-/213314

『日本経済 予言の書』

鈴木貴博/著 PHPビジネス新書 2020年発行

第6章 半グレ化する大企業とアイヒマン化する官僚たち より

なぜポピュリズムの時代が始まったのか?

さて、世界にポピュリズム(大衆に迎合して人気をあおる政治姿勢)が蔓延するのが奇妙な現象ではなく時代の本質だと捉えたら、その変化はいつ、何が原因で起きたのでしょうか?
私は2008年のリーマンショックが時代の転換点だったと捉えています。
リーマンショックの当時、大不況とともに大きな社会問題になったのが資本主義の暴走とアメリカ社会の分断です。本来はウォールストリートの金融機関が暴走してサブプライムローンという実体のない投資証券を買い漁り、その破綻が表面化したのがリーマンショックでした。しかしそれで打撃を受けたのは生活弱者です。
ローンの破綻で自宅を奪われた人だけではありません。リーマンショックが引き金でそれまで勤務していた会社が倒産したり、工場が閉鎖されたりして職を失う人が全米に続出しました。リーマンショックを総括してみると、金融システムの破綻を恐れた行政の支援によって最終的に給料の高い金融業界での雇用は守られた一方で、かつてない大不況という形で農業、工業といった伝統的な仕事に関わってきた人たちが生活に大打撃を受けることになりました。
1%の富裕層が99%の人々から富を奪っている。こういった資本主義の暴走が、この出来事をきっかけにアメリカという社会を分断したのです。
しかしここにパラドックスが発生します。

資本主義は99%の国民に不満を強いるのですが、そうなると不満を持つ層が民主主義では多数派になるのです。だから選挙では国民の不満をあおる候補者が強くなる。これがポピュリズム台頭のメカニズムです。

リーマンショック後、オバマ政権が8年続いてもアメリカ国内の状況は何も変わらないことがわかってくると、不満を持つ多数派の国民が選挙で力を発揮し始めます。
私が2014年頃から、言い換えると大統領選挙の2年前から度々「トランプ大統領は本当に出現するかもしれない」という予測を書き始めたのはこのような背景があったからです。そしてこの未来予測前提はいまだに変わっていません。
2020年に行なわれるアメリカ大統領選挙でも、メディアの期待に反する形でトランプ大統領が再選される可能性は大きいのではないかと、私は見ています。

アイヒマン化が進む日本の官僚

アイヒマンというのはアウシュビッツユダヤ人虐殺に中心的に関わったナチス親衛隊将校です。戦後逮捕され処刑されるのですが、あれだけの悪行を働いた人物であるにもかかあらず、裁判で彼が小役人的な平凡な人間だったことがわかると世界が驚愕しました。
アイヒマン実験(権威者の指示に従ってしまう人間の心理を調べるための実験)からわかったことは、人間の多くはそれが悪いことだとわかっていていても、上から命令されるとそれを実行してしまうということです。
日本のお役所で1府11省2庁の中央官庁よりも先に、昭和の後半段階ですでにアイヒマン化が進んでしまったのが裁判所です。違憲判決を下した裁判官を裁判から外す人事が繰り返された結果、1970年代には国に不利な判決を下す裁判官が一掃されてしまいました。これから先、令和の時代の日本の省庁がどう変わるかは、この裁判所のありさまを見れば想像がつくでしょう。
日本の官僚社会では矜持(きょうじ)として、国益を第一に考え行動するという考え方で国を動かしてきました。
その官僚が文書の森本問題でみなさんご存じの通り、記録を廃棄したり、虚偽の答弁をしたり、アイヒマン化が600人レベルで進んでいるのです。
官僚のアイヒマン化は政治家が正しいことをやってくれる前提では機能します。
しかし問題は、そのように国にとって正しい行動だけをしてくれる政治家は歴史上圧倒的に少数派だということです。冷戦時の共産圏では官僚のアイヒマン化が東側全体で進行し、指導部の下で腐敗しました。
今、日本の官僚は半グレ(暴力団に所属せずに犯罪を行うこと)政治家たちの行状をあきらめて、日々無関心を装ってやり過ごしていると思います。しかしこれから先の日本で嫌悪感をいだくだけでは済まなくなるような、今よりもずっと黒い政治家が日本のトップにつく可能性だって十分にあるのです。
私が「官僚人事を官邸に移したおkとが失敗だ」と考える最大の理由はここです。現在の日本の統治機構は誰がトップにきても大丈夫なフェールセーフ(自然に安全制御が行われる設計)の発想で構築されてはいない。彼にブラック政治家がトップに座る日がきたら、それを防ぐ手立てがない体制に官僚機構を変えてしまったことが問題なのです。
その前提で、この章の前半にお話しした通り、2020年代の中盤から後半に、ポピュリズムのカルスマによる政権交代が起きる可能性がある。
その日は日本の政治機構が国民に牙をむくようになるはじまりの日になるでしょう。
そしてこのことが「桜を見る会」問題の茶番から垣間見える未来の兆しの芽の本質であり、10年後の日本に降りかかってくる最大の災難を予見させる問題なのです。

そして退廃と堕落の2030年がやってくる

それまで信じてきた世界がいとも簡単に崩壊する。これをアノミーといいます。
日本の官僚の世界は背負うという信念と矜持に基盤を置いた権力闘争の世界でした。今の官僚は悲しいことに、その権力闘争の終盤において、勝ち残るための原理原則が崩壊してしまいました。それまで自信に満ち溢れていた官僚たちも、昨今の国会答弁での焦燥感は見る影もありません。
    ・
おそらく2030年までにはこれまでお話ししてきた激動の要因の果てに、日本社会にアノミーが訪れるはずです。これは怖い予言ですが、相応の確率で現実になるのではないかと私は考えています。
実際どうでしょうか。多くの読者のみなさんがさまざまな日本社会のイデオロギーを信じながら、平成の時代を生きてきたはずです。
「年金は将来のために払う。それはあたりまえだ」
「会社のやっていることは正しい」
「勤勉であることが重要だ。顧客のために働く社員が最終的には会社にも認められる」
「誠実に暮らすことが大切だ。神様は必ずそのことを見ている」
「平和を大切にしよう。そうすることで戦争は起きなくなる」
「将来のために貯金をしよう。銀行にお金を預けよう」
こういった日本のイデオロギー2020年代にはつぎつぎと崩壊します。
一旦、世の中がアノミーに陥れば、その後に自然と退廃と堕落が訪れる。それは私たちが人間だからです。そして激動の時代の果ての2030年には必ず、退廃と堕落が訪れる。私たちはその未来を生き延びるつもりで世界を見据えなければならないのです。